遊戯王ARC-Ⅴ 混沌統べる覇者 -舞網チャンピオンシップ・バトルロワイヤル編-   作:咲夜泪

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 《ヌメロン・ウォール》
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
 自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
 このカードを手札から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する。

 『ヌメロン・ネットワーク』
 フィールド魔法
 相手のドローフェイズ時に自分フィールド上にカードが存在しない場合、このカードは手札から発動できる。
 1ターンに1度、自分フィールド上にこのカード以外のカードが存在しない場合、
 自分のデッキの「ヌメロン」と名のついたカード1枚を選択し、そのカードの効果を得る。
 その後、選択したカードを墓地へ送る。
 この効果は相手ターンでも発動できる。
 このカードがフィールド上に存在する限り、「ヌメロン」と名のついたモンスターエクシーズがエクシーズ素材を取り除いて効果を発動する場合、エクシーズ素材を取り除かなくてもよい。

 『ヌメロン・ダイレクト』
 通常魔法
 フィールド上に「ヌメロン・ネットワーク」が表側表示で存在する場合に発動できる。
 自分のエクストラデッキから攻撃力1000以下の「ヌメロン」と
 名のついたモンスターエクシーズ4体を自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 『ヌメロン・カオス・リチューアル』
 通常魔法
 自分フィールド上の「CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ」が
 破壊されたターンに発動できる
 自分の墓地に存在する「ヌメロン・ネットワーク」と「No.」と名のついた
 モンスターエクシーズ4体をレベル12のモンスターとして扱いエクシーズ召喚を行う。

 『ヌメロン・ストーム』
 通常魔法
 自分フィールド上に「ヌメロニアス」と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。
 相手の魔法&罠カードゾーンのカードを全て破壊し、
 相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

 『ヌメロン・リライティング・マジック』
 カウンター罠
 自分のモンスターカードゾーン及び魔法&罠カードゾーンに
 このカード以外のカードが存在しない場合、相手が魔法カードを発動した時、
 その魔法カードの発動と効果を無効にして発動できる。
 相手のデッキから魔法カード1枚を選択して相手フィールド上で発動する。

 『ヌメロン・リライティング・エクシーズ』
 カウンター罠
 自分のモンスターカードゾーン及び魔法&罠カードゾーンに
 このカード以外のカードが存在しない場合、
 相手のモンスターエクシーズがエクシーズ召喚に成功した時、
 そのモンスターの召喚を無効にして破壊し発動できる。
 相手のデッキからモンスター1体を選択して相手フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク1/光属性/機械族/攻 1000/守 100
 レベル1モンスター×3
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 このカードが戦闘を行った後に、
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 自分フィールド上に存在する「ヌメロン」と名のつくモンスターの攻撃力は倍になる。

 《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク1/光属性/機械族/攻 1000/守 100
 レベル1モンスター×3
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 このカードが戦闘を行った後に、
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 自分フィールド上に存在する「ヌメロン」と名のつくモンスターの攻撃力は倍になる。

 《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク1/光属性/機械族/攻 1000/守 100
 レベル1モンスター×3
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 このカードが戦闘を行った後に、
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 自分フィールド上に存在する「ヌメロン」と名のつくモンスターの攻撃力は倍になる。

 《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク1/光属性/機械族/攻 1000/守 100
 レベル1モンスター×3
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 このカードが戦闘を行った後に、
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 自分フィールド上に存在する「ヌメロン」と名のつくモンスターの攻撃力は倍になる。

 《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク2/闇属性/機械族/攻 2000/守 1000
 レベル2モンスター×4
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 フィールド上に「ヌメロン・ネットワーク」が表側表示で存在する場合、
 このカードは自分のエクストラデッキから、自分フィールド上に存在する
 「No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム」の上に重ねてエクシーズ召喚する事ができる。
 フィールド上に「ヌメロン・ネットワーク」が存在しない場合、このカードは破壊される。
 このカードがエクシーズ召喚に成功した時、フィールド上に存在するモンスターを全てゲームから除外する。
 この効果でゲームから除外されたこのカードは
 次の自分のスタンバイフェイズ時に自分フィールド上に特殊召喚される。
 この時、このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 このカードの効果でゲームから除外したモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える。

 《CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク12/光属性/悪魔族/攻 10000/守 1000
 レベル12モンスター×5
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 このカードが自分フィールド上に存在する限り、
 相手フィールド上に存在する「C」と名のつくモンスターの効果は無効化され、攻撃宣言をする事ができない。
 バトルフェイズ終了時に、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
 その後、このターン墓地へ送られた全てのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
 このカードが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事ができる。
 1ターンに1度、フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 選択したモンスターを破壊する。
 その後、選択したモンスターのコントローラーのエクストラデッキから「C」と名のつくモンスター1体を、
 選択したモンスターの存在したフィールド上に召喚条件を無視して特殊召喚する。
 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

 《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク13/光属性/悪魔族/攻 100000/守 100000
 レベル13モンスター×5
 このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
 自分フィールド上に存在する「CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス」が破壊された時、
 そのカードをこのカードの下に重ねて、このカードを自分のエクストラデッキからエクシーズ召喚する事ができる。
 このカードはカードの効果では破壊されず、攻撃宣言をする事ができない。
 このカードが自分フィールド上に存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象に選択しなければならない。
 選択しなかったターンのエンドフェイズ時に、相手はデュエルに敗北する。
 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、自分はその攻撃力分のライフポイントを回復する。

「インチキ効果もいい加減にしろ!」

 あと、マスタールール3でやっています。
 マスタールール2だとフィールド魔法を張り替えた瞬間、ドン・サウザンドの『ヌメロン・ネットワーク』が無条件に墓地に送られるのじゃ。


おまけという名の蛇足編
01/vsドン・サウザンド


「――此処は……?」

 

 其処は混沌渦巻くバリアン世界でも人間界でもアストラル世界でもない、超時空の狭間。

 ただの人間では一秒足りても存在すら出来ない超空間に存在する彼は、当然ながら人間などという矮小な存在ではない。

 

「我は何故此処に……?」

 

 彼の名はドン・サウザンド。バリアン世界に君臨した太古の神であり、数千年の歳月を経て復活した彼は自身を地の底に追いやったアストラル世界を滅ぼす為に三つの世界を股にかけて策略を巡らせた。

 その悍ましき執念が結実し、全てが彼の前に平伏す筈だった――其処まで思考して、彼しかいない筈の超時空の狭間に『他の誰か』が音を立てて現出する。

 

 

 ――それは極限の『闇』と極限の『光』が鬩ぎ合う、申し分程度に人の形しかしていない『異形』だった。

 

 

「――何だ貴様は? 奈落の如き底無しの『闇』に、それに匹敵する『光』……?」

 

 バリアンでもアストラル世界の住民でもない、極大の『異物』が其処にあり――。

 

 

『――『光』と『闇』を併せ持つからこそ『混沌(カオス)』じゃないのかな? バリアン世界の神さま』

 

 

 口さえ無い身で囀る声は少年のようであり少女のようであり青年のようであり老人のような、何とも言えない異形の聲だった。

 

『私が君の視点から見てどんな存在に成り果てているのか、そんなのは正直どうでも良い話だ。――決闘者が二人対峙したんだ、それが次元の彼方だろうがやる事は変わるまい?』

 

 『光』が導き、『闇』が誘い――『混沌』の腕にデュエルディスクとして顕在化する。

 底知れぬ脅威を前に、ドン・サウザンドは嘲笑う。目の前の存在は類まれなほど最上級の『糧』であると――。

 

「――ほう、我に挑むか。『ヌメロン・コード』の力を取り込んで『神』となったこのドン・サウザンドに。物のついでだ、貴様の力も取り込んでくれる――」

『……『神』ねぇ。弱体化してないと良いのだけど。――折角だから胸を借りようか、『神』さま』

 

 見る影も無くなった『ヲー』を連想しながら――デッキの中で1枚のカードが猛烈なまでに抗議の声を上げたが、『混沌』はいつも通り無視した。

 

 

『――デュエル!』

 

 

 先行は『混沌』であり――先行はドロー出来ないが、『混沌』のドローフェイズ時、ドン・サウザンドの手札が一枚減り、無言でフィールド魔法が貼られた事を『混沌』は見逃さなかった。

 

『私のターン。手札から魔法カード『強欲な壺』を発動、2枚ドローする』

 

 だが『強欲な壺』は効果を発揮する事無く、何故か『混沌』のデッキに入っていたフィールド魔法『神縛りの塚』が代わりに発動する。

 

『……ふむ、何で『強欲の壺』の代わりに『神縛りの塚』が発動しているのか、私のドローフェイズ時に自分のターンでも無いのに貼られたフィールド魔法と墓地に送られたカウンター罠も含めて説明願いたいが?』

 

 ――知ってはいたが、実際に無言でやられると腹立たしいものであると、『混沌』は目も何も無い無貌ながら抗議の視線を送る。

 

「貴様のドローフェイズ時、我はフィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』を発動していた。このカードは1ターンに1度、自分フィールド上にこのカード以外のカードが存在しない場合、デッキから『ヌメロン』と名のついたカードを1枚選択し、相手のターンだろうが発動出来る」

 

 インチキ効果が説明され、『混沌』は無言で続きを催促する。

 

「発動させたのはカウンター罠『ヌメロン・リライティング・マジック』。魔法発動と効果を無効にし、相手のデッキから発動条件を満たす魔法カードを発動させた。――我は貴様の魔法カードを、書き換えたのだ」

『デッキから効果発動なんて、インチキ効果も大概にして欲しいものだね』

 

 ……この時、ドン・サウザンドは気づくべきだった。

 『混沌』がこの効果説明を退屈そうに――見知った映画のあらすじを聞いているが如く、聞き流していた事に。

 

 ――確かにインチキ効果であるが、1ターンに1度しか行えない妨害など終わった後は恐るるに足らない。

 

『魔法カード『天使の施し』発動、3枚ドローして2枚捨てる』

 

 本命の魔法カードを使用し、3枚新たにドローし、『混沌』の代名詞たるカード《混沌の黒魔術師》と新時代開幕の鍵・チューナーモンスター《エフェクト・ヴェーラー》を墓地に送る。

 

『永続魔法『生還の宝札』発動。自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドロー出来る』

 

 ドロー加速のぶっ壊れカードを配置し、準備完了。あとはデッキを信じて突き進むのみである。

 

『手札から魔法カード『簡易融合』発動。ライフを1000支払い、レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃出来ず、エンドフェイズに破壊される。なお『簡易融合』は1ターンに1枚しか発動出来ない』

 

 この『簡易融合』でエクストラデッキから出せるモンスターは2種類。今回は当然の如く――。

 

『――私が融合召喚扱いで特殊召喚するのは《旧神ノーデン》、このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地からレベル4以下のモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時、そのモンスターは除外される。私は『天使の施し』で墓地に送った《エフェクト・ヴェーラー》を蘇生、『生還の宝札』で1枚ドローする』

 

 ???

 LP4000→3000

 手札5→4→3→2→3

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《エフェクト・ヴェーラー》星1/光属性/魔法使い族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 これで新たに手にした進化の力を発揮する準備は整ったが、反面、ドン・サウザンドの顔が困惑に染まる。

 当然と言えば当然だ。この『簡易融合』の効果からして次の召喚に繋げる素材なのは明白だが――何故蘇生させるモンスターのレベルを揃えて新たな召喚法『エクシーズ召喚』に繋げないのか、と言った処だろう。

 

「レベル4のモンスターではなく、レベル1のモンスターを蘇生だと? 一体何を――」

『レベル4の《旧神ノーデン》にレベル1のチューナーモンスター《エフェクト・ヴェーラー》をチューニング。シンクロ召喚! 現われろ《TG ハイパー・ライブラリアン》!』

 

 ???

 LP3000

 手札3

 《TG ハイパー・ライブラリアン》星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 現れたのはレベル5のシンクロモンスター、鬼畜魔導師と名高い《TG ハイパー・ライブラリアン》である。

 それはこの世界には無い可能性、『混沌』が掴む筈の無かった進化という名の可能性だった。

 

「シンクロ召喚だと……!? 何だその召喚法は――!?」

『シンクロ召喚はチューナーモンスターと素材モンスターのレベルの合計のシンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚するエクシーズ召喚とは異なる召喚法。――尋ねる立場から聞かれる立場になるとは新鮮だね』

 

 ……ただし、『混沌』のカオスデッキとシンクロは余り相性が宜しくない。

 高確率で特殊召喚されるレベル8の《混沌の黒魔術師》をシンクロ素材に使うのは元々のレベルが高すぎて非効率であるし、シンクロ専用ギミックを5枚積んでいるが――このデッキにも投入しているとある禁止カード1枚で星12のあのシンクロモンスターに辿り着くルートがあるのだが、その為に9枚もシナジーの無いカードをデッキに投入しては幾ら『混沌』と言えども回らなくなる。

 

 ……とうよりも、そんなにいれたら『全盛期カオス』じゃなくなるというジレンマから断念せざるを得なくなった事情があったりなかったりする。

 

『《TG ハイパー・ライブラリアン》はこのカード以外のシンクロモンスターのシンクロ召喚に成功した場合、デッキから1枚ドローする』

 

 なので、1ターンであのシンクロモンスターに辿り着くには、『生還の宝札』と《TG ハイパー・ライブラリアン》の追加ドローに賭けるしかないのである。

 

『装備魔法『早すぎた埋葬』発動、ライフ800ポイント支払い、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して装備、表側攻撃表示で特殊召喚する。このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する――私は《旧神ノーデン》を選択、効果発動で《エフェクト・ヴェーラー》を蘇生、『生還の宝札』の効果で2枚ドローする』

 

 ???

 LP3000→2200

 手札3→2→4

 《TG ハイパー・ライブラリアン》星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《エフェクト・ヴェーラー》星1/光属性/魔法使い族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  装備魔法『早すぎた埋葬』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『レベル4の《旧神ノーデン》にレベル1のチューナーモンスター《エフェクト・ヴェーラー》をチューニング。シンクロ召喚! 現われろ《転生竜サンサーラ》! シンクロ召喚に成功した事で《TG ハイパー・ライブラリアン》の効果で1枚ドローする』

 

 ???

 LP2200

 手札4→5

 《TG ハイパー・ライブラリアン》星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

 《転生竜サンサーラ》星5/闇属性/ドラゴン族/攻100/守2600

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 シンクロ召喚されたのは攻撃力100のドラゴン族モンスター、このカードはフィールドのこのカードが相手の効果、または戦闘で墓地に送られた場合、《転生竜サンサーラ》以外の自分または相手の墓地のモンスター1体を特殊召喚する蘇生効果を持つ。

 このシンクロモンスターがエクストラデッキに採用されている理由は5レベル尚且つドラゴン族のシンクロモンスターだからであり、星10のシンクロモンスターの素材として使えるからである。

 

 ――尤も、今回はとある魔法カードを引けた為、星12のシンクロモンスターへ辿り着く道筋が確定である。

 

『魔法カード『死者蘇生』を発動、自分または相手の墓地のモンスター1体を対象に、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。私は《旧神ノーデン》を選択、効果発動して《エフェクト・ヴェーラー》を蘇生させる。2枚ドロー』

「またその2体のモンスターか……!」

 

 ???

 LP2200

 手札5→4→6

 《TG ハイパー・ライブラリアン》星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

 《転生竜サンサーラ》星5/闇属性/ドラゴン族/攻100/守2600

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《エフェクト・ヴェーラー》星1/光属性/魔法使い族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『《バトルフェーダー》を通常召喚し、レベル1の《バトルフェーダー》に《エフェクト・ヴェーラー》をチューニング。――集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光差す道となれ! シンクロ召喚! 希望の力、シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》!』

 

 レベル5のシンクロモンスターは《旧神ノーデン》と《エフェクト・ヴェーラー》を過労死させれば幾らでも揃えれるが、レベル1のモンスターは『混沌』のデッキには《エフェクト・ヴェーラー》と今通常召喚した《バトルフェーダー》の2枚しか入ってないだけに一番の事故要素である。

 

『このカードがシンクロ召喚に成功した時、デッキからカードを一枚ドロー出来る。《TG ハイパー・ライブラリアン》の効果で更にもう一枚ドロー!』

 

 ???

 LP2200

 手札6→5→7

 《TG ハイパー・ライブラリアン》星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

 《転生竜サンサーラ》星5/闇属性/ドラゴン族/攻100/守2600

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《フォーミュラ・シンクロン》星2/光属性/機械族/攻 200/守1500

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『――レベル5の《TG ハイパー・ライブラリアン》とレベル5の《転生竜サンサーラ》に、レベル2の《フォーミュラ・シンクロン》をチューニングッ!』

 

 今、『混沌』の脳裏に蘇るは仲間の絆を信じて戦った『英雄』の姿、その絆は破滅の未来さえ覆し、最後には自分さえ打ち破った――『彼』から貰った『希望』は、『混沌』の胸の中に今尚光り輝いている。

 

『――集いし星が一つになる時、破滅を覆した未来を照らす! 光差す道となれ! リミットオーバー・アクセルシンクロオオオオォッ!』

 

 『混沌』の肉体が黄金に光り輝き、手にしたカードに神々しい『恒星龍』の絵柄が浮かび上がる。

 

『――絆が生み出した進化の光、降誕せよ《シューティング・クェーサー・ドラゴン》!』

 

 超空間を引き裂いて降誕するは純白の『恒星龍』、レベル12という最上級モンスターから放たれる尋常ならぬ神気に、あのドン・サウザンドさえ戦慄する。

 

『速攻魔法『神秘の中華なべ』発動、自分フィールド上のモンスター1体を生贄に捧げ、そのモンスターの攻撃力か守備力分のライフを回復する。私は《旧神ノーデン》の生贄に、守備力2200分のライフを回復する』

 

 攻撃する回数を与えない為に、自主的に《旧神ノーデン》をクッキングして墓地に送る。

 

『私はカードを三枚伏せてターンエンドだ』

 

 ???

 LP2200→4400

 手札7→6→3

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード3枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 これで全ての仕込みは完了、後は――ありもしない『希望』に踊る足掻きを見届けるだけである。

 

「……フン、貴様の言う『希望』など我の前では存在しない事を教えてやろう。――我のターン、ドロー!」

 

 ドン・サウザンド

 LP4000

 手札5→4→5

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』

 

 此処でドン・サウザンドはまたしても無言で『ヌメロン・ネットワーク』の効果を発動し、2枚目の『ヌメロン・ネットワーク』を墓地に送る。

 解り切った行動に『混沌』は説明要求せずにスルーする。ただし、ちゃんと説明しろと言ったのにインチキ効果を無言で発動するせこい『神』さまに軽い苛立ちを抱いていた。

 

「我は魔法カード『ヌメロン・ダイレクト』を発動! このカードは『ヌメロン・ネットワーク』が発動している時、エクストラデッキから攻撃力1000以下の『ヌメロン』と名のつくモンスターエクシーズ4体を特殊召喚する!」

『……相変わらず酷い効果だね。それ、エクシーズである意味あるの?』

 

 尚、このインチキ魔法カードに補足説明すると、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 ……のだが、エクシーズチェンジで簡単に踏み倒せる。

 

「我が召喚するのは4体のナンバーズ。――そしてその4体は最初に地上へ降りたナンバーズ。地上を監視し続けた地球の番人!」

 

 一気に4つのオーバーレイネットワークが構築され、その闇を解き放つ。

 

「現われろ《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》、《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》、《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》!」

 

 次々と仰々しい門が出現していく。『混沌』は見飽きた光景を眺める心地で見届けるが、ドン・サウザンドはその様子に欠片も気づいていなかった。

 

「そしてこれがヌメロンの極致、現われよ《No.1》! 天を摩する地獄の門、堅牢なる扉開きし時、一抹の希望を捨てよ! 《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》!」

 

 ドン・サウザンド

 LP4000

 手札5→4

 《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』

 

 この4体の『No.』の効果はどれも同じである。

 『No.』特有の『No.』以外のモンスターとの戦闘破壊耐性に、戦闘を行った後にエクシーズ素材を1つ取り除いて自分フィールド上に存在する『ヌメロン』と名のつくモンスターの攻撃力を倍にする凄まじい脳筋効果がある。

 

 ――1体目が殴れば4体とも攻撃力1000から2000、2体目が殴れば攻撃力2000から4000、3体目が殴れば攻撃力4000から8000、4体目が殴れば攻撃力8000から16000である。

 

 当然、こんなインチキ効果のカードで特殊召喚されたからにはオーバーレイユニットは無いが、『ヌメロン・ネットワーク』がある限り、『ヌメロン』モンスターはオーバーレイユニットを取り除かずに効果を発動出来る。……もうエクシーズモンスターでなく、普通の効果モンスターで良い気がするのは多分気のせいだろう。

 

 ――ただし、攻撃力4000のモンスターが立てられている以上、戦闘破壊はされないとは言え、自爆特攻で攻撃すれば二回目の時点でライフが尽きてしまい、攻撃力の倍々ゲームをする事は既に封じられている。

 

 攻撃力を上げる魔法カード、自身への戦闘ダメージを無効にするカードでもあれば殴り殺しに来るだろうが――それよりもっと手っ取り早い方法がある以上、ドン・サウザンドの手札にそんなカードは来ない。

 

「『ヌメロン・ネットワーク』が発動している時、我の《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》をカオス化させ、ランクアップ出来る!」

 

 出てきて早々、ラスボスの第一形態が戦わずして終わり、第二形態が披露される。

 

「カオスエクシーズ・チェンジ! 現われろ《CNo.1》! 全ての秩序を破壊し、混沌なる闇へ、世界を真なる姿へ導け! 《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》!」

 

 ドン・サウザンド

 LP4000

 手札4

《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》ランク2/闇属性/機械族/攻2000/守1000 ORU1

 《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》ランク1/光属性/機械族/攻1000/守100

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』

 

「このカードがエクシーズ召喚に成功した時、フィールド上に存在する全てのモンスターを除外する! この効果で除外された《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》は次の我のターン、再びフィールドに戻り、その時、この効果で除外したモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手に与え――」

『――《シューティング・クェーサー・ドラゴン》の効果発動、1ターンに1度、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にして破壊する』

 

 幾らフィールド魔法『神縛りの塚』があっても対象を取らず、除外効果には無意味なので当然此処は《クェーサー》の効果で出落ちになって貰う。

 

 ――尚、此処で伏せているカウンター罠『神の宣告』を発動してしまうとフィールドに召喚されずに《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》が墓地に落ちてしまう為、ドン・サウザンドのエクシーズモンスターの第三形態と第四形態が出現しなくなるので逆に使用出来ない。

 

「――フン、愚かな。自分から更なる絶望の扉を開けたか。我は魔法カード『ブラック・ホール』を発動、フィールドのモンスターを全て破壊する」

『レベル12の《シューティング・クェーサー・ドラゴン》はフィールド魔法『神縛りの塚』の効果で効果の対象にならず、効果では破壊されない』

 

 どうやって場の残り3体のエクシーズモンスターを墓地に送るのか、高みの見物していた『混沌』はその魔法の発動でほっと一息付く。

 此処でターンエンドをされては何の為に先行1キルルートを使わなかったのか、色々と台無しになる処である。

 

「――我は魔法カード『ヌメロン・カオス・リチューアル』を発動。《CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ》が破壊された時に発動し、我の墓地にある『ヌメロン・ネットワーク』とナンバーズ4体を選択し、それらを全てレベル12のモンスターとして扱い、エクシーズ召喚を行う」

 

 墓地に送られたナンバーズ4枚とこのターン『ヌメロン・ネットワーク』の効果で墓地に送られていた『ヌメロン・ネットワーク』が現れ、その5つのカードが星12扱いになるという暴挙が平然と行われる。

 

 ……ランクにレベルを与える事は既にドン・サウザンドが先駆けていたようだ。

 

『……一応お約束だから聞いてあげよう。いつの間に『ヌメロン・ネットワーク』が墓地に送られていたんだ? タイミング的には君のスタンバイフェイズ開始時だろうけど。そういうのは予め宣言してプレイして欲しいな――』

 

 『混沌』の最後通告をドン・サウザンドがどう受け取ったかは定かでは無いが――十中八九、負け犬の戯言として受け止めたのだろう。

 

「――我はレベル12となったNo.1~4、そして『ヌメロン・ネットワーク』でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 現われろ《CNo.1000》!」

 

 ドン・サウザンドはハイテンションになりながら、自身の切り札たるエクシーズモンスターを召喚する。

 

「混沌の憂いは浅ましき人の業。天壌の夢は無窮の幻。虚ろの神よ、闇をもて光に鉄槌を――《CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス》!」

 

 ドン・サウザンド

 LP4000

 手札4→2

 《CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス》ランク12/光属性/悪魔族/攻10000/守1000 ORU5

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』

 

 現れた超巨大な白い魔神は紫色の羽を羽撃かせ、轟かせるように低く咆哮する。

 光に鉄槌を、と闇を強調して言う割りには召喚するモンスターは光属性である。

 

『……素の攻撃力が1万とはね、インフレ此処に極まれりだ』

 

 ……尚、もう突っ込む気力すら湧かないランク12・攻撃力1万のエクシーズモンスターは相手フィールド上に存在する「C」と名のつくモンスターの効果は無効化され、攻撃宣言をする事が出来ない限定的なメタ効果、バトルフェイズ終了時に相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する『サンダーボルト』効果、その後、このターン墓地へ送られた全てのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事が出来る《ゴヨウ・ガーディアン》効果、このカードが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事が出来る《真六武衆-シエン》のような身代わり効果までついている。

 

 あと、オーバーレイユニットを1つ使い、選択したモンスターを破壊し、そのコントローラーのエクストラデッキから「C」と名のつくモンスター1体を、 選択したモンスターの存在したフィールド上に召喚条件を無視して特殊召喚する効果を相手ターンだろうが発動出来る。

 

 ――つまりは何を言いたいかと言うと、こんなインチキ効果詰め合わせとまともに戦うという選択肢など最初から放棄させてくれる、有り難い例である。

 

 『混沌』は『神の宣告』を打ちたい衝動を激しく我慢して、もう一つの罠カードをオープンした。

 

『――罠カードオープン『激流葬』、モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、フィールドのモンスターを全て破壊する』

 

 一瞬にして白き魔神は激流に流され、墓地に叩き込まれる。

 自分フィールドに他にモンスターが居ないので《真六武衆-シエン》の肩代わり効果も意味を成さない。さしものドン・サウザンドも口をぽかんと開けて唖然とした。

 

『――『神』を名乗る癖に『三幻神』についている召喚を無効化されない、召喚成功時に魔法・罠・効果モンスターの効果を発動出来ない除去耐性すらついてないのか? ……まぁ何も出来ず、無情に除去られる処に妙な親近感が湧くね』

 

 むしろ効果の対象にならず、効果も受けない、更には爬虫類族モンスター1体を除外する事で戦闘破壊されてもフィールドに舞い戻ってくる《毒蛇神ヴェノミナーガ》のような完全耐性の方が稀であるが――。

 

 ――第三形態までもが出落ちに終わり、暫く放心していたドン・サウザンドだが、漸く我に返ったのか、憎々しげな眼で『混沌』を睨みつけた。

 

「まだだッ! ――《CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス》が破壊された時、墓地のこのカードをエクシーズ素材としてオーバーレイ! エクスターミネーション! カオスエクシーズ・チェンジ!」

 

 長く険しい戦い(『混沌』主観)を経て、遂にドン・サウザンドの最終形態がお披露目される。

 

「――降臨せよ《CiNo.1000》! 我が天は長し、地は久し。人の縋る夢は一場の幻に過ぎず。虚無の大神よ、闇をもて光に鉄槌を! 《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》!」

 

 ドン・サウザンド

 LP4000

 手札2

 《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》ランク13/光属性/悪魔族/攻100000/守100000 ORU1

 魔法・罠カード

  無し

 フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』

 

 現れるは墓標じみた『神』の化身、攻撃力・守備力が共に10万という正真正銘の規格外の化け物であり――。

 

「このカードは自ら攻撃する事は出来ない。だが、このカードがフィールドにある時、相手はこのカードを攻撃対象に選択しなければならない。――もし攻撃をしなければそのターンが終わる時、敗北となる」

 

 あと、カード効果では破壊されない耐性と、オーバーレイユニットを1つ使って相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフポイントを回復する効果を持つ。

 

『……く、あははっ! はははははは!』

「――ふん、余りの『絶望』の前に気が狂ったか。我はこれでターンエンドだ」

 

 突如笑い出した『混沌』を見て、絶対に覆らぬ『神』たる絶望に心折れたと判断してご満悦のドン・サウザンドは嘲笑いながらターンエンドを宣言し――。

 

『――これが『絶望』? たかがこの程度が? カード効果による破壊耐性しかない、召喚したターンにゲームセットも出来ない、攻撃力と守備力だけが肥大化した見掛け倒しの『ウドの大木』が? 可笑しくて腹痛いわぁ……! いや、今も腹に当たる部位がちゃんとあるのか解らんけど』

 

 『混沌』もまた邪悪に嘲笑う。自分というものが存在しない『混沌』はまさしく対峙する決闘者の鏡であり――。

 

『私のターン、ドロー』

 

 何の気兼ね無く普通に引いたドローカードには目映いほどの闇の極光に彩られていた。

 

 ???

 LP4400

 手札3→4

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『先達として真の『混沌(カオス)』の力を披露してやろう。――私は墓地の光属性《フォーミュラーシンクロン》と闇属性《混沌の黒魔術師》を除外し、《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP4400

 手札4→3

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 一番手を務めるのはデュエルモンスターズ界に名を知らしめた至高の戦士、『カオス』の代名詞たるモンスターであり――。

 

「今更攻撃力3000のモンスターを並べた処で何になる?」

『今回は使わないが、《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》にはそのターンの攻撃権利を放棄する事でフィールドのモンスター1体を除外する効果がある』

 

 ドン・サウザンドは目を見開いて絶句しながら驚愕する。《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》にあるのはカードの効果による破壊耐性と1回限りの戦闘破壊耐性であり――除外効果には無力なのである。

 

『――まずは一回目だね。さぁ次行こうか。更に魔法カード『次元融合』発動、2000ライフの支払い、互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する』

 

 そして『混沌』が繰り出すは『カオス』が『カオス』たる代名詞の魔法カード、ドン・サウザンドに除外されたモンスターは1体も無く――。

 

『さぁフィールドに舞い戻れ、《フォーミュラーシンクロン》《混沌の黒魔術師》――特殊召喚に成功した《混沌の黒魔術師》の効果発動、自分の墓地から魔法カード1枚選択して手札に加える。私は魔法カード『死者蘇生』を選択する』

 

 ???

 LP4400→2400

 手札3→2→3

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500

 《フォーミュラ・シンクロン》星2/光属性/機械族/攻200/守1500

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》と《フォーミュラーシンクロン》と《混沌の黒魔術師》の3体のモンスターを生贄に――『神』を超えし『神』の力を刮目せよ! 《邪神アバター》!』

 

 『神』を除外効果する効果を秘めたモンスターをリリースして召喚されたのは深淵なる闇を凝縮させたかのような黒い球体であり――。

 

『――このカードは特殊召喚出来ない。自分フィールドのモンスター3体を生贄にした場合のみ通常召喚出来る。――このカードが召喚に成功した場合、相手ターンで数えて2ターンの間、相手は魔法・罠カードを発動出来ない。このカードの攻撃力・守備力は《邪神アバター》以外のフィールドの一番攻撃力の高いモンスターの攻撃力+100になる』

 

 《邪神アバター》は即座に《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》と同じ姿に変化し、尚且つ『オリジナル』を超える『シャドウ』として君臨する。

 その『オリジナル』と違い、普通に攻撃宣言する事も出来る上に効果の対象にもならず、効果による破壊も無効にし、更には魔法・罠カードすら発動出来ない究極の『絶望』として――。

 

 ???

 LP2400

 手札3→2

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《邪神アバター》星10/闇属性/悪魔族/攻?→100100/守?→100100

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

「《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》の攻撃力を容易く上回っただと……!?」

『あらら、攻撃力10万という唯一の存在意義も消し飛んじゃったね』

 

 流石に攻撃力20万以上になってそのまま殴り殺す事は出来ないし、実際の戦闘ダメージは100程度だが、と『混沌』は心の中で言い捨てる。

 

『こんなんじゃ満足出来ない。――魔法カード『死者蘇生』、蘇生させるのは《旧神ノーデン》、効果発動で《フォーミュラーシンクロン》を特殊召喚する。『生還の宝札』の効果で2枚ドロー!』

 

 ???

 LP2400

 手札2→1→3

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《邪神アバター》星10/闇属性/悪魔族/攻100100/守100100

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《フォーミュラ・シンクロン》星2/光属性/機械族/攻200/守1500

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『レベル4の《旧神ノーデン》にレベル2の《フォーミュラーシンクロン》をチューニング! ――その無慈悲な力で世界を喰い荒らした封印されし龍よ、次元の彼方から解き放たれ今伝説が蘇る! シンクロ召喚! 《氷結界の龍 ブリューナク》!』

 

 シンクロ召喚されたのは氷のような透き通る体躯を煌めかす凍てつく氷の龍、かの悪名高き《ゴヨウ・ガーディアン》と共に禁止制限に叩き込まれた――無慈悲な『氷結界』の一つである。

 

 ???

 LP2400

 手札3

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《邪神アバター》星10/闇属性/悪魔族/攻100100/守100100

 《氷結界の龍 ブリューナク》星6/水属性/海竜族/攻2300/守1400

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

『――ああ、使わないけど一応説明しておこう。《氷結界の龍 ブリューナク》の効果は手札を任意の枚数墓地に捨て、捨てた枚数分、フィールド上のカードを選択して持ち主の手札に戻す。この効果に1ターンに1度とかいう縛りは残念ながら無い』

「……は?」

 

 エクシーズモンスターがバウンスされてしまえば、為す術も無くエクストラデッキに戻り、墓地からの再利用すら出来なくなるのは言うまでもあるまい。

 

『魔法カード『いたずら好きな双子悪魔』発動、1000ライフ支払い、相手は手札をランダムに1枚捨て、更にもう1枚選択して捨てる』

 

 これによってドン・サウザンドの手札が0になり――。

 

『――装備魔法『早すぎた埋葬』発動。ライフを800ポイント支払い、『エフェクト・ヴェーラー』を復活。『生還の宝札』の効果で1枚ドロー。……そして魔法カード『突然変異』発動、自分フィールド上のモンスター1体を生贄に捧げ、そのモンスターのレベルと同じレベルの融合モンスターをエクストラデッキから特殊召喚する。私が生贄に捧げるのはレベル1の《エフェクト・ヴェーラー》だ』

 

 ……今更、レベル1のモンスターをわざわざ墓地から復活させた上で同じレベルの融合モンスターに変えてどうするのか。

 既に絶望で心折られていたドン・サウザンドは反射的にそう思い――表情を作れない『混沌』は今、明らかに嘲笑った。

 

 

『――さぁ、偽りの『神』に最古の力をもって終焉を奏でよ。《サウザンド・アイズ・サクリファイス》!』

 

 

 ???

 LP2400→1400→600

 手札3→2→1→2→1

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《邪神アバター》星10/闇属性/悪魔族/攻100100/守100100

 《氷結界の龍 ブリューナク》星6/水属性/海竜族/攻2300/守1400

 《サウザンド・アイズ・サクリファイス》星1/闇属性/魔法使い族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 

『このカードがフィールド上に存在する限り、他のモンスターは表示形式を変更出来ず、攻撃する事が出来ない。――効果発動、1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスターを1体選択し、装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事が出来る』

「――は?」

 

 全ての墓標の如く君臨していた《CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》が《サウザンド・アイズ・サクリファイス》の幾十の触手に拘束された挙句、その千の魔眼をもって洗脳、異形の口から丸ごと捕食される。

 

『このカードの攻撃力・守備力はこのカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になる――ああ、あとついでだが、このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する肩代わり効果がある』

 

 ???

 LP1400

 手札1

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

 《邪神アバター》星10/闇属性/悪魔族/攻100100/守100100

 《氷結界の龍 ブリューナク》星6/水属性/海竜族/攻2300/守1400

 《サウザンド・アイズ・サクリファイス》星1/闇属性/魔法使い族/攻0→100000/守0→100000

 魔法・罠カード

  永続魔法『生還の宝札』

  伏せカード2枚

 フィールド魔法『神縛りの塚』

 

 ドン・サウザンドの場から何もいなくなった事でフィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』の効果を発動可能になったが――《シューティング・クェーサー・ドラゴン》が場にいる以上、1ターンに1度しか行えない妨害など無駄であるし、既に『邪神アバター』が召喚されている以上、魔法・罠の発動は2ターン封じられている。

 

「馬鹿、な――」

『――『神』さま、これが真の『絶望(世紀末決闘)』だ。バトル、《サウザンド・アイズ・サクリファイス》でダイレクトアタック!』

 

 ドン・サウザンド

 LP4000→-96000

 

「ぐぅぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ――!?」

 

 史上最大規模の『過剰殺傷』が炸裂し――デュエルの終了を告げるファンファーレは虚しく響き渡ったのだった。

 

 




 本日の禁止カード

 《氷結界の龍 ブリューナク》
 シンクロ・効果モンスター(禁止カード)
 星6/水属性/海竜族/攻2300/守1400
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 手札を任意の枚数墓地へ捨て、
 捨てた数だけフィールド上のカードを選択して発動できる。
 選択したカードを持ち主の手札に戻す。

 無慈悲な氷結界その1。シンクロが生み出した闇。
 何故こんな無慈悲なバウンス効果に1ターンに1度という記述が無いのか、永遠の謎である。
 当時はこれを使って装備魔法『早すぎた埋葬』を手札に戻し、《レスキューキャット》を使い回してシンクロ召喚する、悪名高き『猫シンクロ』が流行っていた。

 遊戯王ZEXAL時代の『混沌』のエクストラデッキにはエクシーズモンスターがなく、かわりに五枚のシンクロ専用ギミックと多数のシンクロモンスターがエクストラデッキに眠っている。

 『突然変異』
 通常魔法(禁止カード)
 自分フィールド上モンスター1体を生け贄に捧げる。
 生け贄に捧げたモンスターのレベルと同じレベルの
 融合モンスターを融合デッキから特殊召喚する。

 ARC-Ⅴ時代にも入っていたが、使われなかったカード。
 この時代だとレベル8の《混沌の黒魔術師》から《重爆撃禽ボム・フェネクス》、変異カオスで名を知らしめたレベル1の《サウザンド・アイズ・サクリファイス》が飛び出してくる。

 《サウザンド・アイズ・サクリファイス》
 融合・効果モンスター(禁止カード)
 星1/闇属性/魔法使い族/攻 0/守 0
 「サクリファイス」+「千眼の邪教神」
 このカードがフィールド上に存在する限り、
 他のモンスターは表示形式を変更できず、攻撃する事もできない。
 1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、
 装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。
 このカードの攻撃力・守備力は、
 このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になる。
 このカードが戦闘によって破壊される場合、
 代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。

 正規の融合召喚はほぼ不可能だが、『簡易融合』や『突然変異』で簡単に出てくる。

 《月読命》と組み合わせる事で場を制圧しながら一方的に攻撃・毎ターン除去出来るという頭おかしい事をやれた。
 幸いというべきか、シンクロ専用ギミックでデッキが圧迫されているせいか、『混沌』のデッキに《月読命》は入っていない。
 また、簡単に『突然変異』元を揃えれる速攻魔法『スケープ・ゴート』はドン・サウザンドの『ヌメロン・リライティング・マジック』で展開を邪魔される為、幸か不幸か抜いている。

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