遊戯王ARC-Ⅴ 混沌統べる覇者 -舞網チャンピオンシップ・バトルロワイヤル編-   作:咲夜泪

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03/『征竜』

「――《魔王龍 ベエルゼ》を《アルティマヤ・ツィオルキン》の効果で特殊召喚し、ターンエンド……!」

『……また先程と同じ状況か、芸が無いなぁ』

「如何に汝のデッキパワーが異常でも、我のライフを一撃で削れる《青眼の光龍》をいつも必ず出せるとは限るまい……!」

 

 ダークネス

 LP3000→4000

 手札4

 《アルティマヤ・ツィオルキン》星0/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0

 《魔王龍 ベエルゼ》星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000

 魔法・罠カード

  伏せカード5枚

 フィールド魔法『ダークネス』

 

『いや、あれはロマン枠であって――まぁいいや、無粋な計らいには粋な計らいで返すのが最大限の返歌だ。私のターン、ドロー』

 

 前回の《青眼の光龍》は『混沌』が遊んだだけであり、このダークネスの布陣、実は1枚のカードをエクシーズ召喚した時点で終わる。

 

『手札から《炎征竜-バーナー》の効果発動、このカードとドラゴン族または炎属性モンスター1体を捨ててデッキから《焔征竜-ブラスター》1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃出来ず、《炎征竜-バーナー》の効果は1ターンに1度しか使用出来ない』

 

 『征竜』は墓地にいようと手札にいようと2体モンスターを除外して特殊召喚出来る。無闇矢鱈に特殊召喚してしまえばコストが無くなって動けなくなるが、墓地を肥やしながら『親征竜』をデッキから特殊召喚する『子征竜』は『親征竜』の弱点を見事なまでに握り潰してしまう。

 

『墓地に捨てた2体のドラゴン族モンスターを除外し、手札から《嵐征竜-テンペスト》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP4000

 手札5→6→4→3

 《焔征竜-ブラスター》星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

『レベル7の《焔征竜-ブラスター》と《嵐征竜-テンペスト》でオーバーレイ、エクシーズ召喚! 現れるは可能性の竜の新たなる姿、ランク7《真紅眼の鋼炎竜》!』

 

 ???

 LP4000

 手札3

 《真紅眼の鋼炎竜》ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400

 魔法・罠カード

  無し

 

 エクシーズ召喚されるはエクシーズモンスターで出現した《レッドアイズ》であり、このデュエルはこの時点で終了である。

 

『はい、デュエルありがとうございました。ターンエンド――そうそう、今回だけサレンダー許すよ?』

「……? 一体何を――」

『フィールド魔法『ダークネス』の効果で君の罠はランダムに並び替えられる――《真紅眼の鋼炎竜》の効果発動、オーバーレイユニットを持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動する度に相手は500ダメージを受ける』

 

 ダークネス

 LP4000→3500

 

「たかが500のダメージ、そして愚かな。我の場には――」

『――バーンダメージが発生した事で君の《魔王龍 べエルゼ》効果発動、戦闘または相手のカードの効果によってダメージを受けた時、そのダメージ分、攻撃力がアップする。その瞬間、また《真紅眼の鋼炎竜》の効果発動、《魔王龍 べエルゼ》の効果発動――以下、エンドレス。ライフが尽きようとも100回だろうが200回だろうが1億回だろうが発動するよ。何せ『過剰殺傷(オーバーキル)』はデュエルの華だからね!』

 

 ダークネス

 LP3500→3000→2500→2000→1500→1000→500→0→-500→-1000→-1500→-2000→-2500→-3000→-3500→-4000→-4500――。

 

「馬鹿な、無限ループだとッ!? ギギギギギギイイイイイイアアアアアアアアアアァ――!」

 

 《魔王龍 ベエルゼ》の攻撃力が上昇する度に《真紅眼の鋼炎竜》から発射される黒炎弾で焼かれ続けて――サレンダーを宣言出来る間無く超高速に焼かれ続けているダークネスに、何か既視感を覚えるなぁと『混沌』はその愉快な自滅光景を暢気に眺める。

 

『ああ、こういう光景見た事あるよ。ドジリスも昔やらかしていたよねー』

 

 『混沌』のメインデッキから、とある『神』のカードが気恥ずかしげに文句の声を上げたのだった。

 

 

 

 

『何か100億回ぐらい『過剰殺傷』された感じだけど、まぁ君はこの12次元の『闇』そのモノだから大丈夫だよね! 1つの次元に100億人ぐらい決闘者がいると仮定して、1200億分のライフをリアルで持ってんだから1%も削れてないよ!』

 

 良く解らない超理論を『混沌』から披露されながら、満身創痍のダークネスは震える手でカードを引く。

 

「……我のターン……我はこれでターンエンド……!」

『何処かの『神』さまで見慣れた光景だね、まさか手札事故ではあるまい』

 

 ……何故だろう。妙に『混沌』が抱く期待感が一つの世界を潰すほど重すぎるのは。

 

『私のターン、ドロー。魔法カード『手札抹殺』発動、互いのプレイヤーは手札を全部捨ててその枚数分ドローする。5枚捨てて5枚ドローする』

 

 《バトルフェーダー》や《速攻のかかし》の可能性を予測した『混沌』は容赦無く僅かな可能性を摘み取りながら墓地を肥やす。

 

『墓地の光属性《青眼の光龍》と闇属性《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を除外し、《混沌帝龍 -終焉の使者-》を特殊召喚する』

 

 そして呼び出したのはメインデッキでも最強最悪を誇る混沌を制するドラゴン《混沌帝龍 -終焉の使者-》であり――エラッタ後の《混沌帝龍 -終焉の使者-》を知っている『子征竜』達は効果を使われたら展開が止まってしまうと危惧するが、此処にいるのは『征竜』が知らないエラッタ前の全盛期の《混沌帝龍 -終焉の使者-》である。

 

『――効果発動、1000ライフ支払い、お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送り、送ったカード1枚につき300ポイントのバーンダメージを与える』

 

 『混沌』は生き生きとゲームエンドに直結する《混沌帝龍 -終焉の使者-》の効果を発動させる。

 

 

『――終焉発動、墓地に送られるカードは合計10枚。よって3000のダメージ』

 

 

 ダークネス

 LP4000→1000

 

「ぐっ、だがこれで汝も何も出来ま――」

『墓地に送られた3枚の《伝説の白石》の効果発動、デッキから3枚の《青眼の白龍》を手札に加える』

 

 ???

 LP4000→3000

 手札5→6→5→0→5→4→0→3

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

『墓地の《伝説の白石》2体を除外し、《瀑征竜-タイダル》を特殊召喚。続いて墓地の《伝説の白石》と《混沌帝龍 -終焉の使者-》を除外し、《焔征竜-ブラスター》を特殊召喚。更に更にィ、手札の《青眼の白龍》2体を除外し、《嵐征竜-テンペスト》を特殊召喚する!』

 

 ???

 LP3000

 手札3→1

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《焔征竜-ブラスター》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

 ……信じられないであろうが、これが《混沌帝龍 -終焉の使者-》の効果を発動させてフィールドががら空きの焼け野原になった後の出来事である。

 《混沌帝龍 -終焉の使者-》がエラッタされていなければ、『征竜』は相手の全てを墓地に強制送りという何者も抗えない最強の除去を行った上で滅殺の布陣を作れるのである。

 

『――バトル! 《瀑征竜-タイダル》と《焔征竜-ブラスター》と《嵐征竜-テンペスト》でダイレクトアタック!』

 

 ダークネス

 LP1000→-1600→-4400→-6800

 

 

 

 

「……我はこれでターンエンド――エンドフェイズ時、《ダークネス・ネオスフィア》の効果発動。自身のライフが4000未満の場合、4000まで回復する……!」

 

 ダークネス

 LP3000→4000

 手札1

 《ダークネス・ネオスフィア》星10/闇属性/悪魔族/攻4000/守4000

 魔法・罠カード

  伏せカード5枚

 フィールド魔法『ダークネス』

 

『ふむ、今度は最初のように《ダークネス・ネオスフィア》を立てて来たか』

「如何に汝が異常だろうと、毎度のようにランク8のエクシーズモンスターを立てれるとは限るまい……!」

 

 ……もはや儚い願望であるが、幾ら《嵐征竜-テンペスト》のこのカードと風属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事でデッキからドラゴン族モンスター1体を手札に加える万能のサーチ能力、《瀑征竜-タイダル》のこのカードと水属性モンスター1体を手札から墓地に捨てる事でデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地に送る万能の墓地肥やし能力、禁止制限など無視しているのに1枚積みの『竜の霊廟』『竜の渓谷』『封印の黄金櫃』が初手に無ければ、流石の『混沌』と言えども呼び出せないかもしれない。――あれ、サーチ手段がありすぎて来ない確率の方が――。

 

『ふむ……私のターン、ドロー』

「我は『虚無』と『無限』を発動、その間の罠を全て発動させる! 二つの力の狭間で呼び覚まされたのは『ダークネス 3』、このカードは相手に1000ポイントのダメージを与え、『ダークネス』と名のつく罠が発動する度に1000ポイントのダメージを与える。発動した『ダークネス』は3つ、よって3000ポイントのダメージだ……! これで次のターン、汝は終わりだ……!」

 

 ダークネスは先に《ダークネス・ネオスフィア》の効果で罠カードの位置を好き勝手に入れ替えた後、間髪入れず罠を全て発動する。

 

 ???

 LP4000→1000

 

 

『――それはどうかな? 次のターンなど無い。……あと、ちゃんと《ダークネス・ネオスフィア》の効果で入れ替えた事を宣言して欲しかったなぁ』

 

 

 何処かのバリアン世界の『神』といい、どうしてこういう重要な効果をちゃんと説明しないのか、それだけは我慢ならないと『混沌』は苛立ちを覚える。

 

『確かに、初手『RUM-七皇の剣』か《幻木龍》と《幻水龍》をサーチ出来ない限り、そう安々とランク8のエクシーズモンスターは立てれない。――まぁ本来は必要無いんだけどね』

 

 『征竜』にとっては一手間費やさないと出せない(普通のデッキでは一手間講じるだけで出せる筈も無い)ランク8のエクシーズモンスターなど玩具の一つ、基本こそ最強と言わんばかりに『混沌』は手札から1枚の魔法カードを指先に摘む。

 

『フィールド魔法『竜の渓谷』発動、1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札を1枚捨て、以下の効果から1つ選択して発動出来る。デッキからレベル4以下の『ドラグニティ』と名のついたモンスター1体を手札に加えるか、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地に送るか――私はデッキからドラゴン族モンスター《伝説の白石》を墓地に捨てて、墓地に送られた《伝説の白石》の効果でデッキから《青眼の白龍》を手札に加える』

 

 ???

 LP4000→1000

 手札6→5→4→5

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『竜の渓谷』

 

『そして魔法カード『竜の霊廟』発動、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地に送る。そのモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、更にデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地に送る事が出来る。『竜の霊廟』は1ターンに1枚しか発動出来ない。――私が墓地に送るのは《青眼の白龍》、通常モンスターの為、更にデッキから《伝説の白石》を墓地に送り、効果発動して《青眼の白龍》を手札に加える』

 

 ……本当に、《青眼の白龍》を酷い使い方するデッキだなぁと、このデッキは『社長』には見せれないやと『混沌』は感慨深く思う。

 

『墓地の《伝説の白石》2枚を除外して《焔征竜-ブラスター》、手札の《青眼の白龍》と墓地の《青眼の白龍》を除外して《巌征竜-レドックス》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP1000

 手札5→4→5→4→2

 《焔征竜-ブラスター》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『竜の渓谷』

 

『レベル7の《焔征竜-ブラスター》と《巌征竜-レドックス》でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! 世界に広がるビッグな愛! 現われろ、幻惑の瞳を持つ支配者――《No.11 ビッグ・アイ》!』

 

 出現したのは巨大な眼のついた円錐、その周囲に浮かぶ金色の輪っかには『11』と刻印されている。

 

『《No.11 ビッグ・アイ》の効果発動、1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスターのコントロールを得る。尚、この効果を発動するターン、このカードは攻撃出来ない。私は当然《ダークネス・ネオスフィア》を選択する』

 

 巨大な眼が妖しく輝き、ダークネスの切り札である《ダークネス・ネオスフィア》が『混沌』の下に行ってしまう。

 その効果はまさに生きる『心変わり』であり、しかも永続という狂いっぷり――レベル7のモンスターを2体揃えないと出せないからというぶっ壊れっぷりだが、幾らでもレベル7を出せる『征竜』に与えてはいけない玩具だった。

 

「――何……!?」

『バトル、奪い取った《ダークネス・ネオスフィア》でダイレクトアタック!』

 

 ダークネス

 LP4000→0

 

 

 

 

「ぐっ……汝のそのデッキは恐るべき殺意に満ち溢れている――だが、その半面、守勢には向いていまい……!」

『ふむ、後攻がご希望か。確かに私の(相手にターンなど与えず、殺せる時に確実に殺す)趣向にも合わないし、このデッキにとっても苦手分野だな。良いだろう、見事私の布陣を突破するが良い』

 

 先行1ターン目なら殺される事はあるまい、というありもしない希望的観測を抱いてダークネスは後攻を受け取る。

 

 ……このデッキにもエラッタ前の《ダーク・ダイブ・ボンバー》が入っているのは秘密だが、今回は違う構成である。

 

『私のターン。――永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』発動。自分のエクストラデッキの融合モンスター1体を互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。発動後、2回目の自分のスタンバイフェイズ時に確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する』

 

 「またか!」と身構えつつも、先行1ターン目ならばどんなに展開されても大丈夫だとダークネスは自身に言い聞かせる。

 

『私が選択する融合モンスターは《F・G・D》、その融合素材はドラゴン族×5だ――よって私は《巌征竜-レドックス》《瀑征竜-タイダル》《焔征竜-ブラスター》《嵐征竜-テンペスト》《エクリプス・ワイバーン》を墓地に送る。墓地に送られた《エクリプス・ワイバーン》の効果発動、除外するのはレベル8の光属性のドラゴン族モンスター《光と闇の竜》だ』

 

 前とは違う墓地の落とし方をされ、更に警戒心を強くする。

 

『魔法カード『龍の鏡』発動、自分フィールド上または墓地から融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスターを1体エクストラデッキから特殊召喚する。私は墓地の《巌征竜-レドックス》《瀑征竜-タイダル》《焔征竜-ブラスター》《嵐征竜-テンペスト》《エクリプス・ワイバーン》を除外し、《F・G・D》を融合召喚する!』

「こ、攻撃力5000の最上級融合モンスターを1ターン目からだと……!? だが、5体も除外しては後続が続くまい……!」

 

 ???

 LP4000

 手札5→4→3

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

『――除外された全モンスターの効果発動。征竜は除外された場合、自分と同じ属性のドラゴン族モンスターをデッキから手札に加える効果を持つ。私はそれぞれ同じ属性のドラゴン族、《地征竜-リアクタン》《水征竜-ストリーム》《炎征竜-バーナー》《風征竜-ライトニング》4体を手札に加え、《エクリプス・ワイバーン》の効果で除外した《光と闇の竜》を手札に加える』

 

 ???

 LP4000

 手札3→8

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

 除外されても効果を発揮してアドを稼ぐという、頭がおかしくなりそうな最後のサーチ能力が披露される。

 

 これが『四肢がもがれ、翼を剥がされ、牙を抜いたのにまだ強かった』『ドラゴン族のサポートにデッキに入れたら、ドラゴン族が『征竜』のサポートをしていた』『首を叩き落としたら、首だけで他のドラゴンに寄生して暴れた』『巣を焼き払ったら、胴体を暗黒物質で再構築した』とさえ後々まで語り継がれる『征竜』の全貌である。

 

「だ、だが、その効果を使った今、もう自身の効果で特殊召喚は出来ない……!」

『そして子征竜にはドラゴン族または同じ属性のモンスター1体と自分を手札から捨てる事でデッキから同じ属性の親征竜1体を特殊召喚する事が出来る。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン、攻撃する事が出来ず、同名モンスターの効果は1ターンに1度しか使用出来ない』

「親のデメリットが何の意味を成していない……!」

『ちなみにターンを跨げば、墓地にコストがある限り『征竜』は復活してくる』

 

 ゾンビも真っ青の不死性である。

 

『《炎征竜-バーナー》と《伝説の白石》を墓地に捨てて、デッキから《焔征竜-ブラスター》を特殊召喚する――《伝説の白石》の効果発動、墓地に送られた時にデッキから《青眼の白龍》1体を手札に加える』

 

 ???

 LP4000

 手札8→6→7

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 《焔征竜-ブラスター》星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

『《水征竜-ストリーム》と《青眼の白龍》を墓地に捨てて、デッキから《瀑征竜-タイダル》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP4000

 手札7→5

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 《焔征竜-ブラスター》星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

『レベル7の《焔征竜-ブラスター》と《瀑征竜-タイダル》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 『征竜』の頼もしき『玩具(相棒)』、ランク7《幻獣機ドラゴサック》!』

 

 ???

 LP4000

 手札5

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 《幻獣機ドラゴサック》ランク7/風属性/機械族/攻2600/守2200

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

 出てきたのは飛行機じみたモンスターであり、『混沌』は知らないが、『征竜機』だとか『幻征竜』とさえ呼ばれた『征竜の玩具』の一つである。

 

『《幻獣機ドラゴサック》の効果発動、オーバーレイユニットを1つ使い、自分フィールド上に《幻獣機トークン》(機械族・風・星3・攻/守0)2体を特殊召喚する。自分フィールドにこのトークンが存在する限り、《幻獣機ドラゴサック》は戦闘及びカードの効果では破壊されない』

 

 子機が2体量産され、強固な耐性を与える。

 あと、別に隠されてもいない効果、1ターンに1度、自分フィールド上の『幻獣機』と名のついたモンスター1体を生贄にしてフィールドのカードを1枚破壊する効果さえある。

 

『《風征竜-ライトニング》と《伝説の白石》を墓地に捨てて、デッキから《嵐征竜-テンペスト》を特殊召喚する。墓地に落ちた《伝説の白石》の効果でデッキから2枚目の《青眼の白龍》を手札に加える』

 

 ???

 LP4000

 手札5→3→4

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 《幻獣機ドラゴサック》ランク7/風属性/機械族/攻2600/守2200

 《幻獣機トークン》星3/風属性/機械族/攻0/守0

 《幻獣機トークン》星3/風属性/機械族/攻0/守0

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

『速攻魔法『超再生能力』を発動、このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、このターン自分が手札から捨てたドラゴン族モンスター及びこのターン自分が手札・フィールドから上からリリースしたドラゴン族モンスターの枚数分だけ自分のデッキからカードをドローする』

 

 最後のモンスターを呼び出す前に使っておく。

 

『《幻獣機トークン》1体と《嵐征竜-テンペスト》を生贄に《光と闇の竜》を召喚する』

 

 ???

 LP4000

 手札4→3→2

 《F・G・D》星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

 《幻獣機ドラゴサック》ランク7/風属性/機械族/攻2600/守2200

 《幻獣機トークン》星3/風属性/機械族/攻0/守0

 《光と闇の竜》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2400

 魔法・罠カード

  永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』

 

 そして白い体表と黒い体表が半々ずつの神々しい竜族モンスターが降臨する。

 

『ターンエンド――エンドフェイズ時、速攻魔法『超再生能力』の効果発動、7枚ドローし、3枚墓地に捨てる』

 

 手札が一時的に9枚となり、3枚捨てるという訳の解らない激アドっぷりであり――。

 

『あぁ、そうそう、《光と闇の竜》の効果を予め説明しておこう。このカードは特殊召喚出来ない。このカードの属性は『闇』としても扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの効果を無効化する度にこのカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。このカードが破壊され、墓地に送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して自分フィールド上のカードを全て破壊し、選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する』

 

 これが数多の決闘者を絶望の淵に叩き落とした絶望の布陣『サックライダー』である。何故《光と闇の竜》がライダー呼ばわりかは、何処ぞの仮面ライダー――ではなく、《光と闇の竜(ライト・アンド・ダークネス・ドラゴン)》だからライ・ダーだからである。

 

「なん、だと……!? これでどうしろと言うのだ……!」

『大丈夫大丈夫、守備力が2400だから4回までしか無効に出来ないよ。頑張れば突破出来るって!』

 

 例え突破出来て《光と闇の竜》を自壊させようとも、トークンが残っていれば《幻獣機ドラゴサック》は残り、墓地に眠っている《青眼の白龍》が戻ってくる。

 更に言うならば、墓地にたんまりと『ドラゴン族モンスター(コスト)』がある為、『混沌』にターンを渡してしまえば『征竜』による大量展開が始まってランク7のエクシーズ祭りという――。

 

 

 

 

『――《幻獣機ドラゴサック》をエクシーズ召喚して効果発動、トークン2体。そしてレベル3のチューナーモンスター《ドラグニティ-ブラックスピア》を通常召喚してトークン2体とチューニング、破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! 《氷結界の龍 トリシューラ》!』

 

 勿論、『征竜』の玩具はエクシーズだけではない。

 だた余りになった通常召喚権でチューナーモンスターを召喚し、《幻獣機ドラゴサック》のトークンなどを使い、意図も簡単にシンクロ召喚に繋げる事も可能なのだ。

 

 ――そして現れたのは簡単に現れて良いシンクロモンスターにあらず、禁止制限にも叩き込まれた事のある無慈悲な氷結界の代名詞たる三つ首のドラゴン族モンスターだった。

 

『このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外出来る』

 

 これによって罠が一箇所除外されて連鎖的に自壊、更には他にシンクロモンスターがいて耐性がある状態の《アルティマ・ツィオルキン》が無慈悲に除外される。

 

「なっ、何故シンクロモンスターが居て効果の対象にならない耐性を持つ《アルティマ・ツィオルキン》が除外される……!?」

『残念だが《氷結界の龍 トリシューラ》のは効果は『対象を取らない効果』、《氷結界の龍 トリシューラ》にその耐性は無意味だ』

「選んで除外するのだから対象を取る効果ではないのか!?」

 

 

 

 

『レベル3のトークン1体にレベル3のチューナーモンスター《ドラグニティ-ブラックスピア》をチューニング――その無慈悲な力で世界を喰い荒らした封印されし龍よ、次元の彼方から解き放たれ今伝説が蘇る! シンクロ召喚! 《氷結界の龍 ブリューナク》!』

 

 お待たせ『征竜』、新たな玩具だよ!と言わんばかりに『奴』がエントリーした!

 

『《氷結界の龍 ブリューナク》の効果発動、手札を任意の枚数墓地に捨て、捨てた枚数分だけフィールド上のカードを選択して持ち主の手札に戻す。捨てるカードは3枚、《ダークネス・ネオスフィア》に《ダークネス・デストロイヤー》、セットされた罠カードを手札に戻す――この瞬間、君のフィールド魔法『ダークネス』の効果が発動、自分フィールド上の魔法または罠カードがフィールドを離れた時、自分フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊するんだろう?』

 

 これまたドン・サウザンドの時と同じく、出された瞬間に積む一番無慈悲な『氷結界』であり、更に性質の悪い事に――。

 

『墓地に捨てた《焔征竜-ブラスター》の効果発動、墓地のドラゴン族モンスター2体を除外して特殊召喚する』

「何故手札が0なのに動けるのだ……!?」

『そんなに驚く事はあるまい、墓地は第二の手札だろうに?』

 

 

 

 

『――魔法カード『次元融合』発動、2000ライフ支払い、お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する』

 

 ???

 LP4000→2000

 手札4→3

 《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《焔征竜-ブラスター》星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 《青眼の白龍》星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

 魔法・罠カード

  無し

 

「もはや特殊召喚したら2体ずつ除外されて召喚コストが少なくなっていく唯一の欠点さえ欠点として働いていない……!?」

 

 

 

 

『――ふぅ、満足したぜ。真面目にこれ、『全盛期カオス』に匹敵するぐらい酷いカテゴリーじゃね?』

 

 ダークネスが襤褸雑巾のように成り果てて横たわり、『混沌』は満足気に笑う。彼に乗っかっている『子征竜』達もご満悦である。

 

『あっ、あとこの『征竜』と1枚のカードで張り合ったという『魔導』デッキともデュエルして欲しいんだけど――』

 

 『混沌』が倒れ伏すダークネスの方に振り向けば、もうダークネスの姿は何処にもなく――。

 

『……残念、もっとデュエルしたかったのになぁ』

 

 物凄くしょんぼりとした感じで、『混沌』は今回のデュエルをそう締めるのだった。

 

 

 

 

 vsダークネス編、完。

 




 本日の禁止カード

 《地征竜-リアクタン》×2
 効果モンスター
 星4/地属性/ドラゴン族/攻1800/守1200
 ドラゴン族または地属性のモンスター1体と
 このカードを手札から捨てて発動できる。
 デッキから「巌征竜-レドックス」1体を特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
 「地征竜-リアクタン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 《水征竜-ストリーム》×2
 効果モンスター
 星4/水属性/ドラゴン族/攻1600/守2000
 ドラゴン族または水属性のモンスター1体と
 このカードを手札から捨てて発動できる。
 デッキから「瀑征竜-タイダル」1体を特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
 「水征竜-ストリーム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 《炎征竜-バーナー》×2
 効果モンスター
 星3/炎属性/ドラゴン族/攻1000/守 200
 ドラゴン族または炎属性のモンスター1体と
 このカードを手札から捨てて発動できる。
 デッキから「焔征竜-ブラスター」1体を特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
 「炎征竜-バーナー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 《風征竜-ライトニング》×2
 効果モンスター
 星3/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1800
 ドラゴン族または風属性のモンスター1体と
 このカードを手札から捨てて発動できる。
 デッキから「嵐征竜-テンペスト」1体を特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
 「風征竜-ライトニング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 親征竜が全部禁止に叩き込まれた今、禁止から無制限に復帰、親征竜がいないのでただのバニラモンスターである。
 だが、親征竜がいるので禁止級に酷くなる。
 親征竜が特殊召喚される毎に2体除外する唯一の欠点だが、子征竜は自身と他一枚で親征竜をデッキから呼び出す為、墓地肥やしも兼ねているので簡単に欠点を潰す。

 『全盛期カオス』の場合は自身のカテゴリーだけ全部禁止制限に叩き込まれて他のカテゴリーに被害は無かったが、『征竜』の場合はドラゴン族の超重要サポートカードの幾つもを制限に叩き込んだまま戻ってこなかった為、本当にドラゴン族を使いたかった決闘者にとって罪深いカテゴリーとなっている。

 過ぎたる力は進化を止めるとはまさにこの事であるが、設定では子征竜とは親征竜が自然に力を還元させて転生し、力を溜めている最中の姿。
 もしかしたら、また『征竜』が蘇る日も来るかもしれない――と、多くの決闘者は「二度と戻ってくんな!」と戦々恐々しているとか。

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