NARUTO~尾獣逆行伝~   作:風森斗真

11 / 12
投稿遅れました(汗
ようやく、学校編終了です。
次回から幕間的なものを挟んで、下忍時代に入っていきます。
なお、知らないストーリーとかは簡略するつもりですので、ご了承を。
その分、オリジナルでナルヒナ、サスサク成分を補充していければと(汗汗
なお、ハルトの使う剣術ですが、某神速の剣術流派を意識しています。
意識していますが、アレみたいなことはしません、というかできません。
重ねてご了承を。


学校卒業

 ハルトの提案で行われた鈴取り合戦から数日。

 アカデミーの卒業試験を合格したナルトたちは、卒業後についての説明を受け、班に別れ、担当となる上忍を待っていた。

 が、その間、おとなしく待っていられるナルトとキバではない。

 「しっかし、ナルト。お前よく合格できたな」

 「おぅ!……正直、これで落ちたらハルト兄ちゃんにあわせる顔がなかったってばよ」

 ナルトは苦笑いを浮かべながら返した。

 実際、ナルトは今まで三回、試験に落ちている。これは前の時代も同じだったのだが、あの時はチャクラを練ったとき、九喇嘛のチャクラが漏れ出て、コントロールを乱していたからだった。

 だが、今回は九喇嘛との修行と、九喇嘛自身が自分のチャクラが漏れ出ることを限界ぎりぎりまで抑えていたため、完璧な影分身を作ることが出来た。

 それこそ、イルカがかすかに涙を浮かべるほどに。

 「なんにしても、だ。俺たち全員が一緒に合格できたんだ。俺はうれしいぜ」

 「同感だ。なぜなら学校でも修行でも俺たちは多くの時間を共有した友だからだ」

 キバが照れ臭そうに笑う後ろで、いつの間に近寄ったのだろうか、シノがそう返し、ヒナタも無言ではあったが、顔をかすかに赤くして首を縦に振っていた。

 近寄ってこそ来なかったが、シカマルとチョウジ、そしていのも、ナルトとともに卒業できたことがうれしいらしく、かすかに笑っていた。

 むろん、精神世界の居候(九喇嘛)も、ナルトの合格を喜んでいるのだが、持ち前のひねくれた性格ゆえ。

 《けっ!当たり前だろうが。お前には最強の尾獣である儂がついとるんだ。この程度の障害、軽く乗り越えてもらわんと困るぞ》

 ――九喇嘛……もちっと素直になれってばよ

 ナルトに呆れた笑みを浮かべられながら、そう突っ込まれてしまった。

 が、九喇嘛は対して気にする様子はなく、そのままナルトに語り掛け続けた。

 《いずれにしても、ナルト。今後は儂の力を使わにゃならん場面にも遭遇するだろう……今夜、三代目(ジジイ)に頼んで封印を弱めてもらえ》

 ――おぅ!いよいよ、お前と一緒に戦えるんだな!!

 ナルトは、ニカっと笑いながら、九喇嘛に拳をつきだした。九喇嘛もまた、にやりと口角をあげ、鉄格子の隙間から自分の拳を突き出し、ナルトの拳と合わせた。

 すると、ナルトの体に九喇嘛のチャクラが流れ込んできた。

 ――ん?何したんだってばよ??

 《卒業祝いだ。儂のチャクラをほんの少し、分けてやった。今は封印されてるから限度はあるが……封印が完全に解放されればすごいぞ?》

 ――へへっ!サンキュー、九喇嘛。ありがたく使わせてもらうってばよ!!

 そういって、ナルトはさっさと立ち去って行った。

 その背中を見送り、九喇嘛は、さて、とため息をつき渡した分のチャクラを補充するため、再び眠りについた。

 

------------------------------------------------------------------------------------

 

 昼休みになり、ナルトたちは誰からとなしに屋上に集まり、それぞれの持参した弁当を食べていた。

 ちなみに、ナルトの弁当はハルトの手作りで、野菜炒めや雑穀米と言った、前の時代であれば無縁であったであろうものばかりだった。

 少し変わった内容の弁当に、ナルトの友であり好敵手であると誓ったキバは真っ先に反応し。

 「……うまそうだな、お前の弁当……」

 「……なんだってばよ?」

 「その野菜炒め、ちょっと分けてくんねぇか?」

 「僕も、分けてほしいかな」

 野菜炒めから放たれる香辛料の香りに、食欲を刺激され続けているキバと、もともと食欲の塊のようなものであるチョウジはナルトの弁当にくぎ付けとなっていた。

 が、その様子を面白くなさそうに見ていた同期の少女が一人。

 「……」

 ヒナタは、自分で作ってきていた弁当を、ただ黙々と食べていた。

 が、その視線の先にはナルトがいて、そのナルトはキバとチョウジから野菜炒めを死守することに必死で全く気付いていない。

 ついでに言えば、ヒナタの背後にはもう一つ、少し小ぶりの弁当箱があった。

 ――ナルトくんに食べてもらいたかったんだけどな……

 生来、内気な性格ではあったが、ナルトに影響されてか、自分の感情を、ほんの少しでも表すようになってはきたが、基本的に、悪口や他人に対して文句を言うような性格ではない。

 しかし、今回ばかりは、ハルトに対して、余計なことを、と思っていた。

 そのせいか、無意識のうちに白眼を発動させてしまっていたらしく、いつものやわらかな顔が険しいものに変わっていた。

 それに気づいていたいのは、恐る恐ると言った感じでヒナタに話しかけた。

 「ヒ、ヒナタ?あなた、さっきからなんでそんなに不機嫌なの?」

 「……え?私、そんなに不機嫌そうだった、かな……?」

 いのに話しかけられて、白眼を解除したヒナタはそう返した。

 どうやら、自分が不機嫌そうにしていたことに気づいていなかったようだ。

 その様子を見て、いのはにやりと笑った。

 「あんた、もしかしてナルトにお弁当、作ってきたとか?」

 「な……なななな、なんで、知って!!」

 「……まさか、図星?」

 かまをかけたつもりだったのだが、その反応から本当だということに気づき、いのは改めて問いかけた。

 対して、ヒナタはかまをかけられ、本当のことを話してしまったということに気づき。

 「ぁ……はぅぅぅぅぅ……」

 首筋まで真っ赤にして、頭から湯気を出し、うつむいてしまった。

 それと同時に、ナルトの悲鳴が聞こえてきた。

 どうやら、野菜炒めどころか弁当を丸ごとチョウジに取られてしまったらしい。

 弁当を奪われたというよりも、食欲の塊となったチョウジの素早さに負けてしまったことにショックを受けたのか、ナルトはがっくりと肩を落としていた。

 その様子を見たいのは、ヒナタを肘で小突いた。

 「ほら、今がチャンスよ。ヒナタ」

 「う……うん……」

 ヒナタは依然、顔を真っ赤にしながらうなずき、ナルト用に作った弁当を持ち、駆け寄った。

 幸いなことに、キバはチョウジを追いかけていたため、ナルトのそばにはいなかった。

 ヒナタが近づいてきたことを察したナルトは、落ち込んだ顔のまま、どうしたんだってばよ、と問いかけた。

 「ナ、ナルトくん……こ、これ、よかったら、食べて」

 「これ、弁当?ヒナタが作ったのか??」

 「う、うん……口に合うかはわからないけど」

 「いただくってばよ」

 にっこりと笑いながら、ナルトはヒナタからの弁当を受け取った。

 

-------------------------------------------------------------------------------------

 

 そのころ、第三演習場の森の中で、ハルトは一人の同い年くらいの少年と向き合っていた。

 ハルトの手には、一枚のコインが握られていた。

 「……いくぜ、リー」

 「はい、ハルト!」

 リー、と呼ばれた少年の声を合図に、ハルトはコインをはじき、腰にさした模擬刀に手を添えた。

 リーもまた、右手の甲をハルトに向け、左手を背に回し、構えた。

 チリン、とコインが地面に落ちる音がした瞬間、両者が同時に動き出した。

 「ハイィィィィッ!!」

 「セイッ!!」

 刀を鞘に納めたまま、リーの掌底を柄がしらで受け止めた。

 そこから、忍でなければ追うことはできないほどの速度での攻防が始まった。

 正拳突き、左回し蹴り、右回し蹴り。リーはそれらの攻撃をほんの数秒の間に連続で繰り出すが、ハルトは刀を鞘に納めたまま、柄と鞘、そして手刀を使って、それらをいなし続けた。

 しかし、リーの早すぎる動きについていけず、ハルトの体には徐々にダメージが蓄積されていった。

 「……くっ!!」

 ハルトはリーとの間合いを離れ、右手を柄にあてた。

 それが、ハルトの得意とする居合の構えであることは、リーも分かっていた。

 だが、その居合にも欠点は存在している。

 一撃必殺を想定している剣術であるが故に、一度、攻撃してしまえば次につなげることは難しく、それが大きな隙となる。

 つまり、一撃さえ回避してしまえば、こちらのものということだ。

 リーはそれを理解したうえで、最大速度で突っ込んでいった。

 刀の間合いに入った瞬間、ハルトは刀を抜いた。

 リーは引き抜かれたそれを回避し、一撃を加えようとした瞬間、側頭部と激痛が走り、その場に倒れた。

 "どちらかが倒れるまで"という制約で試合をしていたので、今回はハルトの勝利ということになった。

 「ほれ、大丈夫か?」

 「あ。ありがとうございます……一体、何が起こったんでしょう?」

 「簡単な話だ。単純に突っ込んできたお前の側頭部に柄がしらと鞘で同時にぶん殴った」

 抜刀術、いわゆる居合というのは、一撃必殺の技だ。

 それゆえに、一撃を放った後の隙は大きい。

 だが、葛葉流はその隙から次の一撃へいかにつなぐか、研究を続けてきた。

 その結果が、"無刃之太刀"という技だ。

 そこから派生したいくつかの技のうちの一つ、"無刃之太刀・梅花"は、向かってきた相手の側頭部を鞘と柄がしらで同時に殴りつける技だ。

 当たり所が当たり所なだけに、加減ひとつで相手を死なせてしまう可能性のある、"無刃"を謳いながら相手の命を奪う技でもあった。

 説明を受けたリーは、若干顔を青ざめながら、恐ろしい技ですね、と返した。

 が、すぐにその表情から一転。拳をつきだしながら、リーはハルトに高らかに宣言した。

 「次こそは勝ってみせます!!」

 「はははっ!楽しみにしてるぜ!!」

 ハルトはリーの拳に、自分の刀の柄を合わせた。

 リーは、忍にしては珍しく、体術に完全特科した忍だった。

 それゆえに、学校では"落ちこぼれ"のレッテルを張られていたのだが、体術だけで立派な忍になってみせる、と意気込み、ひたすらに努力してきた。

 その努力にほれ込んだハルトは、時々、こうして手合わせをしているのだ。

 「さてと。そろそろ帰るか……今日の晩飯は、ちと手の込んだものにしようと思ってっからな」

 「そういえば、今日でしたね。ハルトの弟の下忍就任式」

 「あぁ……ようやく、あいつの夢への第一歩が始まったよ」

 ハルトはまるで自分のことのように嬉しそうに、そして照れているような笑みを浮かべた。

 ナルトが出発する前に、卒業できたら、というよりもできるんだから、お祝いしなくちゃな、と宣言した手前、何も用意しなかったというのは、ナルトに反感を買うことになる。

 それだけは避けておきたいと思うハルトだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。