ガンダムSEEDーカズイ奮闘物語ー   作:SS好きのヨーソロー

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祝!カズイ奮闘物語お気に入り1000件突破!
これも皆様の応援のおかげです!これからも応援何卒よろしくお願いします!



では今回も、楽しんでください!


PHASE 10 消させない光、覚悟というもの

「そうか、そうかそうか!キラくんには世話になってしまっていたのだなぁ!」

「えぇ、それにキラは俺のもう1人の友人でフレイの許嫁、サイ・アーガイルとも仲良いんですよ」

「おぉ、そういえば前にサイくんにPC技術の高い友人がいると聞いていた!その子だったか!」

気がつけば、俺とアルスター事務次官はキラやキラの周囲の友人関連でかなり盛り上がっていた。

「いやぁ、コーディネーターの友人を持つ君にとっては私は迷惑にも等しいな、誠に申し訳ない!」

清々しい笑顔で自身の反省点を述べると、頭を下げるアルスター事務次官。

 

うん、絶対フレイの振り切りの良さはこの親父から来ている。めちゃくちゃ潔さを感じるもん。

「い、いえいえ・・・・・・この戦争は根深いものという風に聞いていますし、反対意思があるのはおかしいことではないですよ」

「君は大人びているな。なぜそのように考えられるのかな?」

事務次官が疑問を持つように聞く。それに答えるなら、これしかないだろう。

「人は結局心でしょう。

・・・俺的には、友達と楽しくはしゃいだり、バカできたりするだけでいいんです。それ以外は何も望んじゃいない」

 

これが、カズイ・バスカークとしての俺のやりたいことなのだから。

 

そんな食事会を済ませた後、コープマン大佐からアークエンジェルへの通信をするためブリッジに来て欲しいとの連絡を受け、ブリッジに上がるとインカムをつけさせられた。

 

「こちら護衛艦モントゴメリー、アークエンジェルは現状航路を引き続き維持し航行。

護衛艦モントゴメリー、ロー、バーナードと合流次第地球連合軍第八艦隊指揮下に加わり航行を共にする!

アークエンジェルよ、これまでの航海・・・辛く厳しい戦いだったな。よくぞこれまで持ち堪えてくれた。

もう少しの辛抱だ、ぜひ最後まで諦めず頑張ってほしい」

「ジョージ・アルスター事務次官だ。まずは貴官らが民間人の救出活動に尽力してくれたこと、深くお礼申し上げたい。

貴官らのおかげでヘリオポリスの民間人の命は守られた。

・・・そ、それとその船の中に我が娘、フレイ・アルスターがいるという風に聞いている。できれば声を聞かせてほしいのだが」

「事務次官、ご息女には後ほど・・・」

「コープマン大佐、構わないでしょう。聞こえますかアークエンジェル、フレイは・・・?」

コープマン大佐の言葉を遮り、アークエンジェルに通信を送る。

 

そう、この時のためにサイに連絡をしていたのである。

『こちらアークエンジェル、ラミアス艦長です。

ええカズイくん、聞こえるわ。サイくんに頼んで連れてきてもらっていたの』

そういうと、フレイが父に手を振っている。

『パパっ!無事だったのね!』

「フレイ!フレイこそよく無事だったな!」

『キラが・・・みんなが、助けてくれたの』

「コーディネーターでストライクのパイロットキラ・ヤマトくんだな」

そういうと、アークエンジェルクルーの顔が強張る。

確かにアルスター事務次官は反コーディネーター思考で有名だ。そう知られているのも無理はない。

『待ってパパ!キラはみんなのために・・・』

そう反論しようとするフレイ、だが心配はいらない。

 

 

「娘の恩人キラ・ヤマトくんのことはカズイくんから聞いている!アークエンジェル、キラ・ヤマト少尉はいるかな?是非ともお礼を申し上げたいのだが・・・」

『え、ええっ!?い、いやキラくん・・・ヤマト少尉は・・・』

思わず声をかけられたラミアス艦長は完全に戸惑っていた。キラくん呼びが素で出てしまっていたので本当に焦ったのだろう。

『アルスター事務次官、ヤマト少尉は現在ストライクの調整で席を外しております。呼びつけましょうか?』

受話器に手をかけるバジルール少尉

「いや、それには及ばない。・・・そうだな、礼は改めて目の前で言う方が意味がある。

済まないが、伝言でフレイを救ってくれたことに対する感謝と体を気遣うように言伝頼めないだろうか?

それと合流時に会話する時間も頂戴したい」

『はっ!了解いたしました!』

 

「コーディネーター嫌いは、確かに自分の中にこびりついている。

これは価値観だから簡単には治せそうにないが、それでも考えるきっかけはこのカズイ・バスカークくんにもらったよ。アークエンジェルは人員に恵まれているのだな。

改めて貴官らの安全な航路を心より願う!」

お互いが敬礼し、通信は終わった。

 

 

 

 

「あのコーディネーター嫌いの事務次官が・・・」

「・・・おいおい、本当にカズイは不可能を可能にしちまったんじゃないか・・・?」

「・・・ふふふ、やっぱりカズイはすごいわね」

アークエンジェルはこの時、プチ騒動になっていたようだ。

 

 

その渦中の存在である俺は現在、モントゴメリーのブリーフィングルームに向かっていた。

ドアを開け、中に入ると談笑の声が一斉に止まる。

まあ仕方がない。急に部外者が来たんだ、悪く思われるのも無理はないかと思い申し訳なさそうに内部に入ると俺を待ち構えていたのは意外にも歓声だった。

「ヒュウ!待ってたぜ連合のシークレットルーキー!」

「おぉ、君があのメビウスゼロの!」

「本当に子供じゃないか!」

驚きの声も確かに感じるが、概ね歓迎されているようだった。

「・・・あ、ど、どうも」

そんなテンションだったのでこちらの方がガチガチに緊張してしまった。

「ん?どうしたカズイ少尉」

「あ、いや・・・てっきり歓迎されないものかと」

心配してくれたサトー中佐に本音を話す。

「むう?なぜだ?」

「だってほら、もともとここにきたのも俺がラミアス大尉に直談判したからですし。

そりゃ急にアークエンジェルとかいう友軍コードない船からこっちに来たいですとかいうやついたら怪しくないですか?しかも俺民間人ですよ?」

「気にすることはねえと思うぜ!おまえさんの活躍は聞いているからな!

メインのストライク、エンデュミオンの鷹、そしてそれらをサポートするようにうちの開発したMS共と渡り合ったヒヨッコ!

いや、経験はヒヨッコだが腕前はどうだろうな?あとで手合わせ願いたいくらいだぜ」

そう親しげに話してくれる青い髪の男の人につい照れそうになる。

「おいおい、グレイ。名前を名乗らなくてどうする。

あぁ、俺はマリィ。マリィ・ジェスターだ」

そのグレイさんを突くのが紫髪の男の人

「あ、名前名乗ってなかったぜ!改めてグレイ・フォートだ!」

「じゃあ僕も自己紹介しときますかね。マーク・トータスだ。よろしく頼むよ」

黒髪のもの優しい人だ。

 

「改めてカズイ・バスカークです!よろしくお願いします!」

びし、と敬礼をするとミーティングが始まる。

「・・・さて、まずは作戦会議だ。

俺たちモントゴメリー隊はロー隊、バーナード隊と共にアークエンジェルの護衛を務める。道中何事もなければ良いがおそらくそうはいかないだろう」

「はい。・・・敵艦にラウ・ル・クルーゼという男がいますが彼はかなりしつこく、戦術が上手いとフラガ大尉から聞いています。

どこかで上手に攻撃を仕掛けてくるでしょう」

航路図を見ながら言葉を被せる。

あの男と対峙すること、それはかなりの負担になるだろう。

「我々にとってMS全般が脅威だ。しかし最大の脅威は間違いない。GATシリーズだ」

「ちぇっ、うちらの軍で開発したやつに命狩られるとか勘弁願うぜ」

「間違いないな・・・」

「中佐、カズイ少尉にGATの脅威点を聞きませんか?」

「あぁ、マーク中尉。そのつもりだ。頼めるかなカズイ少尉」

「ええ、わかりました。

 

まず、GAT-X303イージスです。

やつの最大の特徴といえば可変機であることでしょうか。可変状態のスピードはかなり速いです。さらにその形態で撃たれるスキュラは確実にやられます。・・・ヤマト少尉のストライクでも大ダメージになります。

あとこれはパイロットの特性を見た感じですが、イージスのパイロットは格闘術に長けています。よく言えばMSの特性を理解している、ということかな。

MS自体での格闘・・・拳での突きや蹴りなどは一通りできるはずですから気をつけてください。

次にGAT-X102デュエルです。

性能はGATシリーズ初期の開発ということもあり他に比べると若干劣ります。まあこれも誤差ですが。しかしストライクと同じX100フレームを用いているのでバランスがいいです。

しかしパイロット自体は何か感情があるというか・・・ストライクや俺のメビウスゼロに意識するところがあるので不意打ちでの攻撃などが有効かと。

次に、GAT-X103バスターです。

はっきり言って後方から奴が来たら俺は泣きたくなりますね。

弾幕を張るのが強い、腰部のライフルはかなり高威力です。

ただまあまだパイロットが使い慣れてないのか前線に出やすいことがあるのでその点をうまく突けばいけます。

最後にGAT-X207ブリッツ。

最大の特徴はミラージュコロイドシステムを用いたミラージュコロイドステルス。隠密作戦においてこいつに勝るものはいません。アルテミスでの襲撃もこいつのせいで大被害を受けました。

しかし、どうやら奴の武装は右に集中しているようです。そちらを破壊できればかなり楽かと。

パイロット特性としてはあまり攻めには向かないタイプな気がします。どちらかというとサポート面が適している気がしますね。

ただこれらの意見は俺の偏見が含まれているので参考にならないかも知れませんが」

 

現状の自身の考えを伝える。

「・・・君は本当によく戦場を見ているのだな」

サトー中佐が驚きの顔で見つめてくる。

「別に大したことではないですよ。・・・そうでもしないと俺が死ぬ羽目になる、そう考えてがむしゃらにできることをしているだけですから。

とりあえずGATシリーズが来たら俺が注意を引きつけます」

「お、おいおい!危なくないかそれ!?」

「戦場に危なくないものなんてありませんよ。・・・それに、あいつらは対応してきた俺に多少の意識が向くはず。

フラガ大尉のメビウスゼロの他にメビウスゼロがいたらそれを俺の機体だと認知するはず。デュエルなんかは圧を感じましたし、狙われるかと」

 

「・・・そうか。じゃあ俺たちでジンを倒さねえとな。ルーキーだけにいいところってのも気に食わねえぜ!」

「はぁ、素直に心配していると言ったらどうだ」

「戦闘狂のグレイには伝わらないでしょう。・・・まあいい、安心して欲しいカズイくん。僕たちでジンをなんとかして見せよう」

 

そう言ってくれるメビウス乗りたちは、とてつもなく格好良く見えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう見えた、そのはずだったのに。

「くそぉ・・・くそぉぉっ!!なんなんだよッ!!俺に、俺に力がないからかッ!?

俺じゃ、俺じゃ誰も守れないってわけかよ!!」

乗るのはメビウス・ゼロ二号機。

惨劇だった。

ロー隊、バーナード隊からメビウスが発進していた。

もちろん、俺たちの部隊モントゴメリー隊も出撃をした。

敵のナスカ級からZGMF-1017ジンが三機、そしてGAT-X303イージスが出撃したはずだったのだ。

 

しかし!しかしそうではなかった!!

実際に出撃したMSはジンが5機にイージスだったのだ。

連合のMAとザフトのMS、それの性能差は5:1。

ジンが二機増えただけでも、損害は酷いものなのだ。

 

イージスと対峙していた。

アスラン・ザラと対峙していた。

ディアッカとニコル、イザークに善戦したという驕りがあった!!

しかし皆赤服、ザフトのエースは強いのだ。

攻撃を回避していたが何発も掠っていた。

 

キラが来てくれた時には、メビウス・ゼロはかなりの損傷を受けていた。

 

バーナードも、ローも撃墜された。

 

次は、モントゴメリーだ。

「やらせるか!!やらせるか!!うわぁぁぁぁッ!!」

意地になっていた。ここを落とされるわけにはいかないんだ。

彼女の為にも、俺自身の為にも。

一心不乱に引き金を引く。

リニアガンが焼き付くと不要になる。

近距離で打撃すると同時に廃棄。ガンバレルで攻撃をする。

一機、二機と撃破。しかし残った二機がモントゴメリーに向かう。

嫌だ、やめてくれ。見逃してくれ。

 

その願いは、ある意味叶った。悪い意味で

『うぉぉぉぉ!!モントゴメリーをやらせてたまるかァッ!!』

一機、突貫するメビウス。

グレイ・フォート中尉の機体だ。

ジンに攻撃し、大破させる。しかしそれは自身を犠牲にする方法を用いてだ。

銃突撃機銃の猛攻を浴び、爆発しながらも突撃し最後に大破させたのだった。

「フォート中尉っ・・・!!」

 

『グレイ・・・くそっ!!やらせるか・・・!!』

残ったジンが突撃しようとする、しかしそれを止めるのがマリィ・ジェスター中尉だ。

けどその機体はかなりボロボロのはず。

動くのもやっとなのだ。

 

ジンは、簡単にも撃墜してしまう。

 

そして次の瞬間、その横でジンを撃破したのがマーク・トータス中尉だ。

「ジェスター中尉・・・最初から、そのつもりで・・・!!」

戦力差の補い方。それは簡単、数だ。

落ちても落ちても数で攻め最後の一機が落とせばいい。

 

理屈は簡単だ。けれどそれをこなすのは何かの犠牲がつきものなのんだ。

 

最後の一機が、近づいてくる。

「あぁ、俺も・・・ついにここまでか」

あっけない最後だった。

やっぱり、俺は臆病者のままで・・・。

『そのMAから離れろっ!!』

銃撃しながらくるトータス中尉の機体。

お互いの攻撃が、お互いに命中し爆発する。

 

『聞こえるか・・・カズイくん』

最後の通信がきた。

「トータス中尉!脱出してください!早くっ!!」

『はは・・・それも叶いそうにない。ハッチが完全に歪んでしまったんだ』

「そんな・・・こっちからこじ開けますから!だから・・・!」

『もういいんだッ!!・・・もう手遅れなんだ。直に僕もやられる。

 

だから、最後に。・・・君は生き延びてくれ、何があっても。

地球連合じゃなくてもいい!その機体から降りてもいい!だから君は生き延びなくちゃならないんだ!絶対に!!

・・・中佐と艦長に言ってくれ。

部隊で過ごした時間は短かったけど、すごく楽しかった・・・って』

「そんな・・・中尉・・・中尉っ!!」

『グレイ・・・マリィ・・・母さん。今、そっちに・・・』

 

 

それを最後に、爆発音が聞こえた。

 

そうして目の前で、最後の一つの光が途絶えたのだった。

 

 

 

 

そして、今に至るのだ。

「トータス中尉も、ジェスター中尉も・・・フォート中尉も・・・なんで、なんで死ななきゃいけないんだよ!!

俺が強くなかったばっかりに・・・くそ・・・くそぉ・・・っ!!」

ガン、ガンッと操縦桿を叩く。

慢心ゆえに導いた戦果だ。

自身の驕りが、結果に現れたのだ。

 

そう自己嫌悪に打ちひしがれていると、アークエンジェルから通信が聞こえる。

 

ナタル・バジルール少尉の声だ。

 

ラクス・クラインの受け渡しを求め戦闘停止。

原作での有名なシーンの始まりの部分だ。

 

 

でも、そんなことは今はどうでも良かった。

「・・・こんなことって・・・こんなことって、聞いちゃねえよ」

 

そんな感動よりも目の前の惨状、その事実がひたすらに俺を苦しめていたのだから。

 

 


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