ギルガメッシュは半神半人として、この世に生を受けた
彼は古代メソポタミアの王として君臨した
時には、のちの友人と天を揺るがす程の死闘を繰り広げ
時には、ウルクの都を襲った天の雌牛を友人の名を冠した鎖で拘束し
そして彼は世界中にある原典を集め始めた
時には手段を選ばすに彼は原典を集め続けた
そして彼は、原典を集め終えこの世を去った
しかし、彼は古代メソポタミアの民から讃えられ神格化
彼は神として生きる事となったのだ
前世と英雄王として、そして次は神としての生を歩みだしたのだ
そして、彼は見届けていた
主神の子が十二の試練を突破していく姿
ブリテンの王の最期
ユーラシア大陸を駆け巡った征服王の最期
ケルトの大英雄の最期
暴君と呼ばれた皇帝の最期
神の声を聞いた聖処女の最期
聖処女を失い気を狂った男の末路
全てを喰らい尽くした護国の王の最期
彼は未来永劫に語り継がれるであろう数々の英雄の姿を見続けた
時には現界して、夢や野望などを聞いたりなどした
そして、彼の宝物庫には彼等が遺していった武具達が眠っている
いつかは、他の者に語る為にと彼等の剣や槍を宝物庫に収めた
そして現代、ギルガメッシュは日本で屋敷を構えていた
ーーー
「寝ていたのか」
ギルガメッシュはソファーから起き上がる、机の上にはワインボトルとグラスが置かれておりオーディオプレイヤーからは音楽が流れていた
「懐かしい事を思い出していたな、我らしくない」
ギルガメッシュは立ち上がり、縁側に出る
「まだ、我を楽しませてくれる物があるはず……それを待つだけだ」
ギルガメッシュはニヤリと笑い、寝床へと向かった
ーーー
「ほう?屋敷に妖怪が入ったか?」
朝、ギルガメッシュは妖の気配を感じた
「そういえば、雇っている門番は故郷に帰ったな……」
ギルガメッシュはテレビの電源を落として、庭へ向かう
「ふむ……黒猫と白猫か…」
庭には、二匹の猫が草むらを利用して隠れていた、どちらもボロボロである
「猫又か…それも珍しい奴か」
ギルガメッシュが猫に歩み寄ると、黒猫の方が白猫を庇う様に立ち、威嚇してきた
「ほう……我に威嚇とはな…フハ!ハハハハハハ!面白い!気に入った!気に入ったぞ!」
ギルガメッシュは高笑いをする、しかし
「うるさ〜い!夜勤明けでキツイんだから!静かにしろい!」
「むっ!すまんな」
隣の住民に怒られてしまう
「しかし、守る為に実力が上の者に威嚇するか……フフ…面白い」
ギルガメッシュはその場に座ると、黒猫に手を伸ばす、黒猫はびくりと震えたが震えを止めて、ギルガメッシュの手に
「ぬっ!噛みついた!」
ガブリと噛みついた
「ますます、気に入ったぞ……今まで媚びを売る連中しかいなかったが、この様に攻撃されたのは初めてだ」
そう言うと、ギルガメッシュは黒猫と白猫を素早く抱き上げた
「よーしよし、今日から黒猫と白猫は我が家のペットだ!フハハハハハハ!」
「うるせー!」
とギルガメッシュの屋敷に二匹の猫が(強制的に)ペットとなった
次回、英雄王と猫又