カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜   作:1202155@

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いやー、就活っておっそろしいです。
はい、二ヶ月ぶりの更新となりましたが、遅れたことは気にせずやってこうと思います-。はい。

……すいません。遅れてすいません。マジすいま……

かえる!うるせぇゾ!カエル!ゲコゲコ!
猫の発情期が終わったと思ったら、今度は昼間は雀と猫が子育てでうるせえし、夜はゲコゲコ!カエルがうるせえし!あったま来た!

ほんとに皆さん、すいません。ほんとにごめんなさ……

今度はなんか、変な虫!リーリーピーピーうるさいよ!
明日の面接の練習に集中できないでしょうが!


*作者は就活で疲れています。そっとしておいて下さい。それでは、本編をお楽しみ下さい。





復活と愛憎と満開の雷桜

「空の上だね……」

「あはは、落ちるのはこれで何度目かな」

 

 転送魔法が解除され、落下してゆく二人の少女。高町なのはとフェイト・テスタロッサの二人。彼女らは、それぞれ違う反応をした後で、各々のデバイスに頭を下げる。

 

「ごめんね、レイジングハート。いきなり本番になって」

《お気にになさらず。私は、あれだけの苦しい修行に耐えた貴女を信頼してますから》

「バルディッシュ、やれるよね?」

《YES-sir》

 

 この一週間をなのはとフェイトはただ、無闇に過ごしていない。レイジングハートの言ったように、苦しい修行を身体に無理をしない程度に、想也のもとで修行したのだ。何度も地面に叩きつけられ、土を埃を被り、水に濡れ、泥で服を汚し、雨霰のように降り注ぐ弾丸を駆け抜けたそんな一週間だった。

 

「おかげで、自分の使いたい魔法がわかった。私達があの人たちにしてあげたいことを」

「うん。その気持ちは……初めてのときと変わらないッ!」

 

 自分が初めて魔法を扱ったときのことを思い出しながら、レイジングハートを手の平に乗せる。

 フェイトも同じ気持ちでバルディッシュを手に取る。

 

なのははユーノを助けるために

フェイトは母を助けるために

 

 それぞれ対象は違うが、他人のためにデバイスを、そして、魔法を使ったのだ。そして今もその対象は他人。誰かを傷つけないため、そして、誰かを傷つけようとする人を止めるため、彼女たちはデバイスを光に翳す。その目に迷いは……ない。

 

「レイジングハート・エクセリオン!」

「バルディッシュ・アサルト!」

「「セーット、アーップ!」」」

 

 その声と共に二人の身体を桜色の風が吹き、金色の雷光が降り注いだーー。

 

 

 

 

 

 

 

 シグナムに向かっていった矢は首筋を掠めた。彼女は撃たれなかった。否、正確にはその一撃は外されたことを知った。何故なら、想也が得意げな表情をしていたからだ。矢の向かった先はあらぬ方向。彼女の後ろにある結界の壁。その攻撃を外した理由も分からず戸惑っていると、不適な笑みを浮かべた想也が意味深な視線を壁に向けて立っていた。

 

「……」

「何故……外した?」

 

 シグナムの問いに想也は指で先程、矢の打ち込まれた場所を指さす。気になって振り向くシグナム。直後、金と桜の極光が想也の傷つけた結界の壁を外側から内側へぶち抜いた。直後に爆発が起きる。その光景をシグナムは睨みつけるように見つめた。

 

「僕はあくまで時間稼ぎ……この女性の救出が第一優先。本命はこの二人さ」

 

 その指の示す方向には、桜と金の二つの輝きを纏い、空中から降り立つ二人の少女の姿があった。

 

「あいつら……ッ!」

「新装備を整え、復活したか……」

 

 

 想也の攻撃を受け、被弾していたヴィータとザフィーラがシグナムの隣に駆け寄る。なのはとフェイトの姿が前回よりも、より戦闘に特化している姿に変わっていることに、ヴィータは憤りを覚えた。

 

「遅くなってごめん。想也くん」

「遅れた分はキッチリ取り返すよ」

 

 少女から戦士へとその装束を変えた二人。なのはの手に携えられたレイジングハートは、その名に『最高』の二文字が加わり、より戦闘に特化した姿へと変わっている。

 フェイトの手に握られたバルディッシュはその姿こそ変わらぬものの、『強襲』の名を与えられるにふさわしい仕様変更が成されている。

 

「後は……任せた方が得策か」

「うん。なるべく話してみる。想也は小狼達を。多分、その方がいいから」

「わかった……無茶すんなよ」

 

 二人に騎士の相手を任せた、想也は夜蘭の隣に降り立つと、その足元に魔方陣を展開する。

 

「失礼します。彼女たちに襲われないように、保護させていただきます。よろしいですか?」

「ええ。それもまた一興。いいですよ」

(つかみ所のない正確だ……まぁいい。さっさと送って、小狼のほうを見に行かないと)

 

 そう思いながら、想也は夜蘭の手を掴む。そして、二人の開けた穴に狙いを定めると、身体に魔法を纏う。

 

「しっかり捕まってて下さいよ……魔力ブースト……ソニック・ムーブ」

 

 その瞬間、想也は音速の速さで反対側の穴の開いた壁めがけて飛んでいった。夜蘭を抱えて。

 

 

 

 結界の外をさくらと共に星の杖に跨がり飛ぶ小狼。さくらの背中から生える魔法の翼を使っているため、星の杖はある意味椅子替わりのようになっている。

 

「さくら、お前はある程度の距離を取って待っててくれ」

「どうして?私も一緒に行くよ?」

「……」

 

 桃花と小狼は従妹だ。苺鈴とは違う小狼の母方の。その彼女はとある事件を起こして、李家を追われ、中国の奥地の岩牢に閉じ込められていたはずだった。その彼女がここにいることに小狼は嫌な予感がした為、この件にさくらを関わらせたくなかったのだ。

 そんな小狼の思いを知らずに、さくらが優しい笑みでそう言った。小狼はどう答えればいいか分からず、押し黙ってしまう。そんな彼の態度にさくらが可愛らしく小首を傾げる。小狼は堅い表情を浮かべ、ぶっきらぼうにこう告げた。

 

 

 

「?」

「大丈夫。すぐ戻る」

 

 そう言い残すと、自分の不器用さに呆れながらも、杖の上から飛び降り降りる。風華を唱え、着地の衝撃を抑えると、軽い靴音共に結界の上に降り立った。目の前には、巨大な大剣を担ぐ少女が立っていた。その少女が桃花だった。五年ぶりに出会った彼女は桃色の長髪をお団子にして丸めた髪型にチャイナドレスを纏っていた。容姿は前に会ったときとさほど変わっていない。

 

「ええ。久しぶりですわ。小狼お兄様」

 

 桃花がニコリと微笑んだ。その笑みを見ただけで、小狼はゾッとした。その理由は何故か分からない。

 もし、この場に想也かクロノ、もしくはエリオルがいればこう言ったはずだ『純粋な悪意の無い殺意を平然と振りまいている』と。

 そんなものに出会ったことの無い小狼は寒気と悪寒を無視しつつ、桃花に挨拶しながら、訊ねる。

 

「ああ。久しぶりだ。桃花。所で……何故この人達を殺した……?」

 

 ありきたりな……いや。誰もが彼女の行為を見たらそう訊ねるだろう。だが、彼女はニコリと笑って答えた。

 

「ええ……私の曾祖父の代からの願望を叶えるために、あの闇の書の覚醒が必要なのですわ」

「……なるほど。だが、李家ではあの闇の書には本家の現当主である、夜蘭……母上しか関わるな、と『あの事件』の後にそう、言われていたはずだ。それを破るのなら……」

 

 小狼は護符を魔力変換し、剣に変換させる。同時に小さく呟いた。

 

「踊れ……雷帝!」

 

 その呪文で刀身が緑色の雷に彩られる。鉄に反応して、スパークを起こすそれを見て、桃花は不適に笑う。

 

「面白そうですわ……!」

 

 そう言うと、桃花は大剣を肩に担ぎ、足を一歩前に出した。その瞬間、桃花の姿は消える。小狼はそれに驚くことなく、構えを解くと、耳を澄ませる。直後、小狼は後ろを振り向きながら、横凪に剣を振るう。ガキィンッ!と甲高い音と共に後ろから斬りかかってきた桃花の持った大剣とぶつかり、火花を散らす。

 

「さすがですわ!瞬足の速さに対応出来るとは……!」

「今度はこちらが行くぞ!」

 

 魔力で一時的に腕力を強化し、重さと強度で勝る大剣を押しのけると、体勢を崩した桃花めがけて、シンバルキックを叩き込み、裏拳、掌底、アッパーを繰り出す。その流れるような攻撃に、桃花は圧倒されつつも、最後のアッパーを打撃方向に流されることで、ダメージを軽減。流された勢いを利用して、距離を取る。睨むように空を見上げる小狼に対し、手元の大剣をクルクルと手首を返して遊ばせる桃花。その表情には、小狼の攻撃が効いた様子はなく、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

「何がおかしい?」

「ふふふ!だって!小狼お兄様と死合を出来るんですもの!喜ばない人はいませんのよ」

 

 気色悪い嬉しそうな笑みに小狼は不快そうに眉を顰める。それを見た桃花は口を三日月のようにパックリと開き、さらに笑みを深める。

 

「小狼お兄様の実力は大体わかりました……すぐに私の虜にしてあげますわ……」

 

 そう言いながら取り出したのは、黒に桃色の縁取りが施された錠前。彼女はそれを艶めかしい手つきで、愛おしそうに撫でると、口づけする。

 

「♡姫士、転生!」

 

 その掛け声の後で、彼女の体を無数の光が包み込んだ。その直後、そこに立っていたのは……

 

 漆黒の鎧に桃色のチャイナドレスを纏った不釣り合いな鎧姿の桃花が立っていた。

 

「ふっふふ!お兄様!この私を倒すことができますかしら?」

 

 挑発するように鋒を小狼に向け、そう豪語する桃花。小狼は表情を仏頂面に戻すと、数枚の護符を手にした。

 

「一つ聞こう……」

「ええ。なんなりと」

「この襲撃は誰の差し金だ?」

「それを知っていて教えるとでも?」

 

 無駄な問いかけと言わんばかりに笑う桃花。小狼はそう答えるのがわかっていたため、そうだな、と言うと小狼は剣を水平に構えた。その目は冷静に彼女だけを見つめていた。

 

 


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