我輩は逃亡者である   作:バンビーノ

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第一章 ただいま逃亡中ぼっち。
01.自由のために今日も逃げる


 我輩は逃亡者である、名前は上代翔(かみしろかける)

 何が原因でこうなったかはしかと見当がついてしまう。

 なんでも男性IS起動テスト会場というところにいたのだ。

 我輩はそこで初めて実物のISを見た。

 

 

 

 ──まではよかった、よかったのだ。他の男も皆やってるし……皆でやれば怖くないのだよ。

 しかしそこで打鉄に触れるとブォンとか光セイバーみたいな音を鳴らして起動してしまったのだ。そこがおかしい!

 そもそも考えてほしい、世界最強初代ブリュンヒルデな姉のいる弟が動かせたのは百歩譲ってまだわかる、何か遺伝子的だか因果的だかなナニかがあったりしたんだろう。

 

 だが自分はそんな世界最強IS使いな知り合いも家族も一人たりともいない。そして世界最強どころか何も後ろ楯のない自分の未来を考えたみてほしい。解剖されて男性IS操縦者解体珍書がつくられるコースに一直線な可能性が高すぎて笑えない。

 IS学園に入ればいい? ヤダーあんなエリート中のエリート、しかも女子オンリーしかいないとこ平凡な男子が入れるわけないじゃんか!

 入れたとしても知らない間に冤罪かけられて結局実験コースに決まってるよ。

 偏見? 今の世の中気に入らないってだけで男性が女性に冤罪吹っ掛けられることもあるような女尊男卑が蔓延(はびこ)ってるのよ? そう考えるとIS学園なんて魔窟じゃないか。一歩歩けば10の冤罪がのし掛かるに決まっている、そうに違いない! お、お……折、織村? 君は頑張ってくれたまえ!

 

 

 ──さあ、逃亡生活を始めよう!

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

 混乱を極めていた会場より逃げ続け3日たつ今現在──

 

 

「何だこの貼り紙。この顔にティン!と来たら110番って……?」

 俺にそっくりさんな顔立ちである顔写真が載せられた貼り紙。そこにはその人物の名前や個人情報が載せられていた。まるで指名手配犯である。

 

「ふむふむ、上代翔(15)で黒髪の175cm前後ある男ねぇ」

 

 そっくりさんとかじゃない、まごうことなき俺であった。何これプライバシーのプの字もないぞ!

 そもそも好物とかならともかく冬にはラーメン屋巡りが趣味etcとか何で書いてある……? てかどうやって調べた!? しかも地域内の店は制覇したので逃亡中に隣県あたりのラーメン屋に現れる可能性あり? ナニこれ怖いストーカーでもいたのだろうか?

 逃亡中にラーメン屋になんて気楽に入るとか思われるなんてまったく、まったく……

 

 

チュルチュルッ!ズゾゾゾ、カンッ!

 

 

「大将ご馳走さま!お代はいくら?」

 

 仕方ないよね!冬が明けたとはいえまだ寒い日のある4月、ふとラーメンとか食べたくなるんだよ。

 

「はいよ、味噌ラーメンと炒飯セットで1100円だ。……ところで坊主?」

「ほいさ1100円ちょうど……なんですか?」

「お前そこの貼り紙の逃亡中の男性IS操縦者にそっくり、ってか本人だろ」

「…………ごっつぁん!旨かったです!」

「おい待て坊主!!」

 

チクショウ! どこの誰か知らんけど貼り紙なんてしやがって…気楽に飯も食べれない! 振り返れば大将が何処かに電話をしてる。

 ああ、耳を澄ませばサイレンが、目を凝らせば赤い回転灯が見える。まるで犯罪者を追いたててるかのようではないか…

 

「俺がいったい何をしたってんだぁぁぁァ!!」

 

 切実に教えてもらいたい。ISを動かしたくらいなんだ、世の中の半分の人間が動かせるんだ。その人間全員にバベルの塔(おとこのこのしょうちょう)がついてないだけじゃんか! それがたまたまタマタマついた人間が2人ばかしIS動かしちゃったからってなんだ、三毛猫の雄が珍しいみたいな感覚ではしゃいじゃって! そもそも三毛猫の雄が30000匹に1匹に比べて男性IS操縦者は35億人に1人だぞ!

 ──まあ三毛猫の雄とかより俺らの方(だんせいそうじゅうしゃ)が断然珍しけどね! 桁が違うわ、そりゃ追いかけるだろうさ! でも俺は愛玩動物でもペットでも、ましてや実験動物じゃないんだよ。自由に生きたいんだ! 実験場やIS学園みたいな檻に入ってたまるか!

 

 俺は俺の自由のために今日も逃げる! ああ…視界の端にうつる富士山が綺麗だけど滲んで見える

 

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 2人目のIS操縦者発見の翌日IS学園にて。

 

「おい、織斑。話がある」

「ん?ちふ、織斑先生なんですか?」

 

 千冬姉に呼び止められたのだが……とてつもなく微妙な顔を浮かべている、いったい何の話なのだろうか?

 

「昨日全国一斉男性IS起動テストが行われただろ?」

「ああ、そういえばそんなのするってニュースで言ってたな……それがどうかしましたか?」

「それでだな……一応見つかったんだ、もう一人男性でIS起動出来る者が。それもお前と同い年のやつが」

「ッ!?」

 

 なんだって……!

 

「ほんとかよ千冬姉!?いやー初日からずっと男一人で女子の視線に晒されて正直辛いものがあったんだけどこれで少しはマシになるよ!」

 

 ホントに辛かった……! 気楽に話しかけられる男は一人もいないし久々に会った幼馴染みの箒は何かムスッとしてて話しにくいことが多いしオルコットとは初日から売り言葉に買い言葉で数日後に決闘することになるし……

 

「それでいつ来るんだよ!もう一人の男子は!」

「あーいや、その男だがな……」

 

 ん? そーいや千冬姉話しかけてきたときから微妙な顔してるし珍しく歯切れが悪いな。さっきから興奮のあまり千冬姉って言ってしまってるけど叩いてこないし。

 

「どうしたんだよ?もしかしてそいつに何かあったのか!?」

「いや……その、なんだ。そのもう一人の男子なんだが……現在逃走中だ」

「なん……だと?」

 




初作品投稿だけど書けた気がするので投稿…!
文法とかもおかしいであろう稚拙な文ですがここまで読んでくださった方の守備範囲の広さに感謝感激雨霰。
見切り発車しつつ何となく今後の流れは考えつつもやっぱり地の文も勿論、台詞も書き始めると思ったより難しいかった…続く!かも、書き貯めとか一切ないのでボチボチ書いてみようかと。

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