我輩は逃亡者である   作:バンビーノ

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上代が逃げれてなかったら?そんなお話。


もしもの学園編

どうも、上代翔です。現在ごくごく一般の高校へ入学してたはずにもかかわらずIS学園へと入学をしてしまいました。

原因は目の前に座っている織斑一夏、彼が試験会場をダイナミックに間違えISを動かしてしまったことにより、全国で一人の男性がISを動かせたなら他にもいるのじゃないのか?という考えのもとに行われた~ドキッ☆男だけの全国統一IS適正テスト~で見事に動かしてしまった人間がいた。

 

おれである、実験体にされそうだと逃げようとしたんだけど目の前のISなら楽に逃げれるんじゃないかな?って考えたのがミスだった。壁にぶつかって抜けなくなった、なんでかなISなら抜けそうなのに抜けなくなったんだよ。お前ISに乗ったからには逃がさないぞと言わんばかりに抜けなかった。

それでこのざまである、怠けずに走って逃げればよかったと後悔しても後の祭り、実験体にはされてないものの女の園IS学園に来てしまった……教室内がシャンプーか香水かわからないけど女子っぽい香りで充満しててグッド!

しかし周りからのジロジロ見てくる目線は辛い、性癖が特殊な人ならこれにも興奮できるんだろうけど……待て、おれもそうなれば!はぁはぁ、美人な同級生からジロジロ見られてる!こ、こうふ……やっぱり無理だ、性癖とかそんなにすぐ変えられないや。ついでに現実逃避もそろそろ辛い。

 

――ならば逃げよ!撤退、撤退だ!駄目です包囲されています!ええい、死力を振り絞り活路を開、あ、予令。廊下まで埋め尽くされていた生徒が帰っていったぞ、戦わずして勝ったぞ!いまだ!今なら逃亡が可能だ!

いや、逃げようとしてた理由の視線がなくなったし逃げる理由もなくなったのか。

 

そんな下らない恥ずかしいことを考えていると眼鏡、低めの身長、胸は大きい先生が入ってきた。山田先生っていう副担任らしい、そして担任である先生は目の前の織斑一夏の自己紹介中に来た。

 

「お、織斑くん。自己紹介をしてもらえないかな?」

「あ、は、はい!織斑一夏です、これからよろしくお願いします!――以上です!」

 

こう織斑一夏が自己紹介したときにはクラスのほとんどがずっこけていた、素晴らしいノリだと思う。そしていつの間にか目の前の織斑一夏の斜め後ろに威圧感放つスーツ姿の女性がいた……え、本当にいつの間に?目の前なのに気づけなかった。その女性は織斑一夏の頭を出席簿で叩き

 

「馬鹿者が、自己紹介もまともにできんのか」

「いって!え、千冬姉!?」

「織斑先生だ」

「いだ!?」

 

彼女は姉か、織斑一夏の姉か。その後、担任であることが判明、「逆らってもいいが私のいうことは聞け」とか堂々と言うなんてカッコよすぎである。何かカリスマ的なものも感じるしクラスの女子も沸き立っている。

ちょっと頭が沸いたようよな「お姉さまのためなら死ねます!」とか「躾をしてー!」って台詞も聞こえたけど皆テンション高いしこの空気と織斑先生のカリスマに流されたせいだと思う、そうであってほしい。

 

「まあいい、自己紹介を進めろ。おい、騒ぎに乗じて出ていこうとしてる上代戻って自己紹介をしろ」

「おふ……上代翔です、よろしくお願いします。好きなことは楽しければ大体です」

 

バレた、みんなが盛り上がって織斑先生に注目してる中なら抜けれると思ったのに。ひとまず席に戻って普通に自己紹介を済ませておく、織斑先生は視野が広いや……

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

一時間目の授業、ISの基礎理論授業。面白いくらいにわからない!事前に読めと言われていた辞書みたいな参考書は一応読んだけどわからない。

猿に辞書渡しても読めないのと同じで、ISの勉強してなかったおれが一般生徒が入学前に読む参考書読んで解るとでも思う?そう、わからないさ!

頭から煙をあげたまま授業が終わってしまった、やってきました休み時間!トイレにでも逃げようと思ったときには囲まれていた!

 

「……不覚」

「なあ」

「うん?」

 

前から男子に話しかけられた、織斑一夏だ。

 

「俺は織斑一夏、一夏って呼んでくれ」

「上代翔、上代でも翔でもどぞー」

「そっか翔よろしくな……正直女ばっかりで辛いから本当によろしく頼む!」

「こちらこそ一夏、どうにも居心地が良くないよね。視線が多くて逃げずら……逃げ出したい」

「だよなぁ……」

 

ホントにね、でも視線が多いせいで逃げにくいんだよなぁ。窓から出て逃げてもすぐ終われるだろうしやっぱり今日の帰宅のときにトンズラこくのが一番いいのか。

そう考えつつ、一夏と話しているとポニーテールの子がこちらへやって来た。

 

「ちょっといいか?」

「……箒?」

 

どうも一夏の知り合いらしい、ここでは話しにくいらしくそのまま一夏を連れて廊下へと出ていった。

 

さあ!そのことによって女子の中に男子一人という状況になったよ!スーパーボッチタイムだ!

自分の席からある一定の距離をとって囲まれている状態なんだけどいっそのこと誰か話しかけて来てくれないかな?兎は寂しくても死なないけど人間会話がないとボケるんだよ?

そんなことを思えど誰も話しかけてきてくれずに授業のチャイムがなった、そしてギリギリに帰ってきた一夏は織斑先生に叩かれていた。南無三。

 

 

 

 

 

 

 

二時間目、相変わらずわからない。

あまりにも理解してないと顔に出ていたのか山田先生にわからないところがないか聞かれた、一夏と一緒に。

 

「わからないところは聞いてください、なにせ先生ですから!」

「先生!ほとんど全部わかりません!」

「後ろに同じくほぼわかりません」

「え……ぜ、全部?」

「「はい」」

「……おい、織斑、上代。入学前の参考書は読んできたか?」

「古い電話帳と間違えて捨てました」

「読みましたが解説の優しさが足りずに9割は理解出来ませんでした」

 

そう答えた瞬間にパンッ!という音が空気を震わせた。目の前に座っていたはずの一夏が机に伏している、目線を上げれば織斑先生が持っている出席簿が今しがた一夏を叩いたと言わんばかりに煙をあげている。

――どんな威力で叩いたのだろうか。そして一夏は何を思って電話帳と間違えて捨ててそれを素直に言ったのだろうか……濁して紛失したと言った方が幾分マシだったように思えてならない。

 

「どこの馬鹿が電話帳と間違えて捨てるんだ。ああ、ここにいる馬鹿者か……再発行してやる、一週間で覚えろ」

「い、いやあれを一週間ではさすがに」

「やれ」

「ハイ」

 

織斑先生の圧力に耐えきれずに一夏が折れた、なんとも有無を言わせぬ迫力のある睨みである。

 

「上代はどこが理解できんかったのだ」

「だいたいです、単語は覚えても数式とかそこら辺入ったらわかりません!数式を理解してることが前提で書いてあったんで数式があるとこから全部わかりません、あと単語自体が専門用語すぎてちんぷんかんぷんです」

 

あと基本的に数学は苦手だ、XとかYとかもう英国に帰れと思いながら受験勉強したのにそれを遥かに凌ぐレベルの数式が解説なしで参考書にはいるのだ。あきらめた。

 

「はぁ……わかった、放課後に織斑共々教えてやる。山田先生もご協力願えますか?」

「は、はい!織斑くんも上代くんもわからないところは放課後に教えてあげますからがんばって、ね?ねっ?」

「はい、それじゃあお願いします」

「お願いします」

 

放課後も勉強かぁ……まあ逃げ、いや真面目に受けよう。なんか逃げようと考えた瞬間織斑先生と目が合った、へへっ、こいつぁ逃げられねぇや……。

 

「上代は単語はある程度覚えているんだろう?なら数式さえ理解すればなんとかなるはずだ、放課後にしっかりと頑張るといい」

「はい」

 

取り敢えず放課後の補習を受けてから逃げよう、そうしよう。

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

2時間目終了後に一夏とおれのもとに金髪ロールの子が来た。

 

「ちょっと、よろしくて?」

「また一夏の知り合いなの?」

「へ?いや、違うけど」

「聞いてますの?お返事は?」

「よろしくてよ」

「あ、ああ聞いてるけど」

「まあ!なんですのそのお返事は!わたしくに話しかけれているだけで光栄なのですからそれ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

「土下座?」

「いや、なんで土下座なんだよ……悪いな、君が誰か知らないし」

 

誠意を込めた単純かつ至高の態度。早く説教から逃げたいときに中学で試したらすぐに終わって帰れたのはいい思い出である。

にしても一夏は顔に苦手だって出てるし自己紹介してたのに覚えてないのか、ププッ!

おれも覚えてない、誰だろうか、この金髪ロールは。

その発言を聞いた彼女は激昂、荒ぶる金髪ロール!どうでもよさそうな顔してる一夏に視線は釘付けだ!

 

「このイギリスの代表候補生にして入試首席のセシリア・オルコットを知らないですって!?」

「あ、質問いいか?」

「下々の要求に応えるのも貴族の務めですわ、よろしくてよ」

「代表候補生ってなんだ?」

「は、は……はぁ!?本気でいってますの!?」

 

後ろから金髪ロールさんの更に荒ぶる声が聞こえる。因みに一夏、代表候補生は字面のままで各国にいるISの国家代表の候補生だよ。はいはい、失礼ちょっと道を開けてー。

 

「な、なあ翔は知って……あ、あれ?翔がいないぞ……?」

「な、何ですって!?どうして男というのもはこうですの!?」

 

金髪ロールさんの意識が一夏にロックオンしてる間に廊下に逃げて見つからないように予令までしゃがんでおく。あと世の中の男性よ、ごめんよ、イギリスの代表候補生からの男への心象が下がったようだ!

 

「ねーねー、かけるんは何で廊下でしゃがんでるの?」

「それはね、あの金髪ロールの子が荒ぶってるからだよ」

「へー、おりむーが大変そうだよー」

「一夏は犠牲になったのだよー」

 

何かのんびりした子が話しかけてきたけど話し方ものんびりしてる、それを見た他の子達も話しかけてきた。

廊下の壁際に座るおれ。それを同じくしゃがんで囲んで話しかける皆、シュールである。教室内からはまだ金髪ロールさんと一夏が話してる声が聞こえる。

 

「上代くんは家族で誰かIS動かせたりISに関係してる人っているの?」

「いないよ、誰もいないよ」

「じゃあじゃあ!知り合いとかには!?」

「いないなぁ……」

「何で動かせたの……?」

「なんでかな……?」

「織斑くんとは何話してたの!?」

「軽い自己紹介とかだよ」

「今年は薄い本が厚くなると思わない!?」

「ちょっとごめん、理解できない、したくない!」

 

怒涛の質問攻めである、割りと皆フレンドリーだけど数人怪しい、何が怪しいって攻めとか受けとかカプとか聞こえる!金髪ロールさんから逃げた先は新たな危険ちたいだった。腐海だ……これなら樹海の方がいくぶんマシだよ!

その後予令が鳴るまで質問攻めにあった、腐ってそうな質問は初めは緩やかーにかわしたけど最後には叩っ切ってた。腐女子は帰れ!「フッ、また来るわ」じゃないからヤメテ!もうやだこんなとこ!

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

3時間目、わかりませんでした。おわり。

なんかクラス代表を決めるとかで一夏とおれが他薦されて、それに金髪ロールは激昂。

極東でサルでサーカスやってられるかー!ってなこと言ったら一夏もメシマズがほざきよるわ、と売り言葉に買い言葉。

 

ついには決闘でクラス代表を選ぶことになったのだけど何故かおれも強制参加することに、織斑先生に何故か聞いたら

 

「ぶっちゃけアイツらの猿だのメシマズだの下らん餓鬼の喧嘩はどうでもいい。これはクラス代表を決めるために行う。なので上代も参加だ、わかったか?」

 

本音が駄々漏れであるこの教師。そんなこんなで参加が決まったのだけど、うん今日もう逃げるから関係ないんだけどね!

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

 

その後滞りなくわからないまま授業は終わり放課後となった。なんでも今日は補習はなく明日からやってくれるみたいだ。

ならば帰宅あるのみ!既に有り金はすべて持ってきてるしこのまま家にも帰らず逃亡あるのみ!

モノレール乗り場へ向かうぞハリーハリーハリー!

 

「おい、上代」

 

……織斑先生が何故か後ろから声をかけてきた、冷静に返事をするんだ、逃亡を察知されるな!

 

「あ、織斑先生こんにちは」

「ああ、それでどこへ行くんだ?」

「帰宅ですが?補習は明日からのようですので今日はもう帰宅しようかと」

「そうか、そのことだがな。今日から寮生活だ」

 

……ん?

 

「What?」

「だから今日から寮生活だ、荷物は宅配業者がお前の部屋に届けている。部屋は1025号室だ」

「う、嘘だ!?」

「嘘をついてどうする、お前は今日から寮生活で部屋は1025号室だ。そらちょうど私も暇だ、部屋まで案内してやる」

 

ぎゃー!織斑先生、襟首掴んで引っ張らないで!首絞まりますから!帰らせて、帰らさせて……家に忘れてきたものがあるんです……!自由を忘れてきたんです!

 

 

――ああ、学園から逃げられない……。

 




ここまで読んでくださった方に感謝を!
前に少し要望があったので書いてみましたが学園に入れるとやっぱり自由度が下がってはっちゃけれませんね……ただのテンプレじゃん!何より織斑先生がいることで制限がかかるのなんの。
続くかは不明、なにも考えてないので。

あともしも続いてもシリアスは来ない、絶対にだ!

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