舞い降りた一羽の黒い鳥   作:オールドタイプ

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IS学園の傭兵
5羽 戯れる黒い鳥


 なんともまぁ、慌ただしい場所なのだな学園ってのは……

 

 オリムラとの模擬戦から一夜明けた今日。IS学園は入学式を迎え、新入生……新しく学園に入学することになった人間で通路は溢れ帰っていた。大勢の人間が集まるのは何ら不思議なことではないが、やはりというか、ISが女にしか操れないせいで、学園に入学できるのは女だけ。よってこの場にいるのは俺を除き全員女。

 異様なこの光景に放り込まれている俺を、女共はひそひそ話を影でしながら、怪訝そうに俺を見つめる。女共からすれば、何故男がいるのか?と場違いな気がしてならないのだろう。女共がどんな目で俺を見ようが、俺は生徒ではなく、あくまでも通常時は職員の立場にある。それも生徒とはあまり関わりのないポジションの職員だ。

 それよりも、この学園は男の職員すらまともにいないのか?さっきからすれ違う職員も全員女だ。今この学園の男は、俺とギヨームとオベールとグスタフとコアルドだけなのか

 

 俺の持ち場まで、学園内の通路を歩くが新入生同士で親睦を深めるためにグループで会話をしている連中が、俺の姿を見た瞬間に一斉にバラけ、通路と通路の端に別れ真ん中だけが空いた状態の、変な道を作り出していた。

 

 …………あと少しで俺の持ち場なのだが、ここまで注目されると入りづらい上に、俺の普段の居場所を特定されかねない。態々自分から面倒事を増やすことはない。暫くの間時間を起き、生徒共が授業とやらを始めた時に持ち場につくとしよう。

 

 作り出された道を敢えて通らず左折し、公舎の外に出た俺は一人歩いていく。ドアから女供が顔を出し、除き込んでいるが気に止めずひたすら歩く。目的地はない、取り敢えず校舎からある程度離れれる場所に向かって適当に歩く。

 

 しばらく歩くと、校舎から大分離れた所の海辺へとたどり着いた。ここなら女供もいない。ここで少し待機しておくとしよう。

 

 俺は胸ポケットから煙草を取り出し、火をつけ吹かす。煙草は自分を落ち着かせる為にたまに吸っていた。RDやロザリィ、フランからは不評だったが……溜め息をつき、大空に目を向ける。何処までも続く青く広大な大空を見ていると、ここが俺の居場所ではないことを思い知らされる。俺がいるべき場所は、あの荒廃し、争いの絶えないあの世界だ。こんな争いとは無縁な場所ではない。

 前の世界に未練がましく感じるが、それ以外あの世界に対して思うところもない。フランやロザリィに会いたいわけでもないしな。ただ、俺にはここが相応しくないだけだ。こんなよくわからん動きづらいスーツとやらを着なくてはならないのもな。

 今の俺の格好は、学園職員としての正装のスーツとやらをオリムラから渡され、着ている状況だ。こんな服着たこともなければ見たこともない。俺は対Gスーツで良いと言っていたのに、オリムラや他の連中が認めなかった。着方を知らない俺は女供に着付けられ、着こなしまで手取り足取り教えられる羽目になった。……屈辱的だ。

 

「こんな所にいたんだ。学園の敷地内は全て禁煙。煙草を消しなさい」

 

 一人空を眺めながら黄昏ていると、女が一人近付いてきた。格好から生徒ではないことはわかる。それにどこかで見たことのある顔だ。はて?どこで会ったか……

 

「その顔は覚えていないわね……あんたの日本語担当教師の『アンジェリカ・ベクレール』よ!覚えていなさいよ!一体何回顔を合わせてはあんたのために教鞭を振るったと思っているの!?」

 

 あー、そういえばそんな名前で日本語を教えてくれていた奴だったな……オリムラと比べて印象やインパクトが少なかったから忘れていた。

 

「本当に失礼な奴ね!やっぱりあんたは気に食わないわ!」

 

 何を一人でキーキー言っているのか……ヒステリックな女なのか?俺に対しても偏見の塊をい抱き込んでいる。よく知りもしない相手を偏見だけで判断するのは悪いことだ。

 

「もう授業は始まっているから、あんたもさっさと戻りなさい。図書室の司書でしょあんた。早く戻って図書室の全容と司書の役割の把握でもしてなさい」

 

 俺の職員としての持ち場は図書室とやらで、司書とかいう役割を担うことになった。なったというよりは、自分から望んだのだがな。他にも幾つか候補はあったが、この世界の他のことに対する興味が微弱ながらある。暇潰しも兼ねて、司書とやらを選んだわけだ。

 図書室がどんなものか、司書がなんなのかは知らないが、学園側が用意した候補の中の一つだ。何も知らない俺にでも出来る簡単なことなのだろう。

 

 煙草を消した俺は校舎へと戻っていった。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

 クソッ!何が簡単な仕事だ!とてつもなくめんどくさい作業じゃないか!

 

「あー、それそこじゃない。こっちこっち」

 

 更に一人ではなく二人体制。当然もう一人は女。これでは気楽にのんびり過ごすことができない。何よりもこの図書室とやらが広すぎる。あり得ない広さに膨大な本や資料の数々。司書とやらはこれら全てがどこにあるのかを把握していなければならないそうだ。

 正直やっていられない。こうしてもう一人の女にこき使われるのなんか真っ平ごめんだ。おまけに場所の把握は出来て当たり前で、他にもまだ仕事が沢山あるそうだ。

 

「はい、ご苦労さん。取り敢えず初日だからそんなにやることもないし、まだ忙しくなる時間でもないから好きに過ごしといて。あっ、机の上に置いてある紙に司書としてやることを簡単にまとめてあるから目を通しておいて」

 

 1,図書の整理整頓

 

 2,図書の選定と発注

 

 3,利用者の質問に答える

 

 ……整理整頓は今さっき俺がした、元の場所に戻すといったことだろう。選定と発注は図書を俺達が選び、外部の企業にでも発注するのだろう。ただし、ただ選んで発注するだけではないはずだ。恐らく、学園に相応しい物かどうかを選定してからの発注になる。学園の基準は知らんが、発注する前に候補に上がった図書を一度読んだりしなければならないのかもしれない。その上で発注。

 最後は利用者からのどんな質問にも答えれるような知識を身に付けろということだろうか?つまりは、ここにある全ての図書の概要を覚えていなければならない。その為には、ここにある図書を全て読破するぐらいのことをし、それでいて読破した内容を覚えてもいなければならない。

 どうやら司書とやらは、果てしなか地味な仕事なのだな。何も知らない俺は多くの知識に触れる機会が訪れたのだから、遣り甲斐はあるのかもしれないが、めんどくさいことに変わりはない。面倒なことはあまり好きではない。それこそ作戦にしてもそうだ。一つの作戦に時間を掛けたくはない。早く終わらせればそれだけ弾薬を抑え、機体の破損も防げる。

 

「あら?なんとなく把握は出来た?」

 

 コクコクと女に対して頷く。

 

「昼休みから放課後にかけて忙しくなるから、それまで自由にしてていいわよ」

 

 女は再び本と本の狭間へと消えていった。

 

 自由にしていても良いと言われたが、いざ自由となるとこれといってやることが見付からない。本の方を読もうとは思うのだが、どれから手を着けたらいいのかわからない。そもそも日本語はまだ全て読めないから、俺の解る言語の本を探さなければならないのだが、それがどこにあるのかもわからない。探している内に混乱してきそうなほどの数があるため、迷いそうだ。

 女を呼ぼうにも、どこにいったかわからない。何か女を呼ぶようなものがあればいいのだが……

 

 そんな俺の目の前に一つのボタンのようなものがあった。金色に光っているそのボタンを試しに押してみた。ボタンを押すと、ピンポーンと音がなった。一体何の音なのか首を傾げながら、再びボタンを押す。又もやピンポーンと音がなった。試しに連打してみた。

 

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

 

「あー!うるさい!そんなに連打しなくても一回で来るから!?」

 

 先程の女が飛ぶようにしてやってきた。どうやらこのボタンは女を呼ぶためのボタンのようだ。困ったらこれからこのボタンを押して女を呼ぶことにしよう。

 

「で?どうしたのさ」

 

 俺は自分が読めそうな本は何かないかと女に尋ねてみた。なるべく難しくないやつを。

 

「あなたが読めそうな本?ちょっと待てて」

 

 女はそう言って何処かに行ってしまった……ボタンを押して待っているか。

 

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

 

「だーかーら、止めなさい!ほら、これならあなたでも読めると思うわよ」

 

 女から本を受け取り、一ページ目を開き時間が許す限りこの本を読むことにした。本はそこまで分厚くはなく、ページ数も然程多くはないため疲れることもないだろう。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

 気が付けば俺の周りには本の山が出来ていた。女から最初に渡された本は、シリーズものらしく一つを読み終えたら続きに手を出していた。ここまで夢中になったのには理由がある。本に出てくる人物と兵器が俺の知っているものに似ていたからだ。

 世界の状態こそは違うが、主人公は『傭兵』で傭兵は自分達が暮らす『地下世界』の中で雇われ、多くの実戦を積み、成長し、やがてその世界で畏れられる存在となっていた。最後は地下世界そのものから人類を巣立たせたところで物語は終わっている。その主人公が操縦する兵器がまるでACのようであった。複数のパーツを自分の好みと相性で選択し、機体を構築していく。主人公の心情や描写はあまり触れられてはおらず、第三者視点で基本物語は進められていた。

 

「その本が気に入ったの?」

 

 共感ではないが、親近感は覚えた。

 

「そう。あなた本を読んでいる間凄い真剣な顔をしていたわよ」

 

 真剣だと?読んでいる最中は集中しすぎて表情や他のことは頭になかった。意識している時でさえ、真剣な顔をすることはそうないのだが、無意識だと自然にできるのか。

 

「あなたのように真剣に本を読んでくれる人が減ってきているから、本を愛する私からしては嬉しいことよ」

 

 俺でさえ夢中になって読むのだから、この世界の人間にとっては普通ではないのか?

 

「残念ながら普通ではないのよ。子供の内は誰もが目を輝かせ、夢中になって本を読んでいたのに……」

 

 意外だな。これだけ面白味のあるモノに手をつけなくなっていくのが。俺にとってはここは未知が詰まった不思議な場所だ。俺の知らない知識ばかりでお宝のようでもある。

 

「だからこそ今の時代心が荒んだ人が多いのよ。道徳心を養えず、『女尊男婢』といったバカな考えも生まれるのよ」

 

 女尊男婢……委員会の連中が言っていた、『ISを操れる女こそ至上の存在』の風潮か。俺からしてみれば『只の兵器』を操れるだけで何が良いのやら……所詮ISなど兵器から脱却できぬ存在。それだけで世界が転覆するわけでもなかろうに。

 初めて女尊男婢を聞いたときは耳を疑った。そんなアホ臭い考えが蔓延っているのかと。数も高々467機。この広大な世界でたったのそれだけで、操れるのは一部の人間で、他はあくまでも可能性があるだけ。生産も事実上不可能、使用にも制限付き、そんな運用しづらいもので天狗になるのは可笑しな話。委員会の連中も『下らない考えは下らない連中にさせておけばいい』と言っていたな。正にその通りであり、俺もISを使えるがそれをどうこうしようとは思わない。

 

「私は女尊男婢に反対的なの。だからここに来る生徒にはもっと沢山の本を読んでもらって、心を養って教養を身に付けて貰いたいのよ。そうすれば、その子達が今後の日本を背負えば、そんな風潮もなくなるわ。勿論ここに来なくても学園に所属する生徒全員にも同じことを言うわ」

 

 一度染み付いた『汚れ』はそう簡単には落ちないだろう。人間全体の考え方が変わるには相当な時間を必要とする。焦らずじっくりと気長に待つことだな。幸運なことにこの世界は、今のところ破滅とは無縁だからな。

 人間の時間は有限なれど世界の時間は無限に等しい。例え自分が生きている間に成し遂げれなくとも、足跡を残しておけば跡を追ってくる者も出てくる。

 偉そうな俺はどうなのか……俺はあの世界に残した足跡は一体どんな足跡だったのかはわからない。俺は何もかもを破壊し尽くしてきた。それこそ足跡など残らないほどにな。

 

「……唐突だけどあなたの事を聞かせて貰ってもいいかしら?」

 

 本当に唐突だな。どういった風の吹き回しだろうか。聞かせて貰いと言われても、俺が違う世界の住人といったところで信じてはくれまい。頭のイカれた男と受け取られるのが関の山。

 

「これから共に働く仲間だし必要なことだと思うけど?」

 

 さて、どのように答えるべきか。素直に全部話すか?いや、話がややこしくなる。俺の身の上は言葉を濁して伝えた方が良さそうだ。学園中に俺のことが広まるのも避けたい。それに俺は傭兵。人に誇れるような人種でもなければ、慕われる存在でもない。

 

「じゃあ、簡単な質問形式にするわね。名前は?」

 

 ……名前はない。いや、『今は』レイヴンだったな。

 

「レイヴン……いい名前ね。出身は何処?」

 

 ……出生や出身については良く知らない。

 

「……家族はいないの?」

 

 知らない。

 

「……歳はいくつ?」

 

 だいたい20前後だろう。気にしたことはない。

 

「日本にはいつ来て何しに来たの?」

 

 ほんの一週間前。気がついたらここにいただけだ。目的があって来たわけではない。

 

「……チャイムを何回も押していたけど、もしかしてチャイムを初めて見たの?」

 

 チャイムというのかこれは?生まれてこの方チャイムなるものを見たことはない。チャイム以外にもこの白い棒状のものはなんなんだ?先端が平べったくなっているが、用途がわからん。ここだけでも見たことがない物で溢れかえっている。そもそも図書室でさえ初めて訪れた。

 

「……そう、わかったわ。話してくれてありがとう。知らないことだらけで大変かもしらないけど、頑張って覚えていきましょう」

 

 礼を言われる程のことを言ったつもりはないのだが、……まぁ、いいか。

 

 女は俺にそれ以上何も聞こうとも追求しようともしなかった。解答に困る質問される心配がなくなったのは此方としても有難い。

 

「生徒達が昼休みに入る前に先に食事を済ませましょう。レイヴンはお弁当持っているの?」

 

 何も用意していなかった。適当に食堂で済ませることにしよう。この時間なら生徒も来てないことだから、ゆっくりと一人で飯を食うことができる。

 

「分かったわ。それじゃあ30分後に戻ってきて」

 

 分かった、30分後だな。そうと決まればさっさと昼食を済ませることにしよう。時間も限られていることだし。

 

 俺はさっさと昼食を済ませるべく、食堂へと急いだ。……女の名前聞いていなかったな。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

「で?なんでお前がここにいる?」

 

 現在位置は食堂ではなく、学園の職員室。オリムラの机の前だ。職員室内にいる教師がチラチラと俺とオリムラの二人をチラ見してくる。俺は気に止めないがオリムラは気になるようだ。

 質問の解答だが、食堂に向かって食券なるものを買うところまでは良かったのだが、そこで問題が起きてしまった。金が無かったのだ。今日まで手当たり次第に自動販売機とかいう物で飲み物を買い漁っていたから、オリムラから渡された金が切れていたのだ。自動販売機も一つ一つ形や備えられている飲み物が違うから、試しに全種類を買っていたからな。予め渡されていた金額も多くはなかったし。

 

「それで金を借りに来たわけか……もっと金額を渡しておくべきだったな」

 

 そうだ。だから一食分借りに来たのだ。他に頼れるような奴がいない。あの6人にはまだそこまで信頼を寄せていない。

 

「無駄な世話を掛けさせるな」

 

 オリムラから1000円を受け取り職員室から俺は出ていった。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

「{ちょっとあなた!何処を見ていたのですか!}」

 

 食堂に戻ってきたのは良いが、既に食堂は生徒達で一杯になっていた。時計で時間を確認すると丁度12時。職員室までの道を迷わなければ、ここまで時間が掛かることもなかっただろうに。約束の30分までもう10分もない。食堂で昼食をとるのは諦めて、パンでも買っていくか。

 さっきから喚いているこの女。日本語で喚かれても通じないから何を言っているのかも解らない。それに女の方からぶつかってきたのに、俺に難癖をつけてくる迷惑な女だ。相手にするだけ無駄だから無視している。

 

「{何か言ったらどうですか!?}」

 

 悪いのはそっちなのに俺に謝罪を求めるのは悪質極まりない。この手の輩はこっちが下手に出たら付け上がる。無視する以外に対処法はない。……力付くで黙らせることもできるが、仕事以外であれを乗り回すつもりも、戦闘行為を行うつもりもない。

 

「{つくづく男性と言うのは失礼な方ですわ!}」

 

 ひたすら無視されたことが癪だったのか、金髪の立てロールの女は怒って何処かへと去っていた。

 

 一体何なんだこの学園は?変人が多いのではないか?

 

 また面倒なことに巻き込まれる前に、パンを5つ買い逃げるように食堂を後にする。去り際に黒髪の男が視界に入ったが、どうでもよかったためそのまま去っていく。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

「丁度いいタイミングで戻ってきたわね。あなたは借り出しの応対をして」

 

 図書室に戻ってくると、図書室は大勢の生徒で埋まっていた。本を読む人間が減ってきているといっていたが、中々いるじゃないか。

 借り出しに来た生徒の学生証と本を受け取り、紙に記入していく。生徒が借りている本の殆どがIS系統の本であるのは何か理由でもあるのか?

 

「ふぅ……やっと落ち着いたわね」

 

 昼休みが終わりに近付くと、図書室を利用する生徒達の数は一人また一人と減っていき、13時になる頃には図書室には俺達二人以外誰もいなかった。

 

「うーん、中々借りてくれないわね」

 

 何が不満なんだ?利用者もそれなりにいて、本もそれなりに借りていっていたのに何処に不満があるんだ?

 

「あなたも気付いたでしょ?利用した生徒の過半数がIS関係の本ばかり借りていって普通の本は借りていっていなかったのを」

 

 確かに大多数の生徒は、IS系統の本ばかり。若干名普通の本も借りていたが、人気は圧倒的にISの方が上。時代がIS中心になってしまっているのだから、仕方がないところもある。

 

「多くの生徒が、図書室を利用してくれるように学園が授業や課題の内容を、図書室にある本から出して利用者の数を増やす試みをしてくれているのは良いけど、いい成果は得られてないのよね」

 

 目当てが課題や授業に必要な本だからな。どうしても目が向くのはそっちになってしまう。

 

「そんな取り組みをしなくても、利用者が増えればいいのにねぇ」

 

 ここから放課後まで特に忙しくなるわけでも、学園に問題が起きることもなく、時間だけが過ぎていった。折角だから、俺は午前中に読んでいた本の続きを読みながら一日を終えることにした。




現状黒い鳥は戦闘以外は、現代社会不適合者です。

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