我輩は逃亡者である   作:バンビーノ

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番外編 クロエ・クロニクルの憤慨

うーん、背中に突き刺さる視線。束先輩、妹さんが思い人にストーキングしてますよ!……あ、あの人も妹を影から見守るとか言って衛星ハックして学園の実習覗いたり大概だった。血は争えないのか。

 

「あー、腹へったな。飯食べないか?弁当作ってきたんだけどよかったら一緒に」

「味は私が保証する、一夏の飯はそこらの店よりうまいぞ?」

「そう?なら遠慮なく」

「では私も、遊園地のものは高いですし。マドカさん飲み物を買いに行きましょうか」

「ああ、一夏と翔は席を取っといてくれ。飲み物はなにがいい?」

「ありがと、ならお任せで」

「俺はお茶で頼む」

 

お昼時前ということもあり席はすぐに確保できたんだけど、座ってくーちゃんとマドッチを待ってると一夏が話しかけてきた。

 

「なあ、翔はどうしてISを動かせたとき会場から逃げたんだ?」

「えーと何でだっけ……ああ、そうだ思い出した。気を悪くしたらごめんだけど止めとく?」

「いや聞かせてくれ」

「一夏には世界最強っていう姉っていう後ろ盾になり得る人がいて安全がある程度確保されてるのに対しておれはなーんにもなかったから」

「ああ……」

「あとダルかった、面倒事は嫌だったからね!」

「ハハッ、そうか。でも今ならIS学園に入れないか?束さんも翔の後ろ盾にならなってくれるだろうし」

 

あー、確かになってはくれるだろうし実は高校に行かなくていいのかと聞かれたこともある。

 

「でも今が楽しいからなぁ、今の生活がいつまでも続く保証なんて無いけどね」

「いや、すまん。無理にとは言わないけど考えてくれたらなと思ってな」

「いや謝らなくていいよ?おれ普通は就職か進学してる年齢だから一夏が正しいよ?」

「あれ、あっ!?い、いや何か翔見てると自然体過ぎてそれが普通と思っちまった」

「ワハハハ」

 

おっと、二人が帰ってきた。その後四人で一夏が作っねくれた弁当を食べたんだけど本当に美味しかった、料理人にでもなれそうだ。

 

――因みにマドッチがお任せで買ってきてくれたのはファンタだった、まあ予想はしてたよ?

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

 

マドカさんと飲み物を買いに来ましたがそろそろ鬱陶しくなってきましたね。かーくんさんはわかった上で無視してるみたいですが私はそんなに気が長い方ではないのです。

 

「マドカさん、今から日本と中国、イギリスにフランス、ドイツを世界から切り離します」

「ん……?待て待てクロエ、ここでISは使うな。騒ぎになるぞ?」

「大丈夫ですマドカさん、私のISは展開しなくても使えますので。ええ、大丈夫ですよ大気成分に作用させて幻影を見せるだけですので!」

「とりあえず落ち着けクロエ!」

 

落ち着けません、ストーキングだけならまだしも妬みや殺気みたいなものを向けられればイライラもします!思い人にまた惚れる人間が出来ないか不安なのは理解できますが私やかーくんさんは惚れません!

 

「それに織斑一夏に惚れる人間が今更一人や二人増えても変わらないでしょう!」

「身も蓋も無くなってきたな!?」

「恋する盲目少女たちを騙せ、ワールドパージ!」

「あっ!?」

 

ふぅ、この程度ちょちょいのちょいでお茶の子さいさいです。織斑千冬に破られてから精度に速度をあげる練習をしてたんですから。

 

「おい、箒を除く四人がイチャイチャし始めたぞ……」

「四人はそれぞれお互いが織斑一夏に見えてますね。束様の妹は下手に幻覚を見せると束様に悪いので適当なものを見せてます」

「……アイツら大丈夫なのか?」

「はい、あのまま帰って部屋に戻れば効果は切れますよ」

「そうか、まあならいいか。ストーキング自体良くないことだしな、半分は自業自得ということで納得してもらおう」

 

ええ、ただ部屋に戻ったときにイチャイチャとデートしてたつもりの思い人がライバルの女になるというショッキングなことになりますがこれは黙っておきましょう。

 

「さて飲み物を買うか、翔はお任せ(ファンタ)だったな」

「おかしいです、マドカさんからファンタとお任せという言葉がダブって聞こえました……」

「クロエは何にする?」

「水にしま」

「そうかファンタか」

「マドカさん!?」

「気にするな私の奢りだ!」

「えー……いや、ありがとうございます」

 

お金を出してもらってしまってはなにも言えないです、まあ嫌いではないのでいいのですが。ご飯ならジュースは止めて水にしようかと思ったのですけど、マドカさんの善意……ファンタへの思いを無下にする必要もないので大人しくファンタを飲むとしましょう。

 

「一夏は……チッ、お茶だったな」

「織斑一夏はお茶なんですね」

「アイツは健康にうるさいんだ。やれ運動後に冷えすぎの飲み物は良くないだの、やれ夜の食べ過ぎは良くないだの、ファンタの飲みすぎはよくないだの……いつか決着をつけてやる!」

「じじ臭いですね、まあそろそろ戻りましょう」

「ん?そうだな、結構時間をくってしまった」

 

じじ臭いと言いましたが織斑一夏は母みたいですよ、料理ができて健康を気遣えて。まあ私に親はいないのではっきりとはわかりませんけどね!

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

 

一夏の弁当をご馳走になったあとにはお化け屋敷以外のアトラクションをまわったんだけどお昼食べる前くらいからいつの間にか視線を感じなくなった、帰ったのかな?

 

「あー、楽しかった。そろそろいい時間だけど最後に四人で観覧車に乗らない?」

「お、いいな。二人も乗ろうぜ」

「そうだな、なら締めに行くか」

 

前には三人で乗った観覧車だけど今度は一夏が増えて四人で乗ることとなった。

 

「おー、観覧車っていいな。景色がいいし」

「前マドッチが同じこと言ってたよ」

「ぐっ……一夏と同じ感想とは」

「その反応は傷つくぞマドカ……そういやさ」

「ん?」

「さっきも言ったんだけどIS学園に入らないか考えてくれないか?」

 

あー、その話ね。

 

「まあ束先輩やくーちゃんと行けるなら楽しそうなんだけどね、マドッチもいることだし」

「かーくんさん申し訳ないですが私は無理ですね。仲のよい人と他人には態度にかなりの差が出てしまうので集団には向いてないんです……」

「一夏には悪いけど現状は無理かな。ごめんよ本来なら学生のはずなのにさ」

「いやいや、二度も悪かった」

「まあ男友達と遊びに行きたくなっらまた誘って、基本的に暇だし……日本にいたらいくよ」

「外国に行ったりするのか?」

「はい、それに宇宙ですね」

「相変わらずフリーダムだな」

 

一夏には悪いけど今はこの生活が一番楽しいから止めらんないね!束先輩やくーちゃんと過ごせなくなるのも寂しいしさ。

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 

 

観覧車から降りたあと解散して、くーちゃんとラボに帰ったのだが……

 

「束先輩ただいまー」

「ただいま戻りました」

「うわぁぁぁぁぁん、酷いや酷いや!かーくんにくーちゃんが束さんをほって遊びに行ってた!」

「えー……昨日のうちにあらかじめ言ってたじゃないですか、束先輩うとうとしてたけど」

「私も言いましたよ?束様寝てましたが」

「かーくんはともかくくーちゃん寝てるときに言っても意味ないよ!?」

 

束先輩がごねてた、散らかるんで床に寝転んでじたばたしないでください。そう思ってると束先輩は飛び起きこちらへビシッと指を突きつけた。

 

「よし、今から三人で出掛けるよ!せめて晩御飯でもいいから束さんも一緒に出掛けるんだ!」

「どんだけ行きたいんですか……まあいいですけど、ほら支度してください」

「どこに行きましょう?」

 

行き先は歩きながら考えることにして束先輩とくーちゃんの三人で再び外出することとなった。お肉食べようお肉!とか束先輩は言ってるし焼き肉でいいかな?くーちゃんも何だかんだで楽しそうだしおれもやっぱり楽しい。

 

 

――やっぱ一夏には悪いけどさ、この生活は手離しがたいなぁ。

 




ここまで読んでくださった方に感謝を!
長くなったのでぶったぎった後半部分を連投。

くーちゃん噴火の巻。くーちゃんは身内以外には結構理不尽だったりします、友達になると変わるはずです。
五人も合流させようとしたけど滅茶苦茶長くなるので今回は諦めました!誰にかはわからないけどごめんなさい!

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