ダンジョンに池袋最強の男がいてもいいのだろうか   作:バキュラø

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ベートファンの人はごめんなさい。主に誰かさんのせいです。


静雄がウェイターをやるのは間違っているだろうか

「ずいぶん調理場での作業も手馴れてきましたね」

 リューは静雄の手際に感心するようにそう言った。

 静雄がこのオラリオにやってきてから、かれこれ無事に(・・・)数日が経過していた。

 

「まあ何とかな。一人暮らしだし、料理はそこそこできる。最近は後輩にも食わしていたしよ」

 静雄は腕まくりをして、皿洗いをしていた。それはもう手際よく。

 

 

 

 

「おい、リュー、シズオ‼そろそろ、店の表を手伝っとくれ」

 

「うっす」「はい」

 そうして、二人は店の表、接客へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「は、はい。お帰りにな、なりました‼」

 

「席へご案内いたします。どうぞ、こちらへ」

 

「「よ、よろしくお願いします」」

 

「じゃあ、このナポリとドリンクで」

 

「私もそれにしようかな」

 

「お嬢様。今日のおすすめ…いえ、私から、お嬢様方へのおすすめは魚のムニエルになっていますが、いかがでしょう?」

 

「じゃ、じゃあそれもお願いします‼」

 

「Yes,My Lord」

 

 

 

「お早いお帰りをお待ちしております。お嬢様」

 

「ま、また絶対来ます‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~。シズオが接客もやるようになってから女性客が増えたね~」

 料理を作りながら、ミアは陽気に笑いながらそう言った。

 

「そのようですね、二倍近くになっているように見えます。あの色付きの眼鏡を外してあの口調になってから爆発的な人気が出ましたね」

 リューは食器を下げつつ、淡々とそう言った。

 

「そうだねぇ。確か、ユマサキとカリサワってやつに接客の時はこれが基本だって教えてもらったらしいけど、どうやらシズオの知り合いは商売の天才らしいね。これはあまり期待していなかったけど、良い拾い物だったみたいだね。それに…アンタは気付いているみたいだけどシズオは随分強いみたいだね」

 その、ミアの問いにリューは無言を貫くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?リュー、あの白い奴は誰だ?シルが連れて来たみたいだが」

 シズオは、シルが何かと世話を焼いている少年のことが気になり、仕事の合間にリューに尋ねかけた。

 

「シルの将来の伴侶です」

 リューはそれを迷いもせず、即答する。

 

「ほう、そうなのか。シルの奴も大人しい顔してやるな」

 

「はい、彼は冒険者のようですが、まだ駆け出しですね」

 

「そうなのか?」

 

「大体、立ち振る舞いや雰囲気なんかでわかります。一流の冒険者は立ち方も違います。ほら、ちょうど来ましたね」

 そんな彼女の言葉に静雄が視線を上げるとそこには、迷宮都市オラリオ屈指のファミリア、ロキファミリアの面々がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら、彼らは宴会に来ていたようであった。

『ギャハハハハ、そろそろよ~、アイズ。場も暖まってきたしよ、あのことみんなに話してやれよ。』

 

『…あのこと?』

 

『あの、トマト野郎のことだよ‼5階層でアイズがミノ倒して血まみれにして、逃げられちまった、あの雑魚冒険者の話だよ‼いかにも駆け出しって感じのやつ』

 その言い方といい、見下し方といい静雄の神経を逆なでするものばかりだったが、リューの話では、常連らしかったので、彼は話を聞き流していた。

 若干、鉄製のトレンチが曲がっていないでもなかったが。

 

『黙れ、ベート。それは我々の失態だ。逃がした先にいたという彼には何の因果もない。そんな彼を笑う理由などない。恥を知れ』

 

『うるせぇ。クソ婆は黙ってろ。アイズはどう思う?』

 

『……あの状況じゃ仕方ない…と思うよ』

 

『そう言うことじゃねぇ、例えばだ。俺とあの餓鬼どっちにお前は抱かれてぇかってはなしだ‼』

 

『ベート、君酔ってるね』

 

『…………少なくとも、今のベートさんはいやです』

 

『じゃあ、あいつがいいってのか‼違うな、あんな弱えー奴を番にするわけねえよなー!他ならぬ。アイズ、テメーがそれを認めねー‼』

 

「ベルさん‼」

 その言葉に先程までこぶしを握り締め、肩を震わせていた白髪の少年が走り出した。

 その少年を追いかけ、シルも後を追う。その様子に先程まで話の少年を庇っていた金髪の少女も外に出る。

 

『…どうやら、本人がいたようだな』

 その言葉を聞き、静雄をイラつかせていた言葉を発していた男がバカにしていたのは、シルが呼び込んだ白髪の男だったのだと静雄は理解した。

 怒りは限界に達していた。

 

「お~きゃ~く~さ~ま~、店内では、お静かに、お願い、します……‼」

 

「あ~なんだてめえ。なにか、さっき出ていった奴の知り合いか?どうやらそいつがトマト野郎だったらしいがな。分不相応にもこんな、たけー店に来ちまいやがって。そういや、なんかウェイトレスが一人追っかけってったみたいだけど趣味の悪い女だ。どうせならそんな雑魚捨てて俺のとこにでも来れば、一夜ぐらいなら相手してやるのによ」

 その瞬間、静雄以外の店員全員が殺気だった。

 だが、静雄だけは落ち着いて、いつものサングラスをかけたように見えた。少なくとも表面上は。

 そしてさらにベートまでの距離を詰める。

 

「てめェは、あれか。人の恩人の伴侶をバカにしたな。しかも、恩人本人まで犯すっつったか?そりゃあ、あれか、俺に殺してくれってぇー意味だよなぁ‼‼‼」

 

「あ”、お前、俺を誰だか知らねえのか、冒険者ですらねえ拳が当たるわk…グフ」

 

「俺の恩人を穢したんだ、もう覚悟はできてるよなあ」

 そして静雄は拳を振りぬき、ベートを屋外へと吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「奇妙、奇天烈、奇想天外です。猫の耳が生えています、理解不能です。説明を要求します。」

「誰ニャ‼ミャーのコーナーに侵入した不届き物は‼」

「否定です。こんな甘いロックにするから付け入られます。もっと創意工夫の必要性を提示します。」

「何という開き直りだニャ。というか誰か答えてないニャ‼」



次回 ロキファミリア



「これで、今回のミャーの出番終わりかニャ‼そんなのないニャ‼」



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