風邪になった鹿目まどかが悪魔ほむらに看病されるだけ(完結) 作:曇天紫苑
一人で歩く雨の道は、ただひたすらに息苦しかった。
凄い雨の中、わたしは濡れながら走っていた。
鞄で頭を押さえて、坂を駆け抜ける。あんまり体力の有る方じゃないし、雨で体中が濡れるから、頭の働きが酷く鈍い。
突然の雨だった。家を出た時には天気予報も晴れだって言ってたのに、お昼頃から曇ってきて、学校が終わった時には今にも降りそうだった。だから、結構急いだんだ。だけど、途中で降ってきてしまった。
何とか濡れずに帰れそうだったのに。走りながら、わたしは心の中でため息を吐いた。
「うう」
鞄は防水加工だから大丈夫だけど、中の本は酷い事になってるかも。朝からあんまり調子が良くなかったから、何だか色々な事を心配してしまう。
憂鬱な気分だった。アメリカから帰ってきて、さやかちゃんや仁美ちゃんとも仲良くなったけれど、時々こうやって一人になると、とても寂しい。見滝原に慣れるのは、もう少し時間が掛かりそうだ。
こんな時、誰かが隣に居てくれたら嬉しいな。でも、わたしの隣には誰も居ない。雨の中、一人で走るのは凄く物悲しい感じがする。
やっぱり、雨に濡れながらだと、心が沈む。
落ち込んだ気分のまま走っていると、その先に、小さなバス停が有った。
こんな所にバス停なんて有ったかな? そうは思ったけど、そこには丁度良く屋根がある。雨宿り出来そうだ。バスに乗って帰っちゃうという方法も有るし、とりあえず入っておこう。
バス停にはわたし以外には誰も居なくて、ただそこに在るだけだった。でも、一応の雨宿りには出来そうだ。
「ふぅ……びしょびしょだよ……」
鞄を備え付けの椅子へ置いて、上着を脱ぐ。制服が酷い濡れ方をしていて、とてもじゃないけど着ていたくない。
軽く絞ってみると、沢山水が落ちていた。シャツもとっても濡れているから、本当は脱ぎたい。
でも流石に脱げないから、着ながら腕で絞る。それだけで水たまりが出来るんじゃないかってくらい、濡れていた。
制服を椅子の背もたれにかけて、鞄の横に座る。山の様な雨が、とんでもない音を立てていた。屋根が削れて、わたしの所にまで雨が落ちてきそうだ。
「……酷い雨……」
本当に、酷い。ただこうやって座っているだけで、息苦しさで胸が変になりそうだ。何だか頭が熱い。雨に濡れちゃって、気分もあまり良くない。
意識が、ふわふわとしてくる。あ、これはまずい。そう思った。嫌な感じがして、そのまま倒れそうになってしまう。どうして、こんなに頭が苦しいんだろう。
……きっと、一人だからだ。車の通らないバス停で座っていると、取り残されてしまった気分になる。
誰か、居ないのかな。周りを見回してみたけど、何処にも居ない。
ため息が出る。雨が止むまでこうやって待っているのは、辛いな。もう一度振り向いて、雨がアスファルトに溜まっていく所を見る。
誰かが居た。
今までは居なかったのに、見滝原の制服を着た女の子が立っていて、少しずつ、こちらへ近づいて来ている。
まるで、何処かから沸いて出てきた様だ。
雨の中、たった一人で歩いている姿。それはとても不気味で、怖い。
どうしよう、こっちに近づいてくる。雨の音が聞こえている筈なのに、カツカツという、靴が鳴り響く音が妙に耳の中へ入り込んできた。
女の子は黒くて長い髪をしていて、黒い傘を差していた。その髪は雨で濡れていて、それが綺麗に光っている様に見える。
何処かで見た覚えがある。というか、今日も同じ教室で見た。
「……ほ、ほむらちゃん?」
そうだ、ほむらちゃんだ。
わたしが名前を呼ぶと、ほむらちゃんは不思議と素早く距離を詰めた。
けど、バス停の前で足を止める。後少しだけ手を伸ばせば、私に触れられる。そういう位置に来ているけど、その先には一歩も近づかない。
まるで、何かを躊躇っている様に。何かの壁にでも遮られているかの様に、わたしの居るバス停には入ってこない。
「あ、あの……」
どうして、わたしの前に来たんだろう。戸惑っている内に、ほむらちゃんは傘を閉じた。
凄い勢いの雨が、瞬く間にほむらちゃんの身体を濡らす。けど、ほむらちゃんはまるで気にした素振りも見せず、傘をわたしに差し出した。
「使って、鹿目まどか」
「え?」
「傘、無いんでしょう?」
確かに、傘は持っていなかった。貸して貰えるなら、ありがたい。
でも、それより、ほむらちゃんが雨に濡れて寒そうにしている事の方が、ずっと気になる。そんな風にされると、心の苦しさや寂しさが増してしまう。
「あ、あの。屋根の下に来た方が良いよ。濡れちゃうし」
「良いの。貴女と同じ場所には、居られないから」
ほむらちゃんは、バス停には入らない。傘だけを伸ばして、ただわたしが受け取るのを待っている。
「そ、そんなの。でも」
「さあ、傘を使うと良いわ。持って行きなさい。返さなくても良いから」
殆ど強制的に、言われるままに傘を握る。水をよく弾く、高そうな傘だった。決してビニール傘なんかじゃない。それを返さなくても良いなんて、素直には頷けない。
でも、わたしが傘を持つと、ほむらちゃんは一歩身を引いた。凄い雨の中、まるで自分に罰を与えているみたいに、濡れ続けている。
こんな目の前に居るのに、遠くに居る様だった。
「これ……ほむらちゃんの傘、だよね」
「そうよ」
「じゃ、じゃあ、ほむらちゃんはどうやって帰るの?」
「普通に、歩いて帰るつもりよ」
「あ、あの。でも、濡れちゃう……」
「問題無いわね。もう濡れているから」
ほむらちゃんはクスクスとも笑わず、ただその曇った瞳で私を捉えている。
雨に降られながら、たった一人で立つ。不気味で怖い、そう感じていたのに、何時からか、わたしはその姿が寂しくて、悲しい物にしか見えなくなっていた。
「傘、使いなさい。そのままじゃ身体に悪いわよ」
ほむらちゃんは、わたしに背を向けた。
そのまま、何処かへ歩き出そうとする。駄目、そうやって行かせたら、二度とほむらちゃんに会えなくなるんじゃないか。そういう風に感じた。
「ま、待って!」
バス停から身体を乗り出して、ほむらちゃんの腕を掴む。
ほむらちゃんが少しだけ振り向いた。その顔が、一瞬だけ泣きそうな様子で歪んでいる様に見えた。
「あのね、あの。何だか悪いし……傘、一緒に使おうよ」
「家の方向が違うわ」
きっぱり断られてしまったけど、ほむらちゃんはわたしの腕を振り払おうとはしなかった。むしろ足を止めて、少しだけわたしの方へ近づいてくれた気がする。
これはいけるんじゃないかな、そう感じる。
もう少し押せば、きっと頷いてくれる。迷惑かな、と思ったけど、どうしてだろう。不思議だけど、ほむらちゃんが傘を貸してくれたお礼だと思えば、頑張ろうと思えた。
「じゃ、じゃあ。家に来て、雨宿りしよう。そうすれば良いと思うの」
「いいえ、結構よ」
まだ、ほむらちゃんは断っている。でも、何だかちょっと頑なさが緩んで、嬉しそうな顔をしている気がした。
「い、一緒に帰って、くれないかな」
「……」
「お、おねがい。一人は、さみしいの」
頼み込む言葉を聞いて、ほむらちゃんは少しだけ目を見開いた。
強引過ぎた気がする。でも、それは演技でもなくて、わたしの本心だった。さっきから調子が悪いし、一人で居たから、ほむらちゃんが来てくれたのが、本当に嬉しかったんだ。
頭が痛む。心細くなって、ほむらちゃんの腕をもっと強く掴んでしまった。
ほむらちゃんが息を呑んだ。それから表情を喜怒哀楽にめぐるましく変化させて、最後に優しげな表情を見せてくれる。
「分かったわ。帰りましょう」
わたしの手を取って、ほむらちゃんはバス停の中へ入ってくれる。服がとても濡れていたので、水滴がそこら中に落ちていた。
そのまま放っておいたら、良くない。わたしはほむらちゃんが風邪を引いてしまわない様に、手を引いた。
+---
雨は、相変わらず降り続けている。
二人で一緒に肩を寄せて歩くと、雨だって全然嫌じゃない。むしろ、もっと降っていて欲しいかもしれない。
流石に二人で入るのには小さな傘だから、肩をしっかり近づけていないと濡れてしまう。だから、わたし達は完全に身体を密着させている。
こうやって同じ傘へ入ると、凄く仲良くなれた気がする。でも、基本的にほむらちゃんはわたしへ話しかけたりはしない。ただ、黙って静かに歩いている。
それでも、わたしが雨に濡れない様に、ほむらちゃんは自分からそっと傘から出ようとしていた。
気遣いは嬉しいけど、ほむらちゃんが濡れちゃう。わたしも、ほむらちゃんの腰へ手を回して、ちょっと引き寄せる。
お話がしたくなった。何も言われないと、息が詰まりそうだった。
「そ、そのイヤーカフス、何だかかわいいね」
「……そうかしら、ちょっと不気味な感じもするんだけれど」
ほむらちゃんは自分の耳にかかる、トカゲを模したイヤーカフスを撫でた。ネックレスが擦れる音が、小さく響く。
良かった、ちゃんと返事をしてくれた。無視されている訳でも無くて、話しかければ、応えてくれる。わたしを雨から守ってくれる所も含めて、ほむらちゃんはわたしを大事にしてくれていた。
言葉数は少ないけれど、わたしに向かって意識を集中させている。どうしてか、それが分かる。
呆けた様な頭で、ほむらちゃんの顔を眺めた。目元の酷い隈が目立つけれど、その顔立ちはとても凛々しい。
「鹿目まどか、段差よ。足下に気をつけて」
「え?」
「ほら」
ほむらちゃんがわたしの身体を引き寄せた。
確かに、わたしが歩こうとしていた先には、小さな段差が有った。ほむらちゃんの方には無かったから、足を引っかけたりはしないで済んだ。
「あ、ありがとう」
「気にしないで」
一言だけで返すと、ほむらちゃんはそのまま何も言わずにわたしを引いて歩く。態度は冷たいのに、歩幅はわたしに合わせてくれて、時々、身体が傘からはみ出そうになると、すぐに寄せてくれる。
言葉は少なくたって、とても優しい。お互いに腰へ手を回す所は、背中からだともの凄く仲の良い友達同士に見えるんだろうな、と思った。
前から見たら、ほむらちゃんがわたしと目を合わせていない事には、誰だって気づく。単に真っ直ぐ前を見ているだけ、なのに、わたしの顔はきっと見えている。
「あ、あのさ。ほむらちゃん、めっ、目元、凄いよね。寝不足、だったりするの?」
「いいえ、きっちり七時間は寝ているわ」
「じゃあ、生まれつき?」
「そうでもないわね。最近出来たものよ。まあ、色々有ったから」
わたしに言われて気になったのか、ほむらちゃんが自分の目元を撫でる。そうしていると、隈の無い本来の顔が見え隠れしていた。
疲れ目なのかな、それが無くなったほむらちゃんは、ビックリするくらい美人だ。もったいない様な、そうでもない様な。
どうしてわたし、ほむらちゃんの顔の事なんて考えてるんだろう。何だか変だと思って、話題を変えてみる。
「……わたしはまだ零時までは起きてられないの。パパやママに怒られる前に、勝手に寝ちゃうんだ」
「しかも、アメリカ帰りだから時間の感覚も何となく変わってくるでしょう」
「そ、そうだね。うん、そうかも」
そういうのは無かった気がするけど、ここは同意しておく。ほむらちゃんの言葉に有無を言わさない物が有って、少し怖い。
「わたしは大丈夫だって言ってるのに、パパもママも心配してるんだよね。見滝原に戻ってきたばっかりで、新しい学校には慣れたか、とか、友達は出来たか、とか」
「羨ましいわね。心配してくれるご両親が居て」
ほむらちゃんは、一瞬だけ表情を変えた様に見える。今の言葉は、思わず出てしまった感じで、言うつもりは無かったみたいだ。
ご両親が居ない、とも取れる言葉だった。ほむらちゃんの家庭環境は聞いた事が無かったけど、家には居ないのかな。
「ね……ほむらちゃんって、一人暮らしなの?」
「ええ、そうよ」
あっさりと認めてくれた。
凄いな、って思う。中学生で一人暮らしなんて、絶対大変だ。なのに、ほむらちゃんは一つも寂しそうじゃない。堂々と、平然としている。
「へぇ……わたしなんか、一人じゃ絶対無理だよ」
「そうね。私の両親は、私の入院費を稼ぐ為に飛び回ってくれているから」ほむらちゃんは鼻で笑った。「まあ、私は最低の親不孝者だけど」
「そんな事無いよ。ほむらちゃんは優しいよ」
「……貴女って、どうしてそう……」
「え?」
「気にしないで、まどか」
ほむらちゃんは私から目を逸らした。そうすると、ほむらちゃんの肩が傘から出そうになって、わたしはそっと引き寄せる。抵抗もせず、大人しく従ってくれる。身を寄せ合って一緒に居るからか、何時もよりずっと心の距離を近く感じる。
こんなに良い子だったんだ。わたしは、心の中でほむらちゃんの評価を変えた。前までは、転校初日からよく分からない事を言って来た、ちょっと怖い人だと思っていた。けど、そんな事は無くて、表現が不器用でも、わたしに凄く優しくしてくれる人だった。
何かお礼がしたいな。そう思った。このまま助けられるばっかりなのは、何だか嫌だ。お返しが出来たら良いのに。
「貴女の家は、もう少しなのかしら」
「う? ……うん。後もうちょっと歩いたら到着だよ」
そういえば、もうすぐ家だ。パパとタツヤは家に居るのかな。もしかすると出かけているかもしれない。雨に降られてなかったら良いな。
ほむらちゃんが私に肩に手を回す。濡れていないかを確認しているみたいだった。
何から何まで本当に沢山気遣ってくれて、遠慮する気持ちとありがたい気持ちが同じくらい浮かんでくる。そんな感じだからか、頭がふわふわとして、視界が何となく悪い。
どうしちゃったんだろう。ほむらちゃんの方へ、身体が勝手に倒れ込んでしまう。意志とは関係無しに力が抜けて、身体を密着させていた。
「あ、あれ……?」
ほむらちゃんは、わたしの異変に気づいたんだろう。眉を寄せて、鞄が濡れるのも構わず地面へ置き、両手でわたしの身体を支えてくれる。
やっぱり、変な感じだった。上手く物が考えられなくて、自分の中に他の誰かが住んでいる様な不快感と、不安感が押し寄せてくる。
ほむらちゃんが居てくれて良かった。こんな気持ち、一人じゃ辛すぎる。
「大丈夫?」
「う、うん。だけど……何だか、疲れちゃって」
頼りっぱなしじゃいけない。何とか自分の足で立ったけど、調子は良く無かった。まだまだ力が入らず、立っているのも少し辛い。頭がズキズキと痛み、全身の間接に不快な苦痛が走っている。
何かの病気なのかな。怖くなってきた所で、ほむらちゃんはわたしの額に手を当てた。
「いえ、これは」ほむらちゃんは心配そうな顔をした。「熱が有るわ」
「そうなんだ……通りで頭がぼんやりすると思った」
結構、辛い。雨はまだ止んでいないし、雨に降られた傘が凄い音を立てている。人通りの少ない中、わたしとほむらちゃんだけが此処に居る。
ほむらちゃんは、何かを調べる様にイヤーカフへ触れて、次にわたしの額に額を合わせる。目の前に来たその瞳は、やっぱり心配や気遣いが沢山含まれていた。
「……風邪みたいね」
「ほむらちゃん、分かるの?」
「ええ。貴女の身体の事なら、世界一詳しいわ。何せ……いいえ、忘れて」
首を振って、ほむらちゃんは口を閉ざした。でも、わたしの事は支えたままだ。
風邪なんだ。ひどい病気とかじゃなくて良かったけど、とっても辛いのは変わらない。早く帰ってベッドの中へ入って休みたくなる。
ほむらちゃんはわたしを立たせて、ゆっくりと歩かせてくれる。わたしの気持ちを分かってくれたのかもしれない。
「……不思議だよね。風邪だって思ったら、何だか喉も痛くなって来ちゃった……」
「なら、暫く喋らない方が良いと思うわ」
ほむらちゃんはわたしを支えながら、同時にわたしの鞄を持ってくれていた。
申し訳なくなってくる。ただ傘を貸そうとしてくれただけなのに、結局は病人を運ぶ羽目になっているんだから、凄く迷惑を掛けている気がする。
「あ、あの。わたしの事はもういいよ……家はすぐそこだし……」
「鹿目まどか。風邪の時は、気持ちが落ち込んで、自分の事が嫌になったりする物よ。私に遠慮しようと思うのは結構だけど、それより自分を優先なさい」
「でも、ほむらちゃんに移っちゃうよ」
「構わないわ、それくらい」
本気で、風邪が移っても構わないという顔をしていた。ほむらちゃんはわたしから一歩も離れないまま、少しずつ歩いてくれる。
「ほら、私の肩に寄りかかって、ゆっくり歩きましょう」
ほむらちゃんが耳元で話しかけてくれる。
気持ちが沈んでいるからか、ほむらちゃんの気持ちが伝わってくる感じがした。とっても心配してくれているのが、分かる。これ以上断ったり遠慮したりするのは、返ってほむらちゃんを怒らせちゃうかもしれない。
「うん、お願い……ごめんね」
「病人が気にする物じゃないわ」
わたしを支えて、傘と鞄を器用に持ったまま、ほむらちゃんは家に向かって歩き出した。ちゃんと場所を教えた覚えは無かったけど、当てずっぽうに歩いてる感じもしなくて、まるで家が何処に有るのかを知っているみたいだけど。
「こっちで合ってるのかしら」
「あ……うん」
何だ、知ってる訳じゃないんだね。
ちょっとした不安が晴れて、気分が楽になる。肩の力が抜けたから、歩くのが楽になった。
叛逆の物語の世界が大人しく維持されている場合、きっと二人の関係はこんな感じだろうと思います。
何だかんだで引っ越し作業の時も暁美ほむらが渡したリボンを着けていたり、鹿目まどかという女の子は結構緩くて守りの薄い人です。だからQBにだって簡単に騙されるし、逆に、あっさりと暁美ほむらを受け入れてしまえる。早々人を嫌いにならないし、大好きな人達の為に命を張れるくらいの勇気が有る。自分の居る世界を希望の有る良い物だと感じていて、みんなを大切に思っていますね。
暁美ほむらは、特に悪魔ほむらは、昔より鹿目まどかという少女の存在に雁字搦めになっていて、まどか以外に対しては昔以上に心の守りが分厚く強固で、だから美樹さやかやQBに対して邪悪な様に振る舞えています。自分の居る世界を救い様の無い場所だと感じていて、そんな世界で唯一輝く鹿目まどかという少女だけを大切に思っています。
実は、この二人は抜群に思想的な相性が悪く、しかし、組み合わせとしての相性は実に良いのではないかと感じます。二人は元の性格こそ似通っている物の、孤独な長期入院生活者と、友達に囲まれて楽しく過ごしていた人間では観ている世界が違うのも当たり前。根本から違う二人は、思想面では下手をすると敵対する可能性すら感じさせられる程遠いです。
ただ、考え方がまるで違う相手と仲良く出来ない程、鹿目まどかという少女は頑なではないし、普通の人間だって、考え方が真っ向から違う親友を持ったりするものです。そういう意味で、二人は良い関係を築けるでしょう。
何だかんだで鹿目まどかの危機には誰よりも敏感なのが暁美ほむらなので、一度助けてしまえば、そのままズルズルと閉ざした心を開かれていくのではないかと思います。
と、言うのは本作には殆ど関係ありません。ノープロット・ノー起承転結・ノーオリキャラの、ほのぼのSSです。私の文体がまるでほのぼのに向いていないので、あらすじやこの話を読んでいるとどう見たってシリアス全開ですが、その様な事が有ろうはずもございません。
で、今回は一日一回更新ではありません。言っても精々週一回更新ですね。何せまだ25000字しか書けていませんから。