舞い降りた一羽の黒い鳥   作:オールドタイプ

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ありきたりな展開とファンタジー色強くて申し訳ありません。




13羽 よみがえる翼

 アリーナに足を運び試合を観戦するのは二回目か。一回目とは違いオリムラ達のいる管制室でもなければ、他人に流されて来たわけでもない。俺自らの意思で足を運んだ。その時の足取りは非常に軽いもので、純粋に試合を楽しもうとしている。

 観客席の位置は運よく、一番よく試合を観ることのできる中段。

 かつてのACでのアリーナで、対戦相手を調査するため等で試合を観戦していたことが記憶にあった。それこそ俺ではないのだけれど、各ランカーの強敵達とも一戦交えてもいた。それ以外ではフォーミュラフロントにアーキテクト.....企業の雇われチーム監督として無人AC達のAI調整もしていた。

 今までACなど所詮は食っていくための道具。人を殺すためにしか存在しないと思っていた。しかし記憶が出てきてからはACにも世に娯楽を与える道具として存在していた事実を知った。殺すための道具であることに変わりはないが、それだけではなかった。物は使い方考え方。もしかしたら俺のACを使ってのアリーナなどもあったのかもしれない。

 試合を観戦するにあたって図書館は1日閉館となっている。俺が試合を観に行こうとしたら女が意気揚々になって自己主張をしてくれたと何故か喜んでいた。別に自己主張をしないわけでもない。ただすることが極端に低いだけ。

 

 間もなく試合が始まる。対戦するのはオリムラ弟と昼食を共にしたときに一緒にいた中国の候補生って奴だ。オリムラ弟の機体は前回の模擬戦で確認済みだが、中国の方はどのような機体構成なのか。オリムラ弟の機体のように接近戦特化に特化しているとなると、ほとんど全ての相手との相性は悪い。立ち回りを気にしながら無駄な動きを省いて一撃一撃を慎重に狙っていかなければ勝利は見えてこない。

 二機が出てくるまで喉が渇いてしまわないように、観客席で売り子をしている女生徒から飲み物を一つ購入する。最近この炭酸とやらにはまっている。この口の中に広がる刺激が堪らない。

 ストローでコーラを啜っていると、出撃口から二機が出てきた。両者ある程度の高度まで上がると、見合いながら武器を構え開始のブザーを待つ。

 中国の候補生の機体も剣のようなモノを装備していることから近接型なのだろう。ISには拡張領域があるから剣だけで近接型判断はしないほうがいいのか? その点でISはACよりも優れている。

 

 大型電光掲示板のカウントダウンが始まった。

 

《3》

 

《2》

 

《1》

 

《Go!!》

 

 ブザーと共に後方に後退し距離を置くオリムラ弟。先ずは敵の出方を伺うのだろう。どのような戦闘スタイルでどのような武器を使ってくるのかと。

 対する中国の候補生は開始場所から一歩も動かずニヤついている。その実力の程はどれ程のものなのか。

 

 試合が始まって直ぐに試合が動いた。中々動きを見せない中国の候補生に痺れを切らしてしまったのか、左右に小刻みに機体を散らしながら接近する。その動きは滑らかではなく、直角のジグザグ。あれでは急な攻撃に対処が難しい。どうせならば半円を描くような動きが好ましい。といっても、それはACでの着地硬直を避けるための動きだけどな。

 徐々にスピードを上げていき、一気にオリムラ弟の機体が加速し瞬時にブレードの射程圏内に入った。HBやOBを使わずにあれほとの加速を実現させるとは……

 しかし候補生は冷静に攻撃を見切り、上空に逃れる。オリムラ弟の動きは読まれていたようだ。上空に逃れた候補生を追撃し連続攻撃を実行するも、全て剣で防がれる。

 剣同士が激しく衝突しあい甲高い金属音がここまで聞こえ、火花が飛び散る。

 候補生は余裕が見えるが、オリムラ弟は若干功を焦っているように見える。読みやすいのだ攻撃が。候補生もその事に気づいているからこそ焦らずに対処ができている。

 オリムラ弟も流石にここまで攻撃を防がれると、自分が熱くなっていることに気付き冷静になるため一旦距離を置いた。あそこまで大きく距離を置かずともいいのだがな。

 再度ニヤつく候補生。するとオリムラ弟の機体にナニかが命中した時の衝撃音が走り、機体が揺れた。

 

 何だ今のは? 二機から目を離した覚えはない。双方共に大きな動きをしたわけでもない。なのにオリムラ弟の機体に攻撃が命中した。

 候補生の機体に注目するが、特に変わった様子はなく開始時と変わらず剣だけを装備している。飛び道具を装備を及び使用したのは確認できない。

 立て続けにオリムラ弟を襲う何か。完全に主導権は候補生に渡ってしまい、オリムラ弟は攻撃を避けるのに必死になっている。回避動作も山勘によるもので命中することも少なくない。

 ここまで見れば嫌でも攻撃の正体が掴める。候補生の機体は方法は不明だが、見えない攻撃を可能にしているようだ。命中時の衝撃から考えれるとライフルのような武器ではなく、グレネードやロケットやリニアのような系統なのだろう。

 それにしてもオリムラ弟はよく避けている。見えない攻撃に対してあれほど避けるのは簡単なことではない。しかも段々と回避動作にゆとりが生まれている。攻略法でも気づいたのか?

 

 二人の試合に観客席が和気藹々と熱狂の渦に包み込まれている中、それはやってきた。

 

 突如上空から一筋の光がアリーナに施されていた防御壁を破壊し、地上に命中しナニが侵入してきた。

 爆発音と爆風に熱狂していた観客は勿論、対戦していた二人も動きを止め爆風が晴れるのを待ち侵入者を待ち構える。ソコには全身を覆われたISがいた。

 一瞬だけ俺はゾディアックが攻め込んできたのかと思ったが、正体を確認してホッとした。あれだけの質量のエネルギー兵器はACのものに近かったからだ。だがあれはISだ。にしてもISであれほとのエネルギー兵器を有しているとは……何処の手先なのだろうか?

 襲撃に悲鳴を上げ混乱する観客の中で俺は至って冷静だった。座っている席から動かず侵入してきたISを見ている。

 冷静に安心しているのは相手がISだからである。IS相手ならば俺としてもまともに戦うことができるからだ。

 

 侵入したISは両腕を二人に向かって突き出し、腕部から密度の大きいレーザーが発射される。未確認機からの突然の攻撃に戸惑っているが、二人とも攻撃を回避した。回避した二人目掛けてお構いなしに発射されるレーザー。

 

『レイヴン聞こえますか? 状況を報告します。謎の未確認機による襲撃を受けました。今学園の教員部隊が向かおうとしていますが、貴方も一応乗機にて待機をお願いします』

 

 了解した。俺が出るまでもないのならばそれでいい。学園の教員部隊で対処可能な敵だろうしな。席から立ち上がり一番奥の出口を目指す。最寄りの出口はパニックに陥った生徒で埋め尽くされてしまい、出れそうにない。

 スタスタと出口を目指していると、流れ弾なのかレーザーが俺の頭上の天井に命中し、瓦礫が落下してきた。寸でのところで瓦礫を避けたが通路を塞がれてしまった。反対側から遠回り若しくは別のルートを探さなければならない。

 だが、行く先々で流れ弾によるレーザーの余波の瓦礫が降ってくる。これは流れ弾ではない……あのIS俺を狙っているのか?

 こんなピンポイントで流れ弾に俺だけが見舞われるとなると、どう考えても流れ弾ではなく俺を狙っているのだと判断できる。分からないのはISが俺を狙う理由だ。あのISがアレサの仲間とは到底思えない。また別の誰かか?

 

 この時遥か上空から……地球外の大気圏外の宇宙からポッドのようなモノが地球に向かって降下をしていた。

 

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

「ちっ! 中々死なないな……」

 

 しぶとく生き残っている糞野郎を私自家製のゴーレムのハイパーセンサーを通して確認している。こっちはいっ君の相手をしたいのに、さっさと死んでくれないかな?

 

「駄目ですか束様?」

 

 私の心のオアシスクーちゃんが差し入れに紅茶とクッキーを持ってきてくれた。クッキーを貪りながら鶏冠にきた私はゴーレムにある直接的な指令を与える。ちーちゃんには今回のことが私の仕業だと気づかれると思うけど、まぁいいか。

 

「うん。普通のままじゃダメだから直接的に動かすことにしたよ。怒ったウサギさんは何をするか分からないからね」

 

 与えた指令はいっ君以外の男を殺せ。

 

 あの場にはいっ君以外に男はアイツしかいないから間違えが起こることなど万一にもあり得ない。そもそもこの束様が間違っていることなどないからね。

 すると突然異常を知らせる警報が鳴り、赤ランプが電飾し始めた。クーちゃんが何事かと確認してくれている。全く無粋なタイミングで問題発生かいな。

 

「……!? 束様、束様自家製の小型人口衛星『ウサギドロップ』が何かが大気圏内に突入するのを確認しました」

「はい? 大気圏内に何かが突入したぁ~? そんなのあり得ないよ。束様のウサギドロップは四六時中地球全体は勿論衛星軌道上を監視しているんだよ?」

 

 このウサギドロップは私が作り上げた超小型の人口衛星。この衛星を通して宇宙から監視したり、ウサギドロップを媒介して他国の軍事衛星などをハッキングを可能とする優れもの。勿論バレルようなドジは踏んでないよ。絶対に気付かれっこないからね。

 それよりもその突入した何かたね。ウサギドロップが監視しているところよりも離れた所からやってきたのかな? 隕石の可能性もあるし。

 

「ウサギドロップからの光学映像出ます」

「……なんだいこれ?」

 

 映し出されたのは楕円に近い物体だった。隕石のような自然物質ではなく人工物質。

 

「落下角度とスピードから飛来ポイントを算出しました。月の奥からです!」

「まてまてまてまてまてまて! そんなことが可能な物なんて存在しないよ!」

 

 直ぐ様ウサギドロップをその方角目掛けて探査を開始させた。

 

「なに……これ?」

 

 見付かったのは筒のような何かだった。とつもなく大きくて異質なそれは少なくとも現代で作られた物ではなかった。

 

「……クーちゃん。降下した物質の落下点は?」

「IS学園です!」

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

「山田君まだなのかね?」

「予想以上にプロテクトが固くて.....今外からも二、三年生がクラッキングを実施しています。もう少しかと」

 

 学園のセキュリティを容易く突破し誰にも気づかれることなく掌握までこなせるのは世界広と言えどアイツぐらいだろう。

 襲撃が起きてから私達は緊急出動をしようとしたのだが、そのタイミングで学園のセキュリティが全て発動し、此方の信号を受け付けないままアリーナに生徒が閉じ込められ、教師達も出動不能になってしまった。

 アリーナにはレイヴンがいるらしく、奴に委任したいところだが、レイヴンも未確認機の攻撃により動けなくなっている。一夏と凰が対処にあたっているが、消耗している二人でどごまでもつのやら.....

 

「これは.....織斑先生! 何かが学園目掛けて降ってきます!」

「なんだと? 何処に落下する?」

「織斑君達のいるアリーナです!」

 

 これも束.....お前の仕業か?

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

「やっぱりコイツは無人機だぜ」

「にわかに信じられないけど、そうみたいね」

 

 無人機と分かれば心置きなく攻撃が出来るってもんだ。

 

「一夏気を付けて! また何か来るわ!」

 

 鈴が空を見上げて叫び声を上げた。白式のハイパーセンサーもソイツを捉えていた。迫り来る大きな影。正体は分からないが何かの金属の塊。塊の側面が開き、中から何かが出てきた。

 

「なによあれ……」

 

 出てきた物はISよりも遥かに大きな巨人のようなロボットのようなもの。真っ直ぐアリーナに落下し土煙を舞い上がらせ、侵入したISと俺達の間に割って入った。改めてその姿を見ると、俺達が米粒のような小ささに思えるほど巨大だった。全長は10Mは越えているであろうソイツは、ふくよかな体格をし、両手で巨大な銃を握り締めていた。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

 バカな……何故だ……何故“レイヤード“の無人機がここいる!?

 

 落下物は俺も目視で確認していた。なにより落下物にも覚えがある。そう、あれは“火星に降下“するときのポッドだ。

 

 だが何故そのポッドと無人機が一緒なのだ?

 

 あの二つは根本的に違う存在。一緒になることなど有り得ないことなのだから。

 

『レイヴン! あれは一体何なのですか!? 今ヘリでそちらにISを搬送させています!』

 

 ゾディアックやアレサだけではなかった……まさかレイヤードの無人機までもが……不味いとなるとこれだけで終わらないのかもしれない。尚更ISでの勝ち目が薄くなってきた。

 程なくしてノワールを運んだヘリが見えてきた。だが、あの無人機がヘリに向かって五連プラズマライフルを構えていた。

 

 避けろ!

 

 心のなかで念じた時には既に遅かった。ノワールを運んだヘリは火を吹き回転しながら撃墜された。ヘリの残骸が観客席に飛び散り奇跡的にISも一緒だった。

 全力疾走でISの元に向かうが、既に無人機は俺に向かって照準を合わせていた。間に合わなければ確実に死ぬ。アドレナリンが分泌され火事場の馬鹿力で転がる残骸を飛び退けながらノワールにたどり着いた。即起動させ、上空に舞い上がった。あと一歩遅ければ俺もあのように跡形もなく消し飛んでいただろう。ノワールが落ちた場所とヘリの残骸は、プラズマライフルによりクレーターを残し消滅していた。

 

 飛び上がった俺は無人機を見下ろす。ノワールの装備は対AC戦を想定したブレードとパイルバンカーだけ。ちまちまと銃撃をしてもACには大したダメージは望めないことから、間接部やカメラやスラスターを狙う。ISの操縦性の自由度と敏捷性と小回りが効くことならではの戦い方だ。尤も目の前の無人機は正確にはACではないがな。

 

 アレサの時は掠りもしなかったが、奴ならば当てれる。奴も見掛けによらないスピードの持ち主だが、ネクスト程ではない。

 

 ここで変わったことが起きていた。例の侵入したISが無人機に向かって攻撃を始めたのだ。

 

 やはり仲間ではなかったようだ。

 

 ISが攻撃をするも無人機はびくともしてないように映るが、少量だがダメージは蓄積されている。MT並のダメージでしかないが、与えないよりはましでMTの攻撃も蓄積されれば致命傷となる。

 

 猛攻を浴びせるISだったが、飛び上がった無人機がグレネードを当てると、装甲の半分が消し飛び擬音と機体全体に電流が走り、行動不能に陥ったところをブレードで止めを刺され、完全に破壊された。

 

 一瞬だったが注意を引いてくれたことには感謝する。無人機が俺に背を向けISを破壊している間に距離を詰め、スラスターの一つをパイルバンカーで破壊した。

 

 よし……十分通用する。パイルバンカーにより破壊されたスラスターの一つを見て俺は確信した。幾ら強固な装甲を誇るACや無人機といえど、精密部や間接までは本体のようにはいかないのだと。

 ACに乗っている時は間接部やスラスターを狙うなとといった繊細な動きはしたことがなかったが、やってみるものなのだな。これならばISでも何とかやれる。

 

 攻撃に気づいた無人機が残りのブースターで平行移動をするが、一つが破壊されたことでバランスが取りづらいようだ。それに速度ではISの方が勝っている。平行移動で距離を置こうがあっという間に詰めれる。

 平行移動で移動したところに先回りした俺は同じように脚部の膝の裏の装甲の薄い部分をブレードで突き刺した。

 破壊は出来なかったが、徐々にダメージを与えれば脚部も損傷させれる。

 

 このとき俺は少し有頂天に……上手く行き過ぎて舞い上がっていたのかもしれない。だから無人機がブレードを振っていたことに対する反応が一瞬遅れた。

 

 迫り来るブレードの光熱を帯びた刃。当たれば致命傷は避けれない。だが回避する暇がない。暗転する視界。遠退く意識。駆ける走馬灯。一瞬の気の緩みが死へと繋がる。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

 ここは……俺は確か無人機のプレードが直撃して……意識が戻ったとき俺は見覚えのある花畑に仰向けで寝ていた。上半身を起こすと、アイツらの内の一人が椅子に座っていた。相変わらず顔は見えない。

 

 "目は覚めたか?"

 

 これ以上にないぐらいの最悪の目覚めだ。

 

 "僅かなミスで命を落としたな"

 

 やはり俺は死んだのか……

 

 "といいたいところだが、まだお前には時間がある"

 

 何?

 

 "お前がこっちに来るにはまだ早いってことだ"

 

 俺の真横に夥しい数の光が集積しだし、あるものを型どる。何がなんなのか理解に苦しむ。こんな非現実的なことが次から次へと。

 

 "俺達にはソレがないとダメだろ?"

 

 お前達が呼んだのか?

 

 "いや、初めからお前と一緒にいたさ。ただ目覚めていなかっただけだ"

 

 ……まぁ、いい。これで俺はまたまともに戦える。ゾディアックとも無人機とも……アレサとも。

 

 "行くがいいレイヴン……いや、『黒い鳥』よ"

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

 戻ってくる感覚。この視界。この肌触りにこの座り心地に、中の空気。手を開いたり閉じたりし、レバーを掴んだり離したりする。ISのハイパーセンサーに比べれば視界は制限されるが、俺はやはりこっいの方がしっくりくる。

 補足するは目の前の無人機。スキャンも問題なく実行可能。リコンもある。各計器ともに異常は見られない。回路接続。パワーサブライオールグリーン。運動モジュール正常。システムオンライン。メインシステム始動。

 

 "AC起動"

 

『メインシステム戦闘モードを起動します。おかえりなさい。貴方の帰還を歓迎します』

 

 聞きなれたCOMの声だが、この離れていた期間のせいもあって再び聞けることに感慨深くなる。

 ショルダーハンガー並びに装備されている武器を確認するも一つしか装備されていなかった。

 

 グラインドブレード……これだけか。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

「織斑先生! あれって……」

 

 モニターに映っているリアルタイムの映像に通信機を通じて各職員だけだはなく、クラッキングにあたっている生徒や客席に取り残されている生徒達から驚愕の声が上がり、全員が目を奪われていた。

 

「あれが……レイヴンのACか」

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

「むきー! 私のゴーレムを破壊してくれちゃって! あのクソマシーン!」

「それよりも束様あの機体は……」

「もう、本当にムカつく存在だよ!」

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

 私は苦戦する一夏に声援を送るべく、放送室を目指していたがその途中でアレが現れた。見たことのない未知の塊に興味は引かれたが、侵入したISを瞬時に破壊してしまったところを見て興味が恐怖に早変わりし、その場で腰を抜かしてしまった。

 誰のISかは分からないが輸送ヘリが撃墜されたのを見て更に恐怖に怯えた。

 

 パイロットは死んだ……死んだのか?……うぅ。

 

 人が死ぬところを見るのは初めてであったが故に自分をコントロール出来ず、頭の中が真っ白になっていた。

 

 やがて現れたISが勇敢に立ち向かうも、あのロボットの攻撃を避けることは出来ずヘリのパイロットと同じ結末を辿るのだと目を背けていたが、目映い光ともにあの巨大なロボットに劣らないモノが出現した。

 

「私は夢でも見ているのか?」

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

「まだなのですか!?」

 

 侵入したISたけでなく見たことのない巨大なロボットが現れて一夏さん達に危険が迫っていると言うのに、こんなところで足止めを食らっている場合ではないのに。

 

 そんな焦る私の前にあのロボットが現れた。何もわかなかったけど、私はそのロボットがあのロボットを倒してくれることを願った。

 

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

 ただ黙って立ち尽くしかなかった。侵入したISとは戦えたが、あのロボットとは戦える気もしなければ、戦おうとも思わなかった。隣の鈴も同様で二人揃って眺めることしか出来なかった。

 こんなの夢だと現実逃避したくなったが、それすらもできないぐらいに何も考えれなかった。

 このままでは学園に多大な被害が出る。そんなことはわかっているのに動けない。そんなときに目の前に光とともに出現したもう一つのロボットが俺には救世主のように見えた。

 

 




ISでACに立ち向かう構図はビグザムやサイコガンタムに立ち向かうようなものか。

デストロイやラフレシやビグラングだと大きすぎるし。

因みに黒い鳥のAC出現は、黒い鳥のISが徐々にACの姿になっていってるのですが、進化ではないです。

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