ガンダムSEEDーカズイ奮闘物語ー 作:SS好きのヨーソロー
地球連合所属強襲機動特装艦 アークエンジェル
ヘリオポリスを脱出後、降下時にキラのストライクと俺のメビウス・ゼロが想定外のコースを辿ったためにザフトの勢力圏に降下してしまうのだった。
その勢力圏で力を持っているのは砂漠の虎アンドリュー・バルトフェルド。
襲撃に際し、キラと俺は助けられたのだった。
レジスタンス・・・明けの砂漠という組織に。
機体のモニターから、姿を確認した。
音声も良好。声を発した男性はサイーブ・アシュマンさんだ。すぐ近くにカガリ・ユラ・アスハとレドニル・キサカの姿も確認できる。
アークエンジェルからはマリュー・ラミアス、ムウ・ラ・フラガの2人が出ていた。
自己紹介シーン。原作の一つに気になるところがあったからつい降りてしまった。
「あれぇ?第八艦隊って全滅したんじゃないの?」
それは、アフメド・エル・ホズンくんの発言だった。
当然アークエンジェルクルーは苦虫を潰した顔になる。
ここが、一つ気になったところだった。
「そこの少年!そういう言い方は少しやめてもらってもいいかな?」
だから俺は、機体を降りながらそう述べたのだった。
「バスカーク少尉!」
「ラミアス艦長、勝手の着陸失礼します。しかしつい気になってしまって・・・・・・そこで、さっきも言ったが君。あぁいう物言いはやめてほしいな」
「な、なんだよ急に・・・!?」
「まずは名前を名乗らないといけないな。俺はカズイ。カズイ・バスカークだ。君の名は?」
「・・・アフメド・エル・ホズン」
「アフメドくんか。・・・・・・第八艦隊は確かに壊滅的ダメージを受けた。しかし、彼らは最後まで戦った勇敢な軍人だ。
第八艦隊のデュエイン・ハルバートン氏をご存知か?
彼は自身の身を顧みず、俺たちアークエンジェルを守るために最期まで戦った。
そりゃあ、君たちにとっては戦争をしている片方の組織だ、悪く思ったり無関心になるのも仕方がないがそれでも最期まで戦い抜いた軍人をそのようなバカにした態度で言われるとこちらも腹が立ってしまうよ。
見た感じ君はレジスタンスだ。・・・ならば、何人かは戦いの中で命を落としたものもいるだろう。
君は、君たちは彼らを最期まで戦い抜いたとし、勇敢とするだろう?
それと同じさ。だからそう言う言い方はやめて欲しいんだ」
「アフメド、この少年の言うとおりだ。先のは謝罪しろ」
「・・・お、おう。・・・ごめんなさい、そんなつもりはなかった」
「えぇ、まあレジスタンスにしては我々軍人はどう思われてもおかしくないし」
「ハハっ、にしても早速カズイ節だな?」
「いえいえ。俺も初対面で偉そうに述べてごめんよアフメドくん。
そちら・・・確かサイーブさん、と言っていましたね。守るつもりでなくとも助けられたのは事実ですし、一言お礼を。ありがとうございます」
そう述べながら手を差し出す。
「へへっ、そう言う対応は嫌いじゃねえぜ。よろしく頼むな、少年。
しっかし、争いのタネに降りられるとは思っても見なかったんで驚いちまったな・・・。強襲機動特装艦アークエンジェル・・・そして・・・」
「・・・GAT-X105、ストライク。地球軍のモビルスーツのプロトタイプだ。あっちのは知らないけど」
「無理もないよ。あれはGAT-01A1 ダガー。ストライクの量産型として開発されてる地球軍のモビルスーツだからな。・・・そこのお嬢さんはなんで呼べばいいのかな?」
「お嬢さんはやめろ!私はカガリ・ユラだ!」
「すまないすまない、カガリちゃんだな?了解した。俺のことは好きに呼んでくれ」
「あぉ、わかった・・・」
と言うわけで勝気溢れるカガリちゃんとの初対面である。可愛いねカガリ・・・!!
いやはや、なんというかいいよねこの元気っ子って感じが。
どこぞの桂ン・ズラくんを呼びたくなってしまうものだ。
そういえばあの子SEEDFREEDOMでめちゃくちゃに大活躍してたね、うん。
「・・・さてと、悩みの種のあんたらよ。これからどうするつもりなんだ?」
「あら、もしかして手を貸してくださるとか?」
「まぁ、まずは話し合いをしようや。銃なんておろしてくれねえとな・・・?」
やはり、レジスタンスとして戦った戦士なのだろう。すぐに銃を察するのは慣れている証拠だ。
「・・・やれやれ、そうですわね」
ラミアス艦長も苦笑いしている。
「ラミアス艦長、キラにも降りてもらいますか?」
「ええ、そうね。ヤマト少尉!降りてきてちょうだい!」
そうラミアス艦長が述べると、ストライクからキラが降りてくる。その時のカガリの顔はなんとも言い難かった。
「・・・っ!!おまえ!なんで地球軍のMSなんかにッ!!」
思わず掴み掛かったカガリちゃん。
キラはたじろいでいた。
動くならこの瞬間である。
「よっと、乱暴なのはダメだと思うな」
殴りかけたその手を反射的に掴む。
「う、うるさい!なんでこいつが・・・・・・!!」
「とりあえず落ち着きたまえよカガリちゃん、君が暴れるのはアークエンジェルとしても、そして明けの砂漠としても面倒だと思うんだが気のせいかな。君が武力行使を行うならば、こちらとて行動せねばならない。このアークエンジェルの装備はそこそこに多い。明けの砂漠といったかな?お互いに無用な消費につながると思うよ。」
「いい加減にしろカガリ!面倒ごとを起こしてくれるな!!」
サイーブさんがそう声を張る。怒鳴られて仕舞えば流石にカガリちゃんも気まずくなったのか静かになってしまった。
しかしまあ、言ってしまえば悪いのだが、レジスタンス自体が面倒ごとの集合体みたいなものである。原作キラと違って今のキラの精神状態が多少マシとはいえ、根本にある准将曇らせは健在だ。目を離せばどうなるかわからんからな
「・・・・やれやれ、これからどうなることやら」
SEEDの中で好意的に思えるキャラの1人、しかし地雷でしかない彼女に頭を悩ませるのだった。
俺とキラは今、MSに乗り込みアークエンジェルを隠すための偽装作業に徹している。サイの指示に従い、ロープを張るのだ。
「けれど、なんかあの子暑苦しいと言うかなんと言うか・・・」
「あぁ・・・なんかまっすぐすぎるわよねぇ」
「けど、キラに掴みかかったのは謎だぜ。面倒起こさないといいけど」
機体からおり、飲み物を受け取りに行くとそんな言葉が聞こえた。
「フレイ、ミリアリア、トール!・・・・・・さっきの女の子についてか」
「あぁ、なんかえらくモビルスーツを睨んでたけど・・・」
「確かに。あんな目つきなかなかできないわよねぇ」
「まあ、だよな。それで・・・艦長らは?」
「あぁ、先に本部へ行ってるって。あっちの方だ」
「ありがとうトール、行ってくるよ」
本部、とやらに向かう。物資にはザフトや地球連合軍のマークがある。どうやら陣営問わずレジスタンス行為を続けているようだ。
まぁ、第三勢力というか部外者のレジスタンスなら無理もないか。
地球連合軍とて対応の悪い部隊もいるだろうし。
しかし・・・面倒の種ではあるんだよなぁ。ザフトからでなく地球連合軍の報復なんてこともあるだろうに・・・。
一応ラミアス艦長にも伝えるべきか・・・?
内部では、すでに皆がいた。
「さっきの少年、カズイじゃないか」
「お邪魔します、サイーブさん。・・・・・・ほぉ、前線基地、って感じですね。機器も整備されてる」
「あぁ、タッシル、ムーラ、バナティーヤの有志を集ってるからな。
コーヒーは飲むか?飲むなら好きなのを使いな」
「あ、ありがとうございます。ラミアス艦長らの分も作りますよ。
それぞれミルク、砂糖は?」
「あ、俺はブラックで」
「私は両方お願い」
「わ、私は・・・砂糖多めで」
「はいはい、フラガ少佐ブラック、ラミアス艦長ノーマル、バジルール中尉甘めですね」
それぞれのオーダー通りに作り上げていく。
「・・・へぇ、彼は手慣れてるんだな」
「コーヒーを好むそうで、よく作っているそうです」
「ま、わかるねぇ。コーヒーはうまいし」
そうしてしばらくし、完成したものをテーブルへ持っていく。
俺?俺はもちろんブラックだ。今は頭をクリアにしたいからな。
話し合いの会話を聞きつつ、カガリちゃんの元へと近づく。
「・・・・・・なんだ」
「あぁ、いや。君キラと話がしたかったんだろ?よかったら連れてくよ。あ・・・ちょうどいい。君の分も入れようか?」
「・・・・・・そうか。じゃあ私も甘めで頼む」
「OK、少し待ってて」
とのことで追加でコーヒーを淹れる。
「・・・・・・へえ。意外と美味いじゃないか」
「はは、お気に召したなら何よりだよ女神様」
サイーブさんが述べていた単語を述べるとすごい睨まれた。
「OKOK、俺が悪かったよ・・・・・・」
こうされちゃあ、苦笑いしかできんなと思いつつ丘を少し上がる。するとキラが立っていた。
「よぉキラ」
「カズイ!・・・あ、君」
カガリちゃんといえば、キラの前に立ち謝っていた。
「・・・さっきはその、すまなかったな。ついカッ、となって」
「いいよ、カズイが止めてくれたし」
「ところでなんだが、君たちは知り合いなのか?」
「前に話したよね、ストライクに乗り込んだ時に逃した女の子」
「・・・あぁ、残り1人だったから女の子を逃した、ってやつか。
カガリちゃんのことだったのか」
「うん、そうなんだ」
「全く、君もかっこいいところがあるものだよな」
勇敢で優しいよなと頭を撫でると、気恥ずかしそうに微笑んでいる。
「・・・・・・あの時は、確かに感謝している。
あのあとどうしているか心配していた。
まさか、今は地球軍に入っているとは思っても見なかったけどな」
「・・・いろいろ、あったんだよ」
「あはは・・・・・・ヘリオポリスがぶっ壊れてね。キラはそのままストライクに逃げ込んだんだよ。シェルターはほぼ満席、あってもドアだけのハリボテ。そんなんだから俺も俺で忙しくてさ」
「・・・そうだったのか」
「と言うか君は元々ヘリオポリスにいたのか・・・?見かけたことがなかったけど」
そう言うと、反応したのはキラだ。
「あ、この子は教授のお客さんだったんだよ」
「なるほど・・・カトウ教授にね」
「知っているのか?」
「知っているも何も彼は俺とキラ、あと艦内にいる若い志願兵たちの通うカトウゼミって工業カレッジの教師だからな。
ちょうどよかった、カトウ教授をヘリオポリス崩壊時に保護していて今共に航海をしているんだ、会っていくといい」
そう伝え、中に案内する。
「・・・おや、君は面会のアポイントメントをとっていたカガリ・ユラ・アスハではないか」
部屋でコーヒーを嗜んでいた教授はついに本名を晒した。
「あ、アスハ・・・!?」
「・・・やれやれ、まあこうなるか。
とりあえず、貴方も中に入ってくれませんか?オーブ連合首長国陸軍・第21特殊空挺部隊所属 レドニル・キサカ一等陸佐殿」
バッ、とドアが開かれる。
それと同時に、ホルスターの拳銃を引き抜くと構える。
やはり、キサカ陸佐は銃を構えていた。
「キ、キサカ!」
「カガリ様に何をするつもりだ!」
「落ち着いてください、キサカ陸佐。先の言葉が伝わりませんでしたか?部屋に入ってくれ、そう述べたはずです。
貴方も銃を構えており、引き金はこちらを向いている。
それは俺も同じこと。・・・オーブの獅子の御息女にどちらかの死体を見せるのはなかなかに酷でしょう?それと、お勧めはしません。キラ・ヤマト少尉は運動神経も悪くはない、俺が死体になっている間に行動することも可能だ。
・・・違いますか?」
「やめろ!キサカ、下ろしてくれ」
「・・・わかりました、しかしカガリ様に危害を」
「加えませんよ。彼女に銃を向ける理由がない。ただ俺はキラから教授に会いたがっていた、と言う事実を聞きそれを元に招いただけですから」
お互いが銃を下す。そして席に着いたのだった。
「・・・さてと、とりあえず。教授、キラ。
オーブの獅子の御息女であるカガリ・ユラ・アスハ嬢と知った時点でこの船は条約違反戦艦になりました」
「・・・ふむぅ。まあ仕方がないことだな」
「条約違反・・・?」
「俺たちの両親が住むオーブ、この国は他国からの攻撃、他国への侵攻を許さないと言う中立国を名乗っている。
それは上層の方々もそうだ。
五大氏族と言ったかな。アスハ家・サハク家・マシマ家・キオウ家・トキノ家の氏族、及びにそれらを補佐する下級氏族、ないしはオーブ首長国の権利を主張する国民を正式な条約なしに船に乗せたり、戦闘行為をさせる時点でアウトなんだよ」
「で、でも僕たちヘリオポリスのみんなは・・・」
「それもアウトだ。だから俺たちはヘリオポリス崩壊前に志願兵として軍に入ったってことになってるんだよ。
あの志願兵対応はその意味を含んでいるんだ。
キサカ陸佐、今の俺の発言で何か違うところは?」
「いいや、君の言うとおりだ。・・・しかし、ヘリオポリスの学生の志願兵ってのは知らなかったがな」
「えぇ、ヘリオポリスが崩壊した際、我々民間人はアークエンジェルに避難し航行してました。何かせぬと撃墜され死ぬことになりましたから。かと言ってオーブも連合も問題にするわけにはいかないものですから、コルシカ条約に基づき志願兵扱いになった、と言うわけです」
「・・・・・・そうだったのか。
キラ・・・カズイくん、すまない。お前たちのことを考えて発言をすべきだった」
カガリちゃんは頭を下げていた。猪突猛進が過ぎるところもあるが、その真っ直ぐなところは好意的でもある。
「気にしないでくれカガリちゃん。オーブの人間が争いを好かんのはよくわかる。
俺も好き好んで戦うわけではないからな。ただ・・・すまんキラ、君のことを少し勝手に話す。
彼はコーディネーターなんだ。アークエンジェル内部では差別的発言もかなり少なくなり、皆仲間として活動しているが船を出るとわからん。地球軍もザフトも裏切り者のコーディネーターと冷たい言葉をかけるかもしれない。だから君の様な者が気にかけてあげると彼も安らぐと思うんだ。頼めないか?」
「もちろんだ、バレてしまっては仕方がないからな。キラ!私のことは内緒にしてほしいが、私は獅子の娘だからな。キラが困っている時は力になるぞ!」
「あ、ありがとう。・・・でも、カズイにも救いの手を差し伸べてあげてほしい。カズイって大人びてるけど、僕たちと同い年なんだ。・・・無理しちゃうところもあるから」
「それも任せろ、今は連合の一員かもしれんが、オーブの国民だ!助力はするぞ!」
にっ、と笑みを浮かべるカガリちゃんはなんとも眩しかった。
「・・・それでなお、君を叱らねばならん。キサカ陸佐、お許しください」
そう述べると俺は、カガリちゃんのほほを平手打ちした。
「っ・・・!!か、カズイ・・・くん!?」
「なぜ・・・・・・なぜ君がレジスタンスをやっている!!オーブの獅子の娘が!なぜ人殺しに加担をしている!?」
「そ、それは・・・」
俺を止めようと、キサカ陸佐が前に出たがそれを止めたのは教授だった。
「・・・キサカくん、やめたまえ。これは必要なことのはずだ」
「君はオーブの理念に反しているんだぞ!他国からの攻撃を許さない、それはわかる。しかし他国の争いに参加し何になる!人殺しをして何を思った!!」
「っ・・・・・・!!」
「達成感だろう!生きがいだろう!充実感だろう!?
レジスタンスとはそのようなことだ!我々は戦士だ、英雄だ、勇敢だと!そう思うはずだ!
自分のことは棚に上げて言えん!俺とて最初、いや今も!倒した時は生きている実感が湧くし、兵士として達成感さえ湧いている!
けれど、オーブの人間がそのようなことをしてしまってはいけないんだ!
・・・ウズミ・ナラ・アスハ国家元首は良くも悪くも、強硬的な中立主義だ。手助けを求めない問題点はあれど、争いに参加しない部分では筋を通し切っている!親子の問題に首を突っ込むのは失礼に値する!けれど、それでも父の理念を否定してしまうのは、違うはずなんだ。それも、君の手を汚すことは・・・ないはずなんだ。
考え直してくれ。君がなぜこのレジスタンスに参加しているのかはわからない。けど・・・別のやり方だってあるはずだから。・・・・・・頬を叩いてしまってすまない、俺の部屋にある氷を用いて構わないから冷やしてくれ。
キサカ陸佐!カガリちゃんを叩いてしまって申し訳ない!若造の謝罪などないにも等しいがそれでもこのとおりだ!」
そう述べると、土下座をする。ここで撃ち殺されても仕方がない。けど、それでも伝えたかったのだ。
「・・・気にしない。確かに、カガリ様には必要なことなのかもしれないからな」
その言葉に、ありがとうとだけ述べて俺はその場を離れたのだった。