雪の中からこんにちは、飼い主さん!   作:ものもらい

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咲ちゃんインワンダーランド

 

 

 

【???】

 

 

「……ん……腹減った…」

 

「夜―、そろそろ飯に……あれ、何で陽が昇ってばっかり…」

 

「そんなに長く寝てたっけ……」

 

 

 

 

 

【夢見の悪さに定評のある男、咲ちゃん】

 

 

 

「ていうか……ていうか俺の身体ちっさ!なん……えっ、何だこれ…!?」

 

ドンドンッドンドンッ

 

「誰か来た…!お、おふくろ(葉っぱが恋しくて堪らないver)じゃないよな…」

 

「……――――な、なんか用k」

 

 

「山に行くど―――!」←チーズ

「やまー!」←幼馴染

「おはよ」←オトメン

「さくさんおはようございます」←嫁

 

(……皆ガキだ…!)

 

 

「…や、山って…」

「昨日、みんなで山に行って"ハンターごっこ"しようって言ったでしょっ」

「そうだったか…?」

「俺、昨日から楽しみだったんだ!」

「…豊受がいると死亡フラグが立ちそうで嫌なんだよ…」

「イーシェが行くってんだから行こうよ」

「お前はどこまでもイーシェなんだな」

「そんなこと言わないで、さくさんもいっしょに遊びましょう?」

「………夜が遊ぶなら」

「さくも人のこと言えないじゃんか!」

「うるせーよヘタレがっ」

「うわあぁぁぁんんイーシェぇぇぇぇ!!」

「イリスを蹴らないの!」

「ちっ」

「お前ら本当に仲悪いなー」

「ケンカはだめです!」

「ごめん」

「私に謝るんじゃなくて…」

「咲って清々しいくらいにハッキリしてるよな」

 

 

 

 

【ハンターごっこに必要なもの】

 

 

「ギルドにようこそ!(ドヤッ」

「……え、何、そこから始めんの?」

「みんなの武器を見せるがいい!」

「武器まで…一応持って来といてよかった…」

 

「豊受さんは吹き矢!」

「使えなっ」

「僕はハサミ…」

「ヘタレのくせに地味に危ないモン持って来たな…」

「私は木槌です!」

「夜は可愛いから許す」

「お姉さんはエアガン☆」

「…おい、世界観ぶち壊しだろ…」

 

 

「…そういう咲ちゃんは何持ってきたのよー?」

「俺?剥ぎ取りナイフ」

「人殺しー!」

「咲がイリス泣かしたー!」

「俺まだ何もしてないだろ…」

 

 

 

 

【アイテム確認も大事!】

 

 

「みんなー!おや…じゃない、アイテムは?」

「アイテムもかよ…俺持って来てないぞ」

「じゃあさくさん、私といっしょにリンゴ食べましょう?」

「夜は本当に良い子だなっ」

「きゅっ」

「お、俺だって…大福やるし!」

「お前のはいらねー」

「…ぅ…うわああああんイーシェぇぇぇ!!」

「だから泣かすなってば」

 

 

「豊受さんは麦チョコ!」

「お姉さんはのしイカ」

「お前それはお菓子じゃねーよ」

「えー、そんなこと言うと咲ちゃんにはあげないよ?…せっかく全員分持ってきたのに…」

「のしイカ全員分とかお前スゲーな」

「あ、チーズなら食う?」

「…お前だけおっさん臭のするアイテムだな…」

 

 

 

 

【それいけ!ガキんちょハンターズ!】

 

 

「タヌキつかまえたー!」

「タヌキ鍋だー!」

「どんぐりみつけたー!」

「さくさん、お花きれーです」

 

「……お前らって、なんつーか……まとまりがないよな…」

「あんだよ、咲ちゃんにだけタヌキ鍋食べさせないよ?」

「食いたくもないわ」

「じゃあ豊受さんが食っちゃうぞー!」

「勝手に食って腹でも下してろ」

「イリスさん、あのちょうちょ、きれーですね」

「本当だー……痛いっ!!」

「夜にちょっかい出すな!」

「理不尽んん!!」

「さくさん!らんぼうはダメです!」

「ごめん」

「だから私じゃなくて…」

「うわあぁぁぁんイーシェー!」

「変なキノコみっけー!」

「イーシェに捨てられたぁー!!」

「元気出せよ、女なんて山の天気より気まぐれなんだ」

「…豊受、お前は何歳なんだ」

 

 

 

 

【勇気りんりん!】

 

 

「ハチミツだー!」

「「「おー!」」」

「…おい、子供だけで蜂蜜採んのか…」

「大丈夫大丈夫、豊受が犠牲になってでも採りに行ってくれるから」

「えっ」

「おま…鬼畜なこと言うなy」

 

 

「みなさーん!このハチミツとっても甘いれす!」

「うまー」

 

 

「…よりによってこのメンツで最も幼い二人がー!!」

「美味そうに食いやがって!」

「そうじゃないだろっ―――夜、危ないからこっち来い、後で好きなだけ蜂蜜プレ…やるから!」

 

「「うまー」」

 

「…バカ!あいつら本当にバカ!もう目の前の甘味にしか頭にない!」

「てめっ、夜をバカにすんな!ちょっと抜けてる所があいつの可愛らしさなんだ!!」

「ようはバカってことでしょ!?ていうかそういう問題じゃないでしょ!?」

「……ねえ二人とも、ケンカするより先にすることがあるでしょ……」

 

 

ブブブブブブブブブブ、ブブブッブブブブブブブ

 

 

「「ん?」」

 

「は……蜂だァァァァァァァァァァ!!!」

「夜!」←ぺろぺろ舐めてた手を掴む

「イリス!」←服の襟を掴む

「「逃げるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

「ちょ、豊受さん置いてかないで!」

 

 

 

 

【お父さん、死神がやってくるよ】

 

 

「ひぃぃぃぃ背後!背後真っ黒!!」

「見るな!全力で走れ!」

「…はっ、…ぅぅ、私ギブ…」

「チェダー、此処で諦めたら人生終了だぞ!!」

「い、イーシェ、ごめんね…」

「いいんだよ、イリス…………………いざって時に生贄になってくれればそれで」

「」

「…ああうん、まだ大丈夫そうだな。…夜、大丈夫か?」

「わ―――たし、だい、じょうぶ…」

「……不味いな、…別れるか?」

「それは別れてもお互いアレな目に遭うフラグだと思われる」

「俺もー」

「…じゃあどうすんだ…ていうか、ああくそ、焦って走って逃げなきゃよかったわ…!」

「でもさ、蜂の巣の下にこの子たちがいる状態で冷静になれって難しくない?」

「そうだ―――あっ」

「豊う―――えっ?」

 

 

 

ずざざざざざざざざっ

 

 

「……いたた…急に穴に落ちるとか…」

「それより…みんな、俺の上から退いてよぉ…」

「イーシェ!だいじょう―――」

「ヘタレ、お前が腕掴んでんのは俺だ」

「いーしぇぇぇぇぇ!」

「はいはいココですよ……あれ?夜ちゃんは?」

 

 

「くまさんこんにちは、おじゃましております」

 

「「ですよね―――!!!」」

 

 

 

 

【黄色い方だと思った?残念、青い熊さんでした!】

 

 

「待て、騒ぐな!ヤツは寝てる!」

「そ、そっか…夜ちゃん!そんな獣臭いのに挨拶してないでお姉さんの所においで!」

「あばばばばばばば」

「ちょ、イリス落ち着けって!」

「ご、ごめんなさい、今―――」

 

 

「……………がう?」

 

「「「「「…………!」」」」」

 

 

「がァ―――――!!!」

「きゃ―――!!」

「せめて男らしい悲鳴を上げろヘタレが!」

「豊受!その先に進んで!」

「で、でもイーシェ…下手したら…!」

「死ぬんだったら足掻きまくって死にたいでしょ!」

「さく、さん……」

「泣くな。…大丈夫、俺が何とかするから…」

「ぐるああああああ!!!」

「「み゛――――!!」」

「お子様二人組はもう耐えられそうにないね…」

「…ちっ、チェダー、エアガンで撃てるか?」

「撃てるけどさ…大丈夫かな、逆上しない?」

「もうこの際逆上するも何も無いだろ、眉間とか鼻面にでも撃ってやれ」

「吹き矢は!?」

「テメーの出番は一生無いから安心しろ」

「ちょ、こんな時にその台詞は不味いって!」

「―――じゃ、お姉さん撃っちゃうよー」

「ああ」

「スル―!?」

 

ぱんっぱん、ぱんっ

 

「ガッ、ぐぁっ、グガガガガガガガ!?」

 

「…おい、片目の狙撃、狙ってやったか…?」

「え?モチのロンだべ?」

「何で訛ってんだ」

「ていうかこんな暗い中でよく撃てたね…!」

「なめんな!お姉さんはね、少ないお金で射撃の露店に並んだ、弟たちが欲しがる物を手に入れてきたんだぞ!」

「凄さが分からん!」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「「「「「キレた――――!!!」」」」」

 

 

 

 

【ハンターごっこのはじまりだ!】

 

 

「ちっ、夜とヘタレは俺より前に来いっ」

「え、咲ちゃんまさか…!」

「ナイフでやったら―――!」

「ぐおっ」←腕を少し切られてビビった

「浅いぞー、がんがれー」

「お前は援護をしろ!…っと、…痛っ」

「さくさぁん!」

「頬切っただけ―――って、チェダー避けろ!」

「へっ!?」

 

 

「…ぐ、あああああああああああ!!!」

 

 

「……ついに両方の目が見えなくなったな…やるじゃねーか、ヘタレ」

「えっ?イリスが…あ、目にハサミ刺さってる」

「あ、当たったの…?」

「当たった当たった!…イリスすごい!カッコイイね!」

「えっ」

「助けてくれてありがと!」

「…あ、あの……うん…!」

「……悪いがデレデレしてる時間はねーぞ。…来た!」

「あばばばばばばばばばばばば」

「…イリス……かっこわる…」

「ふえ!?」

「あ、いや、何も言ってないよ」

「ちょ、突進してきたから急げ!」

「―――あっ、みんな!明りが見えてきた――――外だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

【助けてお父さん!】

 

 

「明りに目が眩んでるうちに逃げるぞ!」

「子供の足で逃げ切るのって無理ゲーだよね……ひゃあああもう追いかけてきた!」

「……はぁ、はっ……」

「…夜…――チッ、俺が足止めするからお前ら逃げろ!」

「はあ!?」

「バカ言ってんじゃないよ!」

「アンタ置いて行けるわけないでしょ!?」

「さくさん、のっ…ばかぁ…!」

「………化けて出そうだからちょっと…」

「ヘタレ…てめ―――じゃない、…限界に近い夜とイーシェはこれ以上走ってらんねーだろ」

「でも…!」

「豊受が俺の次に足が速い。お前は全力で走って村の人間に伝えろ」

「だからって――――咲ぅ!!」

「は………」

 

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」←食べちゃうぞー!のポーズ

 

「さくさんっ!この…!」

「ぐふぉっ」←木槌がおでこにヒット

「ナイス!」

「さくさん、わたしのて、を―――――」

 

 

「ぶおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

「………えっ、フルフルが来た………」

「ぶおおおお!!」

「ぐおっ!?おぶっ」←吹っ飛ばされた

「が、がんばってくださいっ"お父さん"!!」

「え、夜、お父………お父さんんんん!?フルフルが!?…フルフル…えっ!?」

「すっげー!夜の親父アオアシラを一飲みだ!」

「かっけー!」

「わぁぁぁぁ!!」

「えっ、何でお前らはこのありえない関係を認めてんだ!?」

「ぶおおっ、ぶおおおお、おおおおおお!」

「…ご、ごめんなさいお父さん…もう子供だけで山に入らないです…」

「フルフルのくせに叱ってる!?」

「そりゃ咲ちゃん、親だし」

「ありえねーだろ、こんな白くて卑猥な生物からこんな美少女が生まれるとかありえねーだろ!!」

「ぶふぉおおおおおお!!!」

「さ、さくさん!お父さんに謝って!」

「俺何も悪いこと言ってな―――……あれ、真っ暗に…」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!さくさんが食べられたぁぁぁぁぁぁ!!!」

「俺食われたの!?どうい――――夜――――………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

 

「――――ふあっは!!」

 

「……なんだ、夢か……俺って夢見の悪さに定評があるな……」

 

「あんな気持ち悪い生物に捕食されたとか……ああ駄目だ。夜に甘えて気持ち悪さを――――……ん?」

 

「……おい、そこにいんのは誰だ?」

 

 

「……………|ω・`)」

「……って、夜か………いやいやいやっ!ちっちゃい。夜がちっちゃい!?俺は元に戻ってるのに!?」

「………|ω・`)」

「夜……え、夜なのか?おま―――え?えっ?」

「………」

 

 

 

「……………パパ、おかあさんがよんでるのです……」

「」

 

 

 

 

 

ちょっと違ったループ?…だと思われ。

 

 


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