ギルガメッシュになった男   作:狂った機械人形

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英雄王、赤き龍との邂逅

 

「…………」

「どうかしましたか?ギルガメッシュさん?」

「いや、知り合いの付き添いの様な奴の気配を感じただけだ」

(あの男……)

ギルガメッシュの目に映っているのは、一人の男だ、記憶が正しければ白音が学校でエロ本を読む様な変態と言っていた記憶があった

「あの人……悪魔ですね……」

「ああ、そうだな……」

アーシアとギルガメッシュはジッと見る、視線は男に腕に注がれていた

(そう言えば、あのドラゴン…暴れまわっていたな……騎士王が死んでから)

ギルガメッシュの脳裏にはブリテンの騎士王の使い魔である赤き龍ドライグが映る

「アーシア、頼み事があるが聞いてくれるか?」

「はい、なんでしょう?」

「実は……」

ギルガメッシュはアーシアにヒソヒソと話す

「…………わかりました、頑張ってきてください」

「……頼んだぞ」

ギルガメッシュはこそっと、王の財宝から、小瓶を取り出して一気に小瓶の中身を飲み干す

「あーれー」

「きゃー!ギルガメッシュさーん!」

(棒読み!?)

ギルガメッシュはそんな事を考えながら、倒れて行くと思いきや

「良し!成功した!」

そう、ギルガメッシュが飲んだ物は『魂と肉体を分裂!』と言う薬を服用したのだ、アーシアが抱きかかえているギルガメッシュの肉体は魂が抜けた器となっている、効果は10分だけ、その10分で彼は何をするのかと言うと

「ど、どうしました?」

さっきの男がアーシアに近寄る、ギルガメッシュはこの男の腕に眠る魂に用があったのだ

(アーシア、後は頼んだぞ)

ギルガメッシュはそう言うと、男の腕の中に入っていった

 

ーーー

 

「あれ?」

「どうしました?」

「いや……それより何処に運べば良い?」

「取り敢えず、ベンチに……」

男は違和感を覚えていた、その違和感は何かが入ってくる感覚、自分の物じゃない何かが入ってくる感覚に似ていた

男は気がつかない、原因は目の前の寝ている男という事に

 

ーーー

 

「これが神滅具の一つの中か……酷い世界だな」

ギルガメッシュは真っ白な世界を歩いていた

「ほう、覇龍に呑み込まれた連中もいるようだな……」

歩みを止めたギルガメッシュの前には暗い雰囲気を出し続ける連中がいた

「……あの程度の力も扱いきれんとは……」

ギルガメッシュはそう言って、歩み始める

「…………」

黙々とギルガメッシュは歩み止めずに進み続ける

「ここか?」

ギルガメッシュが次に歩みを止めたのは、燃え滾る炎の壁だった

「さて………」

ギルガメッシュは炎の壁に手をつけると、その壁を押す様に進んでいく、寧ろ、炎の壁がギルガメッシュを避けている様に見えた

「ここか?」

炎の壁を突っ切った先に居たのは一頭の赤き龍だった

「………ドライグ…だったよな?」

『その気配は………アルトリアか?』

赤き龍は目を開けた、龍はこちらを向くと残念そうに顔を伏せた

「悪いが我はアルトリア・ペンドラゴンではない」

『知っておるわ……しかし、何故だ……貴様から懐かしい匂いがする』

赤き龍は再び、顔を上げる

「彼女から預かり物があるからな」

『そうか、その預かり物はちゃんと持っていてくれ……それだけが、俺の願いだ』

赤き龍はそう言うと、ギルガメッシュの肉体が透け始めていた

「もう、10分か……」

『もう、行くのか?』

「ああ、また会いに来るかもしれんな」

『待っておこう、この世界は話し相手もいないから、つまらん』

「ハッハッハッ!何か面白い話でも用意しておこう」

『それではな……』

少し会話を交えるとギルガメッシュはその場から消えた

 

ーーー

 

「ハッ!」

「ギルガメッシュさん!大丈夫でしたか?」

「良かったな、アーシアさん!」

ギルガメッシュが目を覚ますと、二人の顔が見えた

「すまなかったな、アーシア……それと君は?」

「あっ、兵藤一誠と言います!」

男はぺこりと頭を下げる、礼儀は知っているようだ

「持病の貧血でね、こういう事もあるんだ」

勿論、嘘である

「確か…一誠と言ったかな?」

「は、はい」

ギルガメッシュはそう言うと、一誠と呼ばれた男は返事を返す

「今日はありがとう、これはお礼だ、取っておいてくれ」

「えっ!?」

ポンと一誠の目の前に置いたのは札束である

「ちょ!えっ!?」

「帰ろうか、アーシア」

「はい!一誠さん、今日はありがとうございました!」

「えっ!ちょっと!えぇぇぇ!?」

パニックになっている一誠を放っておき、ギルガメッシュとアーシアは帰っていった


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