うちはオビト憑依忍伝   作:asd

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10年20年先の未来に政治家は評価される。

薄暗い地下にオビトは来ていた。こんなところを好むのは闇に生きる忍だけだ。

 

「ああ、いたいた。探しましたよ、大蛇丸さん」

 

目的の人物を見つけて声をかける。大蛇丸は荷物をまとめている。四代目の正式な就任と共に根の暗部長になることが決まっているのだから、まあ、そこそこには忙しいのだろう。

 

「オビト。私は今忙しいのよ。それになにより機嫌が悪いの。悪いことは言わないから帰りなさい」

 

オビトへと振り向いた大蛇丸は凄まじいとしか言い様のない顔をしていた。

 

まあ、ダンゾウの失脚で火影推薦もなくなり、普通に次の火影がミナトに決まったのだから機嫌がいいわけがないだろう。

 

「そうですか。機嫌が悪いんですか。仕方ないですね。マダラの死体についてだったんですが、いや、残念です」

 

「今、お茶でもいれるわ」

 

素晴らしい変わり身だった。

 

 

 

 

「で、そのマダラの死体はどこにあるのかしら?私も探してたんだけど、二代目が隠したところにはなかったのよ」

 

「ええ、俺も探すのは諦めました。ですので、こちらへと呼びましょう」

 

「呼ぶ?」

 

「ええ」

 

オビトは僅かに微笑むと、作戦を伝えた。強制的で、決して逃がさない様な方法を実行するために必要な駒を揃える段取りも含めて。

 

 

 

 

 

 

大蛇丸は岩隠れへと飛び、オビトは影分身をミナトのところへと送り、本体はイタチとシスイの修行を見ていた。

 

「つ、強い・・・・・・」

 

空気に溶けてしまいそうなほど小さい声だったが、シスイが呟く。イタチとシスイ、二人共が大量の汗をかいて、仰向けに倒れていた。

 

しかし、それ以上に異常なことはオビトが汗をかいていることだろう。

 

オビトは既に上忍であり、実力的には木の葉の三忍に次ぐと言っても過言ではない。否、綱手に関しては既に上回っているとも言えるだろう。

 

にも関わらず。オビトが汗をかいていた。冷や汗と言う名の汗を。

 

僅か6歳と8歳でこれである。シスイに関しては既に写輪眼を開眼しており、体術に関してはリンよりも実力は上だろう。

 

そして、更に恐ろしいのがイタチだ。既に火遁の術を使いこなし、卓越した手裏剣術に後衛での支援は厄介の一言に尽きる。

 

ば、馬鹿な。チャクラが足りないはず。とかガン無視で豪火球を撃ってきた。もしかしてフガクさん、暗部入りということでイタチに教えたのだろうか。

 

 

順当に行けば次の火影はイタチかと思っていたが、シスイという手も十二分にありだろう。

 

最も、ミナトの引退は大体二十年後くらいになるだろうが。

 

予定にはなかったが、作戦に組み込むか?幸い、暁は無用な殺生はしないし、失敗しても笑い話で済ませられるか。

 

 

 

「お前ら、水面歩行の業は終わっているか?」

 

「はい」

 

タオルで汗を拭きながらシスイが答え、イタチが頷く。

 

「今度、暗部で任務があるんだが、そこまで秘匿性もないし、危険性もない。やる気があるなら入れてやるが、やるか」

 

「はい!」

 

「宜しくお願いします」

 

前者がシスイ、後者がイタチである。しかし、イタチはこの年にして落ち着きすぎである。まあ、既に戦場を経験しているからだろうが。

 

「よし!なら、続けるぞ。次の任務では高い体術が必要になるからな」

 

シスイとイタチは日が沈むまで鍛えられ、日が落ちてからは先を潰したクナイでの中距離~遠距離を徹底的に鍛えられた。

 

 

 

 

 

 

 

「ん。いいよ。あとで書いとくから」

 

影分身は拍子抜けように肩を落とすとすぐに姿を消した。

 

「暁・・・ね」

 

ミナトは小さく呟く。ミナト自身、暁については知っていたし、自来也からも長門たちについては聞かされていた。兄妹弟子にあってみたいと言う気持ちと、尊敬する師の弟子ならば、その人格にそこまで問題ないだろうと、岩隠れとの和平交渉の場における仲立里の護衛戦力としての暁の参加を許可したのだ。

 

 

ミナトが思いふけっていると入りますという声と共にカカシが執務室に入ってきた。

 

正式な火影就任までは、直属の暗部を作れないという、まあ、形式だけでのルールを守り、カカシはそれまでの間は護衛小隊の方へと入っていた。

 

「カカシ、ナイスタイミング。岩隠れとの和平交渉なんだけど、護衛は二人までなんだ。一緒に来てくれないかな。君とアスマに頼もうと思ってるんだけど」

 

「はい、わかりました。アスマには俺から伝えておきますね」

 

「ありがとう」

 

今日の晩御飯は何かな~と考えながらミナトは執務へと戻った。

 

 

 

 

 

 

オビトは葛藤していた。なぜなら、シスイとイタチをそれぞれの家へと送ったとき、フガクより、帳を作る資金の援助金を預かったからだ。

 

要は、これだけあればチャクラ刀が作れるね!ということである。この金は里からの正式な資金ではないし、オビトが個人的に使い込んでも、まあ、フガクに呆れられる程度だ。それにオビト個人的には大金でも組織や一族からみれば端金だし。

 

結局、資金はシカクさんに預けることとなった。シカクに渡す時のオビトの手は震えていたと言う。


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