宇宙戦艦YAM@TOⅢ   作:Brahma

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ヤマトはバーナード星に到着し、敵のものとは考えにくい通信波を傍受するが、それを見ていたガルマン基地はヤマトを死角なき武器で攻撃する。


第7話 バーナード星での戦い前編

「ワープ終了。」

「バーナード星まで1400万キロ。」

目の前で赤くくすぶるように燃えている恒星は太陽の3倍くらいの大きさに見える。しかし、実際には、太陽の1/5の大きさしかなく、赤色矮星と呼ばれる恒星のひとつである、

表面温度は3000度と推定され、地球が太陽空受けるのと同じ熱量を受けるには、0.08天文単位、約1200万キロで、水星から太陽までの距離の1/5強の距離である必要がある。

そしてバーナード星の第一惑星は、太陽たるバーナード星から1250万キロの位置で公転していた。

「久しぶりね。」

「ここでガミラスのガス生命体と戦ったんだっけ。」

もう3年以上も前の戦いを思い出す。ガス生命体からのがれてプロミネンスを波動砲で撃ち抜いたのだった。

 

「ヤマトから700万キロの位置に第一惑星を確認。」

「メインパネルスイッチオン!」

それは、氷ついたアラスカかシベリアのような荒涼した世界だった。水晶のような岩石がきらきらと光っている。

「大気ハ、窒素65%、酸素17%、二酸化炭素3%、メタン3%、表面温度ハ赤道付近デ、4度カラ9度、極付近デハ、-60度カラ-80度デス。」

「住めないことはないでしょうけど過酷な環境ね。」

「探査計画の2番目の星だわ。地上探査をしましよう。」

「敵基地が確認できないね。」

「おっかしいわね。ミサイルの発射源はこの星なのに...。」

「はるかち、艦長、この星から通信が聞こえてきますぅ。」

「位置は?」

「この星の自転軸から計算して北緯72度38分、東経93度38分の位置ですぅ。」

「くっ...。」千早がうめく。

「毎度のことながら測ったような緯度、経度ね。」律子がつぶやく。

「93分はありえないですから...緯度に93度もありえないですし。」春香がフォローする。

「やよい、どうしてるかしら。」伊織が思わず親友の名をつぶやく。

「て、敵の謀略電波かもしれないわ。」千早が推測を話す。

「うん。上陸して確認する必要があるね。生活班探査係は全員、戦闘班は若干名、それから亜美、真美お願い。」

「「はるるん、ありがとう^^」」

「え;;なんでもうそこにいるの?」

「まこちんに定期報告だよ。」

「もう、上陸したくてうずうずしてたんでしょう?」律子があきれたように言う。

「「えっへへ...。」」二人は気恥ずかしそうに笑う。

「ごめんね。亜美、真美。二人はエンジンテストのこともあるからコスモハウンドに残ってほしいんだ。」

「「ぶー」」

 

そのころ、バーナード星第一惑星ガルマン基地司令ベン・ハダトは、ヤマトを発見していた。

「ヤマト発見。上空一万宇宙キロ。」

ベン・ハダトはにやりとほほえんだ。

「ふふふ。ヤマトめ。驚いてうろたえるだろう。ダゴンの仇もとれるというものだ。」

「発射せよ。」

「了解。発射。」

ビーム砲台から光条が発射されて漆黒の宇宙空間へ向かっていった。

 

「!!」

「どうしたの?雪歩?」

「つ、通信が...切れましたぁ。」

 

「え、エネルギーの束が9時の方向から接近。」

「左舷172装甲板に被弾!」

「やっぱり敵基地があったのね。」千早がつぶやく。

「コスモハウンドは発進中止。鞘葉くん、敵基地を探索して。」

「了解。」

つぎつぎに光条がヤマトにおそいかかる。空間で屈折してヤマトにねらいを定めてくるようだった。

「これって...。」千早が気がつく。

「千早ちゃんもそう思った?3年前、冥王星で...」春香が同意する。

千早は無言でうなづく。

律子は千早と春香の考えたことを言語化する。

「反射衛星砲....としか思えないわね。」

「律子さん、それですよ。それです^^;」

「で、でもあれはガミラスさんの武器ですよね...総統さんがヤマトを狙うなんて...。」

雪歩が会話にはいる。

「舞さんが言うようにやんちゃしてるのかしら。少なくとも部下が...?それともなにかがガミラスに起こった?]

「山本さん、コスモファルコン隊発進。反射衛星をさがしてください。」

「了解。」春香が命じてコスモファルコン隊が発進する。

そのとき敵基地を探していた鞘葉から連絡が入る。

「艦長。」

「鞘葉くん?」

「艦長たちが冥王星で出会った反射衛星砲については、訓練学校で習いました。自分は敵基地は惑星の裏側だと思いますので、裏側へ飛びます。」

「鞘葉くん、気をつけてね。」

「了解。」

 

「右75度。」

「くっ...左120度。」

千早は必死に操縦桿を操作して船体を傾け、反転させるが完全に避けることはできず、被害報告がはいる。

「左舷38装甲版被弾!」

「右舷111装甲版に被弾!」

「反射衛星はまだ発見できないの?」

「発見できません。ただし敵艦載機を多数確認。」

「もしかして...。」

「春香?」

「律子さん、これだけ探して反射衛星がなくて、艦載機が多数いるってことは、艦載機が反射衛星の代わりに移動しながら光線を反射しているんじゃないかと思います。」

「そうね。そうとしか思えない。」

「山本さん、敵は反射板搭載機でヤマトをねらっています。反射板がついていると思われる敵艦載機をさがしてください。」

「了解。」

山本は地表から発射される光線がキラリとひかり、反射板搭載機で反射される様子を目撃した。

「あれか...。」

反射板搭載機を発見し、狙おうとするとどこからともなく敵戦闘機が至近に出現する。

「うわ...。やっぱり反射板搭載機を敵戦闘機が護衛しています。応戦します。」

コスモファルコン隊が反射板搭載機を発見して撃墜しようとするとステルス塗装の護衛戦闘機がおそってきて、ドッグファイトがはじまる。撃墜の爆発光が宇宙空間に現れては消え、爆煙が起こったら薄まることが繰り返される。そうこうしている間に反射板搭載機が撃墜され、ヤマトまで攻撃してくる光線砲の密度がだんだん減っていく。

「だいぶ...楽になったわ。」

千早の表情がやわらぐ。

「反射板搭載機新たに3機発見。第一編隊は、右25度上方70宇宙キロ、第二編隊は、左35度上方55宇宙キロ、第三編隊は前方100宇宙キロ。」

反射板搭載機を狙おうとするコスモファルコン隊と護衛戦闘機隊の戦闘が繰り返される。

 

度重なる戦闘で鍛えられたコスモファルコン隊は、護衛戦闘機をつぎつぎに火球と煙のかたまりに変えていく。なかでも山本の活躍はすさまじかった。

敵が山本機を狙おうと後ろにつくと、山本は機体を左へひねる。視界から山本機が消えたと思った敵パイロットが気がついたときには山本に後ろへ回りこまれているのだった。また、機体を微妙にスライドさせ、敵機からは、まるで弾が山本機を避けているように見せる。機体を左へひねり、敵の真下から後ろへつき、敵パイロットの度肝を抜く。こうして護衛戦闘機は次々に撃墜されていった。

 

「司令。護衛戦闘機隊が...。反射板搭載機も次々に撃墜されていきます。」

「ぬぬう。なにをしているのだ。」

 

「中継基地発見。北緯38度27分、東経72度39分、北緯39度39分、東経93度38分。近いほうから攻撃します。」

「くっ...。」

「山本、鞘葉が中継基地を発見したみたいよ。座標を送るから攻撃よろしく。」

伊織が山本に指示する。

「了解。」

 

「司令...第3中継基地上空に敵機!」

「応戦させろ。」

 

ガルマン中継基地の高射砲が発射される。鞘葉はたくみにかわし、山本が来るのを確認すると

「敵中央基地の探査に向かいます。」とヤマトと山本に通信する。

「「了解」ですう。」

中継基地から高射砲が発射される。コスモファルコンは数機撃墜されるが、山本たちは倍返しで砲台を破壊し、中継基地反射板を破壊することに成功し、鞘葉が発見したもうひとつの中継基地へ向かった。

 

その後、鞘葉から敵中央基地発見の報がはいったのは10分後だった。

「敵中央基地発見。北緯27度38分、西経93度27分。座標送ります。ただし、コスモファルコンの雷撃ではシールドが硬く攻撃の効果がありません。」

 

「司令。第3中継基地がやられました。第5中継基地も攻撃を受けている上に、当基地も発見された模様。」

「うろたえるな。反射衛星砲台は見つけられないはずだ。反射板搭載機はやられているが自由に移動させて狙いを定められる。いくらでも攻撃可能だ。とにかく高射砲で敵機を撃ち落すのだ!」

 

「主砲発射準備。目標敵中央基地。誤差修正0.5。座標固定。」

「にひひっ。発射~。」

ショックカノンが敵基地に命中する寸前で見えない壁にはねかえされる。

「!!」

「敵、バリアを張っている模様。」

 

「ふはは。1千万テスラのバリアだ。そんなしょぼい光線砲で抜けるものか。

反射板搭載機アルファ分隊、ベータ分隊、ガンマ分隊、デルタ分隊、反射地点へ移動。ヤマトを集中攻撃!新反射衛星砲連続発射!。」

ベン・ハダトが命じると、新反射衛星砲が複数の砲台から発射され、十数機の反射板搭載機を経由して数十もの光条がヤマトをおそう。

「波動防壁展開!」

危険を察した律子が命じて、光条は、波動防壁に当たって消失する。

 

「艦長!先ほどの通信が回復しましたぁ。」

「!!」

『病人がいるんです。たすけて...。』

「鞘葉くん、聞こえる?。」春香が鞘葉に呼びかける。

「聞こえます。」

「北緯72度38分、東経93度38分の位置から発信されていた通信が回復したの。至急向かってくれる?救命艇もそちらへ向かわせるから護衛して。」

「了解!」鞘葉は春香に答えて目標地点へ向かって愛機を飛ばしていった。

 




敵中間基地と敵戦闘機を次々に撃墜するコスモファルコン隊。ついに敵中央基地を発見するが、なぞの通信が回復。それは救出を求めるものだった。主砲の効かない強力なバリアを持つ敵に波動砲が使えない戦いを強いられるヤマト。新反射衛星砲を波動防壁で防御するものの20分しか持たない。ヤマトの対応策はいかに...

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