アンジーって歴代のオペ子の統合なんじゃないのかな?
ゾディアック達が優れたパイロット達のクローン体の更に優れた個体であるのと同様に、アンジーもかつての優れたオペレーターのクローンの統合な気がする。
自分の元から去っていた主人公達の後任のパイロット達を何人もサポート、何よりイレギュラーな主人公達を間近で見ていたオペレーターに目をつけた連中がそれらの良いところ(戦闘のアシストのみ)だけを抜き取ったのがアンジー。
『変わってしまった』ということはオペレーターとしてゾディアックの元となる人物達と接していたからではないのかと妄想した結果こうなった。
ただし、歴代のオペ子という時点でV世界がループものだという妄想が前提の妄想。
またゾディアックも企業とは別のタワーに眠っていた別の存在なのかも。複数あるタワーに眠っていたゾディアック。どれだけ眠っていたのかは不明で保存状態も悪かったから色々と破損。それをたまたまミグラント活動している企業が発見眠りから覚まし、解き放つ。
後の死神部隊とは似ているが関係性は特にない。違うプロジェクトだから。
みたいな妄想。
後は主人公機に大型兵器などのスキャン情報があるのも、かつての戦争で対峙済みだから?
『かつて戦争があった』みたいな世界観だし、共通点があるからの妄想。ブレイクブレイドも近いし。
あと女主人公だったらMADLAXみたいなのかなー
「フンフンフン~♪」
意気揚々に鼻唄を交えながら、無数に散乱している用途不明な機器やケーブルに囲まれながらコンピューターのキーボードを叩いている女性。
人は彼女を天才若しくは天災と呼ぶ。傍若無人、破天荒、型に収まらない彼女は常に常人の常識では理解できぬことを平然とやってのけてしまう。それが『善であろうが悪であろうが』。
「束様、朝食です」
「待ってましたぁ!」
キーボードから手を離した彼女はクルリと、座っていた椅子を回転させ勢いをつけ床に足をつける。その際に幾つかの機器が踏み潰されてしまったが特に気にする様子はない。強いていうならば、機器の潰れた時の音と足に感じる感触に不快感を覚えたぐらいである。
しかしそれも銀髪の少女が運んできた朝食の香りを嗅ぐことで消え失せていた。
「ほほぉ、今日はクロワッサンとサラダなんだねくーちゃん」
「シンプルに焼き上げてみました。コーヒーもどうぞ」
両目を閉じている銀髪の少女は手頃な机を見つけると、机の上に散らかっている軽機材等の小物を隅にどけ、トレイに乗せていた朝食を順番に置いていく。
「作業は順調そうですね」
訳あって両目を閉じている銀髪の少女クロエは目を瞑っている間は当然何も見えていない。天災な篠ノ之束の表情も室内の状態も。それでもクロエには彼女の感情を言葉から察することが常人よりも長けている。室内の状態も他者からの説明などから空間を認識し、どこに何があるのかも把握することができる。外においては音などの情報源を頼りにしている。
「この束様の手にかかれば、ちょちょいのちょいなのだよ。このままいけば臨海学校? だったかには間に合うね」
クロワッサンをかじりながら、篠ノ之束は横目で後方の培養液のような液体が詰められているカプセルに目を遣る。中にはフレームなどが、紅色にカラーリングが施されている一機のISが収められている。名は『紅椿』。天才である彼女のたった一人の妹である篠ノ之箒のために彼女自らが手掛けている機体。曰く妹への姉からのプレゼントである。
「箒様もきっと喜ばれると思います」
篠ノ之束の相席に座ったクロエも自身が手掛けたサラダとクロワッサンに手をつける。皿に丁寧に盛り付けられているサラダだが、トマトや胡瓜などの野菜の大きさが一口サイズであったり、極端に大きかったりとまちまちとなっている。
「なるべく早く仕上げて早く渡したいよ。少々箒ちゃんを取り巻く状況が芳しくないからね。あの男が箒ちゃんに悪影響を与えているのは明確」
「そんなことがわかるのですか?」
「私の箒ちゃんセンサーがよろしくない反応を示しているのだよ」
篠ノ之束の頭につけられたカチューシャ状のウサミミがしなっている。曰く篠ノ之箒用のセンサーでもあるらしく、離れていても篠ノ之箒の健康状態等の内面上の事情も把握することができるらしい。プライバシー無視もここまでくるとかえって清々しい。それがしなっているということは篠ノ之箒が何らかの負の感情を抱いていることになるらしい。
あの男。他者を認識しない篠ノ之束も無視することが出来ない存在となっている彼。そんな彼に好意とは正反対な感情を寄せている篠ノ之束は、彼が篠ノ之箒に悪影響を与えていると思い込んでいた。
「特別何かしているようではないけど、その存在自体が悪影響なんだよね。ぶっちゃけ、あれは私達とは違う部類だし。さっさといなくなってくれたほうがいいのに」
「また以前のように仕掛けるのですか?」
篠ノ之束が手を汚すことに否定的なクロエは乗り気ではない。
クロエはかつて自分を拾い上げてくれた篠ノ之束には、言葉で現しきれない程の感謝をしている。それ以降忠義を誓い、彼女の味方となり与することとなったクロエだが、自分の恩人が誤った道に転げ堕ちてしまうのだけは避けたく、思い止まらせようと考えているのである。
「ちーちゃんの目があるからおいそれと実行することができないんだよね。だから先に紅椿の方を仕上げるよ」
くるくると手に持つフォークを回しながら篠ノ之束は言葉を続ける。
「私の描くビジョン、筋書きから大分逸れがちだからなんとかしないとね」
レイヴンというイレギュラーが現れたことで篠ノ之束は少なくとも計画の幾つかを延期若しくは変更していた。
「まぁ、そのために『連中』に『手を貸した』んだけどね」
篠ノ之束が指す連中とは特定の個人、グループではなく幾つかのモノを指していた。自らの障害となるものなるべく可能性があるものを排除するのならば、いかなる手段をこうじることも辞さない。例えそれが『同じイレギュラー』や『テロリスト』や『自分を利用しようとする輩』であろうが。
「『彼等』にISを譲渡したのはどういったことなのですか?」
「連中の一人に女? みたいなのがいたから扱えるかな? と思って渡したんだよ。まぁ、あとは連中と接触してISがどうなるかも知りたいしね」
彼等と直接顔を合わせて手を貸したのではなく、篠ノ之束のネットワーク技術を駆使しての遠隔によるものである。よって篠ノ之束も彼等の素顔は知らない。特に知ろうともしていなかった。
「ACとISの融合ですか?」
「どんな科学反応が起きるか楽しみだけど、物理的な融合は無理だからISによる自己進化に頼るしないね」
天災と呼ばれる篠ノ之束であっても未来技術の塊であるACの複製、解析は不可能であった。ゴーレムが持ち帰ったデータの実に5割も理解できていなかった。何故あれほどの質量兵器が実在するのか。などIS学園側と同様の謎に頭を悩ませることとなっていたのだ。
「実はACとの接触によるISの変化には実例があるんだよ。どっかの国が連中の一機を捕獲しようとISを投入したんだけど結果は惨敗。ISも大破。コアは無事だったからネットワークから戦闘データーをサルベージしたら、ACのことを意欲的に取り入れようとする試みがISにあったんだよ」
「IS自らがですか?」
「そっ。まぁ、そのISのデーターは消去したけどこのことから私はACがISに与える影響は大きいことに気づいた。政府のバカ共もそのことに気づいて捕獲に乗り出したのかもしれないしね。上手くいけばACの戦闘力を元に成長するかもしれないからね」
ISには自己進化機能が搭載されている。操縦者と関係が密になり、多くの経験を積ませることにより成長を遂げる。そのことから、ACと接触させ貪欲までにもACのことを取り入れ、力の増大を図ろうとしているらしい。上手くいけば捕獲。失敗してもコアさえ残っていればACから学習が可能。
「もしそれが切っ掛けでISが更に軍事利用されてしまえば、束様の夢から更に遠ざかってしまいますが?」
篠ノ之束が世間から表舞台から姿を眩ましたのも、自身の夢から遠く離れることとなってしまったISとそんな世界に嫌気がさしたからである。彼女をそうさせてしまった切っ掛けを更に増長させる動きを見せることにクロエは疑問を感じられずにいたのだ。
「だからこそだよ。私の夢から離れたISなんて要らないから勝手に強くなって勝手に潰れてくれるのを願っているんだよ」
普段からクロエに見せる笑顔と変わらない笑顔で、さも平然とそう告げる篠ノ之束にクロエは少し悲しくなった。軽い言葉の中には篠ノ之束の本心が込められると理解してしまっていることで悲しさは倍増。そこまで世界に絶望してしまっている篠ノ之束。
彼女もまた他人からは理解されない存在。いや、他人が理解しようとしないだけである。人よりもただ優れていた。それだけであり、夢を歪められてしまっただけの一人の人間。
「そうだよ......勝手に潰しあってくれればいいんだよ。私やちーちゃんや箒ちゃんやいっくんやくーちゃんとは関係のないところで。だから連中にあの男の情報を流したんだよ」
束が挙げた人名の中に自分の名があることに感激しているクロエだが、素直に喜ぶことができない気難しい気分になっていた。
「あの男自体も謎だからね。いっくんと仲良しこよしで過ごしているかと思いきやあの銀髪ロリが暴走したときには姿を現さなかった......何を考えているのか謎だよ」
IS学園で行われたタッグマッチにおいて、ラウラ・ボーデヴィッヒィの専用機シュヴァルツァ・レーゲンが暴走し、大会を中止に追い込んだ。
機体に搭載されていたVTシステムによる搭乗者のラウラ・ボーデヴィッヒィを乗っ取っての暴走である。
VTシステム......かつてのモンド・グロッソ世界大会において織斑千冬の戦闘データーをISに組み込みパイロットを問わずに再現するという代物。このシステムがあれば、誰でも織斑千冬並の戦闘力を得ることができる。この事実からVTシステムの開発研究を世界中で全面的に禁止されていた。これは試合の公正性を害わせるというのであるが、それは表向きの理由。実際は織斑千冬の戦闘データーを持つ国家が限られており、保有国の戦力増大を未然に防ぐために国家同士が提携し先手を打ったことが裏の理由でもある。
そしてドイツはたまたま、偶然持ち合わせていた。それを実験的にラウラ・ボーデヴィッヒィの専用機に搭載していた。遺伝子強化試験体。モルモットととしての意味合いが強い彼女の不幸な出生が起因しての出来事であった。
ドイツ側もよもやこうも簡単にVTシステムのことが明るみにでるとは想像もつかなかっただろう。ドイツの誤算は予想以上にラウラ・ボーデヴィッヒィが織斑千冬のことを陶酔しており、力を求めていたことを配慮していなかったこと。結果ドイツがVTシステムを研究開発し、保有していることが他国ひいては国連の常任理事国に知れ渡ることとなった。
篠ノ之束もデーターとはいえ、自分の友人が利用されていることには憤怒。システムそのものの不出来さから『不細工な代物』と罵り、研究開発を行う研究所に鉄槌を下した。
とはいえ、篠ノ之束がこうまでもご立腹になったのは友人が利用されていたからだけかもしれない。もしシステムに使われていたのが織斑千冬でなければ篠ノ之束も何もしなかったのかもしれない。
結局のところ篠ノ之束もレイヴンと同様に謎が多い。言動や思想の全てが。その点では二人は近いのかもしれない。
「謎といえばあの無人機も謎だね。連中とあの男の前だけに姿を現し、その実態も不明。連中に関係があるとは思うけど何故連中の前だけなんだろう」
「束様にもわからないことは私にもわかりません」
「何もかもわからないことだらけだよ。連中絡みは。連中も人間ぽくないし」
彼等に手を貸した篠ノ之束だが、それは弾薬や情報面での話。生活面で手は一切貸していない。彼等が現れてから3ヶ月近くが経とうとしている。その間彼等は後ろ楯が全くない状態で生存を続けている。生活圏を何処かで確保していれば痕跡から彼等を追う者達の熱烈な歓迎を迎えるのだが、それが一切ない。となれば彼等は人知れないサバイバル生活をしているか、『常にACの中にいる』の2択となる。彼等に手を貸すような存在は篠ノ之束が名乗り出るまで存在はしなかったのだから。だから篠ノ之束は後者の可能性を挙げている。
「機械もしくはAIなのでしょうか?」
「もしかしたらもっと悲惨な奴等かもね」
「悲惨とは?」
「さぁ? そこは連中じゃないからわからないし、悲惨であろうが同情する必要も義務もないからね」
協力姿勢はとったものの、彼等のことを全面的に支援するつもりは毛頭ないようだ。
「連中とあの男の潰し合いを高みの見物といこうじゃないか。ご馳走さまくーちゃん」
朝食を全て平らげ、コーヒーを一気のみすると篠ノ之束は再び作業へと戻っていった。そんな篠ノ之束の後ろ姿をクロエは眺めることしか出来なかった。あの男ならば......近い彼であるのならば篠ノ之束のことを或いはと思っていたようだがそうはならなかったようである。
束や原作キャラとのと主人公の関係は私の口からは言いません。何かを期待している読者の方の希望にはそぐわないかもしれませんが、どうかご容赦をお願いします。
NTがいれば束や黒い鳥さんのことも少しは解ってくれるかもしれないけど、OTしかいないこの世界では......(NT概念ないから仕方がない)
ISの自己進化(成長)って兵器としてみたらスゴすぎのヤバい代物。スカイネットさん。