ダンジョンに池袋最強の男がいてもいいのだろうか   作:バキュラø

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実験的にこんな感じにしてみました。
それではどうぞ。


デッド・オア・ヘブン

 

 

「し、シズオ…さん?」

 

「ベルよォ…テメェー、シルというものがありながら―――――――」

 

「ま、待ってください、話を聞いて…」

 

「どうなるか、覚悟はできてるよナァァァァァァァァ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

「ヒィー‼‼」

 

 

 どうして、ボクはこんな目に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日ベルは、リリとの顛末を神様(ヘスティア)に報告し、ご機嫌でオラリオを歩いていた。

 

 

 

「ふー。神様もリリも仲良くなれそうでよかったなぁ~」

 よし、ギルドに顔を出してこのことをエイナさんに報告しよう!エイナさんには、ホントにリリのことで心配かけちゃったしなぁ~。

 冒険者になりたての頃からお世話になっちゃってるし。

 ホント、エイナさんには頭が上がらないや。今度お礼でもしようかな。

 

 あ、あそこにいるのは。

 

「エイナさーん‼」

 エイナさんと話してるのは誰だろう?ボク以外に担当してる冒険者の人かなぁ~。

 それにしても綺麗な女の子(ヒト)だなぁ。ん?金髪…の女の子……

 あ、あの人はもしかして、もしかしなくてもッ!

 

「あ、ベル君ちょうどよかった」

 

「…いた」

 

「い”…」

 アイズ=ヴァレンシュタイン…な、なんで彼女とエイナさんが?それよりもこ、ここから、離れなくちゃ…

 

 

「こら。逃げちゃ…」

 

 ボクは途端に回れ右をしてギルドの外に向かって走る。いや、なんで逃げなくちゃいけないのかは、よくわからないんだけど…何かこう身の危険を感じ…

 

 

 

 

 

 

『もう、逃がさない…』

 

 

 

 

 

 

 …なにか走った道に風が吹き荒れてるんですけどぉ!?

 

 ってそれどころじゃなくて、怖い怖い怖いコワイコワイ怖いコワい怖い怖いコワい怖い怖い怖いコワイコワイ怖いコワい怖い怖いコワい怖い怖い怖いコワイコワイ怖いコワい怖い怖いコワい怖い怖い怖いコワイコワイ怖いコワい怖い怖いコワい。

 

 なんで、ボクを追いかけてくるんですか―――――‼‼‼‼

 

 

 ベルは懸命にギルドの建物から外へ逃げ出す。しかしアイズに回り込まれてしまった‼

 ベルは逃げられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう。ベル君、いきなりヴァレンシュタイン氏(恩人)の顔をみて逃げだすなんてどういう事かな?」

 逃げたボクにエイナさんはとてもご立腹の様子だった。いやまあ、逃げ出したボクが悪いんだけれど。

 

「それは、えっとなんと言いますか…」

 畏れ多いというか、気恥ずかしいというか。

 

「ともかく、きちんと彼女にお礼を言うんだよ。わかった?」

 

「ハイ…」

 ボクはエイナさんに言われるがままに、ヴァレンシュタインさんのところへ連れていかれることになった。

 

 

 

 

 

 

「これ…キミのだよね?」

 

「あ、ハイそうです。拾って頂いてたんですね。って、もしかしてあの時の冒険者、ヴァレンシュタインさんだったんですか?」

 

「………うん」

 やっぱり、近くで見るアイズさんは綺麗だ…って‼そうじゃなくて、お、お礼を言わなくちゃ。

 

「あの時は…いや、それだけじゃなくてミノタウロスの時も…助けていただいて本当にありがとうございましたッ‼」

 

「もう君は…10階層まで来ちゃったんだね…」

 

「え?」

 

「なんで?…どうして君は、そんなに早く、強くなれるの」

 

「そんな、『強い』なんて…」

 それは、あなた(ヴァレンシュタインさん)やシズオさんのような人達のことだ。断じてLv1のボクなんかに似合う言葉じゃない。未だにミノタウロスの影がちらつくボクなんか…

 

「でも、キミはシルバーバックを倒して、どんどん先に進んでいるよね…」

 

「それは…」

 あなたに憧憬(あこがれて)なーんて言えないしなぁ。恥ずかしいし。

 

「目標にしてる人がいて、その人と肩を並べるぐらい強くなりたいと思っていたんです。それでも一度、分不相応だって諦めようとしたんですけど、応援というかなんというか、励ましてもらえる人がいて」

 

「わかるよ。私も…同じだから」

 

「そうなんですか?」

 

「うん」

 

「…そう、だったんだ」

 あのアイズさんもそうだったことがあるんだ。ボクも、頑張れば、いつかはアイズさんやシズオさんのように強い人になれるのかなぁ。

 想像できないや…………

 

 

 

 

 

「キミは…戦い方、教えてくれる人はいないの?」

 

「あ、ハイ。ウチはまだギルドメンバーがボク一人なので」

 

「じゃあ、私が戦い方…教えようか?」

 

「へ?」

 

 どういうことですか?

 驚いたような表情を浮かべるボクや語り掛けるヴァレンシュタインさんを見て、エイナさんはボク達に微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 初日の修行を終えて、ボク達はふたりで帰路についていた。

 

 

「アイズ、みんな私のことはそう呼ぶから。あなたもそう呼んで」

 

「え、でも…」

 

「呼んで…」

 こ、こんなに顔を近づけられたら、恥ずかしいです‼

 

「じゃ、じゃあ。アイズ…さんと呼びます」

 

「ふふっ」

 

「あ…」

 か、かわいい。

 

『ガサッ』

 

「し、シズオ…さん?」

 な、なんで。買い物袋を落としたんだから買い物帰りか。じゃなくて、なんで、そ、そんなに怒った表情をして…

 

「ベルよォ…テメェー、シルというものがありながら……」

 

「ま、待ってください、話を…」

 

「どうなるか覚悟はできてるよナァァァァァァァァ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

「ぎゃー‼‼」

 ボク、今日死んじゃうかも…

 

 

 

「なんだよ。まだ(..)二人はそういう関係じゃなかったのか。それなら早く言えよな」

 

「ハハハ、出来れば殴る前に話を聞いてほしかったんですけどね…」

 

「…大丈夫?」

 

「ええ、何とかなりましたよ…」

 ベルはアイズと静雄に肩を借り、ホームに帰ることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ベル君、今日は一段と耐久の伸びがいいけど、帰ってくる度にボロボロになっているみたいだし、本当にボクは心配だよ。ダンジョンはそんなにツライのかい?」

 

「アッハッハ…」

 

 






「シズちゃーん?そういう行動は、自分のことを棚に上げている独善的なものなんじゃないかなぁ~いいのかなぁ。そんなことしてて」

「いい大人が、か弱い年下の男の子を殴り倒したなんてとんでもない暴力沙汰なんじゃないかい?普通、懲戒免職だけじゃ済まないよ~」

「全く、これだから化け物は…ッと。だから、ボクの回想に勝手に入ってこないでくれるかなシズちゃん。回想には誰も入ってこれないんだよ?まして、自販機を投げつけるなんて。常識って言葉知ってるかい、シズちゃん?」

「ハッ‼ゴミ虫をすぐにでも捻り潰せないなら、そんな回想、なくなった方が少しはマシだろうがッ‼さっさと消えろ‼‼」

「おっと、危ないなぁ。今はキミに構ってる暇なんてないんだよ。じゃーね、シズちゃん」

「あ、コラ‼待ちやがれェェェェェ‼」


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