東方魔法録   作:koth3

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今回も魔法学校内ではなく外での行動です。


黒というスキマ妖怪

 とある霊山。荒倉山と呼ばれる山を黒は妖力を発しながら登っていく。学園の長期休みとなっている今だからこそこうして危険な山を登っている。この山はある伝説の舞台。そして伝説の通り大妖怪の住処。そんな場所を妖力を発しながら歩くのは土足で立ち入るようなもの。決して許されるものではない。だがいくら土足で踏みにじった者とはいえ警告位はする。

 

「っ!?」

 

 その結果、山が震えた。ただ妖力を黒めがけて放たれて。言葉にすれば簡単だが、山を震えさせるほどの妖力を放つなどそうそう出来ない。これは人間でいえばただ睨みつけたようなもの。それなのに、黒の頬に一直線の傷跡を作り上げていた。

 

 「ただ妖力を発しただけでこれほどとは。最強の妖怪の名は伊達じゃないという事か。いや、ただ単に彼女の力が規格外というべきか」

 

 垂れてきた血をなめ、黒は思わずこぼしてしまう。いくらなんでも格が違いすぎると。

 

 「それが分かっておるならさっさと主は元の居場所へ帰った方が良いぞ?」

 

 妖艶な声が黒の目の前から聞こえる。先ほどの規格外の妖力と全く同じ波長の妖力を垂れ流しながら彼女はいつの間にかあらわれていた。

 

 「驚かんのか?」

 「呪術にも優れるている事は知っているからね。おそらくはこの山の範囲ならどこからでも何処にでも転移できるだろうね」

 「正解じゃ。ならば、分かるな? 主はもう二度と逃げられんという事が。まあ、さっき言った通りこのまま帰るというのなら何もせんでも良い。しかし、帰らぬのなら主を蹴落とすだけじゃ。黄泉比良坂へ」

 「怖い、怖い」

 

 紅葉のように紅く染まった瞳、髪、そして緑色、黄色、紅色で美しく模様付けされている着物を着た額に短い角を持つ女性を見ながら黒は正直な感想を述べる。

 

 「ただ力があるだけではなく、歴史の中でも類い稀な妖術の使い手である貴方に命を狙われるとは」

 「そうか。なら死ぬ覚悟は済んでいるようじゃな」

 

 すぐさま黒は空を飛んだ。スキマを開かなかったのは正解だった。もし開こうとしていたらその時点で死んでいただろう。一直線に極光が黒がいた場所を貫く。

 

 「ほう、避けたか。人間の言うれーざーとやらなのだが、これを避けれるのは妖怪でもそうはいないぞ? 誇るがよい」

 

 それは何の冗談だろうか。もし、そのレーザーの過ぎていった後を見た人間ならこう言うだろう。『此処は紛争地帯か?』と。極光が過ぎた場所は何も残さずえぐれた地表のみがあり、周りの木は余りにも莫大な熱が近づいたことで自然発火してしまっている。もはやお世辞にもレーザーとは言えない。更に恐ろしいのがこれほどの破壊をまき散らしながら、彼女は一切本気を出してもいない。ただの様子見。それだけでここまでの被害を出す。これが最強の妖怪。そう呼ばれる鬼の力。力と耐久力ならこの妖怪を越える存在はそういない。

 

 「冗談が過ぎる。避けれないではなく、蒸発するの間違いじゃ?」

 「おお、そうじゃな。訂正しよう。大概の奴は此れで消えてしまうのでな。つまらんのじゃよ」

 

 久方ぶりの面白そうな妖怪に彼女の血が沸き立つ。その証拠にさらに妖力が荒々しく発揮される。

 

 「おっと」

 

 それを見た黒は懐から扇子を取り出して一振りする。紫から渡された扇子だが、幻惑しながら戦う際に術の基点を見破りにくくするために重宝している。

 発動したのは結界。場所を区切る。この山を少しだけ異界に変えて、どれだけこの異界を破壊しても現実の山には一切問題がないようにする。

 

 「結界か。儂は結界が苦手なのでな。少々羨ましいの」

 「その代わり、呪いと大規模な破壊力を持つ呪術を得意とするでしょうに」

 「確かにの。じゃが、隣の芝生は青く見えるというじゃろう?」

 

 豪快に彼女は哂い、黒は笑わない。笑う余裕が無いからだ。少しでも気を抜けば今にもこの首が胴体と枝分かれすることを理解している。先ほどから彼女の妖力は黒の首しか狙っていない。剣豪のような鋭利な殺気などではお世辞にも言えない。野生の動物ですら放たないほどの猛々しい殺気だ。

 

 「さて、わざわざ力を振るうても問題はないようにしてくれたんじゃ。久方ぶりの本気を出すとしようじゃないか」

 

 彼女から沸き立つ妖力はさらに膨れ上がる。今までは本気ではなかった。だが、今からは彼女の本気だ。

 

 「は?」

 

 しかし、その本気に黒は反応できなかった。いや、わずかばかりの反応はできたが。いつの間にか目の前に立っていた彼女がただ殴った。だが、注視していた相手に悟られないで接近など出来やしない。普通は。

 だが、此処に居るのは普通の妖怪じゃない。最強の妖怪の中でも現在最強と呼ばれる大妖怪。戸隠れにおいて鬼女となった伝説を持つ大妖怪。常識などでは決して語れない。

 彼女が立っていた場所は後ろに楕円形に大きくえぐれており、今もなお地盤の一部が吹き飛んでいる。

 地面が吹き飛ぶほどの加速から生まれた運動エネルギーに鬼の腕力で殴られた黒はただ吹き飛ぶしかない。

 

 「っが! ゴホ、ガハッ!」

 

 吹き飛んでいった黒は山に叩きつけられ、黒を中心とした深いクレーターに埋め込められた。ただ殴る。それだけでもこの威力。さらに笑ってしまうのがこれが妖力を一切付与していない、純粋な腕力で行われたということだ。

 指がピクリとも動かない。叩きつけられた衝撃で背骨の一部が折れたのか痛みすら感覚が得られなくなっていた。いや、そもそも生きていること自体が奇跡なのだ。叩きつけられた結果深いクレーター、百メートル以上すり鉢状に凹んでいる。この一撃で生き残れる妖怪はそう多くない。

 

 「予想外じゃの。これで体は砕け散ると思うていたのじゃが。存外耐久力があったようじゃ」

 「これでも、妖……力だけなら大妖怪。咄嗟に結界をはって直接……殴られるのだけは避けただけ」

 

 息も絶え絶えに黒は答える。朦朧とし、点滅する意識の中、ありとあらゆるシュミレートをしながら。そして、また動き出す。

 

 「なんじゃ、その気持ち悪い動きは?」

 

 まるで括られた人形のように。いや、傀儡子に操られる人形のような動きで黒はたちあがった。霊視能力が格別高いものなら見ればすぐに何をしたか分かるだろう。黒の体の至る所に糸が巻き付いており、その糸が体を動かしているという事が。

 

 「さあ? 少しは考えたら如何?」

 

 軽口を無理やり出して答える。激痛が走る体を無視して更に能力を使う。

 

 「おっ! 初めて見るの。何じゃその奇妙な空間は」

 『幻巣 飛行虫ネスト』

 

 のんきな声を聴きながらも幾つものスキマを今出せる最大速度で展開して、弾幕を射出する。その一撃一撃が地面をえぐり飛ばすほどの破壊力を秘めた弾幕。大妖怪といえどもまともに喰らえば軽くはないダメージを喰らう一撃。それらが飛び交い、主の命で彼女を狙って殺到する。

 

 「中々美しいの。しかし、だ。その訳の分からん空間を開くのが致命的に遅すぎる。その程度の初速では儂は倒せんぞ?」

 

 スキマが開いた瞬間には彼女は既に迎撃の用意をしていた。これがもし紫のスキマだったら間違いなく命中していただろう。しかし、このスキマを開いたのは黒。紫よりも速度がはるかに劣るスキマしか使えない。だからこそ、弾幕は殴られて意味もなくなる。鬼の規格外の怪力で殴られたことで弾幕が崩壊して妖力が飛び散るだけで終わってしまう。

 

 「これで終わりなら、止めといくかの」

 「安心してもらっても構わないよ。これ以外にもまだあるのでね」

 「ならば、見せてみろ。良い退屈しのぎじゃ」

 

 ある能力を黒自身に付着させる。この鬼に力負けをしないように。

 

 「鬼相手に格闘戦か? それは無謀じゃぞ?」

 「それは如何でしょうかね?」

 「っ!!?」

 

 先ほどの反対に今度は黒が彼女を殴り飛ばした。本来の黒の力では決してそんなことは不可能だ。ほかの妖怪ならいざ知らず、最強といっても過言では無い存在を殴り飛ばすなどは。しかしだ、今の黒の力は比類なき力。訳の分からない理屈のない怪力といっても良い。物理学や理から外れた怪力。故に何物もその力を受け止めることはできない。鬼の四天王の能力を使い、力だけを無理やり拮抗させているのだ。

 

 「いつつつ、これほどの一撃は早々見んな。数百年前のでえだらぼっちとの喧嘩を思い出すわ」

 「国津神の子孫と同じ位の一撃を痛いで普通は済ませられないでしょうに。まともに喰らって動けるなんてそれだけで降参したくなる」

 「なら降参するか? 其れだとお前の目的は達成できんぞ?」

 「おや」

 

 目を少し丸くしながら言う黒に対して彼女は笑いながら、

 

 「そう驚く必要はないだろう。妖怪を始め、神の間ですらお前の事は噂になっておるぞ。最近では河童もお前の言う幻想郷とやらへの移住を決めたとやら。東西問わず、ありとあらゆる妖怪を幻想郷へ招こうとしている所から考えて大方鬼も招こうとしているのじゃろう。その中でも鬼は力の強きものの願いなら簡単に断らない。じゃから、儂と戦い鬼との交渉を有利にしようとしたんじゃろうて」

 「正解。しかしそこまでばれているのなら何故貴方はわざわざ戦おうと? 妖力だけなら大妖怪級でも私は今のところ中級妖怪レベルなのですがね? 貴方のような大妖怪は誇りを汚されるといって断る可能性もあったのですが?」

 「面白いからじゃよ。幾年も過ごしてきたが、こんな大言壮語したのは早々おらん。そこが気に入った。だからお前の思惑に乗ってやったというわけじゃ」

 

 カラカラと笑いながら彼女は一歩一歩黒に近寄る。彼女の足取りは確かであり、一方黒は立つことすらままならない。今にも崩れても可笑しくはない疲弊のなか糸を支えに気迫だけで何とか立っている。

 

 「とはいえ、此処で儂程度に殺されるのでは大言壮語も嘘になるじゃろう。鬼は嘘を嫌う。故に、だ。此処で儂から生き残れるか試させてもらっておるというわけじゃ。じゃが、そろそろそれも終わりかの?」

 

 そう言いながら腕を後ろに回して、彼女は続ける。

 

 「惜しかったな。あの時、もしあの美しい妖力弾の展開速度が早ければ儂は負けていたかもしれんかったな。敗因はそこじゃろうな。主は自身の能力をきちんと理解しておらん。強大すぎる能力を持った者が多くはまってしまう落とし穴に主もはまってしまったようじゃの」

 

 落とし穴? そんなはずはない。能力の制御は確実に上昇して今では大妖怪との戦いでも問題なく使える。その何が問題なのだろうか?

 

 「何かを操って(・・・)あの奇妙な空間を作り出しておったようじゃが、本質とはずれておったようじゃな。だからどこまでもじゃじゃ馬のように上手く制御する事が出来ない」

 

 操る(・・)? そう言えばなぜ自分は境界を操路うとしたのだろうか? 自分の能力は境界を変える(・・・)力なのに。 

 

 ダメージから意識を失いそうになりながらも必死に留めて思考を開始する。今が最後のチャンスなのだから。今ここで何かを掴み取れねばただ死が待つだけ。それを避けるために黒はスキマ妖怪の持つ類い稀な頭脳を最大限に回転させる。

 

 そうだ。私が境界を操っていたのは紫のまねをしていたからだ。紫は境界を操る妖怪。変えることはできない。ならばそのスキマも空間と空間の境界を操った結果発生する。だが、自分は何だ? 同じスキマ妖怪といえども自身の能力は『境界を変える程度の能力』。操ることなど出来やしない。それを無理にしていたからスキマがうまく開かなかった?

 

 そこまで思考が回った時にはすでに彼女は腕を振るえば間違いなく当たる距離まで近づいていた。

 

 「さらばじゃ。主のような妖怪がまた現れると良いのだがな」

 

 後ろで回していた腕をその遠心力を利用して砲弾のように放つ。その拳はまっすぐ黒の顔めがけて飛び、中空で空振りするだけに留まった。

 

 「……何?」

 

 外れるはずはなかった。しかし、現に外れた。その事実に彼女は一瞬思考が追い付かなかった。

 

 『多重 十一次元の境界線』

 

 困惑する彼女の耳に静かに紡がれる声。その声に気が付いて上を見上げるとそこにはぼろぼろの姿でありながらスキマを開いてそこに腰かけている黒がいた。

 

 「そこか!!」

 

 一歩踏み出して今度こそ彼女は本当に驚愕してしまう。

 

 「何だ……これは?」

 

 目の前の見慣れているはずの山が変わっていた。いや、見た目は変わっていない。しかし、説明のつかない部分で根本的に、致命的なまでの変質が山になされていた。

 その結果、一歩踏み出して彼女が踏んだ落ち葉が燃え上がる。

 

 「ぐうっ!?」

 

 息をのむ。化かされているのかと一瞬疑った彼女だがそれはあり得ない。彼女とて呪術家として一流だ。なら幻術くらいすぐに見抜ける。だからこそ、これが幻術ではない事を認識する。

 

 「何が起きている?」

 

 踏み出した足が今度は下がる。その際に石を蹴り飛ばしてしまった。そして、その石がまるで岩のように重かった。

 もはや動くことすらできない。此処は彼女が知っている山ではなくなっていた。動いた結果何が起きるかわからない。ある程度なら我慢して突き進むこともできなくはないが、それは少々危険すぎる。

 

 「何をした! 小童!!!」

 「『十一次元の境界線』 これは単純明快。私が使える能力を最大限まで高めて境界を変えるだけ。境界が変わったものは元の物質ではなくなり、新たに与えられた境界の法則に従う。今ここは貴方が知る境界は一つもない。酸素は火を消して、河は上に登り、木は鋼鉄のように固くなった。そんな風に世界を変える。これこそが私の本来の能力の使用方法。間違っても境界を操るのではなく、境界を変える」

 

 それはもはや妖怪の範疇ではない。それは人が神と崇める存在でしか行えない。しかしその一点という制約はあれど黒は間違いなく神の領域に手をかけたのだ。

 

 「……くっ、くくく」

 

 肩を揺らしながら彼女は笑い出す。心の底から可笑しく、力の限り笑い出す。声だけで山全体が震えあがり、その強大な力を見せつける。

 

 「くははははははは!!!

 わしの想像以上だったか。大言壮語? 主では小言でしかなかったか! 

 良い良い良い!! 此処まで楽しめたのはいつぶりじゃ? もはや思えだせんわ!」

 

 強敵となった黒が嬉しく彼女は笑いを止められない。

 

 「しかしだ、お前がたとえ能力を完成させたとして、儂とお前の差は埋められんぞ? 儂はお前の一撃では傷つかん。しかし、お前は後一撃でも喰らえば肉体ではなく精神が耐えきれず死ぬ事になる。これを如何覆す?」

 「覆さないさ。私はね」

 「? 何? では如何するんじゃ?」

 「こうするだけ」

 

 空間に奔っていたスキマを閉じて黒は地表まで降りる。そして今日最後の能力を使う。

 

 「私の能力のもう一つの使い方にしてもっとも強大な使い方。『識る程度の能力』との併用で使えるようになるもの。あいにく初めての試みなので一度しか使えないが、貴方達鬼にとって最も懐かしく強大な力を使えば良いだけ」

 

 そして、その能力が使用された。その結果を見た彼女はすべてが吹き飛んだ。大妖怪の矜持も鬼の誇りも。ただただ自分が望む戦いを。そんな願望だけを抱えて。

 

 

 

 

 気が付いた時には山の面影など一つもなくなっていた。結界内に取り込んだ荒倉山に近くに有った一つ二つの山がなくなっていた。山は消え去り、川は埋め立てられ、空は赤く染まっている。

 そんな中を、ボロボロの姿の黒と、彼女は立っていた。

 黒は片腕が折れ曲がり、片足に至っては根元から千切れ飛んでいた。一方の彼女は、額から流れ落ちる血によって視界がふさがれ、腕の途中が握りつぶされていた。足からは今もなお引き裂かれた筋肉が見える。それ以外にも大きな傷、小さな傷は多々ある。しかし二人はそんなことも気にしない。彼女は鬼の腕力は支えきれず空回りしてしまうため使わず、黒は能力を使用する余裕がなくただ我武者羅に腕を振り回すしかなかった。

 一撃を相手が当てると今度はこちらが当てる。もはや泥仕合といっても良い戦いだった。それでもなお彼らは戦うのをやめない。今ここで止めるわけにいかないから。片方は鬼として、もう片方は自身の夢のため。

 

 「ハァ、ハァ、ング。これで最後としようか」

 「ぜぇ、ぜぇ。良いじゃろう。そうしよう」

 

 荒い息を付きながら二人は最後のために妖力を高める。なぐり合うのももう不可能になった。さっきの殴り合いでお互いの拳が限界を迎えて骨が皮膚を突き破っているからだ。これではいくら妖怪といえども殴れやしない。

 だからこそ、残りの妖力を全てぶつけ合う。相手の妖力弾を打ち負かした方の勝利。ただそれだけの単純な理論。それ以外の理論は今この場に入らなかった。

 最大まで高められた妖力。血のように赤い、夕焼けのように朱い、染まり切った紅葉のように紅い巨大な弾。全てを塗りつぶすかのように黒い、吸い込まれるかのように黒い、無を思わせるように黒い弾。両者が激突して、お互いを喰らおうとする。黒が赤を塗りつぶして、赤が黒を照らして。歪み、押し合いではじけ飛んだ妖力が辺りを無差別に破壊する。大妖怪級の妖力の衝突。それは無差別な大規模破壊兵器と同じ。しかし、この二人には当てはまらない。どちらもその得意とするものは妖力を使った術。だからこそ、この程度の被害。

 

 「おおおおおおおおおお!!!」

 「ぬううううううううう!!!」

 

 顔を苦痛に歪ませて、妖力をすべて使い切る勢いで消費していく。妖力を支えている体は限界を超えての酷使に悲鳴を上げて破裂していく。

 そして、その結果。

 

 「負けじゃのう」

 

 赤い弾は黒い弾に塗りつぶされていく。

 

 「くくく、まさか負けるとはの。良い良い、久方ぶりに楽しめた」

 

 黒い弾が彼女を飲み込み、吹き飛ばした。

 しかし撃った黒もまた限界を迎えて崩れ落ちる。そしてそのまま意識を失って倒れ伏していった。目の前に存在する影に気が付かず。


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