何でッ! 何で何でッ! かーくんとくーちゃんが!
――亡国機業……お前たちのせいか。
▽▽▽▽
くーちゃんがIS学園に捕らえられた、そのことはわかっている。IS学園ならちーちゃんがいるし、そもそもくーちゃんは私と普段行動を共にしているということ以外では追われていないので一先ずは安心だ。
……だけどかーくんはくーちゃんが捕まってからまだ見つかっていない。束さんも急いで衛星や監視カメラで探したが見つからなかった。
だから束さんはかーくんを一番捕らえてる可能性が高い……そして今回の騒動の原因である亡国へと乗り込んだ。
「かーくんはどこだぁぁぁぁぁぁ!!」
「―-ッ! 篠ノ之束! 単身で、それも生身で亡国へ向かってくるとは!」
「黙れ! どうしてかーくんのことを世界に知らした! どうしてかーくんを追う!」
「前者はともかく後者に関しては男性IS操縦者という点だけで追うには十分……と言いたいですが理由は貴女ですよ」
――は? ……私?
「貴女がISを発明してから世界は大きく変わった、そしてまだ世界は貴女に怯え貴女によって動かすことができる状態だ」
知らない、そんなことは知らない。ISをつくったのは夢を叶えたかったから、ミサイルを切り落としたのISの兵器の面に気づいた大馬鹿に撃たれたから。箒ちゃんたちを確実に守りたかったからISを使っただけ。世界なんて知らない。
「そんな貴女がいると世界は歪む、おかしな方向へと進んでしまう。なので貴女を打倒しようとしたのですが……何分正面からでは私たちは勝てません。なので搦め手として貴女が普段行動を共にしている人間を世界に否定させたのですが……効果はてきめんですね、まさか武装ひとつせずに来るとは」
うるさい、黙れ。そんなことで……そんなことでかーくんを世界に否定させたのか……!
「あ、そうです。忘れるところでしたがもう一人貴女が共に行動をしてる彼女、IS学園に捕らえられましたが……あそこにも我々の仲間は入り込んでるんですよ? きっと今頃……」
黙れ――ね。
「黙れぇぇぇぇぇ!!」
「とッ! やりなさい! 篠ノ之束をここで終わらせなさい!」
目の前の
――けどさぁ……かーくんにもいったけど私はさ、細胞単位で天災なんだよ?
それから……数分かな? それとも数十秒? それくらいたった、その頃には床には破壊し尽くしたISとその操縦者が転がっていた。
「嘘でしょ……こんなことって」
「ぐぎっ!? ぎゃぎぐぎぁぁぁAAAAAAAAAAArrrr!!!!」
「あっ、あ……あ? う、腕がぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ッッッッッア!?!?」
五月蝿いなぁ、だいぶん力加減なくやったけど誰も殺してない。死なせてないよ? かなり痛いだろうけど知ったことじゃない。
「くっ、こんなことが!? 一人でIS部隊を壊滅させる力などデータにはなかったのに!」
「バカじゃないの? データで人間がわかるわけないじゃん……わかってれば私はこんなにならなかったよ」
もういいや、くーちゃんがいなくてかーくんも見つからない……たぶんそういうことなんだろう。
取り敢えずIS学園に向かおう、ちーちゃんがいるIS学園だ。ちーちゃんが居てくれるなら、くーちゃんは生きてるかもしれない。
▽▽▽▽
「そう思ってきたのにさぁ……なんでかなぁ」
私がIS学園の手前の街まで来たら、ちーちゃんがいるし他の専用機持ち、勿論いっくんや箒ちゃんまで勢揃いだ。
……はぁ何だかもう疲れたなぁ。
「なんでここにいるのかな? 学園は?」
「お前を捕らえるためだ、学園はIS1機と外から警備隊がイオスを着けて警戒している」
そっか……ならもう……駄目だ、認めたくない、でも理解してしまう認めたくない認めたくない――嫌だッ!
「束、上代翔がどこにいるか知らないか? お前ならアイツがクローンと世界に知られたこの状態でも」
「うるさいなぁ……そんなこと束さんが知りたいよ! 何でも知ってると思うな! 何でもできると思うな!」
「ッ!? だが!」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!! もういいもうダメだ! こんな世界もう嫌だ!
――そう思ったとき 私 のなにかが決壊した。
今まで被っていた
「『私』だって人間なんだ、確かに認識できる人なんて両手に収まる人数しかいないよ? それでもその人たちが少しでも幸せになれるようにしたかった。
なのにそうしようとすればするほど皆離れていくんだ、自分に必要だと思ったときだけしか私には近づかない。私だって嫌われたり邪険に避けられたりしたら傷つくし悲しくなるよ。
そんな中で、そんな私が独りぼっちななかで、私に対して普通に接してくれる二人に会えたんだ。出会えたんだ。私のことを尊敬して慕ってくれつつも案外キツいこと言ったりするくーちゃ……クロエ・クロニクル。私に会うまで名前すら知らず、私がどんな人間か解ってからも何も気にせずにいてくれた上代翔。
どう言い繕ってもいい状況にいたとは言えない二人だけど、だからこそあの二人には幸せになって欲しかった、してあげたかった」
そうだ、あの二人と過ごしているときが一番自然にいられてそれが、それが嬉しかったんだ。
私がやりたいことをすれば世界は私を恐れて遠ざかっていった。
でも私が無茶苦茶しても、毎度笑いながら一緒についてきてくれた
「なのに! なのになのになのに! 皆がまた私の邪魔をする! 何がIS開発者だ! 何が天災だ! それがどうした!?
世界からそんな風に言われてても結局たった二人を幸せにしてあげることすら出来なかった! 世界は……そんなことすら私に許してくれない!
世界で大きな事件があれば私が関わっているという! こんな世界になったのは私のせいだと皆後ろ指をさす!
違う! 確かに私はISを開発した、けどそれを間違った使い方をして世界を変えたのは私じゃない! 世界自身だ! 私はただ、
皆が私を悪いと言う、皆が悪いことは私のせいだと言う……!
ただ私は私の夢を叶えたかっただけなのに……そしてまた世界は私の夢を、願いを踏み潰していく……! もううんざりだよ」
ならもうそんな世界はいらない。今度は私が踏み潰す。
私はポケットから箱を手のひらの上に出し……そしてそこから無数の無人機IS――ゴーレムIII型が湧き出す。
空が無人機に覆われていく……アハハ、前にくーちゃんたちと見た
そして私は世界と決別しようと
「――バイバイ世界。もう消えろよ」
「待て束!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「え?」
「なっ!?」
――したところに何かが突っ込んでくるのが見えた。
ここまで読んでくださった方に感謝を!
よっしゃあ!今回も無理矢理嘘予告の台詞回収!
もうね、うん。あとはあの長ったらしい台詞だけ書きたかった。
……よしっ!次で終わり!
8/17ちと弄りました。