カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜   作:1202155@

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【クロウの日記】
今日は初めて自分の魔法具を造ってみた。魔法具といえば、西洋では火は剣、水は杯、風は棒、土は金貨だと教わった。
僕の作る魔法は東洋と西洋の魔法を融合させた魔法だから、その意味も含めて、西洋魔術を基板に、東洋魔術で創り出した魔法具を使うようにしようと考えている。
ただ、考え付いたのはいいけど、魔法具の形が思い浮かばない……そうだ!適当に錠前と鍵でいいや。
造り易いし……


序章2

魔法陣の中心に立ったさくらは手にした星の杖を両手で構える。その頭の中に浮かぶのは、あるはずのない、時空管理局本局の正確な場所と、転送位置の記憶。それは想也から渡された、大切な地図だ。これをずらしてしまえば、ここいにる、彼女を含めた6人は全く見当違いの方向にとび、最悪は次元の海の藻屑になるだろう。そんなことは、さくらは知らない。だが、何となくだが、見当はついていた。その、プレッシャーに押しつぶされないように、彼女は、目を瞑り、その正確な位置目掛けて、自分の魔力を流し込んだ。

 

「杖よ!我が声に応え、次元の海を渡り、彼の地へ導け!」

 

その呪文と共に、黄金の風が彼女を中心に魔法陣に入るものたちを包み込んだ。逆巻くように風は空に昇ってゆく。それを不安そうな面持ちで見つめるさくら。そんな彼女に小狼は優しい声色である言葉を告げた。

 

「大丈夫。絶対大丈夫だ。さくら」

 

その言葉にさくらは驚きつつも満面の笑みで頷き、杖を振り上げる。そして、皆を送るために勢いよく振り下ろした。その瞬間、眩い光と共に彼らの姿はそこから消えた……。その代わりに、ヒラリと1枚のさくらの花びらが空から、芝生の上に舞い降りた。

 

 

 

 

そこはどこか不気味な空間。薄暗く、仄かに松明の火がその場所を照らす。その奥に位置する玉座。そこに座る男は、水鏡を眺める、顎鬚を撫でた。その表情は常の無表情のままだが、何かを考えているようにも見える。

 

「……様、李家分家、桃花と大竜が来ましたわ」

「そうか……通せ」

 

従者の言葉に重々しく頷くと、従者花一礼して、扉を開けた。そこに立っていたのは、二人の子供。一人は赤い導師服を纏った少女。もう一人は古い中華風の装飾の施された鎧を纏った少年だった。彼らは男を前にすると、膝をついて頭を垂れた。

 

「お久しぶりです。影の魔術師」

「うむ。久方ぶりだな。月が20と4度、空から消えるくらいの時が流れた……」

 

そう呟くと、不敵な笑みで彼らを見た。その目はどこか楽しそうな声で語る。

 

「私が生まれて、幾数十。未だに本来の者たちに手を出せぬ。まぁ、私が手を出せないだけで、幾らでもやりようはあるのだがな……」

 

そう言うと、影の魔術師は部屋の奥にある縦長の水槽を眺めた。そこには1人の少年が浮いていた。満足げに笑うと、彼は配下の黒尽くめの男に目配せをする。男は一礼すると、部屋の奥に消えた。

 

「さて、貴様らを呼んだのは、他でもない。貴様らの願いを叶えてやろうと思ってな」

 

その言葉に2人は機敏に反応する。すると、2人の前に先程の男が現れ、二つの錠前を置いていった。

 

「……これは?」

「『魄の核』というものだ。元になっているものは、若いクロウ・リードが、己を鍛える為に作り上げた、魔法具。それを私が強化し、作り上げたものだ」

 

 

少年の問いに、黒の魔術師は自身が持つ『魄の核』を手に取り、使い方を教授する。ボタンを押した瞬間、フタが展開。オドロオドロしい光と共に男の姿が黒い騎士甲冑を纏った姿へ変わる。

 

「これが、この魔法具の力だ。此奴を渡すかわりに、今から言う三つの魔法具を奪ってきて欲しい」

「ハイッ!一命にかえましても!」

 

少年が大声で返事をした。その少年に黒の魔術師は不敵に笑いながら、奪う物を伝えるのだった……

 

 

 




動き出した野望……
襲い掛かる新たな敵。
そして、少女たちは新たな翼と共にその敵と闘う。

「この手の魔法は撃ち抜く力……哀しみも傷みも、全部撃ち抜いてみせる!」

覚悟と思いを魔法に乗せて、今、少女たちは再び空に舞い戻る。

第2章、本格始動!

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