ガンダムSEEDーカズイ奮闘物語ー   作:SS好きのヨーソロー

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PHASE 12 覚醒、それぞれの力

ラクス・クラインをクルーゼ隊に送り届けるためにストライクに搭乗したキラ・ヤマト。

彼が帰ってきて案内された場所は、とある一室だ。

 

そこでは、ナタル・バジルール少尉、ムウ・ラ・フラガ大尉、マリュー・ラミアス艦長らが揃っていた。

 

 

そう、プチ原作イベント、裁判イベントである。

「・・・・・・さて、と。それでは軍事裁判を始めます。

まず、被告人キラ・ヤマト。貴方にはラクス・クラインを勝手に送り届けた容疑によって今この場にいます。

正しいですね?」

「ええ、その通りです」

「よろしい。

それでは開廷します。・・・バジルール少尉」

声をかけられたバジルール少尉、まずは発言を開始した。

「はい。・・・まず、被告人はその行動がどれだけ艦に危険を及ぼしたか理解しておりません!」

「異議あり。今の発言は類推に過ぎません、議事録からの削除を求めます」

反対意見はフラガ大尉だ

「・・・削除を許可します」

「・・・ええ、っと?そもそも民間人を人質に取ると言うこと自体コルシカ条約4条に抵触するものと思われますが・・・」

 

フラガ大尉が本を読みながら呟いた。

「・・・え?フラガ大尉、そういえば今回の件って同条の特例項目の・・・Cだったかな、戦時下の処置ってやつでしたよね?

確か民間人だとしても特定の立場の人間・・・権力者の関係者とかは特例処置が認められる・・・っていう」

コルシカ条約というのは、まあ簡単に言うと憲法みたいなのだ。

その憲法では軍事関係において不当に民間人を人質に取ることは著しく倫理に欠けるものであり、許されないと言うものだ。

しかし、先ほど俺が言ったように特定の立場の人間には特例項目の設置により許されている。

・・・これ、今思ったけど屁理屈がすぎるな

「・・・はぁ。バスカーク少尉の言う通りです」

「えぇ!?特例項目C?知らねえよそんなの・・・つかなんでカズイは知ってんだよ・・・」

フラガ大尉がなぜ知ってるかと述べてきた。

「そりゃあ、戦争時の締結ですし。

命を狙われた時に知っておけばそれを主張できるでしょう?・・・まぁ、そんなの関係ねえよ!って気がするけど」

「・・・・・・否定はできないけど、今はそれに則ります」

「・・・ま、まあ人質を解放したからこそ、ナスカ級は離れましたし、窮地を脱したってことで・・・」

「それは結果論に過ぎません!」

「・・・・・・キラ・ヤマトには何か申し開きしたいことがありますか?」

 

「・・・僕は、モスバーガー派です」

「っ!!ヤマト少尉!やはりわかってくれるかモスバーガーの良さを!」

「はい。ホクホクしたジャガイモがいいなーって」

「・・・検察側、言葉を慎んでください。・・・マクドナルドも美味しいわよ?」

「いや、まあそうなんですけど・・・」

「Wendy'sは?Wendy's。フレーバーポテトいいぞ?」

フラガ大尉がお勧めする。確かに美味いよなあれ。

「弁護側も・・・・・・。わたしは断然焦がしバター醤油派です」

「あ、艦長わかります。美味しいっすよね」

俺と艦長は好みが合いそうだ。

 

「艦長とカズイは焦がしバター醤油ね。俺は博多明太子かな。・・・そういや気になってたけど、ハカタってなんだったっけな・・・」

「旧日本の博多という街です。福岡という県にあったんです。福岡といえばラーメンが美味いんですよ。そのラーメンは今はオーブに文化として広がっています」

「へぇ、そうなのか。・・・少尉は?」

「わたし・・・Wendy's、食べたことありません」

話はいつの間にかポテトの話に。

ちなみにバジルール少尉、それは勿体無い。

「艦長、降下時Wendy'sの店舗に寄るのを具申します」

「ええ、そうね。・・・寄るのもいいしデリバリーもいいし。とりあえず食べてみないと損ね・・・・・・キラくんは?」

「僕、フレンチフライチリチーズです。・・・タバスコかけて食べるんですよ」

そういえばキラは辛いものが好きだったな。

「辛いの行けるのね・・・」

「でもお前わさび辛がってたじゃん」

「だ、だってあれはわさびとり過ぎて・・・」

恥ずかしそうに騒ぐキラ。確かにあれはたくさん取ってたなぁ。

「・・・まあいいわ。とりあえずキラくん、本来だと銃殺刑ね」

ニコリと微笑んで伝えるラミアス艦長。

 

「ふぇっ!?」

一気に涙目になるキラ

「あー、違う違うキラ!そうじゃないからな!?」

「艦長もふざけてるだけだから!本気じゃないから!大丈夫だからな!?」

「か、艦長!流石にその伝え方は酷いですよ!?」

 

ふざけてはいるが、単語の怖さ的に涙目になったキラ。

フラガ大尉も、バジルール少尉もあたふたしている。

「あ、ご、ごめんなさい!悪気はないの!」

「・・・まあキラ、今回の件はそれだけ大事だったってことさ。

まあ昨日の茶番でこれはビビるよな」

「・・・僕、撃たれないよね?」

「も、もちろんよ!ごめんなさい!」

流石に良心が痛むのかキラを抱き寄せ頭を撫でるラミアス艦長。

いや何この絵面

「・・・キラが羨ましくてたまらないんだが」

「・・・わ、私でよければいい・・・ぞ?」

そう言いながら抱き寄せるバジルール少尉。

頭を撫でられる。

 

いや予想外なんですけど。・・・でもこれ、案外悪くねえや。

 

 

「・・・ほんと俺、何見せられてんの?」

ごめんなさいフラガ大尉、これに関しては本当に大尉が不憫でままならないです。原因の一端は俺だけど謝りません(殴)

 

 

 

そうしてお姉さん2人からの抱擁攻撃を受けた幸せな男二名、俺とキラは解放されて外に出た。

 

目の前にいるのは、サイとミリアリアだ。

「・・・えーっと。とりあえず、大丈夫そうだな」

「・・・よ、よかったわね2人とも」

 

「「・・・誰か、誰か僕を(俺を)殺してくれ・・・ッ!!」」

男二名の羞恥の叫びは、虚しく廊下を通り抜けていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、シミュレーションルームだ。

今回ここにきた理由は、当然のことで訓練である。

原作としての流れでいくのであれば、今回キラは初の種割れ。

SEEDの醍醐味的要素の一つといっていいものを発動させる。

それだけアークエンジェル側が追い詰められるということだ。

そして正直に言えば、俺の実力はあまり伴っていない。

キラの駆るストライク、フラガ大尉の駆るメビウス・ゼロ。

その二つに本来、俺の力は遥かに追いついていない。

 

シミュレーションのおかげで確かにメビウス・ゼロを乗りこなすことはできている。

しかし、所詮は民間人なのだ。

 

その弱さゆえに、先ほどのように目の前で人が戦死してしまった。

なら、俺がやるのは何だ?

逃げることか?・・・前々の俺ならそうしただろう。

しかし、俺は臆病なままじゃ嫌だ。

 

ならばどうするか。ひたすら訓練に訓練を重ねることこの上ないだろう。

決意を固めながらもシミュレーションを行う。

俺に求められる能力はいかに長く戦闘できるかという継戦能力だ。

GAT-X303イージス、GAT-X207ブリッツ、GAT-X103バスター、GAT-X102デュエル。

この四機のGにどれほどくらいつくことができるか、それが重要である。

 

シミュレーションを開始する。

 

初手の撃墜まで10秒。理由はスキュラだ。

スキュラはやはり高火力、意識しないと簡単にやられてしまう。

 

次の戦闘、今度の撃墜理由はバスターの火線攻撃だ。

ミサイル系が多くあるので回避に手間取ってしまった。

 

次の戦闘の撃墜はブリッツ、ミラージュコロイドだろう。

 

そして次はデュエル、ビームサーベルで斬り捨てられた。

 

言葉だけを見るとやはり弱々しい結果となった。

しかし、これで良いのである。

それぞれ何が理由で俺が撃墜してしまったのかを明確に記載しそれを読むことでパターンとして認知し、それを頭の中に入れた上で考慮できるのだ。

 

例えば・・・

「スキュラ・・・ならっ!ターンで!」

スキュラが発射されると同時にガンバレルを展開しむきを変えスラスターを噴く。

一気に後ろにバックすると前方を光の渦が抜けていった。

なかなかに負荷がかかるが、この回避なら問題なく行えるだろう。

 

「次っ!バスターなら!」

バスターのミサイルを落とすためにガンバレルで砲撃を続け弾を破壊する。多少の攻撃はフットペダルを踏み回避していく。

それ以外は多少着弾するが構わない。着弾位置がコクピット側でない場合は死なない。

このバスターの猛攻の中をどう素早く切り抜けるか、この技術も俺に求められているだろう。

「っ・・・これは、ブリッツ!!」

次に攻撃が来る、それは背後からだ。

思わず横にスライド移動して回避する。通り抜けていったのはブリッツの攻盾システムトリケロスから放たれた3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」である。

咄嗟に回避できたがやはり光学迷彩としてミラージュコロイド・ステルスを用いた透明状態は本当に面倒だ。

「くっそ、やっぱり相性が悪い!・・・仕方がない」

チッ、と舌打ちをしながら周囲にガンバレルを撃ち続ける。

 

その一部に掠ると、ブリッツは姿を現した。

そう、ブリッツの短所はミラージュコロイドの使用時にフェイズシフト装甲を併用できない点にある。

その瞬間を逃さずに、ガンバレルで集中砲撃しながらリニアカノンを撃ち込む。

弾丸は徹甲焼夷弾を用いる。

高速で発射された弾丸は的確に撃ち込まれ、燃えていく。

 

焼夷弾とは、旧世界大戦等で用いられていた対象を燃やすための弾丸だ。

爆発の威力とは異なり、燃焼性の攻撃でブリッツは燃えている。

 

MSが燃えていると言うことはその燃えている炎の衝撃を和らげるためにフェイズシフト装甲が常時展開されていると言うこと。

攻撃時に効力を成すフェイズシフト装甲。

常時攻撃が続いているような状態ならばフェイズシフト装甲に用いる電力消費も増える、つまりフェイズシフトダウンのディアクティブモードになった瞬間に攻撃を仕掛ければ良いと言うことだ。

そこまでの持久戦。弾丸も焼夷弾だけでなく、徹甲焼夷弾のようなものも効果はあるだろう。

他にも電気を用いればPS装甲にはかなり効果がある。

そこら辺はまたマードック曹長らと話し合いが必要だろう。

 

とりあえずのシミュレーションを終え、ルームから出る。

 

フレイがいた。

「あ、フレイ」

「ええカズイ・・・シミュレーション?」

「あぁ。・・・やっぱりメビウス・ゼロでG兵器と戦うとなるとなかなかに骨が折れるからな。一応練習はしておきたかったんだ」

そういうと、フレイは納得しながら悩んだ後、声を出した。

「ねえ、第八艦隊と合流したらさ・・・一緒に来てくれない?パパ、キラとカズイに感謝したいって言ってて」

 

そういえば、アルスター事務次官は安全のために生き残ったモントゴメリーで第八艦隊の本隊に先に退避していたはずだ。

「あぁ、結局ドタバタしてて会える時間もなかったもんな。わかったよ、キラにも伝えておこうか?」

「あ、うん!お願いできる?」

「任せてくれ」

にっ、と微笑むとそのタイミングでキラが来た。

 

「お、ナイスタイミングキラ。フレイが後で親父さんと会ってくれってさ。俺たち2人に感謝を伝えたいそうだ」

「え、そ・・・そうなの?」

「うん、特にキラは救命ポットから助けてくれたでしょ?だからお礼をって・・・」

そう伝えるフレイも少しぎこちない。まあ父の変わりようを見て戸惑ったのだろう

「・・・僕、コーディネーターだけど」

「フレイだって成長して自分の考えを持っている。

フレイも父親のジョージ・アルスター事務次官も偏見はないだろうさ」

「うん。パパ本当にキラにありがとうって言いたいみたい・・・だめ、かな?」

「う、ううん、こっちこそ卑屈になってごめん。

わかった、後で会いに行くよ」

ニコリと微笑むキラ。

「ま、深く気にする必要はないだろう。俺とキラは相当良く思われているからね」

「え、そうなの・・・?」

「まぁ俺たち一応恩人には値するしな」

「ふふ、2人を紹介するの、楽しみよ」

 

そんな何気ない団欒をしていると、突如艦全体にアラームが鳴り響く。このアラームは襲撃を意味するアラームだ。

「チッ、面倒な時に!」

「え。えぇ!?なんでこんな!短時間しかないんじゃ・・・」

「どうやら敵さんはそうでもして俺たちを落としたいらしい!とりあえず行くぞ!」

そう意気込み部屋から出る。

 

すると、キラが出たタイミングで少女とキラが激突する。

「戦争よー!戦争がまた始まるのよー!・・・きゃあっ!」

たしか彼女はエルちゃん。脱出ポットを撃ち落とされた女の子のはずだ。

「うわっ!!ご、ごめんね君!立てるかい?」

キラも死角から飛び出してきて見えずに激突したのだろう、焦りながら近づく。

しかし、それよりも早く動いたのはフレイだった。

「ごめんね、お兄ちゃんたち急いでて気が付かなかったの!怪我はない?」

「う、うん。・・・大丈夫だよ。」

「よかった。・・・これから戦争が始まるの。けどこの2人ともう1人、軍人さんが守ってくれるわ」

「・・・本当?」

 

「あぁ、本当だとも。君たちの安全は俺ことカズイ、そしてこいつキラ。

後軍人のフラガ大尉が守ってみせるさ!」

「・・・カズイお兄ちゃん、キラお兄ちゃん、頑張ってね・・・あと、フラガおじさんにも」

「OK、伝えておこう」

 

「じゃあ、あっちでお姉ちゃんと遊びましょ?ちょうどお兄ちゃんから借りたトランプがあるの」

「わーい、トランプやるー!」

そう言い、手を振る少女を見て俺たちは決意を抱いた。

「・・・フラガおじさんだってさ」

「やめてよ・・・ちょっと笑いかけたんだから」

 

 

 

 

 

 

「OK OK、やるとしますか」

その決意を持ってコクピットに乗り込むと通信を開く。

「カズイ、どうした?」

「民間人の子がおじさんも頑張ってって言ってましたよ?」

「お、おじさんじゃねえ!俺はまだ20代だ!・・・ったく。

そう言われちゃ、やるしかないよな!」

「ええ、おっしゃるとおりです。やりましょう大尉!」

 

 

「ストライク!キラ・ヤマト、行きます!」

「メビウス・ゼロ!ムウ・ラ・フラガ、行ってくるぜ!」

「メビウス・ゼロ二号機!カズイ・バスカーク、発進します!」

 

アークエンジェルを、そしてその船に乗るすべての人々のために3人は襲撃をする。

 

 

機体を出撃させ、レーダーは敵機を捕捉した。

「ブリッツ、バスター、デュエル!ちぃっ・・・隙も何もないな!!」

 

バスターの火線から回避しつつ、3機の集合体にリニアカノンの砲撃をする。

 

3機が散開するとその後ろからウェザリウス級の主砲がとんでくる。

「まずい・・・こりゃ完全にアークエンジェルの回避行動が読まれてるな・・・!アークエンジェルの援護を・・・うぉっ!?」

アークエンジェルの援護に行こうとするとビームが飛んできた。

 

相手はGAT-X102デュエル、イザーク・ジュールだ。

「ストライク!メビウス・ゼロ!逃しはせんぞ!!」

「カズイ!」

 

「チッ!キラ、完全に狙われてる!なんとか生き延びるぞ!」

ストライクはもちろん、俺も俺で奇想天外な動きをしていたおかげで無事に目をつけられている。

 

決死の攻防戦が始まったのだった。

 

「デェヤァァァァッ!!」

「ぬぉぉぉぉぉっ!!」

迫真の突撃、それを回避しつつガンバレルで砲撃をする。

「させるかぁぁぁぁっ!!」

そしてキラがビームライフルを撃つ。

しかしデュエルもパイロットはコーディネーターの赤服、簡単に回避してしまう。

デュエルの格闘をストライクが抑えているが、ジリ貧だった。

 

その時、ミリアリアの通信が来る。

『キラ!カズイ!お願い!アークエンジェルに戻って!ブリッツにとりつかれたわ!』

 

やはり、隠密として機能し敵に接近できるのはブリッツの強みだ。

だからこそ脅威となる。

「くそっ・・・援護に行きたいが・・・ぐぁぁぁっ!!」

メビウス・ゼロ本体に足蹴りされてしまう。

激しい振動がコクピットを襲いかかる。

「カズイ!!」

「お前たちを堕とす!!」

迫真のデュエル。

ピンチのアークエンジェル。

 

そして、衝撃が体に伝わる俺。デュエルに対峙するストライク。

 

 

負けられない。たとえ俺が"臆病者"だとしても、負けるわけにはいかない。

 

「俺はキラとは違う、けど・・・俺だって、負けるわけにはいかないんだよ・・・!!」

「アークエンジェルとカズイを・・・落とさせはしない・・・・・・!!」

 

突如、全身に力が入る。

SEEDの覚醒ではない。

ただ単なる火事場の馬鹿力。

 

キラと違っても。彼よりも弱くても。

 

今、俺は戦うことができる!!

「・・・ッ!!」

スラスターを噴き体勢を立て直す。

ビーム攻撃を縦横無尽に回避していきデュエルの背後でリニアカノンを振り回した。

キラの動きを思い出せ!どのように動いていたか!

全身に意識を巡らせるんだ・・・!!

SEEDがどうした!ナチュラルならナチュラルの、臆病者の意地を見せてやれッ!!

「ちぃっ!?こいつら!急に動きが!!」

驚くデュエルを他所に、俺とキラはアークエンジェルに急行する。

 

「んなぁ!?避けた!?・・・ぐあぁぁっ!!」

ビームライフルの猛攻を難なく避けるキラ。

 

俺はガンバレルを展開するとロックオンをせずに引き金を引く。

テンションがマックスゲージになったからこそ興奮しやる気に。そしてひどく冷静になるのだ。

レバーを握り的確に射撃ボタンを押し続ける。

PS装甲には効果はないが、的確にコクピットに直撃させて振動を与える。

 

「ちぃっ!ニコル!そっちにストライクとメビウス・ゼロが行ったぞ!」

「えっ!?なんだって・・・!?」

「「アークエンジェルから離れろぉぉぉぉぉッ!!」」

体当たりをするキラ。俺はトリケロスが装着されている方向へリニアカノンを撃ち続ける。

「っ・・・この動きは・・・!!」

 

SEEDに覚醒したキラの猛攻。

その一挙一動を目に焼き付けものにする。

「落ち着け・・・彼の動きはシミュレーションの数倍の動きなんだ・・・俺は目で追える!追えないといけないんだ!!」

 

覚醒し淡々と戦うのがキラなら俺は普通だ。普通の人間として限界を超え、彼に無理やり並ぼうとしている。

「やってみせるさぁッ!!臆病者を舐めるなァァァッ!!」

ポテンシャル?そんなものは知らない。

気合いで食いつくまで!!!

 

ガンバレルを四基射出。ブリッツと援護にきたデュエルに砲撃し続ける。

 

そして、ストライクがデュエルのコクピット付近にアーマーシュナイダーを叩き込む。

 

 

 

小爆発したデュエルはブリッツに抱き抱えられていた。

「ディアッカ!撤退です!これ以上いると殺られてしまう!」

悲痛なニコルの叫びに、ディアッカも焦りを感じて戦場を離脱する。

 

 

そして、戦闘は停止したのだった。

「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」

「・・・・・・ふぅぅ。」

「二人とも大丈夫か!!」

 

「・・・え、ええ、なんとか」

「こっちは、結構疲れましたよ・・・」

俺にSEEDの力なんてものはない。あるのは命の危険を感じた時に出せる火事場の馬鹿力だ。

 

原作ではSEEDは火事場の馬鹿力というが目の当たりにした俺にはやはり違うものに見えた。

 

「・・・誰にでも持ちうるもの、か。俺にはまだ、その力には釣り合わないのかもしれないな」

 

その一言は、誰の耳にも止まることなく暗黒の宇宙に消えていくのだった。

 


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