ガンダムSEEDーカズイ奮闘物語ー   作:SS好きのヨーソロー

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カズイ奮闘物語、なんともうお気に入りが270件もつきそのほかにも様々な方に評価をいただきました!
誠にありがとうございます!

では、今回のカズイの奮闘っぷりも楽しんでいってください!


PHASE 2 その名はガンダム、生きるための選択

激しい爆発音が耳を刺激した後、俺は簡単にも意識を手放してしまった。

 

 

それからどれだけ眠っていたのか。ゆっくりと意識は回復し目が覚めた。

「こ、こは・・・」

ここは工科カレッジ奥、工業地域だった。

今日はカトウ教授に呼ばれ、地球連合軍の尉官、マリュー・ラミアス大尉に出会い本来機密であるG兵器の資料を見せてもらったのだ。

つまり・・・

「おいおいおい!もうザフトの襲撃が始まってるってことかよ!誰か!!誰かいないか!?」

声をあげるが何も聞こえない。

物音が聞こえたとしても、何かが落下した音だ。

 

極めつけは・・・

「っ・・・おい、嘘だろ・・・!?」

頭からぐったりと血を流し、帰らぬ人となったものたちが多くいたことだ。

 

あぁ、あぁ・・・あぁ・・・・・・

戦争は、本当に始まってしまった。

「・・・っぷ・・・うぅ、おぇぇぇっ!!」

胃の中のものを吐いてしまう。何か食べたわけでもないのに、吐くものはないはずなのに、身体が胃の中のものを出してしまう。

臭いも、見た目も。

まさしく地獄だ。

 

外壁は剥がれ、そこから見えたのは立ち込める炎を背に立ち上がる、MSの一つ。

GAT-X105ストライクガンダム。

「・・・キラ」

吐き気もすごい、何もしたくない。けれど動かないと、このままだと死んでしまう。このまま死ぬのなんて、まっぴらごめんだ。

「・・・大尉、やっぱり色々、パクりますよ!」

泣き出しそうになるのを無理やり我慢し、体に鞭打つと無理やり動き出した。

 

なんとか崩壊した施設から脱出した。

そこには銃撃戦があったのだろう、たくさんの死体が横たわっていた。

その中に、知った顔があった。

いや、知ったと言うより見たことのある顔というやつだ。

ラスティ・マッケンジー。G兵器強奪に関し、ストライク奪取を担当してマリュー艦長に撃たれた男。

 

しかし、神様のいたずらか何か、彼が撃たれたのは頭ではなく、腕だった。

そして、弾は貫通している。

・・・こいつ、死んでいない。生きている!!

痛みに苦しみながらも、確かに意識は保っていた。

「っ・・・つぅ」

「おい、あんた!生きてるのか!」

「っ・・・ヘリオポリスの、住人か?」

「そうだよ人殺し共。つってもうちもうちでMS開発なんてクソみたいなことしてるから何も言えないけどな」

「・・・知ってた、のか?」

「まあ色々とな。おいあんた、捕虜にならねえか?」

「捕虜に・・・?」

「あぁ、今からお前を助けたとしても捕虜になるしかないだろ、逃げるとしたら・・・極秘で作ってた新造艦に乗るしかないしな」

「・・・ナチュラルなんかの、助けは」

「その考え方やめろ馬鹿。別にお前の敵ナチュラルじゃないだろ」

「は、はぁ?」

「お前の敵地球連合軍なんだろ?と言っても捕虜になっちまうけど。

だから俺はお前の敵じゃねえよ、だって俺民間人だもん」

「み、民間だからって、ナチュラルは・・・」

「はぁ、なんなんだよお前ら、他種族エイリアンか何かだと思ってる?お前ら作ったのナチュラルだぞ。生みの親だぞ。・・・てか生みの親が息子を殺すってのも変な話か。うーんもうこの世界滅びろ、俺筆頭にみんな死んじまえ」

つい過激なことを言ってしまったが許してほしい。だって本当にこの世界クソなんだもん。

「っ・・・ははは、お前自分で言うのかよ」

「だって本当に戦争してる理由が馬鹿だもん。大規模な民族戦争だろこんなの。とりあえずお前捕虜になれよ、見過ごすの気色悪いし」

「・・・あぁ、わかったよ」

「とりあえず包帯巻いてやるよ。なんとかなるだろ。貫通しててよかったな」

「・・・あぁ、間違いない」

「・・・それでさぁ、お前名前何て言うんだ?

あ、俺はカズイな。カズイ・バスカーク」

「ラスティ。ラスティ・マッケンジーだ」

「ラスティな。・・・怪我人に頼むことじゃないんだけどさ、避難手伝ってくれない?」

 

 

 

「・・・これ、地球連合のMAじゃないか」

「そう、MAW-01ミストラル。地球連合のMAでクソ兵装の機体な」

「・・・確かに、弱いな」

「けどこいつ避難には使えるんだよ。トレーラーあるし。

とりあえず避難物資あるからトレーラーにどんどん積み込んでくれ」

「あぁ、仕方がないな」

え?怪我人を働かせるなだって?

俺はカズイ、カズイ・バスカーク。

別名臆病者のクズ。弱い立場の人間を傷めつけるのがやめられないのだフハハ。

 

「あ、お前チョコ食う?こいつ保存できねえから食っちまえよ」

「あ、ここのメーカープラントにあるのと同じじゃないか。・・・美味いな、やっぱり」

「だよな、わかるぜ。

あ、冷蔵庫のコーラ飲んでいいぜ」

「あ、あぁ。・・・のんびりしすぎじゃないか?」

「いいんだよ別に、最悪ミストラルにさえ乗れば宇宙に出りゃいい。お前ノーマルスーツだろ?俺も持ってるんだよ。これ」

取り出したのは地球連合軍のノーマルスーツだ

「・・・お前、地球連合軍なのか?」

「いや?だから言ったろ、民間人だって。このノーマルスーツはAmazonで売ってるぞ」

「え、マジで?」

「うん、ミリタリーオタクどもが買う。これなあ、オーブでめっちゃ人気なんだよ。あそこ完全中立だろ?ザフトのノーマルスーツ売れるぜ」

「・・・えぇ?こっわ」

「本当な、あそこ魔の巣窟だわ」

冷蔵庫から缶コーラを取り、お互い飲みながら荷物をまとめる。

急造でミストラルを三機用意し、トレーラーに合体させる。

前方に一機、メインコントローラー。

トレーラー後方左右にそれぞれ一機、スラスター代わりだ。

「・・・仕方がない、ラスティ!こっちの回路繋いでくれ!」

「これは?」

「急ピッチ、その場で思いついた遠隔ブースター、まあ簡単に言うとミストラルの電源ボタンだな。

ミストラル自体に回路を取り付けて、トレーラーに組み込むんだ。後ろの二台が両サイドに増設されたブースター、真ん中のメインが操縦代わり」

「・・・お前、メカニックなのか?」

「工科カレッジで学ぶんだ。こう言う改造の理屈を組み立てるのは好きでな。とりあえずこれを動かそう」

 

トレーラーに大量の荷物を詰め込んだミストラルを起動する。

ブースターがいい感じに作動し、走行し始める。

トレーラーが連合製ということもあり、互換性があるのも強みだ。

 

瓦礫まみれの街を、なんとか迂回していく。

 

するとちょうどストライクとジンの戦闘が広がっていた。

「・・・あれはミゲルの」

「・・・ミゲル?まさか、黄昏の魔弾、ミゲル・アイマンか?」

「・・・知ってるのか?」

「あぁ、もちろん。お前らんとこのエースパイロットじゃないか」

よく見れば、あのジンこっちに気がついてるのかMMI-M8A3 76mm重突撃機銃を構えてやがる。

連合の機体を使っているので、連合兵士と認識されているのかもしれない。

トレーラーの方に待機しているラスティに通信回路を作動するよう頼む。

「くそっ、地球連合軍認識かよ!ラスティ!回線を開いてくれ!オープン回線で頼む!」

「え、えぇ!?」

「急げ!さもないと同胞から殺されるぞ!って撃ってきやがった!」

なんとかジグザグに回避していく。

その間にストライクか守ってくれているようだ。

「カズイ!回線繋いだぞ!」

「OK!サンキュー!!」

スピーカーを作動させると、声を張り上げながら走行を続ける。

『そこのジンのパイロット!聞こえるか!俺はヘリオポリス在住の工科カレッジ学生カズイ・バスカーク!学籍番号11280番、民間人だ!』

『民間人だとぉ!?信用できるか!』

『ヘリオポリスを襲撃した奴らが何を言う!頼むから見逃してくれ!こちらには君の同胞ラスティ・マッケンジーくんがいる!!腕をやられており、君に撃たれると俺もろとも死ぬぞ!!』

『ら、ラスティが!?』

『・・・ラスティ、代われ』

 

『ミゲル!俺は無事だ!この学生に助けてもらった!』

『貴様、ナチュラルの助けなぞ!』

『待ってくれ!こいつは戦争に参加していない!単なる民間人だ!』

『ミゲル・アイマンくん!彼の命は保証する!捕虜として連れていくぞ!』

『くそっ!!勝手なことを・・・!!』

ミストラルに気を取られるがもう遅い。

次の瞬間、キラの操るストライクがアーマーシュナイダーを片手に、ジンを倒していた。

「くそっ、覚えていろよ!!」

ちぃ、と舌打ちをしながら退避するミゲル・アイマン

『っ!!ストライクのパイロット!!離れろ!自爆するぞ!』

ストライクが離れる、そして次の瞬間爆発が起きたのだった。

 

 

 

 

ストライクから出てきたのはキラ・ヤマト。予想通りだった。しかしラミアス大尉が倒れてしまっている。

とりあえずはベンチに寝かせるとしよう。

「ラスティ、一応すぐ飲むように冷蔵庫から持ってきたお茶があるだろ、それを持ってきてくれ。あとそうだな、彼らの分も頼む」

「あぁ、わかった」

「カズイも無事だったのか」

「トール!サイ、ミリアリア!みんな無事だったんだな」

「まあな・・・」

「さっきの、ザフトの兵隊よね・・・?」

「あぁ、ラスティ・マッケンジーくん。今は俺の捕虜というか、手伝いをしてもらってる」

「持ってきたぞ。えぇっと・・・」

捕虜、なんて言っても急には納得できない。周囲は恨んだ様子で睨んでいる。

「よさないかお前たち。・・・気持ちはわかるさ、しかし原因があろうと今は捕虜だ。攻撃しようものなら間違いなく軍法会議ものだぞ。まあ君たちには関係ないかもしれないが」

「・・・やめろカズイ。そう思われて当然のことをしただけだ。

とりあえず、すまないみんな。これはカズイが用意したものだから問題ないだろう。受け取ってくれるか」

「・・・まあ、だよな。負傷者になんか言うのはだせえし」

「・・・ザフトに抱く不信感と同じくらい、地球連合軍にも抱いているさ」

「・・・まあ、一旦忘れるわよ。非常事態だし」

「・・・カズイ」

「あぁ、やはり予想通り戦場になってしまったな」

 

しばらくすると、ラミアス大尉の目が覚め、早速皆に拳銃を向けていた。

「ラミアス大尉、拳銃を下ろしてください」

「・・・カズイくん」

「ここで向けられるのは1番機密を知っている俺だ。他は巻き込まれただけ。あとこの子は今は捕虜的扱いで接してます」

「ザフト兵・・・あの時の」

「・・・あの時の、射撃の上手いやつ」

「・・・捕虜は傷めつけるのは禁止ですよね?」

「.・・・ええ、まあそうなるわね」

「一体何が起きてるんだよ・・・」

「トール、俺が説明するさ。

まず、ヘリオポリスは極秘裏でMSが開発していて、俺とキラはそれのOSの開発を課題と称し手伝わされていた。

そしてザフトもそれを知り、強硬手段に出た、ってところだろうな」

「わ、わけわかんないよ・・・」

「まあ、無理もない。

けどまあ悲しいことにこの機体も、キラの見たものも、本来は極秘機密だからそれを知った俺たちはのうのうと逃げることはできない。

とりあえずは俺たちの扱いはMSと同時に開発されているであろう新造艦に乗り込むしかないだろうな」

「えぇ、アークエンジェルとなんとか合流する必要のあるわね・・・」

「・・・とりあえず不安になるのはわかるが、俺たちは今力を合わせないと死ぬ状態だ。ラミアス大尉の指示をよく聞くべきだな。まずはお互い名前を名乗ろう。

俺はカズイ、カズイ・バスカーク」

「・・・サイ・アーガイル」

「ミリアリア・ハウ」

「トール・ケーニヒ」

「・・・キラ・ヤマトです」

「・・・捕虜のラスティ・マッケンジーだ」

「・・・私はマリュー・ラミアス。地球連合の士官です」

「・・・とりあえずだ。中立国とは言え、今こうして俺たちは地球連合の機密を見てしまった。

残念ながらここからは逃げれないな」

「くそっ、乱暴な話だぜ」

「・・・仕方がない。今外では戦争が起きてるんだ。今どうこう言ってももう遅い。とりあえず今はラミアス大尉の指示に従い、地球連合に保護をしてもらったほうがいい。

ラミアス大尉、今回のこのようなケースは不慮の事故により偶々目撃をしてしまったこと、さらに今後あなたがたの作業を手伝うこと、捕虜に関する条約に基づき身柄の保護は期待できますでしょうか?」

「えぇ、そのように手続きしましょう」

「ありがとうございます。・・・まずはストライクの部品を運び込まないといけないか」

「その通りよ。C地区の方に荷物をまとめているわ」

「すまん、トレーラーを使って持ってきてくれるか。ザフトの連中は多分このストライクを破壊する気満々だろう。・・・ラスティ、吐いてもらうぞ。向こうはどうなってる」

「俺たちのG兵器を奪う任務を任された赤服たちはG兵器を奪っていった。・・・向こうの船からは多分またミゲルが来ると思う」

「黄昏の魔弾殿か。フェイズシフトがないと厳しいな。」

「・・・あと、上官にラウ・ル・クルーゼという隊長がいるんだ、あの人が出てきたら手こずるだろうな」

「・・・上官、か。魔弾殿より強いと考えると敵に回すのは厄介になるか・・・」

「なんでカズイはザフトに詳しいのよ」

「戦争の資料を見たからな。・・・こんなご時世だ、中立ものうのうとしてられないと思って対策したが、嫌な予想を当ててしまった」

いやごめんね?現実的に知ってたのよ展開。けど言えないじゃん、未来の予想とか。普通こんなことになるって誰も予想しないじゃん???

「・・・何も言えないわね」

「だろ?何があるかわかんないんだし、積極的に動いたほうがいいんだよ」

「・・・でもアンタ、中立国を叩くってどういうことよ!」

「っ・・・・・・」

「ミリアリア。やめろ、ここは中立なんて名乗ることできないぞ」

「・・・なんでよ」

「さっきも話しただろ。MSを開発したんだから。

・・・大方、極秘任務だったんだろうな。それがザフトに筒抜けってことなんだろ」

「・・・・・・」

「・・・悪いなラミアス大尉、このことに関しては何も擁護はしないぞ」

「知ったふうに・・・!!」

ラミアス大尉がきっ、とこちらを睨み拳銃を構える。

しかし、俺も俺で睨み返すのだ。

「子供が、と・・・そのふうに考えるのであれば一度頭を冷やせラミアス大尉。

俺は子供だがこのような有事をある程度想像した、ある程度対策した、その結果が今の俺の行動だ。

なぜ戦争が起き、今どのようになっているのかもある程度は認知している。それを踏まえて中立国に目をつけた貴方方地球連合を、罪なき住民達を虐殺してみせたザフト軍を、その二つを批判している!!」

そもそもMSなんてものが作られなければこんなことにはならなかったのだ。

キラ・ヤマトを、そしてみんなを巻き込まずに済んだのだ。

「っ・・・」

「戦争をしている?関係ないな。こっちは中立を生きている。生きていたつもりだった。

それがこの有様だ。結局中立も偽りそのもの。はなからないようなものだった。

・・・なら、どれだけ口が悪かろうが、貴官らにどのような感情を抱いていようが生き残るために何かしないといけない」

「・・・やめようぜ、カズイ。なんだか俺たちみっともなく見えてきたぜ」

「ふふ、さすがサイ・アーガイルだ。そのイケメンぷりは顔だけじゃないな?」

「は?どういう・・・」

「みっともないやつにならないよう、動かないとな。・・・すまない、トラックの運転はサイ、君に頼んでもいいかな」

「あぁわかった。任せてくれ」

 

「キラ!ストライクに搭乗し通信を!ラミアス大尉らに閲覧させてもらった資料によると新造艦がいるはずだ!そこに通信を!」

「リンクコードαX778よ!」

「了解。・・・こちらGAT-X105ストライク、地球軍!応答願います!・・・・・・くそっ、砂嵐の音がひどい!」

「チッ、おそらく通信妨害されているか」

ひたすらにキラが声をかけるが反応はない。

するとサイが運転したトレーラーが到着する。

「・・・とりあえずストライカーパックを装備ね。キラくん、頼めるかしら!」

「どれです!エネルギーパックって!」

「ストライカーパックは武器と一体化してるの、そのまま装備して!!」

 

その一悶着の途中、突如コロニー外壁が破壊されると、そこからMSが侵入してくる。

「っ・・・まずい!あの機体はシグー!!ラウ・ル・クルーゼの機体か!!」

「っ・・・クルーゼ隊長。

それに、あの機体はメビウス・ゼロ・・・あれが噂のムウ・ラ・フラガか」

 

「サイ!トール!ミリアリア!ストライクが目をつけられた!頭部を守れ!衝撃が来るぞ!

キラ!早くストライカーパックを装備しろ!フェイズシフト装甲を展開するんだ!」

それと同時に、破壊音が聞こえた後振動と共に戦闘艦が飛行し始めた。

 

瓦礫を弾き飛ばし飛行する戦闘艦。

後の不沈艦、アークエンジェルである。


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