このサイトの沢山の作者様のやる気と才気を感じて『私も何か書いてみたい!』と思って、私自身文才に自信は無いのですが、頑張って作品を投稿させて頂きました。
私は今回が初投稿となりますので、色々至らない点はあるとは思いますが優しく見守って頂ければ幸いです。
では、ご覧下さい……
僕にはすごい友達がいる。
―――ひとりでなにやってるの?
その子は泣き虫で気弱な僕とは違い、人気者で元気があって、初対面の子ともすぐに仲良くなれた。
―――そうだ、よかったらいっしょにあそぼうよ!いまからみんなとおにごっこするんだ!
その子は僕にとってまるで、お母さんが読んでくれた絵本に出てくる主人公みたいな存在で
―――あ、まだなまえきいてなかった…わたしほのか!きみのなまえは?
だから僕は、勇気が出なくてみんなの輪に入れなかった自分の手を引っ張っていってくれた
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「行ってきまーす!」
と言いながら僕は頭にできた軽い寝癖を直す暇もなく慌てて家から飛び出した
え?いきなりなんでこんなに急いでいるのかって?それは…
「ちょっと待って!体操服忘れてるわよー!小学校に行くのに寝坊したからって慌てすぎよ
…まぁ、つまりそういう訳で僕は今遅刻の危機にあっているのだった。
「ごめんお母さんありがとう! お母さんも昨日夜勤だったんだから早く寝てね!」
「はい、ありがとうね。いってらっしゃい……って寝癖ついてるわよ!正也ーーー!!」
遅刻しそうだけど、僕はしっかりとお母さんに休んでと言っておく。
そうしなければ、
勿論そんなことは、お父さんだって僕だって望まない。だからこそここで言っておくのが息子としての使命というものだろう。僕はそう思いながらお母さんの返事も聞かずに学校に向かって猛ダッシュで走る。
「ううっ……もっと早く走らないと遅刻しそうだよ…」
僕は走りながら、珍しく寝坊してしまった自分を悔いた。
そうして急いで登校班の集合場所に着いたが、班のみんなは先に学校に行ってしまっているようでだれも居なかった。自分が悪いとはわかってはいるが、血も涙もない班長だと僕は心の中で愚痴る。するとその時
「うわぁーーー!遅刻だよーー!」
と慌てた様子の女の子の声が聞こえてきた。この声はもしかして…
「はぁ…はぁ…あれ
オレンジ色に近い髪をサイドポニーにした女の子が、走りながらこっちにやってくる。
彼女の名前は
ちなみに、穂乃果ちゃん以外にも僕にはあと二人の友達が居るのだが……今この場にはいないので、その説明はまた僕たちが学校に着いてからにしようと思う。
「穂乃果ちゃんは今日も寝坊…?」
僕はそう言いながらも、遅刻しそうで不安だった心が、穂乃果ちゃんが来てくれたおかげで、一気に無くなるのを感じた。
普段は寝坊しがちで先生に怒られてしまうことが多い穂乃果ちゃんだけど、それでも穂乃果ちゃんが居るならきっと何とかなると、不思議にそう思えてしまう僕だった。
「え?あ……その様子だと正ちゃんも寝坊?…やった!寝坊仲間だよ!」
僕の髪の状態を見て察したのか、穂乃果ちゃんは嬉しそうに僕の手を握って、その手をブンブン振った。
「穂乃果ちゃん!?手痛い!痛いって!」
「良かった~!これで先生に怒られて廊下で立たされちゃっても寂しくないよ~!」
「穂乃果ちゃん!?それってもう諦めてない!?遅刻しないためにがんばろうよ!?」
あれ?大丈夫……だよね?
前言撤回、少しだけ不安です。
「大丈夫、先生のお説教も慣れればへーきだよ!」
「ううっ……穂乃果ちゃんは遅刻に慣れてるから怖くないのかもしれないけど、僕は遅刻したことないから怒られるのは怖いよ…」
僕は、よく遅刻する穂乃果ちゃんを叱る担任の先生の鬼の形相を思い浮かべる。
…こ、こわい、怖すぎる!
僕は思わず涙目になってしまう。
「え?正ちゃん泣いてるの?……よし!正ちゃんが怒られない為に、穂乃果がんばるよ!」
僕の怖がる様子を見て、穂乃果ちゃんはいきなりそう言って走り出した。
「正ちゃーん!何やってるのこっちこっちー!」
「……うん!わかった穂乃果ちゃん!」
穂乃果ちゃんの言うことを信じて、僕は穂乃果ちゃんの後を追いかけた。
また前言撤回、やっぱり穂乃果ちゃんは頼りになります。
■ ■ ■ ■ ■
「「はぁ…はぁ…ギリギリセーフ!」」
僕達は教室に同時に入ってそう叫ぶ。どうやら間に合ったみたいだ。
しかし、間に合ったはいいものの、土埃やススなどで僕たちの姿はボロボロな有様だった。
「すごいね穂乃果ちゃん、まさかあんな抜け道を知ってるなんて……」
そう言いながら、僕は穂乃果ちゃんの教えてくれた道を思い返す。
家と家の間や路地裏などを利用して、学校までほぼ一直線で駆け抜けることができたのだ。
「ふふーん!すごいでしょー、もっとほめていいんだよ?」
「ありがとう!穂乃果ちゃんのおかげで遅刻しなかったよ!穂乃果ちゃん天才!」
やっぱり穂乃果ちゃんはすごい、遅刻決定とも言えるあの状況から、結果ボロボロになってしまったけども、見事に学校まで間に合ってみせたのだから。
「えへへ…ありがとう……穂乃果はあの道大変だからあんまり使わないんだけど、今日は正ちゃんが遅刻しそうだったから特別に使ったんだー」
僕の褒め言葉に、照れたようにしてそう言う穂乃果ちゃん。
「特別って……もしかして僕の為にあんな無茶な道を?」
「うん!だって正ちゃん遅刻したくなかったんでしょ?だったら頑張るのは当然だよ!だって穂乃果達は友達だからね!」
穂乃果ちゃんは僕にそう言うと、はじける笑顔でVサインをした。
「……ありがとう穂乃果ちゃん」
やっぱり穂乃果ちゃんはカッコいいなぁ……それに比べて僕は穂乃果ちゃんに頼りっぱなし…カッコ悪い…
確かに穂乃果ちゃんはすごいし頼りになる。
でも、いつまでもそれに甘えてばかりというのは男の子としてどうなのだろうと僕は思う。
だからこそいつか『カッコいい男』になって、穂乃果ちゃんの友達でいて恥ずかしくない自分になりたい!……それが僕の目標だ。
……そう言えば寝癖ついたままなの忘れてた……カッコつけてみてもカッコ悪いな僕…
「正ちゃん、穂乃果ちゃん…大丈夫?」
と、僕が自分の目標を再確認している時に、僕たちを心配する声がした。
そう言って声をかけてくれる少女の名は
ベージュ色の髪で頭にトサカっぽいクセっ毛が特徴的な、どこかおっとりとした雰囲気がある子だ。穂乃果ちゃんと同じく、幼稚園の時からの僕の友達である。
「大丈夫、大丈夫、ちょっと無茶な道通っただけだから…」
僕は心配いらないという風にことりちゃんに言う。するとことりちゃんは突然僕の髪に手を伸ばして、僕の髪の寝癖を軽く整えると僕に笑顔でこう言った。
「はい、これでいつものカッコいい正ちゃんだよ」
その言葉と行動に、僕は思わず心がほんわかしてしまった。こういう細かい気遣いをしてくれるところが、ことりちゃんの良いところなんだと僕は改めてそう思う。
「ああ~ズルい正ちゃん~!ことりちゃん、穂乃果もそれやって!」
「うーん……穂乃果ちゃんは大丈夫みたい、いつものかわいい穂乃果ちゃんだよ」
「う~!嬉しいけどなんかずるい~!」
穂乃果ちゃんは不満そうにそう言う。
すると、ことりちゃんの後に続いて、もう一人の女の子が現れた。
「穂乃果、正也、ごめんなさい…私はもう少し待とうって言ったんですけど、班長さんに遅刻するからダメだって言われてしまって……」
丁寧な言葉使いで、申し訳無さそうに声をかけてくるこの子の名前は
長い髪をしていて、髪色は少し青みがかった黒色。そして少しおどおどしている印象がある子だ。この子も僕の幼稚園からの友達である。
「海未ちゃん大丈夫だよ、遅刻しちゃったら大変だから仕方ないし、それに寝坊してきた僕達が悪いんだから」
「そうだよ海未ちゃん!それに穂乃果たちは遅刻しなかったから問題なしだよ!」
「なら良いんですけど…でも二人とも……あんまり遅刻したら……その……ダメなんですよ?」
そう言って海未ちゃんは、少し遠慮気味に僕たちを注意する。
「うん、わかった。次から気をつけるよ、海未ちゃんありがとう」
いつも海未ちゃんはあまり自分に自信が無いようなのか、自分から発言することは少ない。でも、こうやって僕達をしっかり注意してくれる所は良い所なんだから、もっと自分に自信を持って欲しいと僕はいつも思っている。
こうしていつもの四人組が全員揃う。
近所に男の子が少ないせいか、僕には男の子の友達が居ない。
しかし僕はそれを不満に思ったことはない。むしろこの三人と遊んでいる時が一番楽しいと言っても良い。
僕にとって穂乃果ちゃんは、幼稚園の頃に出会って僕の世界を広げてくれた恩人であり大切な友達だけど、ことりちゃんと海未ちゃんも僕にっては穂乃果ちゃんに負けないぐらい大切な友達だ。
「みんな席に着いてー、出席を取るわよー」
先生が入ってきて出席を取り始める。
僕たちは慌てて自分の席に着いた。
今日も学校が始まる。
今日はみんなと放課後何して遊ぼうかな…そうだ、穂乃果ちゃんが今日はドッチボールしようとか言ってたっけ、楽しみだな……
僕は今日の学校が終わった後の事をのんきに考えていた。
この後、自分の目標そのものを揺るがすような大事件が起こることを知らずに
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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