遊戯王ARC-Ⅴ 混沌統べる覇者 -舞網チャンピオンシップ・バトルロワイヤル編-   作:咲夜泪

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 《時械天使》
 効果モンスター
 星1/光属性/天使族/攻 0/守 0
 表側攻撃表示のこのカードが戦闘で破壊された時
 フィールド上に存在するモンスターを全て持ち主の手札に戻す。

 《時械巫女》
 効果モンスター
 星1/光属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードは通常召喚できない。
 フィールド上にカードが存在しない場合のみ、このカードは特殊召喚する事ができる。
 天使族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースとする事ができる。

 《時械神メタイオン》
 効果モンスター
 星10/炎属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合、バトルフェイズ終了時に
 相手フィールド上に存在するモンスターを全て持ち主の手札に戻す。
 その時、戻したモンスター1体につき300ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ラツィオン》
 効果モンスター
 星10/炎属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合、相手フィールド上に存在するモンスターと
 相手の墓地に存在するカードを全てデッキに戻しシャッフルする。
 相手がドローフェイズにドローした時、1000ポイントのダメージを与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ザフィオン》
 効果モンスター
 星10/水属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合、
 相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て相手のデッキに戻す。
 このカードがフィールドを離れた時、
 このカードのコントローラーは手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神サディオン》
 効果モンスター
 星10/風属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った時、自分のライフポイントが4000以下の場合、
 自分のライフポイントは4000になる。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神カミオン》
 効果モンスター
 星10/地属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合、相手フィールド上のモンスターは全てデッキに戻る。
 この効果でデッキに戻ったモンスター1体につき500ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ミチオン》
 効果モンスター
 星10/炎属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合
 相手のライフポイントの半分の数値のダメージを相手プレイヤーに与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ハイロン》
 効果モンスター
 星10/地属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合
 自分と相手のライフポイントの差の分だけ相手ライフポイントにダメージを与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ラフィオン》
 効果モンスター
 星10/風属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合、戦闘を行った相手モンスターを手札に戻し
 そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神ガブリオン》
 効果モンスター
 星10/水属性/天使族/攻 0/守 0
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合相手フィールド上のカードを全てデッキに戻す。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《時械神サンダイオン》
 効果モンスター
 星10/光属性/天使族/攻 4000/守 4000
 このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。
 表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。
 このカードが戦闘を行った場合相手ライフに4000ポイントのダメージを与える。
 このカードが自分フィールド上に存在する場合、
 自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。
 自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 《究極時械神セフィロン》
 効果モンスター
 星10/光属性/天使族/攻 4000/守 4000
 このカードは「無限光アイン・ソフ・オウル」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のデッキ・手札・墓地に存在する「時械神」と名の付くモンスターを
 攻撃力4000にして可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
 このカードと戦闘するモンスターのモンスター効果は無効となる。
 このカードの攻撃力は自分フィールド上に存在する「時械神」名の付くモンスターの攻撃力の合計となる。
 このカードの破壊とプレイヤーへの戦闘ダメージを
 自分フィールド上に存在する「時械神」と名の付くモンスター1体を除外する事で無効にする。

 『愚者の裁定』
 通常罠
 このカードは自分のターンの場合、手札から発動する事ができる。
 自分への戦闘ダメージを0にする。

 『魔術師の至言』
 通常罠
 このカードは自分のターンの場合、手札から発動する事ができる。
 このターン、フィールドから手札に戻ったカード1枚につき、
 300ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。

 『女教皇の錫杖』
 通常罠
 このカードは自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から発動する事ができる。
 モンスターの攻撃を無効にしバトルフェイズを終了させる。
 モンスターの攻撃を無効とされたプレイヤーのライフポイントに500ポイントのダメージを与える。

 『女帝の冠』
 通常罠
 このカードは相手フィールド上にシンクロモンスターが特殊召喚された時、
 手札から発動する事ができる。
 相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体につき2枚カードをドローする。

 『虚無械アイン』
 永続罠
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合
 レベル10以上のモンスター1体をリリース無しでアドバンス召喚する事ができる。
 自分フィールド上のモンスターの攻撃力は全て0になる。

 『無限械アイン・ソフ』
 永続罠
 このカードは自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で存在する
 「虚無械アイン」を墓地に送り発動する。
 手札のレベル10以上のモンスターを特殊召喚する事ができる。
 自分フィールド上のモンスターの攻撃力は全て0になる。
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
 「時械神」と名のつくモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない効果を無効にする。

 『無限光アイン・ソフ・オウル』
 永続罠
 このカードは自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で存在する
 「無限械アイン・ソフ」を墓地に送り発動する。
 手札のレベル10以上のモンスターを特殊召喚する事ができる。
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する場合、
 「時械神」と名のつくモンスターは1体以上存在する事ができ、
 スタンバイフェイズにデッキに戻る効果を無効にする。
 10種類の「時械神」と名の付くモンスターを自分フィールド上に召喚・特殊召喚している場合、
 このカードを墓地に送る事でデッキ・手札・墓地から「究極時械神セフィロン」1体を特殊召喚する事ができる。


 いつも通りマスタールール3ですが、先行ドローだけありという昔のデュエルを思い出せる特別仕様となっております。



01/vsゾーン

 

 

『――魔法カード『突然変異』発動、自分フィールド上のモンスター1体を生贄に捧げ、そのモンスターと同じレベルの融合モンスターをエクストラデッキから特殊召喚する。私が融合召喚するのはレベル1《サウザンド・アイズ・サクリファイス》』

 

 現れたのは複数の眼を持つ異形のモンスター、攻撃力0であるが、逆にその数字が恐ろしいと『彼』の決闘者としての勘が告げており――。

 

『《サウザンド・アイズ・サクリファイス》の効果発動、1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事が出来る――私が選択するのは《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》だ』

「何だとッ!?」

 

 『彼』の辿り着いた『デルタアクセルシンクロ』の境地である決闘竜は最期の断末魔すら叫べずに無慈悲に取り込まれ、消え果ててしまう。

 

『このカードの攻撃力・守備力はこのカードの効果で装備したモンスターの数値、このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する』

 

 吸収した分だけ《サウザンド・アイズ・サクリファイス》が強大になるが、まだ『彼』の場には相棒たるシンクロモンスター、純白の決闘竜《スターダスト・ドラゴン》が残っている。このターンで決着がつく事は――。

 

『このカードがフィールド上に存在する限り、他のモンスターは表示形式を変更出来ず、攻撃する事は出来ない、が――手札から《月読命》を通常召喚、効果発動、このカードが召喚・リバースした時、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、裏側守備表示にする。私は《サウザンド・アイズ・サクリファイス》を選択する――この瞬間、装備カードは墓地に送られる』

 

 装備カードとして取り込まれた《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》が無情にも墓地に送られ――同時に他のモンスターが攻撃出来ないというデメリット効果がこうも呆気無く踏み倒される。

 

『手札から魔法カード『死者蘇生』を発動、墓地の《混沌の黒魔術師》を特殊召喚する。効果発動、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事が出来る。私は『死者蘇生』を選択、更に発動して2枚目の《混沌の黒魔術師》を復活、効果発動で『死者蘇生』を回収、更に発動して3枚目の《混沌の黒魔術師》、『死者蘇生』を回収する』

「攻撃力2800のモンスターが3体も……!?」

『バトル――《混沌の黒魔術師》で《スターダスト・ドラゴン》を攻撃』

 

 ???

 LP4000→3700

 

「ぐっ、《スターダスト》……!」

『《混沌の黒魔術師》の効果発動、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したダメージ計算時に発動する。その相手モンスターを除外する』

 

 《スターダスト・ドラゴン》の咆哮はすぐに異次元に屠られ、場はがら空きとなり、『彼』を守るモンスターは全て消え果ててしまった。

 

『《混沌の黒魔術師》2体でダイレクトアタック』

「っ、うわあああああああああああああああああああああああああああぁ――!?」

 

 ???

 LP3700→900→-1900

 

 至高の魔術師からの『滅びの呪文』が炸裂し、『彼』を吹き飛ばして地面に強く叩きつけたのだった。

 

『――それが人々の欲望の果て、破滅の終焉、この世界に生まれた『シンクロ召喚』か……足りないな』

 

 その異形の決闘者はそう言い残して、くるりと踵を翻して消えて行った。

 まるで最初から無かったかのように、夢幻の如く――。

 

「……っ、待てっ! オレに何が、何が足りないんだ……! 待て、待ってくれ……!」

 

 

 

 

「――、これは……」

 

 機械的な声が響き渡る。声帯は既に壊死し、喉仏に装着した人工補声器を使わなければ言葉すら呟けない我が身――死神の足音はすぐ其処まで近づいている。

 連続的な浅い眠りが呼び覚ましたのは懐かしい記憶であり――されども、相手の決闘者の姿は不思議と思い出せない。不自然なまでに霧がかっている。

 

 ――まだ、『英雄』を演じていた頃の自分。あの鮮烈なまでの敗北を覚えておきながら、どうして相手の姿は思い出せないのだろうか。

 

 あの時、あの決闘者は『足りない』と言って去った。その言葉通り、『彼』には誰一人救えなかった。破滅の未来を覆す力が無かった。

 その後も破滅の未来を回避する手段を必死に考え、試し、何一つ実らず、最後の仲間達も老衰で息絶えていき――『彼』は本当に『人類最後の一人(Z-ONE)』になってしまった。

 

 先立った仲間の事を胸に、『彼』は破滅の未来を変えるべく立ち向かい続けた。

 

 その果てに辿り着いた結論が、『彼』の生命維持装置にして墓標たる居城『アーク・クレイドル』を『ネオ童実野シティ』に落とし、破滅の元凶たる『モーメント』ごと跡形も無く吹き飛ばす事だった。

 『彼』は一人、瓦礫の山の頂上で待ち続ける。本当にこの方法が正しいのか、何度も何度も自問しながら――不意に、風が生じた。

 『彼』一人しかいない居城に、もう一人、別の『何か』が現れていた。

 

 

『――久しぶりだね、まさか再会する事があるとは思わなんだが』

 

 

 『彼』の人工声帯から発せられる声と比べても、全く異質の聲。

 人の形しかしていない『光』と『闇』の極限が鬩ぎ合う『混沌』が、『彼』の目の前に居た。

 

「……貴方は、あの時の――」

『ふむ、やっぱり記憶が残っているのか。大規模な時間干渉に手を出している君は、一段と優れた『観測者』になっているようだね――『世界』から否定された私を記憶出来る程に』

 

 電撃的に思い出す。そう、あの時、自分がデュエルした決闘者は間違いなく目の前の存在だった。

 

 ――あの時と違い、自分は仮面を被り、生命維持装置である白い『D-ホイール』に装着されている身だというのに、何一つ変わってないと言わんばかりに『混沌』は懐かしむように語る。

 

 この超存在がまたもや自分の前に現れたのはいかなる理由か――いや、一つしかあるまい。

 

「……私を、咎めに来たのですか?」

『いいや、未来を切り開こうとするのは今を生きる者全てに与えられた当然の権利だ。今を生きていない私に何か言う資格すら無い。――どう転ぼうが、私は事の顛末を見届けるだけさ』

 

 『私はあくまで傍観者に過ぎない』という『混沌』の言葉も、『彼』の胸に突き刺さる。

 未来を救う為に今を犠牲にする、その矛盾に誰よりも痛感しているのは『彼』本人であり、未来を切り開く事が当然の権利ならば、それを誰よりも踏み躙っているのは自分に他ならない。

 

 ――歴史改竄を咎めに来たのではないのならば、この『混沌』の目的は、あの時と同じ、不動遊星にあるに違いない。

 

「――貴方は私に『足りない』と言って去った。今でも私は何が足りなかったのか、解らずにいる。……その本意、今此処で聞いても?」

 

 ふと、気づけば『彼』はそんな事を聞いてしまっていた。

 『混沌』は物足りなさげに『足りない』と言って去った。それは――自分が、『英雄』不動遊星になりきれなかったから出た言葉ではないだろうか?

 もしも本当に『英雄』が『彼』の生きた未来に居たのならば、あの悲劇も回避出来たのではないだろうか。滅び行く『世界』を救う事が出来たのではないだろうか。

 その疑問に答える者は最早居ない。だが、全てを見届ける位置にいる『混沌』ならば、その答えを持っている筈だと、『彼』は縋るように問い質す。

 

 

『――ならば、デュエルだ。真実はいつも其処にある』

 

 

 『光』と『闇』が集い、異形のデュエルディスクが形成され、『混沌』は静かに構える。

 

「……良いでしょう。今の私はあの時の私ではない事を証明するとしましょう――」

 

 瓦礫の山に埋もれた『彼』の『D-ホイール』の本体が露出し、周囲から巨大なカードが独りでに飛翔してデッキを構築する。

 続けて遠隔操作の巨大な両腕が出現するも、『混沌』はさも当然のように受け流す。

 

『先行・後攻、どっちが良い?』

「先行で。……貴方に先行を渡したら、何も出来ずに終わりかねないですからね――」

 

 

『――デュエルッ!』

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 巨大なサイズのカードを、遠隔操作の機械仕掛けの腕が軽々とドローする。

 

「フィールド上にカードが存在しない場合のみ、《時械巫女》は特殊召喚する事が出来る。このカードは天使族モンスターをアドバンス召喚する場合のみ、2体分のリリースとする事が出来る」

 

 Z-ONE

 LP4000

 手札5→6→5

 《時械巫女》星1/光属性/天使族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

「《時械巫女》をリリースし、現われろ《時械神ラフィオン》」

 

 そして現れたのは剣じみた躯持つ機械仕掛けの天使、中央に映し出される女性の顔が不気味に微笑む。

 

『――『時械神』……?』

「これが、私が辿り着いた全能の『神』の力。無と無限と無限光から生まれる、生命そのモノを司る10体の『神』。今の私はあの時の私では無いのです」

 

 星10の最上級モンスターに関わらず攻撃力0、この時点で『混沌』は《ユベル》に匹敵するような厄介極まる効果持ちであると察する。

 

「私はカードを4枚セットしてターンエンド」

 

 Z-ONE

 LP4000

 手札5→4→0

 《時械神ラフィオン》星10/風属性/天使族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  伏せカード4枚

 

『私のターン、ドロー』

 

 今回は普通のスタンディング・デュエルだが、この世界で流行する最新のデュエル、バイクとデュエルディスクが合体事故を起こした『D-ホイール』で疾走しながらデュエルするという『ライディング・デュエル』では如何なる場合もフィールドを離れない特殊なフィールド魔法『スピード・ワールド』で執り行われる。

 基本的に『Sp』と名の付く魔法カード以外の魔法カードをプレイした時に2000ポイントのダメージを受ける事が前提であり――『混沌』は見た当初から『魔法使う毎に2000ポイントのバーンダメージ? 無限に回復出来ね?』など悪用手段を即座に考えつく限りもうどうしようも無いが――其処から考えられる傾向として、罠カードの多用が示唆される。

 とりあえず、と、『混沌』は挨拶代わりに禁止カードを手にかけた。

 

『魔法カード『大嵐』発動、フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する』

「カウンター罠『魔宮の賄賂』発動、相手の魔法・罠カードの発動を無効にして破壊し、相手はデッキからカードを1枚ドローする――貴方がドローしたその瞬間、永続罠『便乗』を発動。相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時にこのカードを発動する事が出来る。その後、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に自分のデッキからカードを2枚ドローする」

 

 まず通るとは思わなかったが、続く永続罠『便乗』に反応する。

 永続罠『便乗』は相手がドローフェイズ以外でカードをドローした際に発動出来るという、極めて限定的で使い辛い永続罠だが、自発的にカードをドローさせる効果、今使われたカウンター罠『魔宮の賄賂』のようなものと組み合わせれば発動も容易であり、更には未曾有のドローソースとなる。

 

 ――更に言うならば、豊富で多彩なドローカードをこれでもかと詰め込んだ『混沌』のデッキにとって、一番発動させたくない類の永続罠だった。

 

『魔法カード『手札抹殺』発動。お互いの手札を全て捨て、捨てた枚数分だけカードをドローする。私が捨てるカードは5枚、よって5枚ドローする』

「私の手札は0枚――ですが、貴方がドローフェイズ以外でカードをドローした事により永続罠『便乗』の効果で2枚ドロー」

 

 この通り、『混沌』のデッキに対しては、魔法カードの発動の一挙一動で2枚ドローというアドを稼がれる始末である。

 さっさと仕留めようと『混沌』は最初のターンから仕掛ける事にした。

 

『――《魔導サイエンティスト》を通常召喚、そして魔法カード『死者蘇生』で墓地の《カタパルト・タートル》を守備表示で特殊召喚する』

 

 ???

 LP4000

 手札5→6→5→6→5→0→5→4→3

 《魔導サイエンティスト》星1/闇属性/魔法使い族/攻300/守300

 《カタパルト・タートル》星5/水属性/水族/攻1000/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 

 現れたのは貧弱そうなマッドサイエンティストと、亀じみたモンスターに嫌な予感しか浮かばない射出用のカタパルトが搭載されているものだった。

 

 これが史上最速の1ターンキルコンボ、『サイエンカタパ』の構えである。

 主要カードは2枚、今、場に並べた《魔導サイエンティスト》と《カタパルト・タートル》だけである。

 

『《魔導サイエンティスト》の効果発動、1000ライフ支払う事でエクストラデッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事は出来ず、ターン終了時にエクストラデッキに戻る――私は《コアラッコアラ》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP4000→3000

 手札3

 《魔導サイエンティスト》星1/闇属性/魔法使い族/攻300/守300

 《カタパルト・タートル》星5/水属性/水族/攻1000/守2000

 《コアラッコアラ》星6/地属性/獣族/攻2800/守200

 魔法・罠カード

  無し

 

 特殊召喚されたのは凶悪なコアラのモンスター、手札から獣族モンスター1体を墓地に送って相手フィールドに存在するモンスター1体を破壊する効果を持っているが、当然の事ながら『混沌』のデッキに獣族モンスターなど1体もいないのでこの効果は無きに等しい。

 更には呼び出されても相手にダイレクトアタック出来ず、1ターンで消えるのをどう活用すれば良いか――消える前に使ってしまえば良いのである。

 

『《カタパルト・タートル》の効果発動、自分フィールド上に存在するモンスター1体を生贄に捧げ、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える! 攻撃力2800の《コアラッコアラ》を射出!』

 

 初代決闘王も使った由緒正しきモンスターであり、《魔導サイエンティスト》で3体の融合モンスターを呼び出して射出すればあら不思議、4200のバーンダメージによる問答無用の1ターンキルである。

 

「罠発動『レインボー・ライフ』! 手札を1枚捨てて効果発動、このターンのエンドフェイズ時まで戦闘及びカードの効果によってダメージを受ける代わりにその数値分だけライフポイントを回復する――よって私は1400ポイント回復する」

 

 Z-ONE

 LP4000→5400

 手札0→2→1

 《時械神ラフィオン》星10/風属性/天使族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続罠『便乗』

  伏せカード1枚

 

『……ちぇっ、やっぱり通らないか』

「……さりげなく後攻1ターンキルしようとした者の台詞では無いですね。通らない事を見越した上で一気に射出要因を3体並べなかったのでしょう?」

 

 流石に4枚のガン伏せから1ターンキルは出来ず、『混沌』はこのターンでの決着を諦める。

 

『魔法カード『突然変異』発動、レベル1の《魔導サイエンティスト》を生贄に捧げ、《サウザンド・アイズ・サクリファイス》を特殊召喚する』

 

 そして白衣の狂科学者が突然変異し、見る影も無いほど凶悪な融合モンスターへ進化し、かつて対峙し、自身の繰り出した最大級のモンスターを呆気無く吸収したモンスターの登場に、『彼』の雰囲気もまた険しくなる。

 

『《サウザンド・アイズ・サクリファイス》の効果発動、1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を装備カード扱いとして装備する。私が選択するのは当然《時械神ラフィオン》!』

 

 ???

 LP3000

 手札3→2

 《カタパルト・タートル》星5/水属性/水族/攻1000/守2000

 《サウザンド・アイズ・サクリファイス》星1/闇属性/魔法使い族/攻0/守0

 魔法・罠カード

 《時械神ラフィオン》星10/風属性/天使族/攻0/守0

 

 無敵の『時械神』が呆気無く攻略され、更には攻撃すら出来ないというロック状態が1ターン目にして完成してしまった。

 

『……うっわぁ~、何このえげつない効果。カードの効果及び戦闘による破壊を無効、表攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする。このカードが自分フィールド上に存在する場合、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚は行えない。自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻るのが共通効果かな?』

「……現在進行形でえげつない効果を使って『時械神』を無力化した者の言う事では無いですね」

 

 更に《時械神ラフィオン》の専用効果は『このカードが戦闘を行った場合、戦闘を行った相手モンスターを手札に戻し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える』という、問答無用のバウンスにバーンダメージまでついてくるというえぐすぎるものだった。

 効果を読んだ『混沌』はこんなのがあと9体もいる事に戦慄するが、攻撃さえされなければ『時械神』は効果を発揮出来ないという攻略の糸口を掴む。

 

『私はこれでターンエンド』

「私のターン、ドロー!」

 

「魔法カード『手札抹殺』を発動。互いのプレイヤーは手札を全て捨て、その枚数だけドローする。――永続罠『便乗』の効果発動、2枚ドローする」

 

 『手札抹殺』で手札が増えるという理不尽さ、だが、まだまだ終わらない。

 

「魔法カード『暗黒界の取引』発動、互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローし、その後に手札を1枚選んで捨てる。――『便乗』の効果で2枚ドロー」

 

 墓地に送られる事で効果を発揮するものを捨てない限りディスアドの『暗黒界の取引』だが、永続罠『便乗』と組み合わさったらこうもえげつないアドバンテージを齎す。

 

「魔法カード『ブラック・ホール』発動、フィールドのモンスター全てを破壊する。――《サウザンド・アイズ・サクリファイス》の肩代わり効果は戦闘破壊する場合のみ、でしたね?」

 

 戦闘破壊されても装備したモンスターを肩代わりさせる《サウザンド・アイズ・サクリファイス》も、効果破壊には無力である。

 ついでに《カタパルト・タートル》も破壊され、『混沌』の場ががら空きとなる。

 

「永続罠『虚無械アイン』を発動、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、レベル10以上のモンスター1体をリリース無しでアドバンス召喚する事が出来る! その代わり、自分フィールド上のモンスターの攻撃力は全て0になりますが――」

『君の使う『時械神』は元々攻撃力0、あってないようなデメリット効果だね』

 

 厄介極まる処の話ではない。『混沌』は逆に1ターンキルされないように祈った。

 

「――現われろ《時械神ハイロン》!」

 

 現れたのは黒い2対の羽根が特徴的な四腕の『時械神』であり、中央の鏡面では目の鋭い美女が微笑んでいた。

 

「バトルです――《時械神ハイロン》でダイレクトアタック」

 

 4つの腕をねり回すように巨大な氷塊を構築し、無防備な『混沌』に直撃し、大きく吹っ飛ばされながら、寸前で踏み止まる。

 この時代の『混沌』のデッキに《エフェクト・ヴェーラー》や《バトルフェーダー》などの手札誘発カードは無く――。

 

「《時械神ハイロン》の効果発動、このカードが戦闘を行った場合、自分と相手のライフポイントの差の分だけ相手にダメージを与える。私と貴方のライフ差は2400、よって2400のダメージ」

 

 ???

 LP3000→600

 

 一気にライフを削られて、準鉄壁の数値になる。

 バーンカード1枚か2枚で即死する危険ラインまで削られてしまい、『混沌』は目に見えるほど狂気喝采する。

 

「カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

 Z-ONE

 LP5400

 手札1→2→1→0→1→3→2→3→2→4→3→2→1

 《時械神ハイロン》星10/地属性/天使族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続罠『便乗』

  永続罠『虚無械アイン』

  伏せカード1枚

 




 本日の禁止カード

 《魔導サイエンティスト》
 効果モンスター(禁止カード)
 星1/闇属性/魔法使い族/攻300/守300
 1000ライフポイントを払う事で、
 融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。
 この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、
 ターン終了時に融合デッキに戻る。

 破滅の呪文『サイエンカタパ』、相手は爆☆殺される。

 相棒の《カタパルト・タートル》がエラッタされたので『サイエンカタパ』は永久消滅したが、これ1枚でランク6以下のエクシーズモンスターが出したい放題になる為、永久投獄である。
 この時代の『混沌』のデッキにはシンクロモンスターもエクシーズモンスターもいない為、時代の流れと共に獲得したインチキ効果を発揮する機会は終ぞ無かった。

 《カタパルト・タートル》(エラッタ前のカード)
 効果モンスター
 星5/水属性/水族/攻1000/守2000
 自分のフィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる。
 そのモンスターの攻撃力の半分をダメージとして相手に与える。

 皆大好き《カタパルト・タートル》、《DDB》の先輩さん。
 今はエラッタされて

 効果モンスター
 星5/水属性/水族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
 リリースしたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。
 
 と、見る影も無くなった。過去のカードを使えるのは嬉しいが、産業廃棄物にされて戻されても哀愁が漂うだけであると考えるのは作者だけだろうか?

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