ふと、珍しくくーちゃんが脈絡なく……あれ?珍しくもないかな、基本何かしら脈絡とか常識とない人間しかいないしね、ここ。
何はともあれ、くーちゃんがふと疑問に思ったらしいことを口にした。
「束様の身体能力がチートを越えたナニカなのは知っているのですが……」
「チートを使う人間、チーターだね」
「チーターは狙った獲物を俊敏な動きで追いかけ捕らえますね」
「そのチーターじゃない、
「ふふ、わかってますよ……えーとそれで、束様がイカサマ野郎なことはわかっているのですが」
「束さんはイカサマ野郎じゃないよ!?純粋なもともとの身体能力だよ!」
おれが逸らした、いやくーちゃんも逸らしていったんだけど。ともかく、くーちゃんが本題に戻そうと、そこまで言ったところで束先輩がツッコミを入れてきた。
「なんですか束先輩。くーちゃんがせっかく話を本題に戻そうとしたのに話の腰を折って……」
「そうですか、束様は私の話なんて聞きたくないんですね……」
「あ、あれぇ、これ束さんが悪いの……!?く、くーちゃんの話聞きたいなぁ!」
「はい、では改めて。束様のスーパーマンも真っ青な身体能力は知ってますが、かーくんさんの身体能力はどれ程のものなのでしょうか?」
「スーパーマンの服はもとから青いけどね……え、おれの身体能力?」
そんなの普通でしょ?運動神経よかったら体育とかで活躍してただろうけどそんなこと一切なかったし……
「そう言われてみれば気になるね、かーくん身体測定をするよ」
「え?断言ですか、決定ですか?めんどくさいです!」
「かーくんさん、さっさとやりましょう。ほら早く束様に着いていってください」
「ちょっとくーちゃん引っ張らないで、どこにそんな力があるの!?」
「ISと合体してるんですよ、私。実は何気に力持ちです」
衝撃の真実である、くーちゃん隠れマッチョ。厳密に言えばISコアからエネルギーを供給したり、なんやりしたら力持ちになるらしいけど難しいので省く。
「そう考えればくーちゃんも結構身体能力高くならない?」
「いえ、私の場合はISコアを使うのでそれこそチーターになります」
「チーター風の猫耳つけたくーちゃんですとな、見てみたい」
「どうして猫耳に……?いえ、可愛そうなので機会さえあれば着けてみてもいいですが」
なんと、何となく言ったけどくーちゃん本人が着けてくれると言ってくれた。見れるなら見たい、是非もなく!
「機会さえあれば、機会さえあれば束さんが猫耳を今すぐ作ったのに……!そういや束さんのケモミミには興味ないかい?」
「束先輩は、いつもメカウサミミ着けてるくせに何を今さら」
「眼鏡着けてる人が眼鏡探してるかのようですね」
「そうだった!?」
束先輩天才じゃないの?なんでボケたおばあちゃんみたいなことしてるのさ。
「そ、そんなことよりかーくんの身体測定だよ!」
「ふぅ、誤魔化しにかかってるのはわかってるけど、大人なおれはそこには触れずに素直に身体測定を受けることにします」
「全部口に出てるからね!?」
そうして連れていかれた地下には大きなスペースが……いつつくったのだろうか、これ?
聞いても、さっきだよ?とか言われるのが目に見えてるし聞かないけど。
まずは100M走かららしい。束先輩とくーちゃんがゴールであると思われるところにいる。
「じゃあ無難に100M走ってみよー!はい位置についてー!よーい!ドン!」
束先輩からのスタートの合図を聞くと同時に全力で走った……そのタイムは。
「11.36秒……全力で走った?」
「はぁ!はぁ!……全力ですよ?11秒って十分速くないですかね?」
「うーん、速いんだけど束さんは余裕で10秒切るよ?」
「まあ、次を測ってみましょう」
続いて握力測定、どんなとんでもない測定器が出るかと身構えていたんだけど普通のものだった。
「なんだ、握力が一定超えると変身出来るとかギミックないんですか?」
「しまった、やればよかった!?」
「よいしょっと……右67kg、左62kgかぁ」
「普通に高めだね?片手で自重支えれるくらいの力はあるね」
「ですが普通にってレベルですか……こう中身の入った缶を握り潰せるくらいはあるかと」
「それ100kg超えてるから」
なんでくーちゃん、おれか普通の範囲に収まると首をかしげるのかな?
「まあ、一人で逃亡してるときに片手でぶら下がらないといけないときもあったし、それくらいあれば上々だよ」
「そんなことあったんだ……」
「警察に追いかけられてるときに、歩道橋からトラックに乗ろうと飛び降りたらちょっと」
「かーくんさん、アクション映画みたいなことしてますね」
「死ぬかと思ったよ、タイミング間違って片手でトラックの荷台に必死にしがみついたし」
後ろの車の人の驚いた顔は今でも忘れられない。
「それ握力60kg台じゃ無理だよね?」
「火事場の馬鹿力でしょうかね?」
「まあ残りも測ってみましょう」
くーちゃんにそう言われ他にハンドボール投げや持久走に立ち幅跳びと色々測定した。
たまに束先輩が、束さんもやるー!とかいってハンドボールを投げればパンッ!という音とともにボールは消え、立ち幅跳びをすれば砂場を大きく越えて壁に人型の穴つくったり……相変わらずのとんでもっぷりである。
取り敢えず、握力測定のかわりにリンゴ握りつぶしたやつどうにかしてください。
「束先輩、食べ物で遊ばない。何が、リンゴジュース飲むかい?ですか」
「いやー、ついやってみたくなって」
「束様、自分で食べてくださいね……それにしても、かーくんさんの身体能力は、全体的に普通より高いのですがまだ常識の範囲内に収まってますね……」
なんでくーちゃんは小首を傾げながら言うのだろうか、そんなにおれを普通の枠から外したいのかな?
「いえ、そういうわけでないのですが」
――くーちゃんがそこまで言ったその時ラボに警報が鳴り響いた。
それを聞いて急いで地下から上がって束先輩はレーダーを見る。
「IS1機がこっちに向かってるね!……コアを新しく開発してたんだけど、コアを起動させたままで放置してて探知されちゃった」
「取り敢えず逃げましょう!必要な荷物は!?」
「私は特にはありません」
「束さんも新しく作ればいいものしか基本ないね!あとは束さんのポケットの拡張領域に入れてるし!」
そういうやいなや束さんはくーちゃんを背負い外へ走り出し、おれも着いていく。懐かしのステレス球を使いながら。
「相変わらず足が速すぎませんかね……!?くーちゃん抱えて走れる速さじゃないですよ!」
「くーちゃん羽のように軽いから!」
「……いま束様に並走できる速さでかーくんさん走れているのですが、やはりさっきは手を抜いておられたので?」
「今も、さっきも!全力、だよ!」
てか喋らさせないで!束先輩に並走するのってキツいんだから……!
「束さんが思うにかーくんのただの全力疾走と、逃げるときの全力疾走は別物なんじゃないかな……自覚がないだけで」
「では後ろから、かーくんさんをライオンが追いかければ世界記録を出せそうですね」
「それ全力疾走ならぬ死力疾走になる……!?」
「むしろ疾走ならぬ失踪になるかもね。かーくんなら逃げ切りそうだけど」
「何にせよ、かーくんさんにとっては逃げるという行為が付随するかによって身体能力に上下があるのですね……新発見です」
くーちゃんは束先輩に背負われつつそう言っていたそうだ。その時には束先輩に並走するのために、既に話す余裕もなく走っていたので後々に聞いた。
――因みに言うまでもなく無事逃げ切れた、ついでに言うまでもなく途中で力尽き束先輩に小脇に抱えられつつの逃亡になった……。
ここまで読んでくださった方に感謝を!
翔は逃げ足は速いけどオリンピック選手にはなれないような人間です。あとさっき二代目戦乙女更新しました。
憂さ晴らしにIS学園にクマ吉いれた話とか書いてみました。
『ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話』他を書かれている五ノ瀬キノンさんと合作のような形でIS二次『EOSゴレンジャイ』というものを書きました。キノンさんの方で投稿されてますのでよろしければご一読ください。今までにないものになっているかと思います。