うちはオビト憑依忍伝   作:asd

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一寸先は霧 ぱーと6

「四尾だと?」

 

呆然と呟くように水影はそういった。彼の中にいる三尾が水影に教えたのだ。あれが四尾だと。

 

「何をそこまで驚いている?うちはマダラが九尾を従えていたことをお前は知らないのか?そもそも、写輪眼とはそういうものだ。もっとも、俺のは輪廻眼だがな」

 

オビトとしては写輪眼の力を水影に教えるメリットはない。それでも教えたのは眼をそらさせたかったからだ、尾獣を従えさせられるもう一つの力といえる渦巻き一族の力、或いは千手の力から。

 

「それじゃ、はじめよっか」

 

オビトがそういうと四尾が印を組む。そして、両の手を地面へとたたきつける。

 

土遁・岩柱槍

 

滝そばにいた水影に対して滝底の地面が変化して巨槍となり、腹をうがつ。

 

「腹も硬いのか」

 

亀について詳しくもないオビトにとっては予想外なことに亀は腹も硬い。伊達や酔狂で腹甲とはよばれていないのだ。

 

ならばダメージが通りやすいのは、前後の足と頭だけだ。手足を切り落としたところで本体にダメージがあるとは思えないがやらないよりましだろう。

 

いや、埋めるか。

 

 

四尾が再び印を組み、地面へと手をぶつける。

 

土遁・大地動核

 

人が使うのとは規模がちがう。四尾が使った土遁によって三尾は滝ごと地面に穴をつくった。更に

 

熔遁・石灰凝の術

 

四尾の口からは石灰が吐き出され、滝の水に反応して即効性のセメントとして固まる。

 

オビトは一分以上の時間を待つが出てくる様子はない。人に戻ればつぶされることはないのだろうが、どうやら水影は土遁は使えないようだ。

 

出てくるには相当の時間がかかるだろう。

 

 

「火影様!今のうちに北上しましょう。雲の忍と戦うなら水上のほうが有利です」

 

 

「そうだね。全軍!四人一組に組みなおして北上!」

 

一瞬で部隊が再編成されて北上されていく。

 

「あの、もしかして予め部隊を組んでいましたか?」

 

「まあ、オビトならやってくれるかな、って」

 

オビトはため息を一つつくと、呟くように言った。

 

 

 

 

―――やっぱ、この人たぬきだわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忍にとって本来は海上戦など不本意極まりないことだ。無論それは木の葉と今まさに相対している雲の忍にも言えることだろう。

 

水場での戦いは一見雲の有利に見えるかもしれないがそれはあくまで一対一の状況ならば。

 

軍団戦においては味方を巻き込みやすい雷遁は非常に使いにくい。それは制御ができている人間でもそうであり、雷は術者の意思を無視して海面を走ってしまう。

 

その意味合いにおいて木の葉が雲と戦う際に海上を選ぶのは当然のことだ。

 

だが、しかし、それがそのまま木の葉の有利につながるわけではない。なんといっても相手には雷影がいるのだ。

 

この場において雷影と正面斬って戦えるのはオビトとミナトくらいのものである。

 

ちなみに四尾は水影を見張っているのでここにはいない。

 

そして、互いの状況が状況だけに見合い状態になっている。

 

「さて、雷影殿。ここで引くというのならばこちらは手を出すつもりはありません。そちらの里に進軍している大蛇丸さんもこちらで止めましょう。返答は如何に?」

 

「ふん!お前らがここにいるということは水影の策は失敗に終わったということだろう。よかろう、引いてやる。だが、里が万が一にも攻撃を受けることになれば戦争になることだけは覚悟せいよ」

 

双方利益なしということでここは終わりだろう。雲の援軍もないとなれば水影もあきらめざるを得ない。

 

 

「撤退する!」

 

「撤退するよ」

 

結果、両軍は引くこととなった。木の葉的にはこの戦い、勝ったといえるだろう。

 

そもそも木の葉の目的は戦争を回避することだ。目的を果たしたのならばそれは勝利といわざる終えない。

 

 

 

 

 

 

 

ぞろぞろと互いの忍は引いていく。

 

「オビト。いのいちさんを通じて、大蛇丸さんを止めてくれ」

 

「簡単に言ってくれるな・・・」

 

敵兵であるのならば人体実験に使っても文句はでない。そのため、大蛇丸としてはこの際にアカデミーの生徒を誘拐するつもりだっただろう。オビトが命じた以上、簡単にはやっぱなしとは言いにくい。

 

オビトはやむを得ず、手札を切ることにした。

 

〔いのいちさん。大蛇丸さんに繋いでください。あと、ダンゾウには作戦中止と伝えてください〕

 

万が一、水影を封じれなかった際の第二策。つまり、陸地での戦闘が行われた際の予備策として、戦いが終わった後、雷影たちが帰還する際に奇襲をかけて八尾をさらうという策は必要なくなった。

 

「水影はどうします。火影様。始末しようと思えば今から向かえば高戦力で戦えますが」

 

「いや、放置しよう。水影を倒せたとしても、その後、ヘタに戦争になっても困るしね」

 

そこで大蛇丸から通信が入った。

 

〔オビト、何のようかしら。いま、雲隠れの里に向かっているのだけど〕

 

〔中止でーす、てへぺろ〕

 

〔いまさら?悪いんだけど、もう近くまで来てるのよ、子供の一人二人はさらわせてもらうとするわよ〕

 

〔だめですって。ちゃんと変わりになりそうな暇のつぶせる情報はあげますから〕

 

〔なによ〕

 

オビトとしてはあまりきりたくない手札なのだが、そうも言ってられない。その情報だけでは輪廻眼にはたどり着けないはずだが、なんか大蛇丸だし、根性でたどり着けそうで怖いのだ。

 

〔うちはの石碑についてです。輪廻眼のヒントが乗っているのでその部分を〕

 

〔……仕方ないわね〕

 

通信が切れると再びため息をつく。なんか、どんどん切れる手札が少なくなっている。いっそ始末してしまおうかと、頭に浮かぶほどに

 

 

ただ、殺しても死ななそうだし、あきらめるとするか。

 

オビトはそう判断して、この戦いの祝勝会の算段を立て始める。

 

遠くで黒い玉が天空高く飛んで言ったのはまた別の話である。




祝勝会うんぬんは予告していたオビトの過去輪に繋げるためのものなので、違和感を感じても無視してください。

移動させる話もやっぱなしにします。

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