遊戯王ARC-V LDS総合コースの竜姫   作:紅緋

8 / 14
久々更新。このデュエル構成を考えてから4ヶ月近く経ち、その間に新規カードが出て泣きそうになりました。新規さんは次の機会で。

あと最近のARC-Vが楽し過ぎて最高のsatisfaction状態。やっぱりライディングデュエルはスピード感や駆け引きがより強調されてて面白いです。

小ネタ(龍姫INランサーズ)
零児「……橘田、何故それらのカードをデッキに入れている」
龍姫「《ランサー・ドラゴニュート》、《スピア・ドラゴン》、《ランス・リンドブルム》――ランサーズに入っている以上、槍は必須かと」


8話:《エクシーズ・バースト》(これほどの屈辱を味わったのは初めてだ…!)

 

「――断わる」

 

 静かに。だがはっきりと、龍姫は地に額を付け土下座している権現坂にそう言い切った。その言葉が耳に届いた瞬間、権現坂は唇を噛み締める。厚かましい頼みであることは自覚していたが、同じクラスの人間というよしみで引き受けてくれるのではないかと僅かな希望も抱いていた。

 

 今日龍姫と偶然出会い、その流れで龍姫と恭子の公式戦を観戦し、権現坂は自身に足りないものを自覚する。それは己の’’不動のデュエル’’を貫いた上で、恭子のように進化を求める貪欲さ。

力を求めることは決して悪くない。ただその中で権現坂自身は道場の教えに反するようなことは嫌悪していたのだが、今回の龍姫と恭子の公式戦を観てその考えが変わった。道場や塾の理念を遵守しつつ、時代に取り残されぬように進化を取り入れる――その結果が先のデュエルだ。互いに全力を尽くし、当事者同士はもちろんのこと観客席に居た自分達も熱く奮い立つ、最終的に互いを称え合う見事なデュエルだったと言えるだろう。『自分もその域に達したい』――その一心で権現坂は恥も外聞も捨て、儀式・融合・シンクロ・エクシーズ召喚を巧みに使いこなす龍姫に地に頭を擦り付けてまで請った。

 

しかしそんな権現坂の頼みは無情にも拒否される。龍姫の返答に対して憤ることなく、権現坂は下げていた頭を上げ、哀愁を漂わせる顔でゆっくりと立ち上がった。元よりすんなりと通るとは思っていなかったが、無理もない。いくら同級生と言えど所詮そこまでの仲であり、元々権現坂自身と龍姫はそれほど親密な関係ではなく、龍姫には権現坂の頼みを『はい、良いですよ』と請け負うほど親しくもなければ義理もないのだ。

 

「……そうか、突然すまなかったな…」

 

 普段の堂々とした振る舞いからは考えつかないほど、酷く弱った声色で権現坂は龍姫にそう返す。希望()が見えたと思ったが、これでまた振り出しに戻るのかと心の中で深くため息を吐いた。

 

「構わない。私が(・ ・)教えられないだけだから」

「……ん?」

 

 ふと、龍姫の含みのある言い方に権現坂の首が傾げる。『私が』とはどういうことだと疑問の声を発しようとした時、それより先に龍姫の口が開く。

 

「代わりと言っては何だけど、シンクロだけで良かったら刃に権現坂を指導してくれるよう頼んでみる」

「なぬっ!?」

「私は明日もう1つ公式戦がある。デッキ調整に時間を割きたいから時間がないけど、既にジュニアユースの出場権を持っている刃なら時間的にも人格的にも権現坂に指導できると思う。それに刃自身、権現坂のことは評価していた――きっと刃なら権現坂の力になってくれると思う」

 

 龍姫の言葉の1つ1つが耳に入る度に権現坂の涙腺が緩む。級友の間柄とは言え赤の他人、それどころか他塾という敵である自分に便宜を図ってくれる龍姫の懐の深さはもちろんのこと、以前相対した刀堂刃が自分のことをそこまで高く評価してくれていたのかと、デュエリストとして誇らしい限りだ。いや、むしろ’’不動のデュエル’’が他人に認められたことが誇らしいと言った方が正しいかもしれない。昨今では融合はもちろん、シンクロやエクシーズが台頭して来た現環境で時代遅れと罵られても不思議ではない’’不動のデュエル’’が、様々な召喚方法を教授するLDSのジュニアユースがトップの1人に認められたのだ。権現坂道場の跡取りとしてこれほど嬉しいことはない。

 感極まった権現坂の緩んだ涙腺には溢れ出る涙を止める術はなく、まるで今日自身が行っていた滝行の如く涙が溢れる。

 

「すまぬ……何と礼を言ったら良いか…! 男、権現坂。この恩は一生忘れん!」

「そ、そこまでかしこまることはない…」

 

 普段はポーカーフェイスを貫いている龍姫でさえ、権現坂のむさ苦しい男泣きに少しばかり顔を引きつらせる。義理人情に厚い人物であることは同じクラス故に知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。内心で『きっと親友のカードが海に投げ捨てられたら真っ先に飛び込んで探すんだろうなぁ』と、某伝説のデュエリストの存在と被らせながら権現坂の方を見る。

 

「……とりあえず、明日は14:00頃にLDSの正門前で刃達と会うから、その時に権現坂も来てもらう形で構わない?」

「かたじけない…!」

 

 未だ涙が零れる権現坂に、龍姫は半ば言い聞かせるような声色で話す。当の権現坂は多少涙声であるが、しっかりと龍姫の言を聞き入れる。

 これで大丈夫かな、と龍姫は静かに安堵の息をゆっくりと吐き出す。できることであれば自分が権現坂にシンクロは当然として、融合・エクシーズ等のことも教えたかったが、生憎時間がないためにそれは叶わない。もしもフルモンで融合・シンクロ・エクシーズを使えたらどれだけ面白そうなデッキになるのだろうと考えながら、今まですっかり忘れていた沢渡とその取り巻き達の方へ視線を向ける。

 

「なるほど、ステータスが低くてもサポートカードがあれば充分に戦えるし、それに融合やエクシーズの素材になるって訳か」

「その通りだ。いくら低ステータスと言えど、その効果は侮れん。大事なことはデッキ構築の際に戦い方、フィニッシャーを明確にして必勝パターンを作ることで――」

 

 すると珍しく沢渡とその取り巻き達はやけに真剣な表情で恭子の小講義に耳を傾けていた。先日の榊遊矢や、襲撃犯(ユート)、自分とのデュエルにおける敗北が余程堪えたのか普段の慢心した表情は見られない。あのプライドの高い沢渡が珍しいと龍姫が思っていた最中、その視線に気付いたのか沢渡と恭子が首を少し動かして龍姫の方に顔を向ける。

 

「あぁ、すまんな橘田。少々おしゃべりが過ぎたようだ。あまり長居していては帰宅も遅くなるだろう」

「……私は構わない。けど、確かに時間的に少し厳しいのも事実」

 

 デュエルディスクのディスプレイに軽く目を通すと、既に時刻は18:00を過ぎていた。山登り、公式戦と時間を消費していたためにこんな時間になるのも無理はないだろう。だが、ここで沢渡の取り巻き達3人がハッと気付いたように顔が青くなる。門限でも破ってしまったのだろうかと龍姫が呑気に考えていると、山部が力ない声でポツリと呟いた。

 

「……俺ら、今からこの山を下るんスよね…」

 

 瞬間、沢渡と龍姫の顔が固まる。そう言えばそうだったと、龍姫は心の内で思い出したように慌てふためいた。一般的に登山と下山では、下山の方が難しいと聞く。何でも山を登っている人は転倒しそうになって場合、手を付けば怪我等は最小限に抑えられる。しかし逆に山を降りる際は転倒しそうになった場合、気軽に手を付ける場所がないため怪我はおろか大怪我、もしくはそれ以上の凄惨な結果になることも充分に有り得てしまう。夕暮れ時のこの時間から登った時以上に注意を払い、降りる場合は帰宅するまで一体どれだけの時間がかかるのだろうかと内心で龍姫と沢渡の顔が青ざめる。

 

「ん? 別に心配はいらんぞ。つい最近、裏手側にエレベーターを設置したからな」

「えっ」

「私の父――サイバー流道場の師範も高齢なのだ。若い時ほどの無茶はできない上、私も山を登る時に岩肌に(これ)が当たって邪魔になってな…」

 

 そう言って恭子は自身の豊満なそれに軽く手を置く。なるほど、確かにあれほどの脅威――もとい、胸囲ならば山登りは苦労するだろうと男子陣は納得した。次いで龍姫の貧相なそれに視線を移し、断崖絶壁と評しても何ら不思議ではないあれならば登山向きだと心の中で思う。だから自分達よりも早く登ることができたのだとそこでまた納得した。

 だがそれと同時に『山も登れぬデュエリストにサイバー流道場の門をくぐる資格なし!』という噂は一体何だったのかと、取り巻き達は自分達の徒労に涙を流す。そんな取り巻き達を見て、恭子は誇るように頷いた。

 

「ふむ、泣くほど嬉しいか。そうだろう、私もエレベーターができた当初は泣いて喜んだものだ」

 

 違う、そうじゃないと取り巻き達は反論したかったが、流れる涙がそれを邪魔してしまう。

 涙を流す取り巻き達の陰で龍姫は心の中で泣いていた。デュエルには勝った。内容も満足。だが、自分と恭子とでは絶対に覆らないであろうその圧倒的な戦力差(胸囲)に敗北感を感じる。くっ、と龍姫は誰にも気付かれぬよう首を斜め後ろ72度に回しながら小さく悪態をついた。

 

 

 

――――――――

 

 

 

 下山し権現坂と沢渡、取り巻き3人達と別れた後、龍姫は足早に倉庫街の方へ歩を進めていた。通常ならば公式戦が終わった後はすぐにLDSへ向かいその結果を報告するのが塾生の義務だが、今回は登山で思ったよりも体力を消費したため、手早くメールで零児に連絡。その返信も『ご苦労。あとは明日に備えてくれ』と簡潔なもの。

メールの内容を確認した龍姫が取った行動は『じゃあ明日に備えて襲撃犯捜しをしている真澄達の誰かを捕まえてデュエルしよう』という謎の発想。血で血を洗うように、龍姫はデュエルでデュエルの疲れを取る――それほどのデュエルジャンキー、デュエルホリック、デュエルフリークだ。

 また、先日真澄としたデュエルも個人的には満足、もとい納得していないためその再戦もしたいと考えていた。あの時は北斗が単身で『トラックの荷台に隠れるのよ!』、『閉じ込められた!』、『罠か…』という不動性ソリティア理論の由来がわかる者ならば腹筋をクラッシュさせられる展開になり、止むを得ず2戦目以降はお預け。だったら今すぐ再戦して満足するしかないじゃないか、と龍姫は(ハーモニカを持っていないので)口笛で哀愁漂うメロディを口ずさみながら倉庫街へ向かった。

 

 以前ここでデュエルしたのだから、いつもの3人の内誰かは居るだろうと安易な考えで龍姫は倉庫街へ到着。丁度倉庫の路地から真澄の姿が見え、龍姫は安堵する。あとはこのままいつものように『おい、デュエルしろよ』と誘うだけだと、路地からひょっこりと身を乗り出した途端――

 

「早くあいつの居場所を教えなさい!」

 

 ――怒声をあげる真澄の姿が目に映った。一体何がどうなっているのかと龍姫は乗り出した身を引っ込め、状況を確認。

 目尻に涙を溜めた真澄が対面している柚子と素良の2人に敵意を向けている。以前の遊勝塾での1件について再び一悶着でもあったのかと龍姫が思っていると、真澄と同じように半ば怒り混じりの声で柚子が口を開く。

 

「だから知らないって言ってるでしょ!」

「なら、何で最初の事件の現場にあいつと一緒にいた!?」

 

 あぁ、そういうことかと龍姫はすぐに事の顛末を察した。

 おそらく真澄は襲撃犯捜しで再び倉庫街に来たところ、偶然柚子達と出会い襲撃犯の情報を聞き出そうとしたのだろう。だが当の柚子達はそんな情報を持っておらず、それを虚偽だと感じた真澄がヒートアップし口論に発展。いけない、このままではデュエル(物理)になってしまうのではないかと、龍姫は引っ込めた身を再度乗り出した――

 

「しらばっくれると言うのなら、デュエリストらしくデュエルで聞き出してあげ――って、龍姫!?」

「えっ、龍姫!?」

 

 ――が、その瞬間女子2人に発見された。普通にデュエルを始めようとしたところにタイミング悪く出てきてしまったと龍姫は【~した時、~できる】の任意効果ばりにタイミングが悪いと思いながらゆっくりと2人の間に歩を進める。

 

「……一体何があったの?」

「この子達が黒マスクの男の居場所を話さないのよ。特にそこの柊柚子は2回も顔を会わせているんだから、きっと何か知っているハズ」

「だから知らないってば! 私だって何がどうなっているのかわからないのよ!」

 

 あーでもない、こーでもないと女子2人の口論は激しさを増すばかり。それを冷ややかに見る龍姫と素良は互いに顔を見合わせ、小さくため息をつく。

 

「…本当に何も知らないの?」

「知らないよ。僕はその黒マスクの男が遊矢と似た顔ってことしか知らないし」

「……そう…」

 

 素知らぬ顔で龍姫はそう聞き流した。『実は昨日、遊矢と間違えて黒マスクの男とデュエルした』と本音を言いたいところではあったが、この場をこれ以上混沌と化したくないので普段の涼しい表情で流す。

 一方の素良も黒マスクの男にあまり興味はないのか、真澄と柚子の口論を半目で見ながらキャンディをただ舐めるだけ。『早くデュエルを始めてくれないかなぁ』と視線で彼女らに伝えるが、当然の如く素良の視線には気付かない。

 はぁ、と小さくため息をついた素良はふと隣に居る龍姫を見てあることに気付く。周囲にバレないように小悪魔な笑みを浮かべると、素良はぴょんっと可愛らしい擬音が付きそうな軽やかな足取りで龍姫の目の前へ。そして前回遊勝塾の塾長にやった時と同じように上目遣いで龍姫を見る。

 

「ねぇねぇ龍姫! 前回僕とデュエルできなかったからさ、今ここでやろうよ! 最近、僕ジュニアユースに出るために公式戦で5連勝したんだけど、相手が弱くて物足りないんだ」

「構わない。私もさっき公式戦をしたところだけど、気を張らないデュエルをしたいと思っていた」

「うんうん、龍姫はノリが良くていいね!」

「…デュエリストならデュエルを受けて当然」

 

 内心で『イヤッッッホォオオオォォウ! デゅ↑エルだぁ!』と歓喜している龍姫だが、それを決して表情に出さないよう手早くデュエルディスクを装着。素良と適度な距離を取り、デュエルの準備を始める。さぁ、あとは初期手札をドローするだけというところまで来た時――

 

「…………」

「…………」

 

 ――先ほどまで《真炎の爆発》の如くヒートアップしていた真澄と柚子の口論が、いつの間にか《戦火の残滓》の如く静まり返っていた。そして無言のまま龍姫と素良の2人を睨んでいる。何か(しゃく)に障るようなことでもしただろうかと龍姫と素良が同時に顔を見合わせ、同時に小首を傾げたところで女子2人が同時にため息を吐く。

 

「まぁ、置いてけぼりにしていた以上、龍姫ならこうするわね…」

「もう…本当は私がデュエルしたかったんだけど、そこまで準備しちゃった以上、今回は見学の方に我慢するわ」

「なぁんだ、2人ともわかってるじゃん。じゃ、柚子は改めて師匠の僕の融合召喚を見て勉強してね――」

 

 舐め終えたキャンディの棒を文字通り吐き捨て、素良は懐から新しいキャンディを取り出し、再度それを口に含む。ニコニコと以前遊勝塾で出会った時と同じ可愛らしい笑みを見て、龍姫がのほほんとしている中――

 

「――今回はちょっと本気出すから」

 

 ――一瞬、素良の目が悪魔の爪の如く鋭くなる。

 そんな素良の様子に龍姫は気付く――ハズもなく、黙々と初期手札をドロー。『さぁ、ワクワクするデュエルを始めよう!』と内心で浮かれる龍姫。

 無論、外見上ではいつもの冷徹な表情であり、その龍姫の顔を見て素良は妖しい笑みを浮かべる。’’彼女相手になら、多少は本気を出しても構わないだろう’’――長らくぬるま湯に浸かっていた自分を叩き起こすには最適な相手を前に、素良は期待の眼差しを向けながらデッキからカードを5枚ドロー。

共に準備を整え、しっかりと相手を見据える。そして丁度埠頭の方から船の汽笛が鳴り、それを合図に2人は揃って口を開いた。

 

「デュエル!」

「デュエル」

 

 

 

――――――――

 

 

 

「僕の先攻からやらせてもらうよ! 僕は手札から《ファーニマル・オウル》を召喚! このカードが手札から召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから《融合》を手札に加える!」

「……融合デッキ…」

 

 素良の場にファンシーな姿のフクロウ《ファーニマル・オウル》が現れ、そのモンスター効果でデッキから《融合》のカードが自動的に素良の手札に。手札へ加わった《融合》に龍姫はやや目を細めながら身を引き締める。自分の知らないカテゴリ、さらに《融合》カードをサーチしたということは融合モンスターもそれなりの数で存在するハズ。先攻からモンスターを立てて牽制するのか、それともこのターンは様子見で他に防御用のカードをセットするのかと龍姫が思案していると、素良は一気に手札の《融合》以外のカードに指をかける。

 

「僕は永続魔法《強欲なカケラ》を発動。このカードは僕が通常ドローする度に強欲カウンターを乗せ、カウンターが2つ乗ったこのカードを墓地に送ることでデッキからカードを2枚ドローする。さらにカードを3枚セットしてターンエンド」

「ターンエンドって――ちょっと素良! 私に融合召喚の勉強をしろって言っておいて、融合召喚してないじゃない!」

「今はまだ出す時じゃないだけだよ。それに融合召喚はカードの消費が激しいから、そのためのリカバリーも大事だってこのデュエルで教えてあげる」

 

 呑気にキャンディを舐めながらそう言う素良。確かに融合召喚はシンクロ・エクシーズらと比べてカード消費が荒いため、それのリカバリーとして《強欲なカケラ》等で手札を増やそうとする気持ちは同じ融合使いである真澄も共感できる。心の中で小さくうんうんと頷きながら、次ターンプレイヤーである龍姫の方へと視線を移す。

 

「…私のターン、ドロー。私は手札から儀式魔法《祝祷の聖歌》を発動。手札・場から合計レベルが6以上になるようにモンスターをリリースし、《竜姫神サフィラ》の儀式召喚を執り行う。私は手札のレベル6《聖刻龍-トフェニドラゴン》をリリース――祝福の祈りを奏で、聖なる歌で光を導け! 儀式召喚! 光臨せよ、《竜姫神サフィラ》!」

「出たわね、龍姫のエースモンスター…!」

 

 日常的に見慣れた光景。最早初ターンに《竜姫神サフィラ》の儀式召喚は龍姫にとって義務に近いレベルだ。されど相手からして見れば初ターンから攻撃力2500のモンスターが早々と出る上、長く滞在させていては徐々にアドバンテージを稼ぎ、専用の儀式魔法である《祝祷の聖歌》が墓地にあれば実質1度の破壊耐性があるという厄介なモンスター。このモンスターの対処にはいつも手を焼かされるが、それを’’LDSの融合は大したことない’’と評する素良に容易に突破はできないだろうと、真澄は心の中で嘲笑する。

 

「ここでリリースされたトフェニドラゴンのモンスター効果を発動。このカードがリリースされた時、手札・デッキ・墓地からドラゴン族・通常モンスター1体を攻守0にして特殊召喚する。私はデッキからレベル6・ドラゴン族・通常チューナーモンスターの《ラブラドライドラゴン》を特殊召喚。さらに手札から《聖刻龍-アセトドラゴン》をリリースなしで召喚。この上級モンスターは攻撃力を1000にすることでリリースなしで召喚することができる」

「レベル5の非チューナーとレベル6チューナー…」

 

 先日の龍姫と遊矢の一戦が記憶に新しい中、この条件で呼び出されるモンスターは自ずと素良にも何となく予想はついた。おそらく攻撃力がやけに高い上、攻撃時には如何なるカード効果も受けないあのシンクロモンスターが来る、と身構える。

 

「…アセトドラゴンのモンスター効果発動。1ターンに1度、自分フィールドのドラゴン族・通常モンスター1体を選択して発動する。このターン、『聖刻』モンスターは選択したモンスターと同じレベルになる。私は《ラブラドライドラゴン》を選択し、場の《聖刻龍-アセトドラゴン》のレベルを6にする」

「……レベル6のモンスターが2体…」

 

 しかし予想と反するプレイングになったことで素良は顔をやや険しくさせながら小さく呟いた。そういえば遊矢戦では先にそちらの召喚方法2連続だったなぁと回想しながら、龍姫の行動を静観する。

 

「私はレベル6となったアセトドラゴンと《ラブラドライドラゴン》でオーバーレイ。2体のドラゴン族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築――聖なる印を刻む龍の王よ、その力を振るい新たな龍を呼びださん! エクシーズ召喚! 顕現せよ、ランク6! 《聖刻龍王-アトゥムス》!」

「儀式召喚の次はエクシーズ召喚――しかもあのモンスターってことは…!」

「アトゥムスのモンスター効果を発動。オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、デッキからドラゴン族モンスター1体を攻守0にして特殊召喚する。私はデッキから《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を特殊召喚」

 

 少々展開こそ異なるものの、流れ自体は遊矢戦の時とほぼ同じ。次から次へと龍姫の場にドラゴン族が波のように押し寄せては現れる、圧倒的物量。以前は見学用ウィンドウ越しでしか観ていなかった柚子だが、今回は素良のすぐ近くで観ているため、ドラゴン族特有の強大さや存在感がヒシヒシと伝わって来る。遊矢はこんな相手と今まで大会の1回戦で当たっていたのかと、柚子は今更遊矢の感じた恐怖を体感した。

 

「ダークネスメタルのモンスター効果発動。手札・墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する――私は墓地から《ラブラドライドラゴン》を特殊召喚。そして《ラブラドライドラゴン》を墓地に送り、手札から魔法カード《馬の骨の対価》を発動。自分の場の効果モンスター以外のモンスターを墓地に送ることでデッキからカードを2枚ドロー……さらに場のレベル10《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》をリリースし、魔法カード《アドバンスドロー》を発動。自分の場のレベル8以上のモンスターをリリースすることでデッキからカードを2枚ドローする」

「やっぱり龍姫って抜け目ないねぇ。低ステータスのモンスターを棒立ちにさせないで、すぐに処理しちゃうんだもん。ホント、やんなっちゃうよ」

 

 よく言えば効率的、悪く言えば使用カードに情がないとも取れる素良の言葉に龍姫はほんの少し眉を顰める。だったらどうした、と勝手に下っ端認定された青年のように内心で半ば開き直りつつ素良の場に視線を移す。

 素良の場には攻撃力1000の《ファーニマル・オウル》1体に、永続魔法《強欲なカケラ》と3枚のセットカード。あからさまに罠を張っている状況だが、龍姫の4枚の手札にはセットカードを破壊するカードや自分モンスターに耐性を付与させることはできない。一応、アトゥムスを下敷きに《迅雷の騎士ガイアドラグーン》の自身のルール効果でエクシーズ召喚すれば、サフィラとガイアドラグーンによる戦闘ダメージで素良のライフポイントを1ターンで0にできる。しかし、いかんせん相手のセットカードが多いためここは次ターン以降の様子見も含めて龍姫は(自分としては)控え目に動こうと判断する――

 

「……バトル。私はサフィラで――」

「そ・の・ま・え・に――僕は罠カードを2枚発動! 《威嚇する咆哮》と《マジカルシルクハット》!」

「――っ、」

 

――が、そこで完全に予想外のカードが開かれ、珍しく龍姫の目が大きく見開いた。

素良の場に居た《ファーニマル・オウル》が突如巨大なシルクハットの中に隠れ、それが計3つ素良のフィールドに現れる。3つのシルクハットは円を描くような動きでシャッフルされ、横一列に並んだ。

 

「先ずは《マジカルシルクハット》の効果で僕は場の《ファーニマル・オウル》を裏側守備表示にし、デッキから永続魔法の《トイポット》2枚をモンスター扱いでモンスターゾーンにセットするよ。セットした2枚はバトルフェイズ終了と同時に破壊されちゃうけどね。そして《威嚇する咆哮》の効果でこのターン龍姫のモンスターは攻撃宣言できない」

「えっ…攻撃を防ぐだけなら《威嚇する咆哮》だけでも充分なのに、何で《マジカルシルクハット》も発動したの素良?」

「まぁそれはすぐにバトルフェイズ終了時にわかるよ。それじゃあ龍姫、バトルの終了を宣言してくれる? すぐに面白いものを見せてあげるからさ」

 

 攻撃を遮断し、現状では無意味とも思える壁モンスターのセット。通常ならば相手モンスターの総攻撃に対して苦肉の策として使用されることが多い《マジカルシルクハット》だが、それをこんな序盤――それも3分の1の確率でモンスターを破壊されたくないというギャンブルにさえ出ようとしない慎重さ。どこか引っ掛かるプレイングだが、今の龍姫にこれ以上できることは何もない。

 

「……バトル終了」

「バトルフェイズ終了時に《マジカルシルクハット》の効果でデッキからセットした《トイポット》2枚は破壊――けど、お楽しみはこれからだよ! 僕は破壊された2枚の《トイポット》の効果を発動! このカードが墓地に送られた場合、デッキから《エッジインプ・シザー》、または『ファーニマル』モンスター1体を手札に加える! 僕は2枚の《トイポット》の効果でデッキから《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ドッグ》の2枚を手札に!」

 

 (内心で)消沈気味の龍姫とは対照的に、素良は楽しそうにカード効果でデッキからカードを手札へと呼び込む。前のターンで《融合》1枚しかなかった手札が3枚にまで増え、融合召喚の準備を整える。

相手の攻撃を防ぎ、デッキ圧縮も兼ねて融合素材となるモンスターを手札へ。かなり限定的ではあるが、融合素材を素早く揃えるという意味で柚子は素直にこのプレイングに感心した。

 

「……メインフェイズ2。私はカードを2枚セットし、速攻魔法《超再生能力》を発動。このターン、私がリリースまたは手札から捨てたドラゴン族の数だけエンドフェイズにデッキからドローする。そしてこのままエンドフェイズに移行。先ずサフィラの効果を起動。3つの効果で私は’’デッキからカードを2枚ドローし1枚捨てる’’効果を選択。さらに《超再生能力》の効果で私はこのターンでトフェニドラゴンとダークネスメタルの2体をリリースした。よってデッキからカードを2枚ドローし、ターン終了」

 

 攻撃自体を止められなかったものの、龍姫は気にする素振りを見せずに淡々とプレイ。今の龍姫の状況は攻撃力2500のサフィラと攻撃力2400のアトゥムス、セットカードが2枚、手札は4枚と初ターンの動きとしてはまずまずといったところ。可能であればシンクロにも繋げたかったが、生憎手札の都合上それは叶わない。しかしそれは次ターンで動けば良いと内心で不敵な笑みを浮かべる。

 今回龍姫がセットした2枚のカードは罠《反射光子流》と永続罠《竜魂の城》。アトゥムスをガイアドラグーンへと変化させなかったのも、今回のように攻撃を防がれた場合にこの2枚の罠で守り切れると自信があったから。《反射光子流》は《光子化》よりも発動条件が厳しいため、普段なら使いどころに苦労するが今の状況ならば最大限に効果を発揮できる。例え素良が守勢に回ろうと、アトゥムスの効果を使い切ってからガイアドラグーンに変化、《竜魂の城》で強化して攻撃すれば大ダメージは避けられない。また、セットカードを全て破壊しようとしても《竜魂の城》の第2の効果で墓地のドラゴンを除外し、それを帰還させることも可能。この布陣ならばそう易々と崩されることはない――龍姫はそう安心(慢心)してターンを終えた。

 

「僕のターン、ドロー! 僕は手札から《ファーニマル・ドッグ》を召喚し、モンスター効果を発動! このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから自身以外の『ファーニマル』モンスター、または《エッジインプ・シザー》を手札に加える! 僕はデッキから《ファーニマル・ラビット》を手札に加えるよ――そしてここから本領発揮! 僕は手札から魔法カード《融合》を発動!」

 

 順調に手札にモンスターを溜め込んだ素良はお待ちかねと言わんばかりに満面の笑みで《融合》のカードをデュエルディスクに差し込む。素良の真上に愛らしいぬいぐるみの兎《ファーニマル・ラビット》と、黒く鋭利なハサミ《エッジインプ・シザー》がカチカチと物騒な音を鳴らしながらソリッドビジョンに映し出される。

 

「僕は手札の《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ラビット》を融合! 悪魔の爪よ、跳飛の野獣よ! 神秘の渦で1つとなりて、新たな力と姿を見せよ! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを引き裂く密林の魔獣! 《デストーイ・シザー・タイガー》!」

 

 融合召喚の光の渦に2体のモンスターが飲み込まれ、その中から愛らしくも不気味な虎を模したぬいぐるみ《デストーイ・シザー・タイガー》が姿を現す。常識的に小さな子供が見たら泣き出すであろうモンスターの出現に、まるでどこぞの極東エリアのデュエルチャンピオンのようなモンスターのセンスだなぁと思いながら龍姫は《デストーイ・シザー・タイガー》を訝しげに見る。

 

「《デストーイ・シザー・タイガー》のモンスター効果発動! このカードが融合召喚に成功した時、融合素材にしたモンスターの数まで相手フィールドのカードを破壊する! 僕は2体のモンスターを融合素材としたことで、龍姫の場のカード2枚を破壊! 対象は2枚のセットカード!」

「――っ、永続罠《竜魂の城》を発動…! 墓地のドラゴン族1体をゲームから除外することで、私の場のモンスター1体の攻撃力をこのターンの間700ポイントアップさせる…! 私は墓地の《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を除外し、アトゥムスの攻撃力を700ポイントアップさせる…!」

 

 《デストーイ・シザー・タイガー》の腹部から生えているハサミがその刃を伸ばし、龍姫のセットカード2枚に迫った。ただ無残に破壊される訳にはいかない、と龍姫は1枚の永続罠を反転。すぐにその効果を使い、アトゥムスの攻撃力を2400から3100へと強化。

 直後に《デストーイ・シザー・タイガー》のハサミが《竜魂の城》とセット状態の《反射光子流》を引き裂き、龍姫の場から魔法・罠カードが全て消え去る。

 

「破壊され墓地に送られた《竜魂の城》の効果を発動。表側のこのカードが墓地に送られた時、除外されている私のドラゴン1体を特殊召喚する――現れよ、《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》!」

 

 だが消失した魔法・罠カードの代わりに軽々と攻撃力2800の最上級ドラゴン族を場に呼び出す龍姫。《反射光子流》が破壊されたことで攻撃を防げなくなったが、それでも次ターンの展開用に《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を呼び出せたことは嬉しい誤算と言える。さらにアトゥムスの方も攻撃力は3100の大台。かの伝説の白いドラゴンをも上回る攻撃力を得たアトゥムスの前ではどんなモンスターも敵ではない、と内心で高性能おじいちゃんのような高笑いをあげながら素良の方へ視線を移す――

 

「――うん、想定内だね」

「はぁ?」

 

 ――しかし《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》が現れたと言うのに、素良は動じるどころか余裕の笑みを浮かべながらキャンディを頬張る。まるで龍姫を下に見ているとも取れかねないその態度に、真澄はやや威圧した声色で素良を睨む。

 

「どこが想定内よ、今の貴方の場には攻撃力1900のモンスターと裏側守備の《ファーニマル・オウル》しかいないじゃない。そんな状況で龍姫の場をひっくり返せるの?」

「完全に返すことはできないかな? でも、ある程度あの牙城を崩すことはできるよ――僕は融合素材として墓地に送られた《ファーニマル・ラビット》のモンスター効果を発動! このカードが融合素材として墓地に送られた場合、墓地から《エッジインプ・シザー》またはラビット以外の『ファーニマル』モンスター1体を手札に加える! 僕は《エッジインプ・シザー》を手札に!」

 

 デュエルディスクからカシャンと音を立てながら墓地から《エッジインプ・シザー》が排出され、それを上機嫌そうに手札に加える素良。

これで素良の手札はこのターンにドローしたカードと《エッジインプ・シザー》の2枚のみ。融合召喚でカード消費が多くなることは同じ融合使いである真澄や、最近融合を覚え始めた柚子も理解できるが、それにしてもあの自信はどこからくるのかと疑問を抱く。

 

「今回はサービスしてもう1回融合しちゃおっか。僕は罠カード《融 合 準 備(フュージョン・リザーブ)》を発動! このカードはエクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、その融合素材モンスターをデッキから手札に加える――さらに墓地から《融合》も回収できちゃう豪華特典付き! 僕はエクストラデッキの融合モンスター《デストーイ・シザー・ベアー》を龍姫に見せて、その融合素材の1体である《ファーニマル・ベア》を手札に加え、墓地から《融合》を手札に回収する!」

「たった1枚の罠で手札を2枚も増やした!?」

 

 一瞬で《融合》とその素材となるモンスターを手札に揃える素良。これが序盤に言っていた『融合召喚はカードの消費が激しいから、そのためのリカバリーも大事』ということなのかと柚子は驚きつつも素良の言葉を思い出す。

 また、これで素良の4枚の手札の中に《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ベア》、そして《融合》が揃った。この3枚から導き出されるモンスターは柚子の知る限りでは初めて目にしたあの融合モンスターしかいない。

 

「僕はもう1度魔法カード《融合》を発動! 手札の《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ベア》を融合! 悪魔の爪よ、野獣の牙よ! 今1つとなりて新たな力と姿を見せよ!」

 

 再び素良の真上に融合召喚の光が渦巻き、その中に今しがた手札に加えた2体のモンスターが飲み込まれる。直後、《ファーニマル・ベア》の体がミシミシとぬいぐるみを破り捨てるような音をあげながらその姿を変貌させていく。腕が、足が、胴が、頭が。体の至る箇所が無邪気な子供に破壊されたように千切れ、裂けたところからは鋭利なハサミがその刃を覗かせる。

 

「融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを切り裂く戦慄のケダモノ! 《デストーイ・シザー・ベアー》!」

 

 瞬間、僅かに龍姫の顔が引きつる。こういったグロテスクなモンスターは某ファンサービスのシーンや、LDSのフリーデュエルで『暗黒界』を相手にした時に慣れていたつもりだった。だが、実際に目の前にすると無邪気な子供の残虐性とその冒涜的なまでの混沌に吐き気を催す。どこぞの紅い世界の戦士の如く『カワイイ目をしているな』と評した素良との初対面を果たした時の自分を殴ってやりたい。気楽な気持ちで始めたこのデュエルは失敗だった、速攻でケリを着けてやると眉間に皺を寄せる。

 

「あれ、龍姫はこういうモンスター嫌い? あからさまに嫌そうな顔してるけど」

「龍姫はスプラッタやゾンビは苦手なのよ」

「――っ、真澄…!?」

「へぇ、何か意外……龍姫って何事にも動じないイメージがあったんだけど」

「それは貴女の勝手なイメージよ。ジュニアユースに上がった時、アクションフィールドで《アンデットワールド》を引いて、自分のドラゴンがアンデット族になった時は大泣きしたんだから」

 

 真澄、何故そんなことを他塾の生徒――しかもさほど友好的ではない相手にバラすんだ。この裏切り者ぉおおおお! とイカしたファッションセンスのリーダーの如き慟哭を内心であげながら龍姫は真澄の方を強く睨む。対して真澄はツンっとそっぽを向く。『私のデュエルする機会を奪った罰だ』と顔に書かれているようなその表情を見て龍姫は何となく察したが、何も自分の弱点を晒すことはないじゃないかと手札を握っていない拳を強く握る。

 

「ふーん……それは面白いことを聞いたね。それじゃあこんなのはどうかな? 僕は《マジカルシルクハット》の効果で裏側守備になっていた《ファーニマル・オウル》を反転召喚。さらに《デストーイ・シザー・タイガー》のモンスター効果! このカードが表側表示で存在する限り、僕の『デストーイ』モンスターは場の『デストーイ』、『ファーニマル』モンスターの数×300ポイントアップする!」

 

 他方に向けていた視線を慌てて素良に戻す龍姫。何やら不穏な単語と、決して侮ってはいけない数値が耳に入ったところでフィールドの方へ目を向ける。するとそこにはいつの間にか攻撃力が上昇した2体の融合モンスターの姿が。

 《デストーイ・シザー・タイガー》は攻撃力3100。

 《デストーイ・シザー・ベアー》は攻撃力3400。

 おかしい、何故《一族の結束》以上の強化値を全体強化で得ているのだと、龍姫は内心で『インチキ効果もいい加減にしろ!』と叫びたくなった。

 

「伏せカードもないし、このまま攻めるよ! 先ずは《デストーイ・シザー・タイガー》で《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を攻撃!」

 

 《デストーイ・シザー・タイガー》が不気味な笑い声をあげながら、腹部のハサミを大きく開く。前方から抱き付くように《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》に密着すると、その両翼を()ぎながらそのハサミを大きく交差させる。

 強化された《デストーイ・シザー・タイガー》の前に《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》は成す術なくその身に鋭利な刃を受け、暗転と同時に両翼と胴体が四散した。酷く凄惨なやられ方をした黒竜に龍姫は珍しく感情を露にし、怒気の混じった目で素良を強く睨む。

 

「もう、そんな目で見ないでよ。ちょっとは本気出すって言ったけど、まだ遊びの範疇なんだからさ」

「…………」

 

 そんな龍姫の視線を前にしても素良の態度は変わらず。飄々としているのか、はたまた煽っているのか。どちらにせよ、今の龍姫にとっては火に油を注ぐような行為である。龍姫の突き刺すような視線はさらに鋭さを増し、ただただ素良を見据えるのみ。

 対して素良は小さくため息をつき、仕方がない――じゃあもっと面白いものを見せてやろうと思いつつプレイングを続ける。

 

「《デストーイ・シザー・タイガー》でそのリアクションなら、こっちはどうかな? 僕は《デストーイ・シザー・ベアー》でアトゥムスに攻撃!」

 

 続けて先ほど猟奇的な召喚演出で登場した《デストーイ・シザー・ベアー》が、その壊れたぬいぐるみの腕で《聖刻龍王-アトゥムス》を殴りつけた。《竜魂の城》で強化されていたとはいえ、《デストーイ・シザー・ベアー》も同様に《デストーイ・シザー・タイガー》の効果で強化されている。攻撃力3100と3400では僅かに届かず、龍姫は先の《デストーイ・シザー・タイガー》と《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》のバトルダメージを含め、計600ポイントのダメージを受けた。次のターンで倍以上のダメージにして返してやると龍姫が怒りの炎を滾らせている中――

 

「ここで《デストーイ・シザー・ベアー》のモンスター効果発動! このカードが相手モンスターを戦闘破壊で墓地に送った時、そのモンスターを《デストーイ・シザー・ベアー》の装備カードにすることができる!」

「――っ、装備だと!?」

 

 ――ドラゴン使いにとっての絶望が訪れた。

 《デストーイ・シザー・ベアー》は墓地に眠っていたアトゥムスを無理矢理叩き起こすように引き摺りだし、その身を片腕で軽々と持ち上げる。そして龍姫に見せつけるように裂けた大きな口を開き、アトゥムスをゆっくりと運んでいく。

 

「アトゥムス!!」

「展開の要を取られてさぞ残念だろうねぇ。あ、あと自身の効果で装備した《デストーイ・シザー・ベアー》の攻撃力は1000ポイントアップするよ」

 

 救い出すように龍姫は手を前に突き出すが、無情にもその手の先でアトゥムスが《デストーイ・シザー・ベアー》の巨大な口の中に収まる。下卑な咀嚼と共に《デストーイ・シザー・ベアー》の攻撃力が上昇し、その攻撃力は脅威の4400。デュエルモンスターズにおける’’神’’の攻撃力すら凌ぐ展開に真澄と柚子は目を見開いて驚いた――しかし、当の龍姫は激しい憎悪を募らせながら全身を震わせる。

 

「貴っ様ァ…!」

 

 怒髪、天を衝く――とでも言えよう。龍姫の髪は怒りに呼応しているかのように逆立ち、真澄はこれだけ怒っている龍姫を久々に見た。同時にふと、昔のことを思い出した。

 当時の龍姫は『カオスドラゴン』を繰っており、手札・墓地から何度でも出てくる光と闇の波状攻撃による速攻でよく勝負を決めていた。手札に居れば墓地の光と闇を除外して特殊召喚、墓地に居れても何かしらの手段で蘇生、デッキに居てもすぐに手札か墓地に行き、除外してもやはり何かしらの手段で帰還。何度も何度も現れるドラゴンに対戦相手は恐怖を覚え、龍姫は何度もドラゴンの雄姿を見ることができ満足していたらしい。

 

 だがある時、総合コースのとある生徒が龍姫のそのデッキの攻略法を編み出して来た。

 『破壊もバウンスも除外も無駄? じゃあ奪えば良い』

 自信満々に語った名前も覚えていない彼は《The アトモスフィア》というやや召喚条件が厳しいモンスターを出し、龍姫の《ライトパルサー・ドラゴン》を装備カードにすることに成功。その瞬間龍姫の顔は絶望一色に染まり、数秒の間呆けていた。周囲は龍姫のドラゴンを攻略した彼を誉め称え、彼自身も非常に得意げな顔だったことを真澄は今でも覚えている。

 しかし、まさかそれが龍姫の逆鱗に触れることになったとは誰もその時は予想していなかった。

 返しのターンで龍姫は《バイス・ドラゴン》からの《巨竜の羽ばたき》で魔法・罠カードを一掃。破壊された《ライトパルサー・ドラゴン》の効果で墓地から《ダーク・ホルス・ドラゴン》を蘇生させ、《D・D・R》で《ホワイト・ホーンズ・ドラゴン》を特殊召喚しその効果で攻撃力を3700まで上げ、最終的に《二重召喚》と《ミンゲイドラゴン》をリリースし、《タイラント・ドラゴン》を出す暴挙に出た。しかもご丁寧に《ハーフ・シャット》で相手に戦闘耐性を付与させ、一方的に殴り続ける様はまるで暴君。相手のライフが0になっても攻撃を続行しようとした時は真澄・北斗・刃の3人で無理矢理抑えつけたが、それでも龍姫は『離せ…! あいつは…あいつだけは…!』と狂犬のように獰猛だった。当時の出来事は今のジュニアユース世代のLDSでは有名な話であり、それから誰もが龍姫を相手にコントロール奪取だけは使わないと暗黙のルールが作られたほどだ。

 

 あの時の反応は過剰だったのではないかと真澄が龍姫に聞いた時、龍姫は眉間に皺を寄せながらこう答えた。

『…私にとってドラゴンは家族であり親であり兄弟姉妹であり子供。その存在を相手に奪われたら誰だって怒る――違う?』

『後半は同意するけど、前半は何言ってるかわからない』

 龍姫のドラゴンに対する重過ぎる愛情に真澄は引きつつも、何となく龍姫の言いたいことは理解した。ただ単にアイドルやプロデュエリストが好きなミーハーな輩とは違い、龍姫にとってドラゴンは好きで愛してかけがえのない存在なのだ。

 そんな事情を知らないとはいえ、その存在をいとも簡単に奪った素良に対する龍姫の怒りは計り知れない。あぁ、またあの惨劇が繰り返されるのかと真澄は頭を抱えた。

 

「あぁ、怖い怖い。これなら《デストーイ・シザー・ベアー》の効果を使わない方が良かったかな? でも怒ってる顔の方が素を出してて良いと思うよ」

「黙れ…! さっさとデュエルを続けろ…!」

「はいはい、僕はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

 当然何も知らない素良は無邪気に、それでいて悪戯っ子ぽい笑みを浮かべながらちぇー、と口をすぼめながら素良は残り1枚の手札を魔法・罠ゾーンにセット。これで素良の手札は0枚となったが、その分フィールドは圧倒的である。

 《ファーニマル・オウル》、《ファーニマル・ドッグ》、《デストーイ・シザー・タイガー》、《デストーイ・シザー・ベアー》の4体ものモンスターが存在し、魔法・罠ゾーンにはカウンターが1つ乗った《強欲なカケラ》と、装備カードとなったアトゥムスにセットカードが1枚。ライフポイントも無傷の4000。次のターンでは《強欲なカケラ》の効果でさらに手札も補充されるため、追撃するには充分だろう。

 対して龍姫の方は現時点で手札は4枚。フィールドには《竜姫神サフィラ》のみが存在する。ドローカードを含めてもカードアドバンテージが劣る上、ライフポイントも先ほどの攻防で3400にまで減った。

 だが龍姫にとってそんなことは小事。問題はドラゴン使いである自分がおめおめと相手にドラゴンのコントロールを(装備カード状態とはいえ)奪われたことだ。かのカードの貴公子やかの前世がドラゴンの勇者同様、ドラゴンに対しては病的とも言えるほど愛情を注ぐ龍姫が自分のドラゴンを奪取されたことはドラゴン使いとしてのプライドが許さない。この屈辱を何倍にも返してやると、怒りの炎を燃やしながらデッキトップに指をかける。

 

「私の、ターン! 手札からレベル8の《神龍の聖刻印》を捨て、魔法カード《トレード・イン》を発動する! このカードは手札のレベル8モンスター1体を墓地に捨て、デッキからカードを2枚ドロー! ライフを1000払い、魔法カード《簡 易 融 合(インスタント・フュージョン)》を発動する! エクストラデッキからレベル5以下の融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚! 現れよ、レベル4! 《暗黒火炎龍》! さらに手札から《アレキサンドライドラゴン》を召喚!」

 

 珍しく感情的になりつつも、普段の流れるようなカード捌きは変わらず。手札のカード交換、特殊召喚、通常召喚を駆使し、あっと言う間に龍姫の場には2体のレベル4モンスターが並んだ。

 一瞬、融合関係のカードを使用したことで素良は少しだけ嬉しそうな表情になったが、レベル4のモンスターを追加で召喚された途端にその顔が歪む。まさかそれだけのために《簡易融合》を使ったのかと口を開こうとした途端――

 

「私はレベル4の《暗黒火炎龍》と《アレキサンドライドラゴン》でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! 大地穿ち、砕き割れ! エクシーズ召喚! 出でよ、ランク4! 《カチコチドラゴン》!」

 

 ――そのまま閉口する。

 おそらく龍姫は《簡易融合》で1000ポイントのライフを支払い、残りライフポイントが2400になってでもあの《カチコチドラゴン》というエクシーズモンスターを召喚したかったのだろうと素良は察した。

 だが尊い融合召喚を自分の毛嫌いするエクシーズの踏み台にされたということは素良にとって我慢がならない。無自覚の怒りで頬張っていたキャンディを噛み砕き、ボリボリと咀嚼しながら《カチコチドラゴン》へ視線を向ける。

 

「バトル! 《カチコチドラゴン》で《ファーニマル・オウル》に攻撃!」

 

 全身が鉱石に覆われた竜《カチコチドラゴン》が咆哮をあげると、地面が隆起し氷柱が天地逆に成るように岩の棘が無数に出現していく。それが《ファーニマル・オウル》の方へ襲いかかる――

 

「罠カード《シフトチェンジ》発動。相手モンスターの攻撃対象、もしくはカード効果の対象を僕の別のモンスターに移し変える。僕は《カチコチドラゴン》の攻撃対象を《ファーニマル・オウル》から《デストーイ・シザー・ベアー》に変更させるよ」

「――っ、」

 

 ――が、表になった罠カードを見るなり龍姫の目が見開いた。何故そんなマイナーなカードを、と考えようとしたところで先ほどの攻防を思い出す。

 

『このカードが相手モンスターを戦闘破壊で墓地に送った時、そのモンスターを《デストーイ・シザー・ベアー》の装備カードにすることができる!』

 

 瞬間、慌ててフィールドへ目を向けるが時既に遅し。龍姫の手札にはこのバトルに影響を与えることができる速攻魔法がなければ、手札誘発の効果モンスターもいない。

 《カチコチドラゴン》が生成した岩の氷柱を《デストーイ・シザー・ベアー》は嘲笑うように跳躍で回避し、そのまま獲物を狩る野獣のように《カチコチドラゴン》にその牙を立てる。

 

「《カチコチドラゴン》!」

 

 龍姫の悲痛な叫びが空に響く。だが叫んだところで何も結果は変わらず《カチコチドラゴン》はアトゥムス同様、《デストーイ・シザー・ベアー》の胃袋へと収まる。

 攻撃力4400と攻撃力2100の差分2300のダメージを受け、一瞬にして、しかも半ば自爆という形で龍姫の残りライフは100ポイントまで減少する。だが自分の残りライフよりも、自分の愛するドラゴンがまたしても敵に奪われた――自分の不甲斐なさ、そして目の前の相手に烈火の如き怒りがわき上がる龍姫。

 

「…っ、くぅ……!」

「あーらら。龍姫、ちょっとイケてないんじゃなーい? いくら僕のセットカードが1枚しかないとはいえ、安易に攻撃するのはどうかと思うよ? まぁお陰で僕の《デストーイ・シザー・ベアー》は美味しく頂けた(攻撃力がアップした)けどね――ごちそうさまっ」

「ちょっと素良、そんな言い方しなくても…」

 

 怒りで身を震わせる龍姫を横目に、柚子が申し訳なさそうな表情でそう言う。エンタメデュエルをモットーとしている塾が、こんな相手を煽るようなプレイングや言動を許せるハズがない。ただ今は自分が素良から融合召喚を教わっている身であるため、あまり強く言い出せずに自信のなさが声色でわかる。

一方、柚子と同じように観戦側に回っていた真澄は龍姫の荒々しい様子に若干怯えつつ、素良のプレイングに感心していた。

 前のターンで《デストーイ・シザー・タイガー》の融合素材を最低限の枚数にしたのは、わざと自分の場に下級モンスターを残すため。龍姫の性格上、モンスター除去や魔法・罠除去はそれなりに使うが、それでも本命はモンスター同士のバトル。そして《デストーイ・シザー・タイガー》は素良の場に特定モンスターが居る限り、『デストーイ』モンスターの攻撃力を上昇させる効果を持つ。ならば下級モンスターを殴り倒せば《デストーイ・シザー・タイガー》も弱体化し、攻撃力が同じになったところで墓地の《祝祷の聖歌》を犠牲に相討ちすれば良い。そうすれば相手のモンスターを減らし、《デストーイ・シザー・ベアー》もある程度弱まる。そこで特定の条件下で連続攻撃効果を持つ《カチコチドラゴン》を場に出した龍姫の選択は正しかった――しかし、それすらを見越して素良はモンスター除去の罠ではなく《シフトチェンジ》という使い辛いカードを使って反撃した素良の方が1枚上手だった。その成果は龍姫のライフポイントを100にし、再び龍姫が愛してやまないドラゴンをさらに装備すると鬼畜極まりない。

 あどけない顔をしていてその本心は使うモンスターに似て残虐だと評しながら、真澄は心配そうに龍姫の方に目を向ける。

 

「……サフィラで《ファーニマル・オウル》を攻撃…」

「うわぁ、1500ダメージも食らっちゃった」

 

 そこには力ない発声で攻撃宣言を下す龍姫の姿が。あそこまで龍姫が落ち込む姿は滅多に見られることじゃないと思いつつ、素良のわざとらしい棒読みの声に苛立つ真澄。1500ダメージを食らっても残りライフは2500ポイント、龍姫の25倍はあるじゃないと目で訴える。

 だがデュエル当事者の素良はそんな視線を意に介さず、攻撃力が5100まで上昇した《デストーイ・シザー・ベアー》を誇らしく見ていた。これが崇高なる融合召喚の成せる技――いくら龍姫と言えど、このカードを倒すことは難しいだろうと、お気に入りのモンスターに全幅の信頼を寄せる。

 

「……メイン2。カードを1枚セットし……このままエンドフェイズ。このターン、私は手札から光属性モンスターの《神龍の聖刻印》を《トレード・イン》のコストとして墓地に捨てた――よってサフィラの効果が発動。私は再度デッキからカードを2枚ドローし、1枚捨てる…これでターンエンド」

 

 対して龍姫の方は相も変わらず力ないプレイング。自信と余裕を持った素良とは真逆のそれであり、いつもの淡々さに覇気が感じられない。一応は手札を3枚まで増やしたものの、場にはサフィラが攻撃表示、セットカードが1枚のみ。ライフに至っては如何なる超過ダメージさえも許されない残り100ポイント。

 素良の方は手札こそ0枚だが、場には《ファーニマル・ドッグ》、《デストーイ・シザー・タイガー》、《デストーイ・シザー・ベアー》の3体のモンスターと、カウンターが1つ乗った永続魔法《強欲なカケラ》。ライフポイントも2500と半分も減っておらず、次ターンでは《強欲なカケラ》の効果を含めれば手札は3枚にまで潤う。このまま龍姫を倒すには充分過ぎるほど整っており、素良は不敵な笑みを浮かべながらカードを引いた。

 

「僕のターン、ドロー! このドローで永続魔法《強欲なカケラ》にカウンターが2つ乗った! 僕は《強欲なカケラ》を墓地に送り、その効果でさらに2枚ドロー!」

 

 通常ドロー、カード効果によって追加したドローカードに目を配ると、素良は少しだけバツの悪そうな顔になる。決して悪いカードではないが、ここで後ひと押しと言うには少々物足りない。願わくば龍姫のセットカードを破壊できるカードが欲しかったのだが、ないものをねだっても仕方がない。ここは多少の不安要素(下級モンスター)を処理しつつ、フィールドを自分()色に染めてやろうと画策する。

 

「僕は手札から魔法カード《融 合 回 収(フュージョン・リカバリー)》を発動! 融合召喚に使用した融合素材モンスター1体と《融合》を墓地から手札に加える! 僕は墓地の《エッジインプ・シザー》と《融合》を手札に加え――当然、発動! 僕は手札の《エッジインプ・シザー》と場の《ファーニマル・ドッグ》を融合! 悪魔の爪よ、牙剥く魔犬よ、今1つとなりて新たな力と姿を見せよ!」

 

 3度目の融合召喚。再び素良の場に融合召喚特有の相反する2色の光が融け合い、その光の中に《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ドッグ》が飲み込まれた。

 《ファーニマル・ドッグ》の躰が寒色系へと変色し、やはり《デストーイ・シザー・ベアー》の時と同様に鋭利なハサミが胴体を剥き出しにし、前足はまた別のハサミに支えられている。犬――とは異なるが、同じ四肢を持った獣である狼の姿へと変貌していく。

 

「融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを噛み砕く蛮狂の黒狼! 《デストーイ・シザー・ウルフ》!」

 

 素良の場に3体目の融合モンスター《デストーイ・シザー・ウルフ》が《デストーイ・シザー・タイガー》の隣へ駆ける。3体の全てが壊れたおもちゃのような音を立てながら並ぶ姿はある意味圧巻。ここ最近、素良から融合召喚を習っている柚子でさえもここまで融合モンスターが揃う光景を見たことがなく、驚愕と恐怖が混じった表情で素良のフィールドを見る。同じ融合使いである真澄にとっては見慣れた光景でもあるし、自分の方がもっと早くそして多く並べられると内心で対抗心を燃やす。

 そして龍姫は――

 

「…………」

 

 ――相変わらず無表情。普段と同じようなそれであるが、未だアトゥムスと《カチコチドラゴン》を奪われたショックから立ち直れていないのか、どこか儚げな印象を受けた。

 それを見た素良は獲物を見つけた狩人のような目付きになり、下卑な笑みを浮かべながら意気揚々と声を昂らせる。

 

「《デストーイ・シザー・ウルフ》は融合素材にしたモンスターの数だけ攻撃することができる! バトルだ! 僕は《デストーイ・シザー・ウルフ》でサフィラに攻撃!」

 

 《デストーイ・シザー・タイガー》の効果によって攻撃力が2900まで上昇した《デストーイ・シザー・ウルフ》にとってサフィラを葬ることは容易。例えセットカードが《ガード・ブロック》や《攻撃の無敵化》のような戦闘ダメージを0にするカードだとしても、2回の攻撃権利を得た《デストーイ・シザー・ウルフ》の前では無力だ。また、龍姫が最初のサフィラの効果で2枚目の《祝祷の聖歌》を墓地に送っていたことも分かっていた。だが今の状況ならダメージを0にしようが、2回攻撃に加えて《デストーイ・シザー・タイガー》や《デストーイ・シザー・ベアー》の攻撃を耐えられるハズがない――それに、最終的に《デストーイ・シザー・ベアー》がサフィラを装備すれば最高のフィールドになるだろう。それを見た龍姫はどんな反応をするのか、それを考えるだけで素良は必死に破顔をこらえる。

 

「罠発動《光子化》。相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分だけ私の場の光属性モンスター1体の攻撃力をアップする。《デストーイ・シザー・ウルフ》の攻撃を無効にし、その攻撃力2900ポイント分サフィラの攻撃力を次のターンまでアップさせる。よってサフィラの攻撃力は5400」

「……は?」

 

 瞬間、素良の顔は物理的に破顔した。攻撃無効? 攻撃力アップ? 攻撃力5400? 一体何がどうなっているのだと理解する前に、龍姫の口が静かに開く。

 

「これで私のモンスターの攻撃力は貴様の全モンスターの攻撃力を上回った――いくら攻撃回数を増やそうが、装備カードにしようが、倒せなければ意味がない」

「――っ、」

 

 耳に入る龍姫の説明に言葉を失う素良。確かに攻撃力5400にも上がったサフィラを前に、自分の融合モンスター達の攻撃力では歯が立たない。最も攻撃力が高い《デストーイ・シザー・ベアー》でさえもその攻撃力は5100――僅か300ポイント足らない。先手ではその300ポイント差で勝っていただけに、今回はその300ポイント差に泣かされる――素良は目を険しくさせ、いつの間にか新しく口に入れていたキャンディを再び噛み砕き、龍姫の方を睨む。

 

「…まさかそんなカードまで入れているとはね、正直龍姫のデッキは展開用のカードしか入ってないと思ったよ」

「丁度今日の公式戦では高攻撃力が相手だったからそのまま入っていた――このデッキを相手に攻撃力で勝りたいなら、最低でも攻撃力を1万にしないと話にならない」

「「そんな攻撃力出せる訳ないでしょ!!」」

 

 外野から女子2人の声が重なった。自分として何もおかしいことを言ったつもりがない龍姫は小首を傾げるが、声をあげた2人は何故わからない顔をするんだと眉を顰める。

 

「攻撃力1万か……流石に僕のデッキじゃそれは無理だね。でもそのカードの効力は次のターンまで――次のターン、僕のモンスターが2体以上残っていれば返しのターンでその超過ダメージだけでも龍姫の負けだよ?」

「だったら次の私のターンで勝てば良い」

「随分気軽に言ってくれるね、まぁ頑張ってよ。僕はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

 多少冷静さを取り戻した素良は、残った2枚の手札を全て伏せてターンを終えた。このターンで仕留め切れず、次ターンで自分のモンスターが1体でも破壊されてしまうことは苦しいが、それでもまだ勝てる可能性はある。素良が伏せた2枚のカードで次のターンの敗北はほぼ(・ ・)ない。これで負けるとしたら先ほど龍姫が言っていた攻撃力1万のモンスターでも用意しない限りは無理だろう。

 

「私のターン、ドロー」

 

 龍姫はドローカードに目をやり、続けてフィールドに視線を移す。自分の場には攻撃力5400となったサフィラが1体のみ。対して素良の場には攻撃力2800以上の3体の『デストーイ』融合モンスターと2枚のセットカード――そして奪われ、装備カードにされた2体のドラゴン。

 本来であれば相手の装備カードにされたドラゴン達を某真の銀河眼使いのように取り返せれば一番なのだが、生憎今の龍姫の手札ではそれは叶わない。ならば今回は某カードの貴公子のように非情に徹するしかないのかと、内心で深くため息を吐く。

 

「速攻魔法《銀龍の轟咆》を発動。墓地のドラゴン族・通常モンスター1体を特殊召喚する。私は墓地のデュアルモンスター《ダークストーム・ドラゴン》を特殊召喚」

「攻撃力2700かぁ…」

 

 《ダークストーム・ドラゴン》が墓地に居たことは素良もわかっていた。前の龍姫ターンにサフィラの手札補充効果の際に捨てられたカードであることは把握している。

 この状況だと《デストーイ・シザー・ベアー》はサフィラに破壊され、攻撃力が下がったところを《デストーイ・シザー・タイガー》が《ダークストーム・ドラゴン》に破壊されるだろうか。それとも戦闘超過ダメージの勝利を狙いに来るかと素良が勘繰っていると、龍姫は続けて残った3枚の手札の1枚に指をかける。

 

「装備魔法《スーペルヴィス》を《ダークストーム・ドラゴン》に装備。これでダークストームは再度召喚された状態となり、効果を発動できる――ダークストームの効果を発動。自分フィールドの表側の魔法・罠カード1枚を墓地に送り、フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

「……えっ?」

「私はダークストームに装備された《スーペルヴィス》を墓地に送り、魔法・罠カードを全て破壊――」

「――っ、僕は罠カード《ダメージ・ダイエット》! そして速攻魔法《非常食》を発動! このターン受けるダメージを半分にし、さらに僕の場の魔法・罠ゾーンのアトゥムス、《カチコチドラゴン》、《ダメージ・ダイエット》を墓地に送ることで3000ポイントライフを回復する!」

 

 一瞬、素良は突然のシンプルイズベストな《ダークストーム・ドラゴン》の効果に放心しかけるが、すぐに気を持ち直してセットしていた2枚のカードを同時発動させる。元々《デストーイ・シザー・ベアー》の効果で圧迫され易い魔法・罠ゾーンを有効活用するために入れた《非常食》、《マジカルシルクハット》の対象で《トイポット》を使い切った時に墓地からでも使えるようにと入れていた《ダメージ・ダイエット》だったが、それを極めて良いタイミングで使えたことに素良は内心で喜んだ。

 《デストーイ・シザー・ベアー》の攻撃力は下がってしまったが、その代わりにライフは5500まで回復。ダメージも全て半減するため、このターンで龍姫が勝利するためには最低でも11000の戦闘ダメージを与えなければ勝てない。尤も、今の自分の手札は0枚のため反撃は難しいが、それでも《魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)》等の一発逆転のカードを引けば良いのだ。まだ勝負はわからない、と素良の頬を冷や汗が流れる。

 

「――墓地に送られた《スーペルヴィス》のさらなる効果を発動。このカードが墓地に送られた時、墓地の通常モンスター1体を特殊召喚する……私は墓地の《神龍の聖刻印》を特殊召喚」

「――っ、レベル8のモンスターが2体…!」

「私はレベル8のダークストームと《神龍の聖刻印》でオーバーレイ。2体の通常モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築――蒼き雷電よ、その身を竜に写し全てに轟雷を与えん!」

 

 《ダークストーム・ドラゴン》と《神龍の聖刻印》が光となり、黒い渦に飲み込まれる。一瞬、眩い閃光が走ったかと思えば龍姫のフィールド上空から雷鳴が鳴り響く。嵐の次は雷、とでも言うように不穏なそれはゆっくりと龍姫のフィールドに降りて来た。

 青い体躯にところどころ雷電のラインが走った巨大な竜。3本の角からは絶え間なく電が轟き、それが全身を覆うように包んでいる。

 

「エクシーズ召喚! 顕現せよ、ランク8! 《サンダーエンド・ドラゴン》!」

 

 《サンダーエンド・ドラゴン》がフィールドに現れたと同時に素良と柚子は息を飲む。ランクが8、さらに攻撃力が3000もあるのなら警戒せざるを得ない。一体どんな効果を持っているのかと、訝しげに《サンダーエンド・ドラゴン》の方へ視線を向ける。

 

「オーバーレイ・ユニットを1つ使い、《サンダーエンド・ドラゴン》の効果を発動する。フィールドのこのカード以外の全てのモンスターを破壊する――ライトニング・ストライク!」

「くぅっ…!」

 

 その効果は先の《ダークストーム・ドラゴン》同様に単純にして強力無比。魔法・罠カードを破壊された次はモンスターだと言わんばかりに龍姫の表情は冷酷。

 《サンダーエンド・ドラゴン》の3本の角が強く発光し始め、いつの間にかフィールドの上空に黒雲が存在している。咆哮と同時に《サンダーエンド・ドラゴン》の全身から轟雷が黒雲に吸い込まれ、黒雲から無数の雷がフィールドに降り注いだ。3体の『デストーイ』融合モンスターは一瞬にして炭と化し、龍姫のサフィラは墓地の《祝祷の聖歌》を犠牲に雷電の被害から免れる。

 これでフィールドにはサフィラと《サンダーエンド・ドラゴン》しか存在せず、2体の合計攻撃力は8400――普段のデュエルはもちろん、例えライフ8000ポイントのルールでも1度のバトルフェイズで終わってしまう。

 

 だがこのターンで素良は《ダメージ・ダイエット》を発動させた。このターンのダメージが半分になる現状で与えられるダメージは4200。自分を倒すにはあと1300ポイントのダメージは必須、最低でも攻撃力2600のモンスターが必要となる。龍姫の墓地には攻撃力2600を超えるモンスターは存在せず、先ほど墓地に送られたオーバーレイ・ユニットも《神龍の聖刻印》だ。せめて《ダークストーム・ドラゴン》を使い、蘇生系のカードがあれば決められていただけに詰めが甘いと素良は感じる。

 

「…私はこのターン、まだ通常召喚を行っていない。私は手札から《ガード・オブ・フレムベル》を召喚」

「攻撃力100? そんな攻撃力じゃ僕のライフは削り切れないよ。シンクロ召喚に使おうとしても、折角攻撃力を5400まで上げたサフィラも無駄に――」

「装備魔法《戦線復活の代償》を発動。自分の場の通常モンスター1体を墓地に送り、自分か相手の墓地からモンスター1体を特殊召喚する。私は《ガード・オブ・フレムベル》を墓地に送り、墓地からアトゥムスを特殊召喚」

 

 素良の言葉を遮るように龍姫はプレイを続行。ただ弱小モンスターを召喚したかと思えば、いつの間にかフィールドには攻撃力2400のエクシーズモンスター。突然高攻撃力のモンスターが出現したことで素良は口を閉じるが、少し落ち着いて考えればまだ問題がないことに気付く。

 今の龍姫の場のモンスターの合計攻撃力は10800。《ダメージ・ダイエット》で軽減しているこのターンで与えられるダメージは5400止まりだ。かろうじて自分のライフは100だけ残る――まだ希望はある、と素良は額の汗を拭い安堵する。

 

「……このカードはランク5か6のエクシーズモンスターの上に重ねることでエクシーズ召喚できる。私はランク6のアトゥムスでオーバーレイ! 雷の速さを以て、穿ち貫け! エクシーズ召喚! 現れよ、ランク7! 《迅雷の騎士ガイアドラグーン》!」

 

 だが安堵したのも束の間、一瞬にして素良の表情が一変する。すっかり失念していたが、以前の遊矢VS龍姫戦でこのモンスター存在していたのだ。しかもその攻撃力は2600――龍姫の場のモンスターの合計攻撃力は11000となり、例えダメージを半減されても与ダメージは5500。そして素良自身の残りライフポイントも同じく5500――

 

「バトル。サフィラ、ガイアドラグーン、サンダーエンドの順で直接攻撃」

 

 ――自分(素良)の敗北が決定した。

 淡々と、しかし確かに内に秘められた怒りを感じられる声色で龍姫は冷徹に攻撃令を下す。サフィラの放つ光、ガイアドラグーンの風を纏った槍撃、サンダーエンドの無慈悲な大雷が容赦なく素良へと襲いかかる。伏せカードも、墓地発動も、手札誘発もない素良にこの3体の直接攻撃を防ぐ術はなく、サンダー・エンドの直接攻撃終了と同時にライフカウンターが0を示した。

 

 

 

――――――――

 

 

 

 デュエルが終わり龍姫は無言でディスクを仕舞い、真澄の方へと近付く。お疲れ様、の意味を込めて片手を軽く上げたハイタッチをするが、龍姫の表情は優れない。付き合いの長い真澄はその理由を何となく察していた。

 元々龍姫はプレイングや言動こそは淡々としているものの、デュエルの演出自体は観衆向け、言わば大勢の観客を沸き上がらせるデュエルを重視している。融合、儀式、シンクロ、エクシーズを使っているのも、観客に何を出すのかワクワクさせるためのものだ。

 それが今回はどうだ。ただ自分のドラゴンを相手の装備カードにされたからと言って激昂し、あまつさえ口調も荒々しく普段の冷静さや冷淡さの欠片もない。いつもは『思考停止全ブッパコンボ』と称している《ダークストーム・ドラゴン》と《スーペルヴィス》、《サンダーエンド・ドラゴン》のコンボもやりたがらないが、今回はそれを怒り任せに行った。

そんな自分らしくないデュエルをしたため、龍姫は半ば自己嫌悪に陥って気が滅入っているのだろうと真澄は感じる。

 

(ヤバい――人前でミザちゃんごっこしちゃった…)

 

 しかし、そんな真澄の心配を知らずに龍姫は完全に別件で落ち込んでいた。普段の無口で冷淡な姿をLDSはもちろん学校内でも(例の件を除いて)守って来たが、今回のデュエルで本能の赴くままに真の銀河眼使いとほぼ同じリアクションを取ってしまった自分の安易さに後悔している。いや、これは相手が自分の愛するドラゴン族を奪った当然の報いであり、自分は何も悪くない。先人のドラゴン使い達と同等、もしくはそれ以上に愛情を注いでいる自分にとっては至極普通の行動で何も間違ったことはしていない。自分にそう言い聞かせるように心の中で言い訳をしている中、ふっと視界に素良の姿が入りこむ。

 

「…………何?」

「ねぇ、もう1回僕とデュエルしてよ。1回じゃ物足りないでしょ?」

「……悪いけど、今はもう1回デュエルをする気力がない。柚子か真澄を誘えば――」

「君じゃないと僕が満足できないんだけど」

 

 先ほどのデュエルの内容に満足できなかったのか、再戦を申し込む素良。その表情はどこか不服そうにも見える。

 龍姫としてはこれ以上コントロール奪取を相手にしたデュエルをすると、先ほど以上に我を忘れてエンタメ性の欠片もないデュエルをするかもしれない。相手の戦術を受け入れてこそのデュエリストだと頭で理解はしているが、それでもどうしても譲れないもの(ドラゴン愛)がある。見て分かるように疲れた表情を作ってみせるが、素良は中々引き下がらない。その真剣な眼差しはデュエル開始時以上に真摯であり、それを見た龍姫は気付かれないように小さくため息を吐き、顔だけ真澄の方へと向けた。

 

「真澄、チェンジ」

「私は別に良いけど――そこの貴方は良いの?」

「良い訳ないじゃん。君の融合なんかより、龍姫を相手にしたいし」

「聞き捨てならないわね。私が弱いって言いたいの?」

「君のレベルは前の柚子とのデュエルで知れているもん」

「……言ってくれるじゃない。さっきの龍姫の実力は認めても、私の実力は認めないとでも言うのかしら?」

「うん。融合なら僕の方が強いからね」

 

 素良の言葉にカチンと来た真澄は眉を顰める。いくら自分よりも年下(に見える相手)とは言え、真澄は融合コースのトップであることに誇りを持っており、それを否定されることはLDSを下に見られていることに他ならない。ホルダーからデュエルディスクを取り出し、素良の方を睨む。

 

「だったらデュエルよ。私も龍姫と同じLDSよ――LDS融合コースの実力を思い知らせてあげるわ!」

 

 声を大きく張り上げる真澄。LDSこそ最強だと示すため、例え安い挑発だろうと受けて立つ姿はデュエリストとしては何も間違っていない。

 だがそんな真澄の様子を見て素良はハァ、とため息を吐く。自分は真澄とではなく龍姫とデュエルをしたいのに、何故邪魔をするのかと表情に出さないように睨む。邪魔立てするのなら、さっさと終わらせて龍姫と再戦をしようかと思っていた時――

 

 

 

 

 

「お前もLDSか」

 

 

 

 聞き覚えのない、男の声が静かに響いた。

 

 




やりたかったコンボ
①《トイポット》+《マジカルシルクハット》
②《ダークストーム・ドラゴン》+《スーペルヴィス》→《サンダーエンド・ドラゴン》

①に関してはWikiにも書かれていますが、個人的に《サルベージ》や《融合回収》などの1枚で2枚分のカードアドが取れるカードが好きなのでこの形に。べ、別に枚数調整のために本編で《威嚇する咆哮》を使った訳じゃありませんよ(震え声)

②は前回の1枚1枚破壊するラプテノスループと同様、''全て壊すんだ''コンボ。何気にサフィラも墓地に《祝祷の聖歌》が落ちていれば生きられますし、サンダー・エンドの効果を発動する前に蒼眼を出して耐性を付与すれば相手だけ一方的に破壊できるので良いコンボ(Wikiを見ながら)。こ、こっちは前回《サイバー・エンド・ドラゴン》を出せなかったから、代わりに名前の似ている《サンダー・エンド・ドラゴン》で代用したとかそんなことは微塵にも思っていません。本当です。私を信じてくれ(バリアン警察感)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。