ガンダムSEEDーカズイ奮闘物語ー   作:SS好きのヨーソロー

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PHASE 16 砂漠の地、新たな力

PHASE 16 砂漠の地、新たな力

「カズイ!ラスティ!心配したのよ!」

タタタタッ、と軽い足でこちらへ向かってくるのはフレイ・アルスター。原作とは違い、とても優しく良い子だ。

「あぁ、二人に何もなくてよかったよ本当に」

それに続くよう心配してくれているのはフレイ・アルスターの許嫁、サイ・アーガイルだ。

「ほんと、もうダメかとヒヤヒヤしたよな」

にかっ、と笑いながら肩を組んでくるのはトール・ケーニヒ

「もう、縁起の悪いこと言っちゃダメよトール?」

まったく、と可愛らしく怒る少女はトールの彼女ミリアリア・ハウ。

「・・・みんな、心配かけて悪いな。

それよりも、キラの方が俺は心配なんだが、大丈夫か?」

そういうと、フレイとミリアリアが少し辛そうな顔をした。

「・・・・・・うん。医者さんには大丈夫だって言われちゃったけど、とてもしんどそうだもん」

「まあ、仕方がないわな。頭痛と熱が頭を押し付けている感じなんじゃないかな」

「うわ、それ嫌よね」

うげえ、と嫌そうな顔をしているフレイ。気持ちはすごいわかる。

「しかし、コーディネーターを見たことはないからこちらもわからないんだよ。構造上大丈夫なはずだぜ?」

軍医はそう述べている、まあそういうのならばこちらもとやかく言うこともない。

 

「はいるぞ。・・・キラの調子は?」

入ってきたのはフラガ大尉・・・いいや、フラガ少佐だった。

「変わらずです。・・・私とミリィが見てるけど」

「まだ苦しそうです・・・」

「そうか・・・フレイ、ミリアリア。もうしばらく頼むぜ。

それとカズイ!少しいいか?」

「あ、はい。なんでしょう?」

なんだ?と頭を捻ると手招きをされた。

 

 

 

 

 

しばらく歩き、着いた場所は格納庫だ。

そして俺はそこで、予想外のものを見つけることとなった。

「なっ・・・こ、これってまさかMS!?」

いやいやいやおいおいおいおい!?これMS!MSじゃないか!105ダガーじゃないか!?

正式型式番号GAT-01A1 ダガー、通称105ダガー。地球連合軍が最初に量産化を目指そうと開発したモビルスーツである。

 

その特性はやはり、GAT-X105ストライクと同系統のストライカーパック装着プラグの設置だ。

つまり、この105ダガーはストライクのように状況に応じた対応が可能というわけである。

 

しかし、なぜそのようなものがここにあるのか。

「・・・こいつはGAT-01A1 ダガー。一応105ダガーって言われてる。ストライクの要素を取り入れた量産型の予定だったんだけどな、上層部はもっと早く量産させたいみたいでさらに簡易型のストライクダガー、ってのを構想してるらしい。

 

こいつはその時に生まれた副産物。一定作られた機体だからな、使わないのも勿体無いってことでここに配備されたんだとよ」

マードック曹長が解説をしてくれた。

「・・・しかし、これを俺に見せるってことは、パイロットは俺ですか?」

「あぁ、そうなるな」

「・・・・・・俺、メビウス・ゼロをようやくなんとか乗り回せたくらいですよ?大丈夫ですかね」

「なにいってんだよ、普通はそれすらできないっての。

経験は俺の方があるが、飲み込みの速さなら断然カズイのほうがあるはずだぜ。

問題はOSだが・・・一応は完成してる。ただまあ、キラが書き換えてたろ?案の定、完成度はお察しの通りだ。そこら辺は一応確認しといてくれ」

「ありがとうございます、フラガ少佐」

そう述べると、その場を離れる。

 

 

 

「少佐、よかったんです?小僧、スカイグラスパーとかでも・・・」

「まあ、そうなんだけどさ。・・・あいつ、もしMSで動けたらトリッキーに扱いそうな気がすんだよ。機体をうまく動かせられるはずだから早いうちに慣れていて欲しくてさ。

・・・それに、こういう機体は新人に乗せたくなるもんじゃないの。そっちの方が生存率が上がる」

「ま、ちげえねえですな」

「こんな腕前だが、俺はあいつらの上官みたいなもんだからな。部下の一人や二人・・・守ってやらなきゃ立つ瀬がないでしょうが」

ふっ、と微笑むフラガ。そこにも一つの覚悟があったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺ことカズイ・バスカークは一人自室にてパソコンと睨めっこをしていた。

「・・・これが105ダガーのOSか。完成度は・・・ハハッ、フラガ少佐のおっしゃる通りだ。よくこれで動かそうと思ったな」

OSはストライクと変わらないもの。つまり

General

Unilateral

Neuro - link

Dispersive

Autonomic

Maneuver

(Synthesis System)

通称ガンダムである!

 

 

喧しいわ。なにがガンダムだよ、冗談抜きでこんなOSで動かせると思ってるのかよ地球軍の連中は。

 

OSに対する批判はキラの有名なセリフでもある。

キラがスーパーコーディネーターであるため、初見ではキラくらいしかそれに気が付けてないのではないかと思っていた。

いや、事実そうなのであるがこの俺カズイ、キラと共にOS組み込み作業を手伝わされていたのである程度は見慣れている。

開発・改修したOSで機体をシミュレーションするなんてことは日常茶飯事だ。故にコンピュータ上の動きは見慣れている。

「そりゃあ・・・簡単な作業ポッドとか・・・それこそΖのプチ・モビルスーツなんかで考えたら高性能的働きをしてくれるとは思うけど・・・ストライクとかダガーを動かすとなると話は別だよなぁ・・・」

カタカタ、とキーボードを叩きながらぼやく。

するとドアがノックされた。

「・・・どうぞ?」

そこにきたのはキラ、それから教授だった。

「キラ!目が覚めたのか、良かったよ。

それと・・・教授、どうなされたのです?」

「心配かけてごめんねカズイ。なんとか回復したよ」

「フラガ大尉・・・いや、今は少佐か。彼に声をかけられてね。MSが配備されたようじゃないか。OSを確認したが初期型GAT-Xシリーズ搭載モデルだったので彼と共に調整をしようと思ってね」

「・・・そうですか。いいのか、キラ?」

「あはは・・・前に言ってたじゃん。この軍服を着てる以上、覚悟は決めないといけないし。

それにカズイが乗るってのに不安定なOSってのも嫌だろ?だからさ」

二人の善意には助けられる。ここは頼るのもアリだろう。

「助かるよ。二人とも、早速作業を開始しよう」

 

 

 

 

 

 

 

ということで、あの後数時間をかけてのOSの調整が完了した。

初期OSの能力を向上させ、キラの完全調整OSよりも若干の簡易に成功している。

「助かったよキラ。・・・はぁ、俺もキラの使ってるOSで乗れれば楽なんだが・・・」

「うーん、カズイ・・・多分僕のOSでも乗りこなせると思うよ?」

「まあ、苦戦するのは最初だろうな。君は無理矢理にでも身体に覚えさせてしまう癖がある。

良し悪しは置いておいて、君がキラ君のOSでシミュレーションでもやり込めれば多少は対応できるだろうさ」

「・・・うーん、一応練習はしてるけども」

男たるもの、MS・・・しかもストライクだ。乗ってみたいと思うのは仕方がない。

シミュレーションでキラOSのストライクで遊ぶことがある。と言ってもかなり苦労はしている。だって挙動の一つ一つが幼稚な動きだもん。あれを動かすにはかなりやり込む必要があるだろう。

「とりあえず、君はこのOSでやれば良い。

・・・まさか、MSに教え子が乗るとは思わなかったけれどもな」

「どんな人が乗っても、どんな奴が作っても兵器は兵器ですよ。

たまたまそれが俺とキラだっただけです。

乗らなければ殺られる。なら乗るしかない、そんなもんでしょう」

そう呟くと、OSのデータを機体に転送する。

 

 

 

 

 

「いいんだな、ラスティ・マッケンジー。貴様はザフトを裏切り、地球連合軍に就く。裏切り者のコーディネーターになるわけだ」

「ナタル!その言い方は・・・」

「よせ艦長・・・」

淡々と述べるナタルに怒るマリュー。しかし、それを止めたのはムウだった。

「け、けれども・・・」

「副艦長が、好んでそう言うわけないだろ」

ムウの言う通り、淡々と言うナタルの顔は少し強張っている。

 

「いいんです艦長。・・・俺は、俺の選択をしたい。

裏切り者のコーディネーターでも、ザフトの面汚しでも。

俺はカズイを・・・この船を守るために戦いたい」

 

 

「・・・ラスティ・マッケンジー、それが君の覚悟だな。

今君は死んだ。新しい人間として生まれ変わるんだ」

「・・・・・・俺、カズイに相談したんですよ。

こんなのどうです?

バーナード・ワイズマン。・・・バーニィって呼んでください」

「ワイズマン、これからよろしく頼むぞ」

「ええ。任せてくださいよ。・・・バジルール中尉」

にっ、と敬礼をするラスティもといバーニィ。

気さくな性格の彼には、この船が良い居場所になるのかもしれない。

 

 

 

「俺が地球連合の兵士、か。・・・想像できなかったよな」

「間違いないな。でもミリアリア達の反応も悪くないだろ」

「・・・ああ。あの子たちは本当に優しい。俺は奪い続けてしまったのにな」

「・・・・・・学生だったからだよ。軍人としては俺たちは皆甘い考えだ。

だからこそ、こんな歪な戦争には必要な考えだと俺は思うぜ」

「それもそうだな。・・・ったく、カズイは格好いいな相変わらず」

「ははっ、ありがとな」

そう何気なく会話していると、アラートが鳴り響いた。

「・・・ったくもう!ザフトはお構いなしで攻めに来てくれるな全く!!」

「・・・気をつけてくれよ、カズイ」

そう述べるバーニィに、俺はこう応えるのだった。

「おう、任せてくれよバーニィ!」

 

 

 

走って格納庫へと向かって行く。

「小僧!こっちだ!」

手招きをしているマードック曹長へと向かい、身体を進めて行く。

「マードック曹長!いつでもいけます!」

「了解!けどお前さんはMS戦は初めてだ!気ぃ引き締めていけよッ!」

「えぇ、もちろんです!」

 

 

 

「ヤマト少尉!バスカーク少尉!君たちはMSで出撃後敵機の捕捉だ!完了次第迎撃に移ってくれ。こちらが特定した機体だが、奴らはバクゥを投入してきている!厄介な奴らだから気をつけるように!」

「りょ、了解!・・・バクゥ?」

「了解!・・・キラ、バクゥとは砂漠や地上専用のMSだ。形状は犬に近いな。動物的な機体でスピーディに動くらしく、かなり厄介らしい。気を引き締めたほうがいいな。

また種類があって後期型は頭部にビームサーベルをつけているらしい。犬の咥えた骨の先からビームが出てるような見た目で滑稽だが気をつけろよ」

「了解!カズイも気をつけてね!」

 

「あいつ、マジでなんでMSに詳しいんだろうな・・・」

「・・・確かに、博識にも程がありますよね」

「まあまあ、無知よりいいじゃない。それよりも私たちは私たちのやるべきことを、よ」

ブリッジでは、ミサイル等の操作方法を習っているクリスの姿があった。

 

「キラ・ヤマト!ストライク、行きます!」

「カズイ・バスカーク!105ダガー、行きます!」

 

アークエンジェルからは、二機のMSが出撃した。

 

 

 

初めての地上戦。やはり当然のように重力がかかっているため、機体は放置するとそのまま地面に向かって落ちていく。

 

「ぐっ・・・・・・重力・・・・・・ちぃっ!!」

地面に着地する。すると足が砂につられて沈んでいく。

あぁ、そうだった。地上は宇宙とは違う、摩擦係数やらなんやらが異なるのだ。

「くそっ・・・流石に怖いな・・・アークエンジェル!聞こえますか!」

『どうしたの!?』

「一度艦橋へ登ります!機体を砂漠に適応させないと・・・キラ!フェイズシフトがあるからまだいいけどできるだけ早く合わせろよ!」

『う、うんっ!』

 

スラスターを噴き、艦橋へと着陸した。

「とりあえず接地圧を変更して・・・・・・砂に合わせないといけないから・・・マイナス20あたり、か?」

試行錯誤している間にもバクゥのミサイル攻撃は続いている。

キラのストライクがメインに注目を浴びていたおかげでそちらに集中していた。

「フェイズシフト装甲だからいいけども・・・早いうちに・・・!!」

フェイズシフト装甲も無敵じゃない。バクゥのミサイルを76発喰らうと流石にフェイズシフトダウンを起こすのだ。

急げ、急げ・・・早く・・・・・・!!

 

キーボードを打ち終える。

地面に降りると、沈むことはなかった。

「よしっ、きた!うぉぉぉぉぉっ!!」

GAU8M2 52mm機関砲ポッドをバクゥに向けて撃ちながら突進する。

『な、なにっ!?うわあぁぁぁっ!!』

撃ち続けたバクゥを踏み台にすると空中から攻撃しようとしてきたバクゥに75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンの小口径型バルカン砲、40mm口径近接自動防御機関砲イーゲルシュテルンIIを撃つ。

爆散したバクゥをシールドで弾きながら着陸するとまた機関砲ポッドを撃つ。

「俺だって・・・やってやらぁ!!」

新しい力として手に入れた105ダガー、キラの横で戦い続けるためには、まだまだ止まるわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ストライクは、アグニを撃ち続けてエネルギーが少なくなってきている。先ほど対艦用ミサイルを迎撃していたので余計に消費が早い。

 

かくいう俺も武器を多用しているがミサイルに掠り続け、装甲とエネルギーが心配だ。フェイズシフト装甲対応ではないのでバクゥの通常攻撃でも不安なところはある。

まあそれでもアークエンジェルと同型のラミネート装甲のおかげでかなり防御面でも助けられてはいるのだが・・・。

 

しばらくすると、車の音が聞こえてきた。

「・・・あれは・・・・・・そうだったな、確かレジスタンスがいたはずだ」

そういえば、原作でもカガリ・ユラ・アスハの再登場シーンとして知られている場面だった。

 

キラのストライクに何か線のような物を打ち込むと話しているようだった。

「キラ!このままじゃ俺たちのジリ貧だ!ここは指示に従った方がいい!」

『えっ・・・で、でも・・・』

「キラは進め!援護は俺がする!レジスタンスの君もそれで問題ないな!」

そう声を発信する。

「あぁ、それで構わない」

とのことで、レジスタンスの車が先導、それをキラがついていき俺が後ろから援護をしているという状態だ。

しばらく進むと、キラから通信が来た。

『カズイ!そろそろだよ!』

「わかった!3カウントで行くぞ!左右に散開な!

 

3・・・2・・・1・・・今っ!!」

 

突如、キラのストライクと俺の105ダガーが左右に散開する。

バクゥはそのまま俺たちがいた場所まで到着し俺たちに目線をやる。

 

「今だっ!!」

次の瞬間、カガリ・ユラ・アスハが起爆スイッチを押した結果激しい爆発が起き、周囲のバクゥを一気に木っ端微塵に爆発させたのだった。

 

「わぁお・・・・・・こりゃなかなかに壮観な光景だな。バックドラフト涙目じゃねえか」

ははっ・・・と苦笑いしながらもすぐに銃を構える。

相手はザフトだ、こんな民間の爆発で止まるかどうかと聞かれたら答えにくい。

 

激しい爆発であれ、民間と軍隊では力が違うからだ。

 

警戒をしていたが、バクゥは皆退散していく。

 

どうやら戦闘は終えたようだった。

 

 

 

 

 

そうして、俺たちは原作の需要キャラに出会ったのだった

 

カガリ・ユラ・アスハって可愛いよね、うん。

 

 




と言うわけで、カズイのMSはGAT-01A1 ダガーに決まりました。
理由?かっこいいからだよ(殴

あと名前変更しました。バーナード・ワイズマン、バーニィです。

まあラスティの性格的にいいよね!!

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