カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜   作:1202155@

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はい、久しぶりの投稿です!

今回はちょっと荒れ模様……ですね。
そして、本作のなのはちゃん、この半年間、ガチガチの魔法訓練をしていたので、はっきり言って強いです。あしからずー


なのはと襲撃者

夜。高町なのはは自室の机で明日の予習をしていた。魔法の訓練に重く比重を置いている彼女にとって、この予習が唯一、学校の勉強についていくための方法だ。なお、授業中は専ら、レイジングハートのイメージトレーニングで、フェイトやクロノを仮想敵とし、常に戦っている。その際はマルチタスクで思考を二つに分割。片方をイメージトレーニングに、もう片方を授業を受けている。

 

「!!」

 

算数の問題を解こうとした瞬間、第六感に痺れるような感覚が走った。それは、この半年の間で磨き続けられた魔法の感覚。どこかで、他人が魔法を使っていることを、それ、が告げた。

 

「!!レイジングハート!」

《ええ。封絶型の捕縛結界ですね……。囲まれました!》

 

相棒であるレイジングハートに訊ねると、レイジングハートは冷静に発動した魔法について、なのはにレクチャーする。

 

「どっちからくるの?」

《右舷より高速で来ます!》

「そっか!じゃあ、外でないとだね!》

《yes!My master!》

 

封絶型ということはこちらの位置をある程度把握し、かつ、接触か何かを図るために張ったということだ。恐らく前者だろう。そうかんがえるとなのはは、外へ出た。

 

 

ビルの屋上で一人の少女が見覚えのある茶色いハードカバーの本を従え、眼下の大地を見下ろしていた。開かれた本を見て、彼女は、何か決意を固めたように前を向いた。その身体が光に包まれると、その装束はゴシック調の真紅のドレスへと変化する。その手には、ドレスには似つかわしくない、少女の身の丈ほどの大きさを持つ、無骨なハンマーが握られていた。

 

「行くぞグラーフアイゼン!」

《ja!》

 

ハンマー……グラーフアイゼンにそう語りかけると、少女は地面を蹴り、勢いよく空を飛んだ。

 

 

 

12月とはいえ、まだ本格的な冬の到来では無いが、夜ともなれば、突き刺すような寒さが何も覆われていない顔や手に襲いかかってくる。だが、そんなことに構っていられるような状況ではない。なのはは辺りを見渡し、敵がどこからくるのかを確認する。

 

《後方より来ます!》

 

その声に反応し、振り向いたなのは。同時に、どの方向から攻撃を受けてもいいように、全方位防御魔法『プロテクション』を発動させる。その直後、銀色の鉄球が正面から襲いかかって来た。それを易々と受け止める。だが、その直後にレイジングハートが注意を促した。

 

《マスター!後方より来ます!》

 

その声に振り向くと赤いドレスを来た少女が何かを振りかぶり、叫びながらやってきた。

 

「テートリヒ・シュラークッ!」

 

強烈は打撃が防御を介して、襲ってきた。それに顔を顰めるなのは。だが、勢い任せに放たれた一撃を受け止めきれる訳もなく、彼女は吹っ飛び、ビルの屋上から投げ出されてしまう。

 

「レイジングハート!お願いっ!」

 

空中を落下してゆく感覚に一抹の不安を感じながらも、なのははレイジングハートの名を叫び、光に包まれる。やがて、光が収まると、そこには聖祥小学校の制服をモチーフに袖口が青く染まり、胸元に赤いリボンの飾り紐が結ばれた戦闘防護服ーバリアジャケットを纏ったなのはの姿があった。

 

「空戦魔導師……やっぱりか!」

 

なのはを襲った少女はそう呟くと、手にしたハンマーに弾丸のようなものを数発込める。なのはは突然襲われたことに疑問を抱き、問いかけた。

 

「どこの子?なんでこんなことするの?」

 

そう問いかけるが、少女は無表情でなのはを見つめる。痺れを切らしたなのはは、レイジングハートをデバイスモードから、砲撃型のカノンモードへ切り替える。そして、それを構えた。

 

「いきなり襲い掛かられる覚えは無いんだけど……」

「そっちに無くても……こっちにはある!アイゼンッ!」

《エクスプロージョンッ!》

 

少女の手に持つスパークを起こし、その瞬間、一気に魔力が増幅する。その瞬間、なのはとの距離を一気に詰め、彼女の身体めがけてハンマーを振り下ろす。

 

《フラッシュムーブ》

 

すんでのところで飛行加速魔法『フラッシュムーブ》を発動させ、回避するなのは。すかさず背後を取ると、レイジングハートを少女に向けた。環状魔法陣が回転しながら、敵を捕捉し、バレルを固定する。

 

「教えてくれなきゃ……!」

《ディバイン!》

「わからないってばぁああっ!」

《バスター!》

 

桜色の極太の閃光が紅の結界の中を駆け抜ける。そのあまりの魔力流に少女は驚きながらもすんでのところで逆制動をかけ、飛行魔法をキャンセルし、自由落下することで、回避する。だが、そのせいで頭に被っていた帽子が、燃えてしまう。それを見た少女は一瞬、悲しげな表情を浮かべるが、すぐさま顔を上げる。その目は憎悪の青に染まり、顔は怒りに染まっていた。

 

「!……ッ!」

「?レイジングハート……」

《ええ。どうやら、怒らせてしまったようです》

 

いきなり襲い掛かられ、迎撃した挙句、逆ギレされるという、なんとも相手勝手な状況になのはは苦笑いを浮かべながらも、クロノやユーノから受けた魔法の訓練の中にあったとある科目で学んだことを思い出した。

 

 

『なのは、君が魔法の訓練を受けていることは、君の使い魔から聞いた。だから、僕からも君用のメニューを送らせてもらおう』

『わぁ!ありがと!クロノ君!』

『……と言っても、メニューを考えたのは僕だが、それを組んだのは僕の親友なんだけどね』

『?』

『そいつは、《訓練の鬼》とまで言われていて、管理局では有名なんだ。嘱託魔導師だが、教導官の資格も持っている面白いやつでね。そいつにお願いして、君のメニューを組んでもらったんだ』

『うっ!それは、自主トレーニングよりも厳しそうだねぇ……』

『あぁ。そいつから君のために送られたメニューは三つある……一つはーー

 

 

「相手の状況をよく見て。どう行動するか、予測を立てること」

 

訓練を思い出し、なのはは、それを口にしながら実行する。

 

(あの子は帽子を燃やされて怒ってる。ってことは、飛び道具や弱い攻撃はしてこない。そうなると……)

《破壊力の強い、強烈な一撃を放って来ますね》

(そうかも……レイ ングハート、アレ、行ってみようか)

《出し惜しみは無し!ですね。いい判断です。マスター》

 

『二つ目は砲撃魔導師にとって、重要になってくる自己強化魔法だ』

その言葉を胸になのははレイジングハートを片手に持ち替え、天を示した。

 

「自己強化!」

《ディフェンサー・ブースト!》

 

桜色の光が体全体を覆い、なのはの身体を包み込む。優しい光だが、力強さも兼ね備えていた。

 

「アイゼン!カードリッジ・ロード!ラケーテンフォルム!」

 

少女が叫ぶと、ハンマーはスパークし、姿を変える。平の打突部位だったものは、片側に推進器、片側にドリルのついた、無骨で凶悪無比な武装へと変化する。少女はそれをしっかり握りしめると、推進器が点火し、勢いよく回転する。その姿はまるで、絵面こそ違うものの、荒馬の手綱を握るようにも見えた。推進器の推力で加速した少女はとてつもない軌道で、飛び回り、勢いをつけると、数回の軌道偏向を行った後で、なのは目掛けて突っ込んで来る。それを阻止すべく、なのはは誘導弾ーディバインシューターを最大発動弾数である5発展開し、迎撃する。しかし、そのあまりの推進力にそれら全てが当たることなく、回避されてしまう。

 

「弾いて逸らす!……なんてのは無理かな!」

《全くです!》

 

片手を前に突き出し、空中に魔法陣型の足場を作り、靴底に魔力を流し、魔法陣型の足場に足を吸着。しっかりとした土台を作り上げ、少女の攻撃を受け止めた。

 

「くっ……うぅっ!」

「こんのヤローッ!」

 

ガリガリとバリアが削れる音がしているが、自己強化のお陰で、防御出力が高くなっているため、破られることはない。勿論、少しでも気を緩めれば、危ういだろう。

 

(防げても攻められなきゃ意味がない!……だったら!)

 

なのはは、足の固定を解除し、そのまま相手の動きを利用し、自分の身を引いた。

 

(限られた自分の魔法特性と技の中かから、最善の手を選び……)

 

拮抗していた力が急に無くなると、人はどうなるのか?

答えは簡単ーー。

 

「なっ!?」

「アクセル!」

《レストレリクトロック!》

拮抗する対象を失った少女は、その勢いのまま、有らぬ方向へと吹っ飛んで行く。そこへ、加速のコマンドを受けて、弾速の速くなったディバインシューターが少女の左右に直撃し、推進力を失わせる。すかさず、レイジングハートがレストレリクトロックと呼ばれるバインドを発動。それにより、少女は空中で固定されてしまう。

必殺の足掛かりを整え、構えられたレイジングハート。その目に迷いは無く、再び環状魔法陣が展開される。敵を捕捉。先程よりもバレルが展開される。

 

「ディバイィイイイーン!」

 

トリガーコードを目一杯叫び、魔力をチャージする。この技こそ、なのはが半年前の実戦から学び取り、今日まで磨き上げてきた、切り札の一つ。真正面からぶつかり、話し合うという、一直線で真摯な彼女の姿勢が見て取れる技。その名もーー

 

「バスタァアアアアッ!」

《フルバースト!》

 

ディバインバスター・フルバースト。拡散反応炸裂砲撃であり、魔力反応がある限り、撃ち終わるまで爆発し続けるという、ハメ技とも言わんばかりの砲撃だ。それをまともに受け、目の前の少女が倒れたところで、拘束し、この町に滞在する、リンディの元に連れて行くのが、なのはとレイジングハートの考えた作戦だ。

 

「やったかな?」

《直撃は免れないはずですが……》

 

久しぶりの砲撃に痺れる手を振りながら、未だ煙の立つ砲撃の撃ちこんだ方向を見るなのは。だが、煙が晴れた瞬間、その顔は驚きに染まった。なんと、少女は無事だった。それどころか、ピンピンしている。その理由にすぐさま気づいた。彼女の前には赤紫と群青の障壁が展開されていたからだ。

 

「やれやれ……まさか、昨今の魔導師がここまでやるとは思わなかったな……」

「ヴィータ一人で十分と思っていたが……侮っていた」

「シグナム……ザフィーラ」

「ヴィータ。落ち着いて闘えば勝てたものを……焦るな」

 

ピンクの髪をした女性と青いノースリーブに身を包んだ獣耳の男はそう話すと、ヴィータと呼ばれる、襲いかかってきた少女を窘めると、ピンクの髪の女性が前に出、なのはに話しかけてきた。

 

「仲間が世話になった……名乗らせて貰おう。私はヴォルケンリッターが将。剣の騎士・シグナム。こやつはレヴァンティン」

 

突然名乗られて、驚くなのはだったが、すぐに落ち着きを取り戻し、名乗り返した。

 

「せ、聖祥小学校四年、た、高町なのはです!」

「小学生……そうか、主と同い年か……」

 

何か小さく呟くと、シグナムは腰に収まった剣を抜き払った。その瞬間、刀身が火を噴きあげ、炎に染まる。

 

「あれも魔法なの!?」

《マスターのご友人と同じ魔力変換資質保持者のようです。こちらは炎ですね》

 

剣から炎が噴き出したことに驚くなのは。レイジングハートはそれについて、助言した。

 

「いい眼をしている。この歳でそれだけの面構えが出来るとは……行くぞ」

 

 

その声と共にシグナムは真正面に向かってきた。なのはは、その速さに驚きながらも、フラッシュムーブで短距離加速し、後方に下がりながら、ディバインシューターを発動。弾幕を展開し、迎撃する。だが、その攻撃も意味を成さず、全て、切り払わらることもなく、剣を振るった際の余波熱で相殺されてしまった。

 

「緩い。剣一本で数百年も闘ってきた私にそのような誘導弾でッ!」

 

距離を詰められたなのはは、闇雲に杖を振るい、打撃を与えようとする。だが、それすらも軽くあしらわれ、挙句にレイジングハートが真っ二つに叩き斬られてしまう。

 

「ッ!レイジングハート!?」

「思うなッ!」

 

レイジングハートを斬られたことへの驚きで、無防備になったなのはに、すかさずシグナムの斬撃が襲いかかった。

 

(ごめん……フェイトちゃん、ユーノくん……もう、会えないかも……)

 

「お邪魔、させてもうよ!」

 

命を失う覚悟をしたなのは。だが、そんな彼女に軽快な口調で誰かが話しかけてきた。と同時に、ガギンッと金属同士がぶつかる耳障りな音が響いた。ゆっくり眼を開けると、そこにいたのは、黒の鎧兜に白の陣羽織を纏った戦国武将のような出で立ちをした、鎧武者が立っていた。鎧武者とシグナムは暫くつば競り合いをした後で、彼に押し切られる形でシグナムが後方に飛び下がった。

 

「直接会うのは初めてだな。クロノの気にしたお嬢さん。おいらは立花想也。時空管理局・嘱託教導官だ」

 

そう名乗ると、戦国武将は弓と刀の一体化したようなデバイスを構えた。


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