カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜   作:1202155@

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さくら「みなさん!」
なのは「新年!」
フェイト「明けまして!」
小狼「おめでとうございます!」
想也「本年も、よろしくお願いします!」

後書きにて、Special episodeが載ってます。どうぞご覧下さい。


敗北の乙女

 フェイトは全身に走る痛みで目を覚ましたと同時に何故、こうなったのかについて、考察する。

 

(……あぁ、あの娘に負けちゃったんだ)

 

 暫く考えてから、その答えに至ったフェイトは、同時にもう一人の少女のことについても思い出した。アレは意識を失う前、純白の羽を纏った少女が空から舞い降りて来たような気がしたのだ。

 

「もしかして……ここは天国?」

「……だとしたら、なんとアットホームな天国だろうな」

 

 天使が自分を天国に連れて行ったと思っていたフェイトはそう呟いたのだが、それに対して不機嫌そうな声で誰かがツッコミを入れてきた。そのことに驚き、一瞬で覚醒するフェイト。掛け布団の端を掴み、そーっと声のした方を除くと、壁に寄りかかり、腕組みして立つ少年の姿が目に入った。フェイトは恐る恐る質問をしてみた。

 

「あの……ここはどこですか?それで、何で私はー

「ここはあいつの家だ。それでお前は、ボロボロに傷ついてたから、怪我を治療して、ここで寝かせてた」

「そうなんですか……ありがとうございます」

「礼は俺じゃなく、あいつに言え」

 

 そう言って少年はぶっきらぼうに入り口を指差した。そこには、エプロンを付けた、フェイトよりも少し歳上の少女がお盆を持って立っていた。

 

「あ!良かった!気がついたんだね!」

 

 フェイトが意識を取り戻したことに安堵したのか、少女の顔が綻んだ。

 

「私、木之本桜!貴女の名前は?」

「フェイト・テスタロッサです……その、助けて頂いてありがとうございます……」

 

 互いに名乗った後で、フェイトはお礼を述べた。さくらは、ううん、と言ってニッコリ笑った。

 

「魔法使いどうし、助け合わなくちゃ……ね?」

 フェイトは小さな声で頷いた。その直後、ぐ〜とお腹が鳴った。そのことに驚き、恥ずかしくなったフェイトは、布団に顔を埋めた。さくらはベッドのサイドテーブルにお盆を置くと、フェイトを呼んだ。

 

「フェイトちゃん、お粥作ってきたんだけど……食べー

「食べますっ!食べさせて頂きます!」

 

 『閃光の戦斧(バルディッシュ)』を扱うに相応しい速さでフェイトは身体を起こした。その目は獲物を見つけた鷹のように鋭く輝いていた。身体の痛みは何処行った、とツッコミを入れたそうに小狼が難しい表情をして頭を掻きながら、フェイトを見つめる。それを見て、フェイトは顔を紅くしながら、さくらから、渡された茶碗を手に取ろうとするが、自分の手が怪我で動かせないことに気づき、オロオロする。すると、さくらがその茶碗を手に取り、レンゲで中のお粥を少し掬い、ふーふーと覚ました後で、フェイトの口元に持って来た。

 

「フェイトちゃん、あーん」

「ふぇ!?あ……ありがとうございます」

 

 びっくりしながらも、フェイトはそのお粥を口に含んだ。その味は少し酸っぱく、優しい甘さがあった。

 

 

 

 木之本家のリビング。そこで、さくらの使い魔であるケルベロスは、同じさくらの使い魔である月(ユエ)と共に、フェイトのデバイスである、バルディッシュと会話をしていた。

 

「ほー、デバイス言(ゆー)んも色々種類があんねんなー」

《ええそうです。ミスターケルベロス。大まかに分けて、処理速度特化のストレージ、連携による魔法術式の多様性ではインテリジェント。個人特性に合わせて振り分けられています》

「……なら、あの騎士のような者たちが使っていたデバイスはどちらだ?」

《『こちら』の型枠に当てはめるのであれば、ストレージのほうでしょう》

「『こちら』?何かもう一つあるのか?」

 

 バルディッシュの言い方に引っかかりを覚えた月がそう訊ねると、バルディッシュは、はい、と返事をしたあとで、そのことについて説明した。

 

《魔法術式は『こちら』での主流は主にミッドチルダ式と呼ばれる万能タイプですが、大昔は二つに分かれていました》

「ほんなら、それが、あのハンマーもった嬢ちゃんやら、剣士の姉ちゃんが使っとった魔法なんやな?」

《はい。その通りです。名をベルカ式。対人戦特化の物理魔法です》

「ベルカ式か……そう言えば昔、クロウが言ってたな……、野蛮な魔法だ、と」

 

 その言葉でケルベロスはあ〜、そないなことあったなぁ〜と呟いた。

 

「あれは確か、クロウと共に異世界の珍しい食べ物を食べに行った時のことやったなぁ〜」

「お前らしいな……食べ物のことになると覚えているとは……」

「でも、結局食えへんかったんや!思い出しても腹立つわ!」

「落ち着け。ケルベロス。あれは事故だった。いや、まぁ……事故と片付けるには、あまりに面倒くさいことだったが……」

《あー……お二方とも、よろしいですか?》

 

 バルディッシュがそれを割って入った。それを聞いて、二人は頭を下げてバルディッシュの言葉を待った。

 

《ベルカ式はご存知なのですか?》

「いや、名前だけ聞いているだけだ。詳しくは知らん」

「ワイも同じやでー。しっかし、物騒な魔法やさかいなー………………はんむ!んーっ!この飴ちゃんめっちゃうまやなー!」

 

 ケルベロスに呆れながら、月はベルカ式について考察を始めた。

 

(物理特化か……クロウの造ったカードと主の魔法なら、負けなしだが……)

 

 それは、さくらが実戦を経験していれば、の話だ。正直、さくらが闘った戦闘というのは、クロウ・リードが偶然を装った必然の闘いの上で闘ってきた。ある意味、管理された闘いの上で闘ってきた為、殺気や人を殺す、といった、負の感情が入り混じった戦場は未経験だ。そのような負の感情が漂った場所で、幼い少女を戦わせるには、生まれて数十、数百の時を生きてきた彼には、どうしても許せなかった。

 

(魔法はあっても、経験が問題か……)

 

 どうするか考えていると、バルディッシュが新たまった口調で話しかけてきた。

 

《失礼ですが、貴方方の主……ミス・サクラは実戦経験は?》

「んー?じっふぇんといえるほどぉのじっふぇんは、あいして、おごなっふぉらんでぇ」

「食べながら話すな……」

《そうですか……それであの少女相手にあれだけ……素晴らしい才能ですね》

「あれで伝わったのか……まぁ、一応、クロウ……の知り合いから戦闘について、教授されているからな……それなりには出来るはずだ」

 

 バルディッシュは無言になった後で、しばらくしてから口を開いた。

 

《お願いがあります……》

 

その言葉は二人を驚かせるには十分な言葉だった……。

 

 

 




Special episode

【いつかの未来で……】
さくら「なのはちゃん!今年は、私達一緒に表舞台に上がれるね!」
なのは「?そうだねぇ〜。ヴィヴィオ達の活躍が特集化されて、管理外世界で放送されるみたいだし」
小狼「さくらの活躍を知世が構成を考え、漫画にした本もその世界で発売されるみたいだしな」
フェイト「前にリメイク前の本、見せてもらったけど、さくら達はかっこよかったね」
さくら「もぉ〜!恥ずかしいよぉ〜!」
小狼「……正直、俺も恥ずかしいんだ。あまり見ないでくれると助かる……」
なのは「そうは言っても、ヴィヴィオ達の間ではすごい人気になってるんだよ?」
さくら「ほぇ!?なんでっ!?」
フェイト「恋愛物として見ると、面白いんだって。特に二人の周りの恋愛模様とか」
さ・小「………」
↑顔赤くしてる。
なのは「にゃははは!二人ともいつもイチャついてるのに、他人に指摘されると顔真っ赤にして黙っちゃうのは変わらないなぁ〜」
さくら「だって……小狼くん、想也くんと一緒にすぐにどっか行くんだもん……一人でお家で待ってるの寂しいし……」
小狼「それは……その……すまん。あいつの交友関係は、おれにも都合がよくてだな……それに、仕事もー……」
フェイト「まぁまぁ。痴話喧嘩はそこまでにして、ご飯食べよ?」
なのは「そうだねー。あ、フェイトちゃん、コーヒーあるかな?特別苦いの」
フェイト「ふふっ!なのはったら、この二人のやりとり見ると、すぐにコーヒー飲むんだから」
なのは「だって、私とユーノ君以上に甘いんだもん」
小狼「ユーノか……この間、惚気て来たな……そう言えば」
なのは「えっ……」
さくら「ユーノ君となのはちゃんとの惚気話?聞きたいなー!」
フェイト「あ、私も私も!」
小狼「そうだな……録音してあったな」
なのは「」
ピッ『この間、なのはが僕に甘えて来てね。珍しく僕の胸に顔を埋めて来たんだよ。その時の可愛さと言ったら……僕はもう、天に昇る気持ちだったよ』ピッ
小狼「聞いててブラックコーヒーがほしくなった」
なのは「ユーノ君……後で覚えててね……」
↑エクセリオンモード+ブラスタービットが宙を舞う
小狼「落ち着けっ!高町!頼むからその物騒なファンネル擬きと武装衣装を解いてくれ!」
フェイト「やめて!なのは!お願い!」
さくら「なのはちゃん?二人はいつ、ご結婚するの?」
フェイト「」
小狼「さくらぁっ!お前はここら一帯を、塵一つ残さない、焦土に変えるつもりかっ!」
フェイト「!?さ、さくら!?なのはにそれを聞いちゃ……」
なのは「さくらちゃん……私にその気持ち話あるの……でも……ユーノ君が意気地ないから、言える雰囲気に持って言っても、何も言ってくれなくて……」
さくら「そっか……」
小狼「それは辛いな……」
なのは「だからね……」
さくら「うん」
なのは「既成事実作って、出来ちゃった結婚しようか悩んでるの」
小・フェ「ブッ!」
さくら「?キセージジツ?」
なのは「さくらちゃん、そう言う黒い話は知らないもんね。既成事実っていうのは、結婚するまえに子供が先に出来ちゃって、その後に結婚することだよ」
小狼「まて!高町!ユーノにこれ以上心労を増やすようなことは……ただでさえクロノの無茶な資料要求で毎日死にかけているのに……」
さくら「なるほど……子供と言えば……小狼君、出来ちゃった///」
小狼「ふぇあ……?」
さくら「昨日ね……病院言ったら、おめでたですねって、言われたの。妊娠してるの///」
小狼「」
↑口をあんぐり開けて、放心している
フェイト「さくら、おめでと!」
なのは「さくらちゃん。おめでとう!私もユーノ君との明るい未来のために頑張らなくちゃ」
フェイト「これから忙しくなるね……。子育ての経験はそれなりにあるから、どんどん頼ってね!(あと、なのは。ユーノが卒倒すると思うからやめてあげて……」
小狼「さくら……このこと、藤隆さんとか、桃矢さんには……」
さくら「話してないよ。一番最初は小狼くんに話したかったから」
小狼「……はぁ〜、仕方ない。お前の実家に行くぞ。それから、俺の実家に行く」
さくら「ほぇ?どして?」
小狼「俺の実家ならともかく、お前の実家は確実に報告しなきゃまずい……主に桃矢さんとかケルベロスとかな」
なのは「にゃははは、ケロちゃんはお菓子あれば大丈夫だけど、桃矢さんあたりは小狼君、殺されるちゃうかもねー」
フェイト「なのは、それ冗談に聞こえないって……」
小狼「あの人のさくらに対する気持ちは洒落にならないからな……」
さくら「お兄ちゃんには雪兎さん連れて行けば大丈夫だよ!」
小狼「……ドラゴン・格闘タイプに、エスパー・フェアリーは効果抜群だからな……」
さくら「小狼くん?」
小狼「なんでもない。とりあえず、今日はなのは達のご相伴に預かって、明日挨拶に伺うぞ」
さくら「うん!」
フェイト「ピザ焼けたよー!」
なのは「サラダよそるよー!」
さくら「じゃあ、私はジュースを……」
小狼「子供じゃないんだ……ワインあるからそれを注げー!ッ」

ミッドチルダは今日も平和です……


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