カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜   作:1202155@

7 / 17
あ、どうも。作者です。
戦闘描写は書きやすいっすねー。
そんなこんなで始まります!


激戦

 遡ること数刻前。結界の上に3人と1匹の影があった。読者の皆様ならお分かりだろう。半年ぶりにようやく直接触れ合うことがかなった李小狼と木之本桜。二人を乗せるケルベロス。そして、彼女と彼の魔法の家庭教師である、立花想也だ。想也は器用に飛行魔法を使いながら、空中で胡坐をかく。その前には、『剣』と『翔』を維持しながら、杖を変化させた剣で結界を切りつけているさくらの姿と、別の方向で、その口から炎を吐き出し、結界破壊を試みるケルベロスの姿があった。しかし、それらの攻撃を受けても、結界は斬り裂かれることも、砕けることも、ましてや罅が入ることもなかった。

「予想以上に固いな……この結界」

「ワイの炎がきかへんなんて……嘘やん!」

 ぜぇぜぇと息を切らしながら、ケルベロスは落ち込んだ様子で結界を見る。想也はポンと手を叩いて何かに気付いたように3人に説明する。

「あ、こいつはベルカ式の魔法か!だから効かないのか……」

「ベルカ式?」

「超古代の対人戦闘用魔法のことさ。使い勝手は悪いが、一対一での戦いなら負け知らず……すぐれた使い手は『騎士』なんて呼ばれてる。いまでこそ廃れてる魔法だが……厄介だなぁ」

 腕組して悩む想也。さくらは、そんな、と悲痛な声をあげて結界の中を見る。その中では、幼い少女が傷つきながら戦っていた。自分よりも幼いが頑張っているというのに、ただ指を咥えて見ていることしか出来ないのか、そう考えると彼女は悔しさで胸が張り裂けそうになる。小狼はさくらの思いに答えるかのように、立ち上がり護符を取り出した。

 

「『雷帝招来!』」

 詠唱を唱えた瞬間、青い稲妻が夜空を駆け抜け、轟音と共に結界に直撃するが、そんな彼の攻撃も虚しく、結界を破壊するには至らず、ただ煙を上げるだけだった。

「くそ……」

 苦々しくそう呟くと、小狼は風花招来を唱え、ケルベロスの背中へ戻ってゆく。そんな彼に想也が助言をする。

「お前らの魔法は、一部の例外を除いて、物体破壊には向いてない。出来て封印か、破魔やら、細かな操作と持続性が高い魔法くらいで、一発逆転・大ダメージ!を与えたれる魔法には向いてない……だったら……」

 そう思わせぶりに呟くと、デバイスを大きく横に振るう。すると藍色の魔法陣が彼の足元に展開される。

「ミッド式の結界破壊で穴を開ける!その隙に飛び込め!」

 そういいながら彼は、デバイスを天高く掲げ、詠唱し始める。

「『集え星屑!天より降り注ぐ鏃の雨となれ……!』」

 小さな魔力球がデバイスの切っ先に現れると、それは魔力を吸い上げて巨大化していき、やがて大玉ほどの大きさになった。彼はデバイスを勢いよく振り下ろし、結界に向かってそれをぶつけると、デバイスの弓弦を勢いよく引く。

「星屑の雨ッ!スターダストッ―」

(結界内、反応確認ッ!バレル収縮。結界破壊モード!)

 膨大な魔力が分裂し、鏃型の魔力弾に生成されていく。その光景はさながら星が生まれているようにも見えた。そんな神秘的な光景に思わず感嘆の呟きを上げる小狼とさくら。

 準備を終えた想也は最終詠唱を唱え、勢いよく弓弦を離した。

「レインッ!」

 その瞬間、膨大な魔力の雨が、轟音と共に、結界に向かって飛んでいった。それらは最初こそ弾かれていたが、何十発も同じ場所を狙われれば、さすがの結界もその固さも意味を成さなくなり、貫かれていく。最初に穴の開いた

暫くして、不自然に鏃が放たれない場所を見つけ、ケルベロスは二人に声をかけ、そこに突っ込んでいった。

「見つけた!あっこに突っ込むで!二人ともしっかりつかまっときぃ!」

 自身の出せる最大速度で穴に向かって突っ込むケルベロス。ふと下を見れば、女性の剣士が想也の魔法を防御しながら立っているのが見えた。

(あれは想也がどないするやろうし……今はパツ金の嬢ちゃんを助けるのが先や!)

 そう心の中でつぶやくと、ケルベロスは飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 降り立った想也は、なのはとシグナムの間に立つと愛機である、エクスシアを構える。シグナムも想也の構えから、何かを感じ取ったのか、上段に構えた。それを見た想也が軽口混じりにシグナムに話しかけた。

 

「流石は炎熱変換資質保持者。構えは上段……火の構えってか?」

「……武術がわかると見える……だが、私は負けるわけにはいかん!」

 

 その言葉の後に二人は動いた。その速さに目を丸くするなのは。瞬きするよりも速く二人は鍔迫り合いを行っていた。

 

「これは……中々!」

「へっ!地球人を舐めんなよ?」

 

 シグナムが高速で技を繰り出す。それを想也が力強い太刀筋で払い、隙を見つけては切る。シグナムがフェイトのような高速戦を得意とするならば、想也はなのはと同じ、防御に秀でたタイプなのだろう。数度の打ち合い・斬り合いの末に、シグナムの唐竹割り、一瞬速く、想也の逆袈裟が互いの身体を切り裂いた。

 

「「ーッ!」」

 

 すんでのところで致命傷を避けたのか、シグナムの騎士甲冑は裾の部分に切れ目が入り、下の素肌に薄っすらと切れる。一方、想也は額から少し血を流れていたが、特に問題は無いのか、平然と立っていた。

 

「これは侮っていたようだ……すまんな」

「いや。それはこっちもさ」

 

 互いに不敵に笑うと、お互いに距離を取った。

想也は手を広げる。そこに現れたのは兜。それを頭に被る。

一方のシグナムも愛剣であるレヴァンティンに指示を出すとその身に魔法の鎧を纏う。

 

「さぁて、こっからが本番だ!」

「こちらもな!」

 

 そう言ってシグナムはレバンティンを一度納刀する。そして、勢いよく抜き払った。それはシュランゲ・フォルム……連結刃へと変わった。

 

「こりゃ厄介だ……なっ!」

 

 無数の刀刃が犇めく姿はまるで刀刃の海。その海の中に想也は突っ込んだ。シグナムは巧みな操作でその幅を狭めていき、想也を引き裂こうとする。だが、想也もそんなことをしようとしているのは百も二百も承知。そう簡単にやられるわけにはいかないと、弓弦を引いた。

 

「シングル……シューット!」

 

 鏃型の魔力弾が真っ直ぐシグナムに向かって放たれた。その射撃はシグナムに驚きとバランスを崩させるという効果をもたらした。それにより、乱れる刀刃の配置。だが、相手も歴戦の勇士。すかさず、元の陣形に刀刃を立て直す。だが、その時には想也はすでにその刀刃からギリギリ包囲網から逃れられる距離に立っていた。

 

「ハァアアッ!」

「クッ……ォンノォオオオッ!」

 

 再び距離を詰めるべく、射撃魔法ーシュートバレットを展開し、自動発射モードにして射撃をしながら、突っ込む。弾幕を張り、向かってくる刀刃を片っ端から弾く。

 

「射撃魔導師で剣技もそこそこ!これがこのような出会いでなければ、どれほど心踊ったか!」

《エクスプロージョン!》

「踊らせてあげるよ!僕とエクスシアが!」

《全くもってその通りさ!烈火の騎士よ》

 

 久しぶりの激闘に二人のいや……正確には二人と二機の心が高鳴った。想也は弓刀を振るい、シグナムはそれを捉えようと、連結刃を生きているかのような不規則に動かし、エクスシアは射撃魔法で迫る刀刃を撃ち返し、レヴァンティンはカートリッジをロードして、久しぶりの主人の心踊る闘いを補佐していた……。

 

 

 

 

 

 復帰した少女こと、ヴィータは盾の守護獣ザフィーラとともにもう一方の強い魔力反応があった結界の反対側に向かって飛んでいた。

 

「ヴィータ、わかっているとは思うが……冷静に戦え。わかったな?」

「分かってるつーの。帽子も治したし、落ち着いてやる」

 

先ほどなのはによって、その大半を焼かれてしまった帽子は修復魔法を発動させることで、復活させた。この帽子は彼女が慕う、幼い主なら貰った大切なものだったのだ。故に

 

(今、向こうはなんか乱戦になってるみてーだけど……とりあえず、こっちのデケェ方から魔力蒐集してトンズラしねぇとー!)

 

 そう考えた瞬間、目の前に金色の閃光が落とされた。その後で轟音が響き渡る。

 

「なっ!?」

「電撃魔法!?」

 

 突然のことに驚き、足を止める二人。その雷光が収まり、その先にいたのは、黒いマントに金色の魔力刃を展開させたデバイスを持った金髪の少女。少女は赤いその眼を真っ直ぐ見据え、二人に向けて名乗った。

 

「時空管理局・嘱託魔導師。フェイト・テスタロッサです。管理外世界での無許可魔法使用と傷害罪で貴方方を逮捕します」

 

 名乗ると同時に見せられたのは逮捕状。それを見てヴィータは、チッと舌打ちをした。ここまで管理局の動きが早いとは思わなかったからだ。恐らく、先程自分が襲った少女は管理局と何かしらの繋がりがあったか、もしくは、現地に管理局局員が滞在していたかのどちらかだ。恐らく後者だろう、と考えると、己の浅はかな考えに怒りを覚えると同時に仕方が無いと考えると、そのイライラを相手に向けた。

 

「うっせえ!パツ金チビ!邪魔する奴はー

「サンダーエッジ!」

《サンダーエッジ!》

 

 戦闘態勢を取り、鉄球を取り出したヴィータだったが、その鉄球が一瞬で斬り裂かれた。目の前にいたはずのフェイトはいつの間にか、後ろにいたザフィーラとその刃と拳を交えていた。

 

「!」

「ッグゥ!」

 

 バチバチとスパークが走る。フェイトの力一杯の斬撃はザフィーラには威力は弱いが、いつまでも受け続け流には少しキツイ。どうするか、迷っていると、そこへすかさずヴィータがやってきた。

 

「テートリヒ!シュラァアアアック!」

 

 ヴィータの打撃がフェイトを襲う。絶対に当たった。そう、二人は確信した。だが、それは直前で防がれた。

 

「おっとっと!ウチのフェイトに手を出したら、ガブッと痛い目見てもらう……よっ!」

 

 現れたのはフェイトの使い魔、アルフだった。ヴィータは防がれたことに苛立ちながらも、ザフィーラと共に一度距離を取った。

 

(ザフィーラ。お前、あのオレンジの犬耳野郎を頼む)

(心得た。ヴィータ、お前が戦う少女は速さだけならシグナム以上だ。気をつけろ」

(おう!)

 

 念話での作戦会議を終えると、ヴィータは鉄球を取り出すとそれを打ち出した。フェイトがそれにいち早く気付き、不規則な機動で弾丸を避けようとするが、それが誘導弾だったことにより、上手く回避が出来ず、体勢を崩すようや危うい回避の仕方をしている。

 

「ぶちぬけぇえええっ!」

「くっ!」

 

 隙を見て、グラーフアイゼンを撃ち込むヴィータ。ギリギリ、ディフェンサーで防いだフェイトだったが、体重と獲物の物量、さらに飛行魔法で加速させた、強烈な一撃を防げるわけもなく、早々にディフェンサーが砕け、薄いバリアジャケットに鈍い音と共にグラーフアイゼンが当たった。

 

「おりゃあああああっ!」

《シュラッグ・デス・コメーテン》

 

 打撃と同時に、片側が推進器、片側がハンマーへと変化した、コメーテン・フォルムへと姿を変えた、グラーフアイゼン。打撃と同時に強力な推進力でそれを手にするヴィータと共に打撃部位にフェイトを乗せたまま、飛ぶ。フェイトごとビルや電柱を貫き、やがて一回転すると、ヴィータは叫ぶと共にグラーフアイゼンを振るった。

 

「砕けろぉおおおおっ!」

 

 ハンマーを振り下ろした勢いで、乗っていたフェイトが地面に叩きつけられ、蹴鞠のように弾んだ後で、ゴロゴロと転がり、後ろにあった噴水に落ちた。それを見下ろしながら、その側に降り立つと、闇の書をその手に召喚する。

 

「……ッ!ク………」

「そんだけやられてまだ動けんのかよ。まぁいい。大人しくしとけ」

 

 そう言って、フェイトの魔力蒐集をしようと闇の書を開いた。

後ろではザフィーラと戦うアルフが、フェイトの姿を見て、怒りの声を上げている。だが、攻撃がこちらに及ぶことはないだろう、ということをヴィータは確信していた。対峙しているのが、盾の守護獣だからだ。彼はどのような状況においても仲間や主人を守れる男だと信頼しているからだ。

 

「気の毒だけど……闇の書、蒐しー

「『(ウッド)』」

 

 可愛らしい声が聞こえた。それに疑問を持った瞬間、突如現れた無数の蔦に自分が捕らわれていた。突然のことに驚いていると、声が聞こえた。

 

「どうしてこんな酷いことが出来るの……」

 

 目の前に現れたのは、桜色のドレスを身に纏ったヴィータよりも何個か上の少女。

その目には涙を浮かべている。

 

「こんなことして……一帯何になるっていうの……」

 

 その言葉にヴィータの理性がプツリと切れた。その言葉は……その言葉だけは、絶対に口にしたくも、して欲しくもない言葉だからだ。

 

「……てめぇに何がわかるってんだ……てめぇに……てめぇに何がワカルンダヨォオオオオオッ!!」

《ギガントフォルム!》

 

 拘束を引きちぎり、巨人さえも潰せそうな巨大な鉄槌へと変化したグラーフアイゼンを目の前の少女目掛けて降り降ろした。だが、その一撃は少女の目の前で容易く受け止められた。翼と星の意匠があしらわれた盾によって。

 

「わからないよ。何も話さないで、ただ暴力を振るうだけじゃ!」

 

 少女の声と共にぶつかっていたグラーフアイゼンが弾き返された。それによって、体勢を崩すヴィータ。同時に少女の眼を見て、ギリッと奥歯を噛み締めた。何故なら、その少女の眼は、自分が愛してやまない、あの少女と同じ、澄んだ輝きをしていたためだ。

 

「あなたを止める!そして、どうしてそうなったか、話しを聞かせて貰うから!」

 

 そう言って杖を構えた少女。その目は夜空を彩る星のように澄んだ輝きしていた。

 

 




まさかの展開に原作知ってる方は驚いていらっしゃいますでしょう?どぅえへへへ!
想也vsシグナム……射撃魔導師と炎熱変換騎士の闘いは書いてて楽しいです。というか、シグナムが仕事を忘れてるようにも見えてwwww

ヴィータvsフェイト……原作だとほんの少しだけやり合ってましたねウチのヴィータは沸点低い+鬼畜技特化なんで、あしからず。批判も受け付けます。

【使用技】
ディバインバスター
なのはの代名詞とも言える直射砲。数あるディバインバスターの中で最もシンプルかつ、バリア貫通力の高い砲撃魔法。

ディバインバスター・フルバースト
対人火力に特化したディバインバスターのバリエーション。反応炸裂型のため、バリア貫通後も撃ち終わるまで連鎖爆発を繰り返すハメ技。

ディバインシューター
動きながら相手を追尾出来るよう、誘動操作に優れた弾丸。

シュワルベフリーゲン
ベルカ式の実体誘導弾。

テートリヒシュラーク
直接打撃魔法。拳や鈍器で殴る。

ラケーテンハンマー
ラケーテンフォルムになったグラーフアイゼンで相手をぶち抜く魔法。バリアやバリアジャケットを破壊する効果を持つ。

シュラッグ・デス・コメーテン
片側を推進器に変化させたグラーフアイゼンで相手を叩く魔法。物体破壊力に優れている。

紫電一閃
炎を纏った剣で相手を斬る。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。