雪の中からこんにちは、飼い主さん!   作:ものもらい

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※R-14.5

※安心の咲ちゃんストーリー

※ヤンデレによる計画的犯行

※ヘタレウスを応援してあげてください

以上、ご注意ください。






男は狼なのよー気を付けなさ―いー

 

 

飛び散った血は、猫野郎の物だった。

 

猫が首根っこ掴まれてぶらん、って感じで、俺は猫野郎から離れ―――助けてくれたイーシェに泣きついた。

 

 

『いーしぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

『おーよしよし、怖かったね―』

『(´;ω; `)』

『兎ちゃんも吃驚し……うわぁぁぁぁ足ヤバいよ足』

『(´;ω; `)』

『…………チッ』

『アンタは舌打ちじゃ無くて謝罪しなさい謝罪』

 

 

リオレイアの姿で駆け付けてくれたイーシェに二匹して泣きつけば、舌打ちした猫野郎はイーシェに叱られる。

 

…こいつはイーシェと同期。暴れたらお互いが大変な事になる力関係故か、滅多なことでは争わない。せいぜいが口喧嘩程度で済ます。

 

つまりだ、イーシェが来たからにはこんな猫怖くねーし!ざまーみろ、ばーかばーか!

 

 

『………』

『『ひっ』』

『ガンつけないの!』

『………』

 

 

やっぱり怖い……。

 

 

 

 

 

――――で、結局その場はアイツの無言の謝罪(頭下げただけ)で済み、怪我をした兎をイーシェが獲物でも獲ったかのような(他意はない)運び方で保護区の病院に連れていった。

 

人間に戻った俺達は保護区の事務の人に事情聴取…されてる途中でイーシェの螺子が切れ、しょうがないので俺が病室に運び―――胃が痛い中、残された兎と猫の元に向かった。…ら、

 

 

「………((´;ω; `))」

「………」←立ち上がる

「((´;ω; `))!」

「………」←お茶を淹れる

「((´;ω; `))?」

「……………………ん、」←お茶を渡す

 

「「…………」」

 

 

事情聴取の済んだらしい二人は待合所でお茶を手に固まっていて、どっちかが動くとどっちかが過敏に反応していた…。

 

 

「………あの、」

「!」

「その、……きゅ、急に逃げ出して、ごめんなさいっ。び、吃驚しちゃって……」

「……………いや」

 

 

え、どう考えても悪いのそこの猫野郎じゃね?

 

俺は机の陰からチラチラ覗きながら、そう思いました。まるっと。

 

 

「あ、あのっ、あのお部屋に、来てくれた…人、ですよね?」

「ん、」

「その、あ、あの日も…騒いでしまって、ごめんなさい。私、あの、」

「―――何かしらあると、ああなってしまうんだろう?」

 

 

…初めてあいつの優しげな声を聞いたんですがちょっと。…ちょっと!

 

兎から少しの間を置いて座ったあのクソ猫は、「知らなかったんだ。気持ちが先走って…ごめん」と少し悲しそうな声を出した。……が、その声に猫を見上げて申し訳なさそうに俯いた兎には分からないだろうが俺は見た!同情心を買えたあいつが一瞬にやっとしたの見た!

 

 

「いえ、ごめんなさい…」

「もう近付いても大丈夫かと思ったんだが…そうだよな、俺ってただでさえ人相悪いし、怖がるのも―――」

「え、あっ、そんなっそんなことないです!わ、私が怖がりだから…!ナルガさんは…えっと、こ、こうしてゆっくり話してると、怖くないです…」

「………本当に?」

「本当ですっ」

 

 

らめぇぇぇぇぇ!それ取って食われるよ兎ぃぃぃぃぃ!!

 

そいつ優しい顔してお前をガブっといきたいだけだよ!だってそいつさっき俺に「監禁します」発言したんだから…!

 

「……じゃあ、もう少し近づいても?」「え゛っ……は、はい…」……だから駄目だって!そいつから離れるか断固拒否のどっちかしないと…うう、でも止めに行きたくない…怖いし…。

 

 

「……足、怪我させて…ごめん。俺って昔から……こうやって、誰かを傷つけてばかりで…後悔しても、どうしても……」

「あっ、だ、大丈夫ですよ!そんな悲しそうな顔、しないでください…!」

「本当にごめん。償っても償いきれないけど」

「ひゃっ」

「――――…」

 

 

初対面の女の子の小指を甘噛みしただとぉぉぉぉぉぉ!?

 

変態だあいつ!絶対変た…えっ何で兎は顔真っ赤なの!?真っ青だろそこは!確かにそいつ顔は良いけど中身ヤバいって何回も(心の中で)言ってんのに!!

 

し、しししししかも最後ぺろっと舐めた!舐めたぁぁぁぁぁ!!

 

 

「――――もし許してくれるなら……お前に、会いに来ても?」

 

 

男の甘い声って同性からすると大変気持ち悪いです。まる…っじゃなくて、いい加減その手を離そうよ変態!お前の裏が怖くて今日寝れそうにないよ俺!

 

 

「ゆ、許し…あ、あの、はわわわわわわっ」

「………駄目か?」←舐めてる

「あ、ああああああの、別に、怪我の事はもう、あのっお気になさらず!」

「……それは、もう会いたくもないって、ことか…?」

「え、えっ、ち、違いますよ!違いますから、か、顔を上げて……」

「じゃあ会いに行っても?」

「い……いいです!かまいません!」

 

 

兎は押されると駄目な子だったか…!

 

 

「……ありがとう。…ずっと、お前に会いたかったんだ」

「へっ!?」

「とりあえず…その足の事もあるし、可能な限り俺に世話させてくれないか?…罪滅ぼしがしたいんだ」

「で、でも…別に……」

「……………」

「……っ…」

「……………」

「…………わ、分かり、ました…お願いします…」

「!」

 

 

………あーあ、言っちゃった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兎―、ちゃんとご飯……食べて……」

「―――お前かヘタレウス」

「ヘタレウス!?」

 

 

一ヶ月後(イーシェの看病+仕事で行けなかった)、兎が変態の被害に遭っていないか見に行ったら…… 兎 の 家 か ら 変態が出てきやがった。

 

…しかもこいつのこの格好、寝巻きじゃ……え、寝巻き!?

 

 

「兎は!?」

「今、薬塗ってる……最中だったんだが」

「え、お前が塗ってあげてたの…?」

「そうだけど」

 

 

え、……えっ!?

 

ちょ、待っ…え!?

 

 

「咲さーん、どうされ……あ、イリスさん!」

「兎ちゃん!?ていうか"咲"ってだ……え、」

「俺の名前だけど」

「お前に名前あったの!?」

「昨日、ふたりで決めたんですよー」

「ふたりで!?」

「え、ええ…私も咲さんも無くて…咲さんの故郷で祀ってたらしい神様の名前から戴いたんです」

「故郷の神様…?」

「本に書いてあった」

「あ、ああ、そう…」

咲耶(サクヤ)姫という神様でして、……そ、それで、咲さんが…私の名前は"夜"って…」

 

 

照れ照れと告げるうさ…夜は、何かもう普通に?平然と?咲だがザクだかの腕の中で抱きしめられて髪に頬ずりされていた。……もうどこから突っ込めばいいのか分からない…!

 

 

「私の髪が夜空みたいだからって、それに……」

「……(詩人な猫野郎なんて知りたくなかった…)それに?」

「字は違いますけど、読み……あの、二人合わせると"サクヤ"になって、…えっと……良いよね?って……」

 

 

………………。

 

………駄目だ、完璧洗脳されてる……。何が「良いよね?」なんだ。全然良くないよそれ…。

 

 

「だからあの、これからは"夜"と呼んでください。彼は"咲"と」

「……あー…じゃあ、"夜"」

「はい?」

「…………何でね…咲が寝巻きでこの家から…?」

 

 

まるで夜がマタタビみたいにしっかり抱きついている変態を指しても、変態はこっちを見向きもしない。夜の長い髪を梳いたりなんだりしてる…人前でイチャつかないでもらえます!?

 

 

「……イリスさん、一昨日の落雷の事件、知らないのですか?」

「え、…えーっと、…ここから結構離れてたから……」

「無知な奴だな」

「うるさいよ」

 

 

馬鹿にした声に鋭く返しても、あいつはのんびり夜に……だからぁぁぁ!!人前でイチャつくなよ!

 

一言言ってやろうと、俺が口を開いた瞬間だった。

 

 

「―――咲さんの家に、落ちたんですよ?」

 

 

………ゾッとした。

 

別に家に落雷が、じゃない。この…変態…いや、病んでる男にだ!

 

「咲さんが私の家から帰ろうとした頃に、落ちたそうで…家が燃えてしまって…」…じゃあなんで寝巻き(使用感のバリバリある)持ってんの!?明らかに計画的犯行だろ!?「夕方、咲さんが少ない荷物片手に悲しそうに…」もうここまで来ると清々しいな!

 

 

「…新しい家を建てるにも時間もかかりますし…最近通り魔の噂もありますから、咲さんが住んでくれたら心強いかと…部屋も余ってますし」

「ああ、通り魔……確か夜中に、黒づくめで顔も分からない、身のこなしの速い男が…ここら辺で通行人を……これもお前かぁぁぁぁぁぁ!!」

「触んなヘタレ」←喉輪

「げぶっ」

「イリスさん!?…だ、駄目じゃないですか咲さん!」

「ごめん」

「私じゃなくてイリスさんに謝って下さい!」

 

 

うっ……くそ、…って俺に謝んないでイチャつくなよ(※三回目)!?首に顔埋めてんなよちょっと!

 

 

「さ、咲さん、何回も言ってるでしょう?く、首に触んないでって…」

「ナルガって相手の首に触れると落ち着くんだ…」←嘘

「そ、そうなのですか…?」

「今、気ぃ立ってるかr「んなわけないだろうが!!!」……」

 

 

に、睨まれた…!変態のくせに怖いなんて卑怯だ!

 

俺は泣きたいのをぐっと堪え、黒い視線を受けながら、じりじりと後退を―――

 

 

「…はんっ、ヘタレウスがッ」

「へ…ヘタレウスなんかじゃにゃいっ…あ、噛んだ…ヘタレウスなんかじゃない!」

 

 

した所をからかわれて。…だけど戦っても勝てないから、吠えるだけ吠えてイーシェに頭撫で撫でして貰いに帰った。………うぅっ……ヘタレウスじゃないもん……!

 

 

 

 

 

 

計画的犯行のヤンデレ、変態だけど手はまだ出していない。

 

 





追記:

ちなみに、家の落雷は知り合いに頼んでやりました。てへへ☆ byヤンデレ


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