遊戯王ARC-Ⅴ 混沌統べる覇者 -舞網チャンピオンシップ・バトルロワイヤル編- 作:咲夜泪
「……! 我がターン! 魔法カード『天使の施し』を発動、3枚ドローして2枚捨てる」
そういえば多くの決闘者が世話になったであろう『天使の施し』は何度も禁止から制限に移動したり、禁止に逆戻りしたりしていたかと『混沌』は一人で感慨深く思い――フィールド魔法『ダークネス』を発動する前ならば魔法カードは使えるか、と分析する。
「魔法カード『死者蘇生』を発動、蘇生させるのは《DT ナイトメア・ハンド》。効果発動、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札からレベル2モンスター1体を特殊召喚する事が出来る――現われろ、《ダークネス・シード》」
『死者蘇生』で復活した奇妙な人形じみたレベル10のダークチューナーモンスターにはこのカードをシンクロ素材とする場合、ダークシンクロモンスターのシンクロ召喚にしか使用出来ないとあるが、元々10レベルの為、ダークシンクロにしか使えない。一体どういう意図で記述されたのだろうか、『混沌』は頭を傾げる。
「レベル2の《ダークネス・シード》にレベル10の《DT ナイトメア・ハンド》をダークチューニング。――漆黒の帳下りし時、冥府の瞳は開かれる。舞い降りろ闇よ、ダークシンクロ! 《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》!」
《DT ナイトメア・ハンド》から10の光が気色悪いほど毒々しい花の《ダークネス・シード》に埋め込まれ、2の光が消滅し――8つの黒い星が共鳴しながら脈動し――エクシーズモンスターとは違った色合いの黒色の、ダークシンクロモンスターとしての《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》が降臨する。
ダークネス
LP4000
手札5→4→3
《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
魔法・罠カード
無し
……『あれ?』と『混沌』が首を傾げる。ダークネスの《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》は従来のシンクロモンスターと同じく白枠ではなく、くすんだ黒枠なのだが、レベルは8表記――いや、そもそもレベル-なんて無いのだから当然と言えば当然なのだが、引っ掛かりを覚える。
気になったから、またテキストを確認してみると――。
《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》
星8/闇属性/ドラゴン族/攻撃力3000/守備力2500
チューナー以外のモンスター1体-ダークチューナー
このカードはシンクロ素材とするチューナー以外のモンスター1体のレベルからダークチューナーのレベルを引き、その数値が-8に等しい場合のみシンクロ召喚する事ができる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分の墓地に存在する全ての「インフェルニティ」と名のついたモンスターと同じ効果を得る。
フィールド上に存在するこのカードが破壊された場合、自分のデッキからカード1枚選択して手札に加える。
このカードを使っていた『満足』のものとテキストが若干違うし、普通のシンクロモンスターとして出回っているものとも若干違う。どういう訳か、両方を折半したような効果になっている。
何か物凄くややこしいなぁと『混沌』は内心溜息を吐いた。
「魔法カード『天よりの宝札』を発動、互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにドローする」
『む、これも反則効果の方か』
ダークネス
LP4000
手札3→2→6
《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
魔法・罠カード
無し
???
LP4000
手札5→6
無し
魔法・罠カード
無し
相手プレイヤーまで6枚になるまでドローされてしまうが、『初代決闘王』も愛用した最強のドローカードである。
……ただ、どんな修正力が働いたのか、『混沌』が手に入れたこのカードの効果は手札・フィールド上のカード全て除外してから2枚ドローする、どうしようもない産業廃棄物である。
「ライフを1000ポイント支払い、《DT 黒の女神ウィタカ》を特殊召喚する。――効果発動、1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体を選択肢、そのモンスターと同じレベルになる。我は《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》を選択」
「レベル8の《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》にレベル8となった《DT 黒の女神ウィタカ》をダークチューニング! 混沌の次元より沸き出でし力の源、原点にして全ての頂点、この『光』と『闇』の狭間でその無限の渇望を潤すが良い! 神降せよ、究極神《アルティマヤ・ツィオルキン》!」
ダークネス
LP4000→3000
手札6→5
《アルティマヤ・ツィオルキン》星0/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
魔法・罠カード
無し
表側守備表示で現れたシンクロモンスターのレベルは0、その『赤き竜』は赤き痣を持つ『シグナー』と呼ばれる決闘者達を良くタクシーしていた個体に似ているが、何処か邪悪な雰囲気を醸し出している。
何処かの次元でラスボスとなったデュエルマッスルMAXの『超官』が繰り出したラスボス御用達のインチキ効果満載かと思いきや――。
《アルティマヤ・ツィオルキン》
シンクロ・効果モンスター
星0/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
ルール上、このカードのレベルは12として扱う。
このカードはS召喚できず、自分フィールドのレベル5以上で同じレベルの、
チューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつ墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分フィールドに魔法・罠カードがセットされた時に発動できる。
「パワー・ツール」Sモンスターまたは
レベル7・8のドラゴン族Sモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
(2):フィールドのこのカードは、他の自分のSモンスターが存在する限り、
攻撃対象及び、効果の対象にならない。
『混沌』の知っている効果で一安心する。
ちなみに『超官』が繰り出してきたのは正真正銘のレベル0のシンクロモンスターであり、レベルが-のモンスターと+のモンスターの合計が0じゃなければシンクロ召喚出来なかった。
更には互いのプレイヤーは1ターンに1枚しか魔法・罠カードをセット出来ないロック効果に、1ターンに1度破壊を無効にする効果、更には自分フィールドに『決闘竜』が存在せず、このカードが戦闘を行う場合、戦闘を行う相手モンスターと同じ攻撃力となり、更に相手フィールドのカード1枚破壊するというメチャクチャな効果がついていた。
「そしてフィールド魔法『ダークネス』発動。『ダークネス』の効果で手札・デッキより5枚のカードをセットする」
此処で万を期してフィールド魔法『ダークネス』が登場する。これによってダークネスのフィールドに魔法・罠カードがセットされ、『赤き竜』の効果が発動する。
「自分フィールドに魔法・罠カードがセットされた事で《アルティマヤ・ツィオルキン》の効果発動、1ターンに1度、『パワー・ツール』シンクロモンスター、またはレベル7・8のドラゴン族シンクロモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する――我は《魔王龍 ベエルゼ》を特殊召喚し、ターンエンド――エンドフェイズ時、《ダークネス・ブランブル》の効果で我のライフポイントは4000まで回復する」
ダークネス
LP3000→4000
手札5→4
《アルティマヤ・ツィオルキン》星0/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
《魔王龍 ベエルゼ》星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000
魔法・罠カード
伏せカード5枚
フィールド魔法『ダークネス』
『……ほう、これまた極悪な布陣だ。《魔王龍 ベエルゼ》は戦闘及びカードの効果では破壊されない強固な耐性、更にはダメージを受けた時にその分だけ攻撃力がアップする効果を持っている』
あの三つ首の蛇みたいな龍はビートダウンデッキの天敵のような耐性持ちであり、その攻撃力も3000と低くない。
その上、ダメージの発生と共に攻撃力が上がり、《魔王龍 ベエルゼ》より打点の高いモンスターを繰り出しても持ち前の耐性で次のターンには一方的な相討ちで屠られる事となる。
『《魔王龍 ベエルゼ》をどうにか対処しない限り《アルティマヤ・ツィオルキン》は攻撃対象及び効果の対象にならないが、そのモンスターは戦闘破壊も効果破壊も出来ず、更にはプレイヤーがダメージを受ける度に攻撃力が上昇するのでは少々厳しいな』
それだけでも面倒なのだが、もっと厄介なのは守備状態の《アルティマヤ・ツィオルキン》が二体並んでしまう事である。
『そして、このターンさえ凌いでしまえば、次に出てくるのはレベル8のチューナーモンスター《ライフ・ストリーム・ドラゴン》で2体目の《アルティマヤ・ツィオルキン》がシンクロ召喚されてほぼ完全に積んでしまうか』
他にシンクロモンスターが場に存在する限り、攻撃対象及び効果の対象にならなくなり、攻撃宣言すら行えなくなるという極悪な布陣の完成である。
そうなってしまっては、このデッキにはない『超融合』、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》による生贄召喚ぐらいしか対処法がなくなってしまうのである。
……まぁそうなっても対象を取らない除去、例えば無慈悲な氷結界で御馴染みの《氷結界の龍 トリシューラ》や墓地に送る《混沌帝龍 -終焉の使者-》などで突破は出来る。
『――これは私に対する挑戦と見た。良いだろう、真正面から叩き潰してやる』
ただ、《魔王龍 ベエルゼ》をわざわざ攻撃表示でシンクロ召喚した慢心にも似た挑発的な行為に対し、後悔させてやると全力で意気込む。
『私のターン、ドロー!』
そして『混沌』の創ったデッキは早くも主に対して存分に答えたのである。
『手札から永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』を発動! 自分のエクストラデッキの融合モンスター1体を互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。発動後、2回目の自分のスタンバイフェイズ時に確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する』
これ1枚で『おろかな埋葬』5枚分の効果を齎す、今や懐かしい『未来オーバー』の切り札。
古の禁止カードとそれ以降の時代に生きた『征竜』が組み合わさる時、未曾有の暴威が始まろうとしていた。
『私が選択する融合モンスターは《F・G・D》、その融合素材はドラゴン族×5だ――私は《伝説の白石》3体と《エクリプス・ワイバーン》2体を墓地に送る。墓地の送った5枚のカードの効果発動、《伝説の白石》の効果でデッキから3枚の《青眼の白龍》を手札に加え、《エクリプス・ワイバーン》の効果でデッキから光属性のレベル10ドラゴン族モンスター《青眼の光龍》と闇属性のレベル10ドラゴン族モンスター《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を除外する』
???
LP4000
手札6→7→6→9
無し
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
『魔法カード『トレード・イン』を発動、手札からレベル8モンスター《青眼の白龍》1体を捨ててデッキからカードを2枚ドローする。更に《青眼の白龍》を捨てて2枚目の『トレード・イン』発動して2枚ドロー、更に更に『トレード・イン』発動して《青眼の白龍》捨てて2枚ドロー!』
???
LP4000
手札9→7→9→7→9→7→9
無し
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
かの《青眼の白龍》を愛する『社長』が見たら完全にぶちキレる使い方しているなぁと『混沌』は自覚しながらも――今回決着をつけるのは、この古の王《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》である。
『魔法カード『手札抹殺』を発動! お互いのプレイヤーは手札を全て捨てて同じ枚数分ドローする。私が捨てるのは8枚、よって8枚ドローする!』
その為に、全力で下準備を行う。
『手札抹殺』から引いた8枚を見て、『混沌』は勝利の方程式を揃えて勝ち誇るように笑う。
『手札の《巌征竜-レドックス》の効果発動、墓地のドラゴン族モンスター《エクリプス・ワイバーン》2体を除外し、特殊召喚する。除外した《エクリプス・ワイバーン》の効果発動、このカードが除外される時、この効果で除外したレベル7以上のドラゴン族モンスターを手札に加える事が出来る。私は除外した《青眼の光龍》と《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を手札に加える!』
???
LP4000
手札9→8→0→8→7→9
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
折れた双角が特徴的な岩石じみた巨体の竜が勢い良く召喚される。
先程は蘇生要因として手札から使われ、今度は初めてフィールドに降り立つ。『混沌』の背中に張り付く子征竜《地征竜-リアクタン》も大喜びである。
『自分フィールドに地属性モンスターが存在する場合、レベル8のドラゴン族モンスター《幻水龍》を手札から特殊召喚出来る。更にレベル4の《幻木龍》を通常召喚する』
???
LP4000
手札9→8→7
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《幻水龍》星8/水属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
《幻木龍》星4/地属性/ドラゴン族/攻100/守1400
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
『征竜』デッキにとって貴重じゃない通常召喚権を使って出されたのは体表に植物を生やした東洋系の龍であり、相棒の流体に近い白き龍と共に悪さをする。
『《幻木龍》の効果発動、1ターンに1度、自分フィールド上のドラゴン族・水属性モンスター1体と同じレベルになる。同条件に該当する《幻水龍》のレベルは8、よって《幻木龍》もレベル8となる』
今回は使わなかったが《瀑征竜-タイダル》の効果でデッキから墓地に落とせて、尚且つデッキから直接サーチする《嵐征竜-テンペスト》がある『征竜』において、この2体を揃える事など茶飯インシデントなのである!
『レベル8の《幻水龍》にレベル8となった《幻木龍》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! ランク8《No.107 銀河眼の時空竜》!』
先程も荒らしに荒らし回った脳筋オブ脳筋のエクシーズモンスターの登場に、ダークネスの山羊の骸骨面に灯る不気味な瞳の光が大きく揺らぐ。
『更にエクシーズチェンジ、《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》! 更に重ねて《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》!』
立て続けにオーバーレイネットワークを経由して姿形が変わり、最後に形容し難い暗黒物質となる。
『《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》がエクシーズ召喚に成功した時、自分のデッキからドラゴン族モンスター3種類を1体ずつ墓地へ送る。相手はデッキからモンスターを3体除外する。私が墓地に送るのは《水征竜-ストリーム》《炎征竜-バーナー》《風征竜-ライトニング》』
???
LP4000
手札7
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守0 ORU4
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
『《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》を除外し、《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を特殊召喚し、効果発動、墓地より舞い戻れ《No.107 銀河眼の時空竜》!』
そして暗黒物質から可能性の竜に早変わりし、オーバーレイユニットだった3体のドラゴン族モンスターが墓地に送られ、またもや《No.107 銀河眼の時空竜》が帰還する。
『《No.107 銀河眼の時空竜》に重ねて《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》をエクシーズ召喚、デッキから《巌征竜-レドックス》《瀑征竜-タイダル》《嵐征竜-テンペスト》を墓地に送り、3体デッキからモンスターを除外するんだ』
展開、墓地肥やしのついでに相手のモンスターを除外するという頭おかしい状況だが、何一つ文句言わずにダークネスは無言で実行する。
『《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》を除外し、2体目の《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を特殊召喚し、効果発動、墓地より再び舞い戻れ《No.107 銀河眼の時空竜》! そしてエクシーズチェンジ《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》!』
???
LP4000
手札7→6→5
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守0 ORU1
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
『《焔征竜-ブラスター》《瀑征竜-タイダル》《嵐征竜-テンペスト》を墓地に送り、更に3枚モンスターを除外するんだ』
この1ターンで、50枚以上はあったであろう『混沌』の征竜デッキが半分以上減っている。
恐るべきデッキ圧縮速度をもって、『混沌』は何がしたいのだろうか――。
『魔法カード『苦渋の選択』発動、デッキから5枚選択し、相手は1枚選択する。選択した1枚を手札に加え、残りのカードは墓地へ送る。……あ、もうドラゴン族モンスターいないや。私が選択した5枚はこれだ』
《地征竜-リアクタン》
《地征竜-リアクタン》
《水征竜-ストリーム》
《エフェクト・ヴェーラー》
《混沌帝龍 -終焉の使者-》
ダークネスは深く考え、もうデッキに親征竜が居ない事に気づく。
「……我は《地征竜-リアクタン》を選択する」
親征竜のいない子征竜などバニラも同然だと言わんばかりにダークネスは迷いなく選択する。
『《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》の効果発動させてオーバーレイユニットを墓地に投げ捨てて――さて、下準備は終わった。手札から魔法カード『龍の鏡』発動! 自分のフィールド上または墓地から融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。私が融合召喚するのは《青眼の究極竜》!』
???
LP4000
手札5→4
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守0 ORU1→0
《青眼の究極竜》星12/光属性/ドラゴン族/攻4500/守3800
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
墓地にコストとして捨てられた《青眼の白龍》3体を除外して融合し――『社長』が使った場合は負けフラグとさえ言われている――《オベリスクの巨神兵》の攻撃力すら上回る最古のフィニッシャー、三つ首の白龍が降臨する。
『そしてぇ! 自分フィールドに存在する《青眼の究極竜》1体を生贄に捧げた場合のみブルーアイズの最終進化形態《青眼の光龍》を特殊召喚する事が出来るッ! 『神』をも超越した至高のブルーアイズよ、今此処に最強進化の力を示せッッ!』
???
LP4000
手札4→3
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守0 ORU0
《青眼の光龍》星10/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
「今更攻撃力3000のドラゴンを召喚しただと……!?」
『――ブルーアイズの最強進化形態《青眼の光龍》の攻撃力は、自分の墓地のドラゴン族モンスター1体につき300ポイントアップする』
「何だと!?」
これが異常なまでに墓地を肥やしていた理由であり――。
『私の墓地に眠るドラゴン族モンスターは合計27体、よって《青眼の光龍》の攻撃力は8100アップして11100となる!』
???
LP4000
手札4→3
《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守0 ORU0
《青眼の光龍》星10/光属性/ドラゴン族/攻3000→11100/守2500
魔法・罠カード
永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』
「此処まで攻撃を上げたのは――!」
『そうさ。《魔王龍 ベエルゼ》の戦闘破壊耐性と効果破壊耐性など関係無く、一撃で粉砕すればダメージによる攻撃力増強効果など無いも同然だ!』
Q.戦闘耐性を持っていて、効果破壊による耐性も持っていて、プレイヤーにダメージが受ければ攻撃力増強効果もついている状況、どうすれば良いですか?
A.レベルを上げて物理で殴れば良い。
『《青眼の光龍》で《魔王龍 ベエルゼ》を攻撃!』
古の大先輩の最終進化系から新参者に容赦無い洗礼が加えられようとし――。
「罠発動! 『虚無』――そして『無限』!」
ダークネスから見て、右の一番端のカードと真ん中のカードがオープンされて――。
『何だと、当てずっぽうなのに当てやがったのか……!』
『混沌』の驚愕も無理はない。今、ダークネスの場にいるのは《アルティマヤ・ツィオルキン》と《魔王龍 ベエルゼ》だけであり、ランダムに設置された5枚の罠カードを見通す事が(『神』を自称する癖に)出来ない。
それを百発百中で当てる為に、ダークネスの使うモンスターには伏せられた罠カードを隠れ見出来るものや見た上で並び替える事すら出来るセコいカードが含まれている。
「『虚無』と『無限』、その狭間から呼び覚まされた力は『ダークネス 1(ワン)』。相手フィールド上のカードを1枚破壊し、『ダークネス』と名のつく罠が発動する度に同じ効果を得る――消え去れ《青眼の光龍》よ!」
『わぁお、この土壇場でその効果を引き当てたか――だが、どれを引いても無意味だ』
やれば出来るじゃないか、と讃えつつ、健闘虚しく残念と締める。
『《青眼の光龍》の効果発動、このカードを対象とする魔法・罠・モンスターの効果を任意で無効にする事が出来る』
『ダークネス』による破壊効果を受けて尚、《青眼の光龍》は無傷で健在であった。
『戦闘続行、《魔王龍 ベエルゼ》が無事でも決闘者までは無事では済むまい! 三千世界に轟け、『神』を凌駕した伝説の威光ッ! 滅びのシャイニング・バースト!』
「ヌゥゥゥゥおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ――!?」
ダークネス
LP4000→-4100
本日の禁止カード
『未来融合-フューチャー・フュージョン』×1
永続魔法(禁止カード)
自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
『征竜』の新しい玩具。未来永劫に禁止されるべき魔法カードの一つ。
融合モンスターが出てこなくても融合元が『F・G・D』なら『おろかな埋葬』五枚分のアドバンテージ。発動されたら相手は死ぬ。
主に《キメラテック・オーバー・ドラゴン》から好きなだけ墓地を肥やしたり、HEROデッキで素材落として墓地のモンスター除外して融合モンスターを召喚したりして猛威を振るった。
懐かしのカイザーの「グォレンダァ!」はこれからである。
『未来融合-フューチャー・フュージョン』で20体ぐらい機械族モンスターを落として《オーバーロード・フュージョン》すればそのターンの内に攻撃力16000の《キメラテック・オーバー・ドラゴン》が降臨し、20回攻撃出来る。
これがサイバー流最盛期のお手軽1ターンキル『未来オーバー』である。
1ターンのうちに30万以上の過剰殺傷かます事などサイバー流では日常茶飯事だった。全力でリスペクトした結果がこれだよ!
……此処から見る影も無くなって行ったサイバー流だが、破滅の呪文『プトレノヴァインフィ』という脅威の突然変異を起こし、現在進行形で環境を荒らしに荒らしている。
多分、近い将来、シャドーミストとかダークロウとかと一緒に禁止制限に叩き込まれるであろう。
作者のファーニマルが見るも無残に蹂躙され、ファーニマルによる融合デッキなのに何故か『プトレノヴァインフィ』を召喚出来るギミックが盛り込まれる事に。