「はぁ、暇だな……」
ギルガメッシュは家事を終えて街を歩いていた、李書文は門番の仕事だし、白音は学校だ
「仕方ない、公園で暇を……」
ギルガメッシュがそう言って公園を見ると、一人の少女が地面に突っ伏していた
「お、おい!君!大丈夫か!?」
ギルガメッシュは駆け寄り、抱きかかえる
「すみません、椅子か何処かに運んで下さい……お腹が空いて、一歩も動けません……」
「何も食べてないのか?」
ギルガメッシュが少女に聞くと
「私、旅をしているんですが…ここまで、お腹が空くとは思いませんでした…あのそろそろ、食べれるなら木の根でも齧って良いと思えてきました」
「げぇ!急げ!」
ギルガメッシュは少女を抱きかかえると、直ぐに最寄りのコンビニに向かっていった
ーーー
「美味しいですね!」
「それは良かった」
コンビニのサンドイッチやおにぎりを吸い込む様に食べる少女を見ながら、ギルガメッシュは少女の顔を見ていた
何処か見覚えのある面影、昔会った事がある雰囲気を感じていた
「誰だったか……あっ!」
ギルガメッシュは思い出した、農家の娘としてこの世に生を受け
神の啓示を受けて、フランス軍と共に従軍して、百年戦争で戦いに貢献、しかし捕縛されてしまい、異端者として、火炙りにされても神を信じ続けた救国の英雄、オルレアンの乙女 ジャンヌ・ダルクの面影を感じたのだ
「ふー……ありがとうございます、いつか、このお礼を…」
「いや、別に良い……それより君は金は無いのか?」
ギルガメッシュがそう言うと
「いやぁ……日本についたらお金が無くなっちゃって……」
えへへ、と力無く笑う少女を見て、ギルガメッシュはため息をつく
「日本には一時的に滞在するのか?」
「はい、日本の文化に触れようと思って……そう言えば、私はアーシア・アルジェントと言います、元々教会にいました」
「アーシア・アルジェント……確か、聖女と崇められていたシスターがいると聞いていたが」
「私の事を知ってるんですか?」
「ああ…と言っても、あれだな…我もあっちの世界の住人と言う事だ」
「ああ……そうでしたか、雰囲気が違いますからね」
ギルガメッシュは、アーシアと他愛のない会話をしていた
聞くと、少女は聖母の微笑と言う神器を持っており傷を癒す事が出来た、しかしある日に悪魔を見かけた、始末するべきと思ったらしいが彼女は逃した、その逃した所を見られたらしく、結果的に教会から追放されたらしい、しかし彼女の目に映ったのは今まで見た事のない物ばかりだった、教会の中で過ごし続けた彼女は未開の地に飛び込んだのだ、彼女は様々な所で手助けをした、時には汗を流して金を貯め、そして日本に来た、しかし金が底を尽き、空港から歩いて来たらしい
「何処で寝るんだ?金も無ければボロいホテルも泊まれんぞ?」
「大丈夫です!」
そう言うと、アーシアは色々なステッカーが貼ってあるキャリーバックからキャンプセットと寝袋を出す
「これがあれば、何処でも寝れます!」
このハングリー精神は何処で学んだのだろうか、とギルガメッシュは天を仰ぐ
「女子を外で寝させられるか、着いて来い」
「えっ?何処に?」
「我の家だ、部屋を貸してやる」
「いえ、迷惑ですし………」
「三食付きだが?」
「お世話になります!」
ギルガメッシュとアーシアは共に家に向かった
ーーー
その夜、ギルガメッシュは自宅の屋根で酒を呑んでいた
「…………」
そして今はギルガメッシュの手にある物は旗がある
「ジャンヌ・ダルク………」
彼の手にある物はジャンヌ・ダルクと共に駆け巡った旗である
「彼女に渡せと言うのか……」
ギルガメッシュは、彼女と会ってから、宝物庫の違和感を感じていた
、その違和感はこの旗が光り輝いていたからだ
「そうだな、我も感じていた……」
ギルガメッシュはそう言うと、旗を宝物庫に丁寧に直して酒を煽った