雪の中からこんにちは、飼い主さん!   作:ものもらい

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突撃☆隣のお昼ご飯!

 

 

「今日のご飯は林さんだよー!」

「誰だよ林さん…」

「えー、知らないの咲ちゃん?林さんのお嫁はお米さんだよ?」

「……ああうん、そう…」

「咲ちゃん家は?」

「あ?」

「夕ご飯」

「……さあ。なんか教えない事で俺をワクワクさせたいらしいから」

「夜ちゃん可愛いー!」

「やんねーぞ」

「…………」

 

 

「―――そういえば、お前はあの家政婦ハンターに飯作った事あんのか?」

「家政婦じゃ無くて主夫ハンターだよ」

「どっちでもいいだろ」

「………主夫、ハンターなんだよ…」

「……おい、もしかしてお前…作ってやったこと、ないのか」

「嫁入り前に死んじゃったら悲劇でしょー」

「…………駄目な女だな…」

「なにぃ!?」

「…お前の殺人料理でも、あの脳内花畑男は食ってみたい…と思ってる…かもしれないだろ」

「だいぶ言い淀んだね…」

「せめて人殺さない程度の簡単な物でもいいから、何か作って出迎えてやれば?…きっと喜ぶぞ」

「ふーん……」

 

 

 

 

「……まあ、喜べるレベルの味じゃないあまりに苦しんで泣いてもどうでもいいんだけどな」

「咲ちゃんってハッキリしてるよねー…あ、そうだ」

「……何だ?」

「良い勉強になるしさ、二人のご飯作ってる所見てみたい」

「…………………………………夜がかまわなければな」

「よっしゃー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【兎ちゃんのお母さんを思い出せば……ねえ?】

 

 

「……何で了承すんだよ…」

「いーじゃんかよー」

「ていうか俺も食っていいの?」

「いいおー…うーん、やっぱり可憐な女の子には白いフリフリのエプロンだよね、萌え萌えだよ」

「萌え萌えってイーシェ…」

「あのリボン解いちゃいたい衝動と太腿を触ってビクッとするのを見たい衝動に駆られてるんだけどどうしよう」

「そういうのは俺だけにしといて」

「えっ、嫉妬した?」

「えっ?」

 

 

「夜、今日の飯は何?」

「ふふ、何でしょう?」

「んー…」←背後から抱きついてイチャイチャ

 

 

「ちょ、客置いて嫁とイチャイチャしてんだけど」

「まあいいんじゃないの。まだ付き合ったばっかり…」

 

 

「咲さん、味見をどうぞ」

「んー」

「ひゃっ、―――~~ッ、咲さん!頬っぺたの味見じゃなくて料理の味見ですよ!」

「夜が料理失敗する事なんてもう無いだろ」

「でもッ……お台所でふざけてはいけません!(`・ω・´)」

「あだっ」

 

 

「…………」

「…………」

「………夜ちゃん、逞しくなったね…」

「……そうだな。何か逆に調教してるみたいだわ…」

 

 

※ちなみに肉じゃがの味見をさせようとしていた夜ちゃんでした。

 

 

 

 

【男の料理をするのが咲ちゃんさ】

 

 

「さぁーて、お次は咲ちゃんの手料理だぞー!」

「わーわー(棒)」

「……お前ら…昨日だけじゃなく今日も居座る気か…」

「いいじゃんかよぉー…で、今日の料理は?」

「…今日は夜が具合悪いからな。お前らとは別々に作る…うどんをな」

「うどん…」

「うどん…」

「夜の注文なんだからしょうがねーだろ」

「…ちなみにその夜ちゃんは?」

「部屋で寝てるけど。少し熱っぽいから騒ぐなよ」

「ですってよー奥様」

「困りましたわねー」

「小芝居してんな」

 

 

「おおっ流石咲ちゃん、早く切ってらー」

「お、俺だってあれくらい早く切れるし!」

「しかも天ぷら一から作るのかい…」

「俺だってイーシェの食べる物は全部手作りだし!」

「……あ、夜ちゃんと自分の分だけなのね…」

「冷たいわー、超冷たいわ―」

「お、隠し味は酒ってか……えっ、ちょ、あそこまでドバドバ入れていいものなの!?」

「ていうか入れ方雑!…え、もう一個の小鍋…ちょ、そういう事か!とことん俺達の食い物を不味くする気か!」

「ちょwwwネギwwwもっさり入れたwwww」

「七味ぃぃぃぃ!!何でこっちの要望を聞かずに七味を入れた!?そんぐらいは許してくれてもいいじゃん!」

 

「―――おら、食えよ」

 

 

 

 

【イリス君の手料理はこのメンツでは一番丁寧です】

 

 

「おい、飯たかりに来てやったぞ」

「こんにちはっ」

「おっ、夜ちゃんもういいのー?」

「はい…ちょっと熱が出ただけですもの、すぐに治ります」

「でも一応温かくしときなよ。…はい、膝掛け」

「…で、今日のメニューは?」

「イーシェの要望でパスタ」

「昨日、くっそ不味い麺料理食わされたからね、美味しい麺料理食いたくなったの」

「…………」

 

 

「本当にカルボナーラでいいのー?」

「いいのいいの。…あ、卵忘れないでね!」

「はいはい…っと」

「さっさと作れよさっさと。不味いの作ったら吊るし上げるからな」

「それお前が言うか!?」

「楽しみにしてます」

「ん、待ってて―――って、え?イーシェどうした…近づい……ひゃっ」

「咲ちゃんも嫁にイチャついてたからさ、我が家もイチャつかなきゃアカンかと」

「いいよ別に…ってじゃあ頬にキスすればいいじゃん!何で尻を撫でてんの!?」

「イリスのお尻って見ててムラッとするよね。何て言うの?痴漢されそうな尻?」

「何それちょっと!」

「本当は太腿撫でまわしたいです奥さん」

「撫でんな!客をもてなして待ってろ!」

「えー…だってさ、私必要無くない?」

「はぁ?」

 

 

「―――夜、本当に大丈夫か?寒そうだし…何なら上着持って来てやるぞ?」

「…じゃあ、お膝の上でぎゅってしてくれますか?」

「甘えん坊兎だな、…ほら、」

「ふふふふふー」

「…ん…まだちょっと熱っぽいな。家帰ったら薬湯を飲んで早めに寝よう」

「平気ですっ」

「そう言って前、二日は寝込んでたぞ」

「だって…お部屋…」

「一人で寝る方が落ち着くかと思ったんだが―――嫌か?」

「いやですっ、だって、寂しいし冷たいし、怖い…」

「よしよし、一緒に寝てやるから」

 

 

「………」

「………」

「………ここ、自分の家じゃないんだぞ…!?」

「もうあの二人だけの世界に浸ってるからね」

 

 

 

 

【イリス君の手料理<夜ちゃん】

 

 

「出来たよ」

「美味しそー!」

「わぁっ」

「………けっ、女々しいもん作りやがって」

「咲さん、そんなこと言ってはいけませんよ」

「……ふん」

「まあとにかくさっさと食べちゃおうや。…いっただきまーす!」

「「いただきます」」

「………」

「んー、流石イリス、おいひー!」

「えへへ…」

「とても美味しいです。今度レシピ教えてください」

「も、勿論!」

「……………」

「うまー」

「………俺、かえ」

「咲さんっ」

「!」

「はい、あーん」

「……あー」

「美味しいでしょう?」

「…ん、」

 

 

「………あれ、何でだろう…すごく悔しい…!」

「恋人ってああいうもんだよ、悲しい事にね」

 

 

 

 

 

【お姉様のお料理はスリル・ショック・サスペンスなの☆】

 

 

「ついに来たぞ!私の番が!!」

「……………主よ、どうか奇跡を起こして下さい…!」

「とても楽しみです」

「……おふくろ、俺もうそっちに行くかもしれねーわ」

 

「…ちょっとー、男衆つれなさ過ぎだぞー?お姉様はこの日の為に頑張って素材をかき集めたのにぃー」

「ていうか何で俺と夜まで犠牲にならなきゃいけないんだよ!生贄はこいつだけでいいだろ!?」

「ここまで来たからには皆で食べようよ!お互いのご飯を食べた仲じゃないの!」

「そうですよ咲さん。チェダーさんですもの、きっと美味しいご飯が…」

「夜ッ、それはお前がこの女の駄目っぷりを知らないから言えるんだ…!ほら、その死神から離れてこっち来い。家に帰ろう…!」

「死神って言うな!」

「テメー、今まさにコイツに殺されようとしてんのに庇うのか!?」

「イーシェは死神じゃない、…ちょっと駄目な子なんだ。悪気はない、純粋な気持ちで作ってくれようとしてん―――」

 

 

「まず一品目出来たよー!」

 

 

「「あああああああああああ!!」」

「どれどれ?」

「ふふん、前菜は―――海老の頭揚げたアレだよ!」

 

 

 

「……おい、それって居酒屋のメニューだろ、前菜って言うのもおこがましいだろ…!」

「言うな!見た目食えそうな物出されただけマシだろ…!」

「いっただきまーす!」

「夜―――!!」

「どうよどうよ?」

「……ん、パリパリしてて美味しいです!」

「でっしょー?お父さんのつまみによく作ってたからさ、得意なのよー」

「……お前、良かったな…嫁の貰い手見つかって…」

「何よー?…まあいいや。そして期待の次の料理は!」

「「りょ、料理は?」」

「昨日生け捕ったガーグァの子供を使っt「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」…何!?」

「生け捕ったって何だ生け捕ったって!?」

「だってさ、ガーグァは新鮮な内が美味しいんだべ?」

「語尾を訛らせれば良いって問題じゃねーんだよ…!ていうか食ったことあんのか!?」

 

「あるよ?郷土料理だったからね」

 

「」

「……郷土料理…」

「ガーグァの全部使った料理なんかは安い結婚式でも出るくらいだからね。心臓をバターで炒めたヤツを新郎新婦二人で食ったりとか」

「」

「…おい、スウィーツしっかりしろ、向こうで結婚しなきゃいい話だろ」

「んでんで、今回はガーグァのフルコース行きます」

「「」」

「…ふる、こーす…?」

「そうよー、目玉を煮て、湯だった脳味噌に心臓をバター焼き。あ、でも腸は扱い難しいからやんないけど」

「の、のうみそ…!」

「クアー!クアックアァァァァァァ!!!」

「こら、暴れないの」

「ちぇ、チェダーさん、放してあげて下さい、その子はまだまだ子供なのですよ…!」

「クアー!!」

「この暴れっぷりだとだいぶ美味いんじゃないかな」

「クアアアアアア!!」

「……ッ」

「おいっ夜が怯えてんだろ、それはもうどっかに捨てて来いよっ」

「え、だってガーグァ料理以外には私……」

「もうこの際目玉焼きでいいから!…あ、いや、待って、そういう意味じゃなくてアレ…卵焼きでいいから!」

 

 

「―――兎鍋くらいしか出来ないんだよね」

 

 

「」

「」

「…う…さ…」

「兎は美味い。鍋にするとたまらん。冬の名物だわ。しかも食ったらその皮売れるしね」

「う…さ…かわ……うさ…きゅ―――――!!!」

「「「!?」」」

「きゅー!きゅきゅきゅっきゅー!!(´;ω; `)」(訳:殺されるー!おかあさぁーん!!)

「え、ちょ、…え!?」

「こんの馬鹿女!兎の前で兎鍋の話をすんな!!」

「よ、夜、落ち着いて…」

「きゅー!きゅー!!きゅぅぅぅ!!(´;ω; `)」(訳:お母さん!お母さん!!おかあさぁぁん!!)

「お、落ち着け、な?とりあえずその兎語をやめよう?な?」

「て、適当に兎語でも話してみれば…?宥める感じに…」

「じゃ、じゃあ、私――…きゅ?きゅきゅーう?きゅー?」

 

 

(訳:静かにしな?じゃないとお前も食っちまうぜ?食用兎が)

 

 

「きゅ―――――!!!(´;ω; `)」(訳:いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

「おいっ悪化したじゃねーか!?」

「え、ごめん…」

「ああああ夜ちゃんごめんねー!!」

 

 

 

 

【そのころの凍土では☆ ※翻訳済みだよ!】

 

 

夜母『おい、誰の許可得てこのシマに足入れてんだワレぇ?女連れて、ええ身分じゃのー?』

フルフル『え、あっ…ご、ゴメンナサイ?アタシ凍土(コッチ)のこと詳しくなく…』

夜母『言い訳してんじゃねーぞ、あ゛あ゛?』

フルフル『す、すいません…』

ギギネブラ『………』

 

 

 

 

【お姉様の料理は後先考えないで作ってるの☆】

 

 

「…猫どもに帰させるように言っといた」

「…うん、ありがとう…」

「きゅー…きゅぅぅ…(´;ω; `)」

「泣くな、夜…怖かったな、ごめんな…」

「きゅうぅぅ…」

 

 

「第三弾!夜ちゃんごめんねふわとろオムライス出来たよ!!」

 

 

「「作るなよ!!」」

「…だ、だって…夜ちゃんにお詫び…夜ちゃん、ごめんね…?」

「…きゅ……い、え。私こそ、うるさくして、ごめんなさい…」

「お詫びに夜ちゃんの好きな「ふざけんな!」…オムライス…」

「……私、チェダーさんのオムライス食べたいです。そしたら仲直りしてくれますか?」

「夜…!そんな天使みたいな事言うと酷い目に遭うぞ…!」

「それでもかまいません。チェダーさんが私の為に一生懸命作ってくれたものですから」

「夜…」

 

 

 

 

「―――じゃ、皆で食おうぜ!」

「……おい、なんだこれ…俺のオムライス、ケチャップで…『呪』?って書いてねーか?」

「『咲』って書いたの!」

「俺の…割れたハート…」

「ど、どうしても途切れちゃうの!」

「私は兎さん?」

「イエス!」

「…材料は?」

「ガーグァの卵(※本当はいけないんだぞ☆)とバターたくさんと野菜と米とケチャップ」

「………おい、お前の嫁が作った毒ぶ…料理だ。将来の夫であるお前が先に食え」

「え゛っ」

「………」

「(…い、イーシェが期待の籠った目で…でも…いや、見た目はふわとろ所かドロドロの卵がアレだけど、異臭はしない…くそっ!)…いただきますっ」

 

「……」

「………」

「…………」

「…おっ…ぇ…しぃ、でふっ…すご…く(普通の米なのに玄米の味がす…ちょ、この肉生…うぇぇぇ…!!)」

「本当!?」

「……(中…胡椒が固まって……具の切り方…!)…よ、夜、無理して―――」

「はむっ」

「」

「…ど、どう?」

「…お…ふぇっ…ぇぇぇ…おいし……うっ…れふ…!…げほっ…とて…こほっ、も…」

「(夜―――!!おまっ、汗が!顔色がッ!!)…夜、お茶飲め、喉通りにくいだろ」

「は、い…」

「―――んじゃ、咲ちゃんも食べて?」

「えっ」

「さ、咲…!(食うにしろ食わないにしろ、傷つけない方でお願いっ!!)」

「咲さぁん…(卵の味がおかしいれす…うっ…)」

「…っ……俺だけ逃げるか!」

「おい、逃げるって何だ逃げるって」

 

 

 

――――その味を、何と言えばいいのか彼には分からない。

半生ですらないドロドロの卵は大雑把な味、…が良い表現で、米は所々が油っぽくて堅くってパラっとしてベチャッとして…隠し味に何故か七味が入っている。

野菜はぺしゃっとしている。生気のなさが舌に張り付く。肉は生だったり焼き過ぎて堅かったり、丁度良くても胡椒の塊と化していたり。

 

最悪なのはケチャップだ。ドロドロの卵に同居したケチャップは場所によってはバターの味を殺し、またまた場所によってはバターと生焼けの肉とケチャップが口の中でサンバとタンゴを同時に、最悪な事に混じり合うことなく違う味を舌の上で踏み鳴らしている。

 

可愛らしい恋人がせっせと作る料理の、偶に失敗して「高血圧で死ぬかも」な品を出された時よりも酷い衝撃が彼の舌を伝わったわけだが、……この殺人料理を作ったのは白いフリフリエプロンの似合う恋人では無く、……………。

 

 

 

「…………………」

「えっ」

「さ、咲さん…?」

「ちょ、おいっ、咲!しっかりしろ、咲!咲ぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

 

 

 

 

しかし一番モンハンらしい物を作ろうとしたのはお姉様という……。

 


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