遊戯王ARC-Ⅴ 混沌統べる覇者 -舞網チャンピオンシップ・バトルロワイヤル編- 作:咲夜泪
『……うん、君が此方に来るのは最初から解っていたよ。こんな壊れ効果じゃ、遅かれ早かれ禁止制限に叩き込まれると思ったよ。案外持った方じゃないかな?』
此処は宇宙の果ての果て、除外された者のみが存在する超空間にて、極限の光と闇が人の形となった『混沌』が新たに二枚のカードを拾う。
一枚目は《旧神ノーデン》、『混沌』も愛用するぶっ壊れ融合カードであり、改めてそのおかしな効果しか書かれてないテキストを読む。
《旧神ノーデン》
融合・効果モンスター(無制限カード、15/10/01から禁止カード)
星4/水属性/天使族/攻2000/守2200
SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。
『何で墓地のレベル4以下のモンスター1体を蘇生する効果、融合召喚時じゃなくて特殊召喚時に発動なんだろうね? しかも1ターンに1度の制限無いし。『簡易融合』で簡単に出て来る事もさておき、元の融合素材がシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターって、相手の展開したモンスター使って『超融合』して下さいって言っているようなものよねぇ。うん、晴れて禁止カードの一員になったからにはこれからもお世話になるよ』
これ一枚あるだけでシンクロにもエクシーズにも繋げられ、蘇生する度に法外なアドを齎す問答無用のぶっ壊れカード。
フィールドから離れた時に蘇生したモンスターも除外するというとってつけのデメリットの一文があるが、大抵の場合はシンクロやエクシーズなどで同時にフィールドから離れるのでデメリットがデメリットとして働かない。
《旧神ノーデン》と他力本願竜こと《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》などを用いて、2・3枚で先行ワンキル出来る凶悪なルートがあったそうだが、『征竜』『魔導』時代と比べても尚インフレしたデッキテーマの数々(デッキ融合を可能とし、アド損の無い融合テーマだった全盛期シャドール・初めてのペンデュラム・ガチテーマの全盛期クリフォート・儀式召喚という名の別の何かだった全盛期ネクロス)が環境に居た為、そっちは陽の目を浴びなかったとか。
……あれ、それらを遥かに上回る『EMEm(エンタメイト・エンタメイジ)』が跳梁跋扈する今期ってカオス時代、シンクロ時代、征竜魔導時代を凌駕する第四の暗黒期に突入している?
『そしてもう一枚は――』
《星守の騎士 プトレマイオス》
エクシーズ・効果モンスター(無制限カード、15/10/01から禁止カード)
ランク4/光属性/戦士族/攻 550/守2600
レベル4モンスター×2体以上
(1):このカードのX素材を3つまたは7つ取り除いて発動できる。
●3つ:「No.」モンスター以外の、このカードよりランクが1つ高いXモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●7つ:次の相手ターンをスキップする。
(2):お互いのエンドフェイズ毎に発動できる。
自分のエクストラデッキの「ステラナイト」カード1枚を選び、
このカードの下に重ねてX素材とする。
『……なぁにこれぇ? 何で相手ターンでも『No.』以外のランク5になれるエクシーズモンスターに素材縛り無いの? テラナイト縛りでランクアップ先もテラナイトなら許容出来たってレベルじゃないか。……下の7つ素材を取り除く事で発揮するロマン効果は絶対一度も使われてないな。間違いない』
『No.』以外のランク5というと、相手ターンにでもバウンス効果を使ってくる《セイクリッド・プレアデス》が厄介極まりないし、レベル4のモンスターを3体並べれたら《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》にランクアップさせて下敷きにしてランク6《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》が1ターンで降臨する。
あれが素材縛り無しで簡単に出てくるなんて、世紀末過ぎる環境だろう。いや、更には――。
『相手ターンに《外神アザトート》になれば相手モンスターの効果発動を完全封殺出来るじゃないか。最近のランク4エクシーズモンスターは効果おかしいなぁ』
《外神アザトート》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/悪魔族/攻2400/守 0
レベル5モンスター×3
このカードは自分フィールドの「外神」Xモンスターの上に
このカードを重ねてX召喚する事もできる。
このカードはX召喚の素材にできない。
(1):このカードがX召喚に成功したターン、相手はモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードが融合・S・Xモンスターを全てX素材としている場合、
このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールドのカードを全て破壊する。
禁止にされてはいないが、このカードと組み合わさった日には目も当てられない。
そして『神』と名が付いているのに残念効果じゃない、おかしいと『混沌』は心底驚愕する。最近何処かの道端で拾った『絶望神』とやらはエクシーズ召喚を封殺する効果を完全に無かった事にされて残念カードになっていたというのに。
――ふと、先行1ターン目でランク4《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》と《星守の騎士 プトレマイオス》を出され、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》の効果で魔法効果を次の相手ターン終了時まで発動出来なくされた上でターン終了し、スタンバイフェイズに《星守の騎士 プトレマイオス》が《外神アザトート》にランクアップしてモンスター効果まで封殺された風景が脳裏に思い浮かぶ。
モンスター効果と魔法を同時に封じられ、自分のデッキでもどう対処出来るだろうか――《エフェクト・ヴェーラー》や《幽鬼うさぎ》などの手札誘発効果で致命的な盤面構築を回避するか、エラッタ前の『死のデッキ破壊ウィルス』や『超融合』など相手ターンに悪さ出来る布陣を作り上げるか、相手ターンに『王宮の勅命』で魔法カードを封殺し、『王宮の弾圧』で相手の特殊召喚を全て無効にして破壊しながらライフ調整して『ラストバトル!』で特殊召喚を封じる《昇霊術師 ジョウゲン》出して確実な不戦勝を得るか――。
『……ん? 今回の禁止制限に異議あり? 関連カードが緩和されたのに何で自分が釈放されないんだって? まぁその気持ちは解らなくもないがねぇ』
と、激しい異議を申し立てるのは一枚の融合カードであり、
《エルシャドール・ネフィリム》
融合・効果モンスター(禁止カード)
星8/光属性/天使族/攻2800/守2500
「シャドール」モンスター+光属性モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。
(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと
戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。
そのモンスターを破壊する。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、
自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
『魔導書の神判』亡き後に『征竜』と張り合い、速攻魔法の『超融合』で相手の光属性モンスターを駆除して簡単に出て来れる上に特殊召喚時にシャドール限定の万能『おろかな埋葬』効果、特殊召喚されたモンスターに対する問答無用の戦闘破壊効果、そして2800打点と、他のシャドール融合モンスターと比べて二桁ぐらい性能が違うからだろう。
……思うに、『超融合』が制限になっているのはコイツのせいか、旧神のせいだろう。
融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚出来る、の一文があるせいで《デビル・フランケン》の効果で特殊召喚出来ず、更に言うならばこの次元では共通して初期LP4000なので《デビル・フランケン》のライフコストが支払えないという悲劇も背負っているので『混沌』のデッキにはどう足掻いても投入出来ない。
レベル8の天使族モンスターなので《究極時械神セフィロン》の効果で攻撃力4000の効果無しモンスターとしても特殊召喚出来る、現在のシャドールに足りないものの全てなのだが――釈放しても環境に届くのか、首を傾げざるを得ない。
『――まぁ何にせよ、新参者に負けないようにデッキ構築しないとね』
『エンタメ(EMEm)』、『地獄からの使者(彼岸)』、『帝の再臨』を思い描きながら、幾多のカードが『混沌』の周囲を舞う。
禁止制限に打ち込まれ、幾ら時代から取り残されようとも進化の歩みは止められない。決闘者として生まれたからには逃れられないサガである。
――いつか再び訪れるであろうデュエルを夢見て、今日も『混沌』は宇宙の最果てで無言の詩を謳う。
数多の『絶望』を手に、その胸に『希望』を踊らせて――。
本日の禁止カード
《旧神ノーデン》
融合・効果モンスター(無制限カード、15/10/01から禁止カード)
星4/水属性/天使族/攻2000/守2200
SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。
何で7月改定で禁止されなかったのですかねぇ、という禁止になって然るべきカード。既に禁止カードになる前に紹介していたりする。
尚、来日前に《旧神ノーデン》と《星守の騎士 プトレマイオス》が禁止に叩き込まれたので、遊戯王におけるクトゥルフデッキは泡沫の夢と消えた。
10月改定でめでたく禁止にされたが、実質このカードを使っていた層は環境トップのEMEm以外であり、トップ以外の展開力が減って軒並み弱体化する結果となる。
《星守の騎士 プトレマイオス》
エクシーズ・効果モンスター(無制限カード、15/10/01から禁止カード)
ランク4/光属性/戦士族/攻 550/守2600
レベル4モンスター×2体以上
(1):このカードのX素材を3つまたは7つ取り除いて発動できる。
●3つ:「No.」モンスター以外の、このカードよりランクが1つ高いXモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●7つ:次の相手ターンをスキップする。
(2):お互いのエンドフェイズ毎に発動できる。
自分のエクストラデッキの「ステラナイト」カード1枚を選び、
このカードの下に重ねてX素材とする。
レベル4のモンスターが3枚揃った時点で《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》という悪夢を見せてくれた、絶望の呪文『プトレ・ノヴァ・インフィ』を生み出して数多の決闘者を絶望の淵に叩き込んだ。
環境入りするデッキのほぼ全てに投入されていたようなカードであり、このカードが禁止にされた事で全ての環境デッキに影響を齎した。……ただし、エクストラを圧迫するプトレセット抜きの構築が流行りだしていた環境トップの座に君臨するEMEmを除いて。
今回の10月改定は環境トップのEMEm以外の全てのデッキが弱体化する結果となり、魔導亡き後の征竜時代のような一凶時代に突入、海外からの刺客である『彼岸』と第九期基準に超強化された『帝』がどれほど食い下がるか、オラァわくわくしてきたぁ!(怪獣映画を安全地帯から眺める的な意味合いであり、実際に対峙した時には絶対笑顔になれない)
《エルシャドール・ネフィリム》
融合・効果モンスター(禁止カード)
星8/光属性/天使族/攻2800/守2500
「シャドール」モンスター+光属性モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。
(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと
戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。
そのモンスターを破壊する。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、
自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
制限カードでも良いから釈放されてもいいのじゃよ?(シャドール使い並の感想)
作者が一番好きなカテゴリーはファーニマルやシャドールなどの融合系なので、アカデミアの決闘者が使うアンティークが出たら融合連発してエクシーズ使い相手にハンティングゲームしたいと思います、エクシーズ狩り楽しいノーネ(クロノス先生への激しい風評被害)
……でもアニメで出てきた《古代の機械混沌巨人(アンティーク・ギア・カオス・ジャイアント)》の効果はそのままだと……。
《古代の機械混沌巨人》
融合・効果モンスター
星10/闇属性/機械族/ATK4500/DEF3000
「古代の機械猟犬」+「古代の機械双頭猟犬」+「古代の機械参頭猟犬」+「古代の機械究極猟犬」
①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、 相手の魔法・罠カードの効果の対象にならず、効果も受けない。
②:このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
③:このカードが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、相手フィールドのモンスターの効果は無効化される。
一見して超弩級モンスターに相応しい超耐性だが、自分のバトル中じゃなければモンスター効果は封じられないので、プレアデスが居たら問答無用でバウンス、《フレシアの蟲惑魔》からの穴発動はモンスター効果になるのでデッキから奈落捨ててさよなら、という今の環境ではバトルでのモンスター排除は遅いとさえ言われていr
返しのターンでランク4のNo.101に吸収され、カステルにデッキバウンスされ、ダークリベリオンに反逆されて殴り殺され、ホープライトニングに5000打点オラァで殴り殺されますね……。
あんだけ重い召喚条件でも出したターンに勝負つけないと逆にやられます! レベル4のモンスター2体並べるだけで超お手軽!
……エクシーズ狩り出来るぐらい強い融合カード下さい(血の涙)
あと、多少手間がかかりますが、フィールド魔法『神縛りの塚』を貼れば正しく神に匹敵する完全耐性(フィールド魔法の方に耐性は欠片も無い)、特殊召喚した後に『ブラック・ガーデン』で相手のフィールドにトークン量産し、相手の全てのモンスターに攻撃出来る効果を生かしてワンキルするとか夢は広がります。