まどか☆マギカ in Magic Land   作:ウボハチ

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第二話です。早いペースでかけると思いませんが、できるだけ頑張ってみます。
駄文ですがどうぞ。


別の世界

「んっ……」

 

太陽の眩い光がほむらの体に当たり、目を擦りながら頭をあげた。彼女は今ビルの屋上にいる。自分以外にもさやか、杏子、マミ、なぎさが横たわっていた。

 

「私は一体……」

 

どういう状況にあるか理解していないほむらはとりあえず上半身を起こして頭を抱えた。なぜこのような場所にいるのか。なぜ彼女達と横になっていたのか。何があったというのか。彼女はそんなことを考えているのだろう。

突然、彼女は目を見開くと勢いよく立ち上がり、辺りを見回した。

 

「い、いない……まどかが……」

 

ほむらはそう呟くと、唖然とした顔で地面に膝をついて身をかがめた。それが合図になったのか、横たわっていた少女達も目覚めて体を起こした。みな眠たそうな表情で辺りを見回し、さやかは膝をついているほむらに声をかけた。

 

「ほ~むら、何してるのよ。てか、あたし達何してたん……」

 

さやかが何気なく話しかけようとした時、突然顔が強張り、焦り始めた。

 

「ねぇ、あいつはどこ行ったの? てか、まどかは!!」

「あっ……」

 

さやかの言葉を聞いてすべてを思い出したのか、杏子達は目を大きく見開き、辺りを見回した。そう、ここはあの『魔法使い』と対峙した場所だった。まどかが『魔法使い』に連れ去られたため五人で連れ戻しに来たが、それも失敗に終わり、『魔法使い』が発動した虹色の竜巻に巻き込まれてしまったのだ。

 

「……ほむら、あの竜巻に巻き込まれた時、あんたまどかの方に腕を伸ばしてたよね? あの後どうだったの?」

 

ほむらは何も答えない。ただ、ゆっくりと頭を横に振った。

 

「そう……ダメだったんだね」

 

するとほむらは立ち上がり、さやか達に背中を向けるとビルの階段へ向かっていく。そんな彼女を杏子は慌てて止めた。

 

「おい、ほむら!! どこ行くつもりだ!!」

「どきなさい、私は今からまどかを探しにいくのよ!! それとあの金色の魔法使いも……」

 

ほむらは怒りを露にし、殺気まで感じ取れた。そんな彼女を見た杏子は息を呑み、一歩だけ後退りしてしまう。

 

「えっ?」

 

彼女はダークオーブを取り出そうとしたが、現れることはなかった。ダークオーブは平常時、耳飾りとして身につけている。しかし、彼女の耳にはそういった類のものはついていなかった。代わりに指輪型のソウルジェムが右手の中指にはまっている。

 

「どういうことなの?」

 

ほむらは震えた声を漏らしながら、怪訝な表情でソウルジェムを見つめる。そんな彼女の前にさやかもやってきた。

 

「確かあいつ、世界を造り替えるって言ってたよね? その影響であんたがまどかから奪った円環の力がなくなったんじゃないの? 以前あたしから円環との関係を断ち切ったようにさ」

「まさか……そんなことが……」

 

ほむらは驚きを隠せない表情をしたが、しばらくすると指輪を紫色のソウルジェムに変え、魔法少女の姿になった。その姿は学校の制服のようで、左腕には円盤型の盾を装備している。先程の妖艶な雰囲気は微塵も感じなかった。

 

「あれ、ほむらって武器それだっけ? 弓じゃなかった?」

 

杏子はほむらの盾を見て疑問を持ったらしい。そんな彼女達の話になぎさが割り込んでくる。

 

「ああ、ほむらが弓を使い始めたのはまどかが世界を改変させた後からなのです。それまでほむらは『時間停止』と『時間遡行』の魔法しか使えず、その盾に仕舞い込んでいた色々な武器を駆使して戦っていたのです」

「こらっ!! そうネタバレするんじゃないよ、なぎさ!!」

「仕方ないのです。今は緊急事態。それにほむらのことをマミと杏子に知ってほしかったのです」

 

そう胸を張ってなぎさは答えた。彼女の言い分を理解したさやかだったが、肩を落としている。そんな話をしている内に、ほむらは今自身が使える魔法のことを確かめていた。

 

「今の私が使える魔法は『時間停止』だけ。武器はこの中に入っていた弓のみ……まあ、無いよりはいいわね」

「ねぇ、暁美さん?」

 

ほむらが丁度確かめ終わった時、みなの話を聞いているだけだったマミが彼女に話しかけた。

 

「何かしら?」

「途中まででいいから一緒に行動しない? 私達の目的は鹿目さんと金色の魔法使いを見つける事でしょ?」

「……」

 

ほむらはしばらく考えたのち、マミ以外の人の顔も窺った。杏子は頭の後ろで両手を組みながらじっと待ち、なぎさは期待を膨らませた表情でこちらを見ている。さやかは真剣な眼差しでこちらの様子を窺っているが、嫌がっているようには見えなかった。

 

「……途中までよ。まどかか金色の魔法使いの手掛かりを見つけたら一人で行動する……それでいいわね?」

「ええ!!」

 

マミは満面の笑みで頷いた。それに対してほむらが少しだけ照れくさそうな表情をするが、手で口を抑えて必死に笑いを堪えるさやかを見た瞬間、彼女は不満げにさやかを睨み付けた。

 

 

 

 

 

「なんじゃこりゃ……」

 

ビルの屋上を降りて地上の光景を見た杏子は絶句してしまう。それは彼女だけではなく、さやか、マミ、なぎさ、あのほむらでさえも同様の反応を示した。

見滝原の街は賑やかであった。ただ賑やかなだけではない。ほとんどの人が腰に手形のベルトを装着し、そこに指輪を翳すことで魔法を使っているのだ。物を大きくする魔法、火をつける魔法、空を飛ぶ魔法など様々だ。

呆気にとられていたさやかの元に子供が近づいてくると、魔法で彼女の顔に水をかけてきた。大人だけでなく子供までもが魔法を使っていることに驚いたさやかは口をあんぐりと開けている。すると子供の前に魔法陣が出現し、その中から母親らしき人物が姿を見せた。母親は子供を叱りつけると、さやかの前で頭を下げてその場から立ち去った。

 

「……みんな、あいつと似たようなのを腰に身につけているよね?」

「ええ……」

 

さやかの問いにそう答えたほむらは辺りを見回す。確かに手形のベルトをつけたものは多い。ただ、たまにそれを身につけていないものがいた。それはほむら達と同い年くらいの少女だった。

 

「あたし達くらいの奴はあのベルトをつけてないんだな」

「けど、指輪はつけているみたいよ?」

「って、あれソウルジェムなのです!!」

 

なぎさの発言に愕然とした彼女達は、歩いてくる少女達の手を見る。そこには彼女達と同様の指輪、つまりソウルジェムを身につけていた。

 

「嘘でしょ……そんなことってあるの?」

「実際、そんなことが起こっているしなあ」

 

衝撃を受けているさやかに対して、杏子は今起こっていることを現実だと自分に言い聞かせていた。さやかはそんな彼女を哀れんだ目で見つめている。

 

「うおおおおおお!!」

 

そんな中、突然どこからか雄叫びが聞こえてきた。騒いでいたほむら達に緊張が走る。辺りの木々がガサガサ揺れると、そこから異形の生物が現れた。

 

「な、何なのよ、あれ……」

「あの魔力……魔女や魔獣に近い。けど、何かが違う」

 

身長は大人くらい、体は全身青く、左右から牛の角のようなものが生えていた。右手には巨大な剣を持ち、ほむら達の方に近づいてくる。

 

「お前達は絶望して、ファントム、魔女を生み出すのだ!!」

「何いってるか知らないけどさ、要するにあんたを殺せばいいんだろ?」

 

杏子は手首ボキボキと鳴らしながら異形の生物―――ファントムに近づく。

 

「何してるのよ、杏子!! てか、変な奴が出てきたのになんでみんな無反応な訳!?」

 

仮にも人々を襲おうとしているファントムに対して、人々は逃げるどころかいつも通りの行動をとっていた。動揺するものもいるにはいるのだが、珍しそうに様子を窺っている。

 

「みんな、なんで逃げないのかしら?」

「うーん、謎なのです」

 

マミは首を傾げ、なぎさは人々の行動に疑問を持つ。そうしている内に杏子がファントムの前まで来た。

 

「ちょっ、杏子!!」

「そこの君、後ろに下がって!!」

「はあ?」

 

さやかが呼び戻そうとした時、杏子に注意を促すものがいた。声がする方へ振り向くと、そこには箒に乗った少年と少女の姿があった。二人は杏子の前へ来ると、箒から飛び降りる。

 

「ごめんね、ファントムを倒すって課題が出ているんだ」

「嘘……仁美に……恭介?」

「えっ?」

 

杏子の前に立つ二人が後ろへ振り返る。二人の顔を見た彼女達は唖然としてしまった。そこにいたのはさやかの幼馴染である上条恭介と親友の志筑仁美だった。恭介は腰に手形のベルトを装着し、仁美は右手の中指にソウルジェムをはめている。

 

「あの……どちら様ですか?」

「えっ?」

 

仁美は彼女達を見て首を傾げている。

 

「志筑さん、今はファントムが先だよ!!」

「そうですわね!!」

「ちょっ、ちょっと!!」

 

さやかが何か言い出そうとする前に、二人は再びファントムの方へ目を向けた。恭介は右手の中指についた指輪をベルトに翳す。すると、彼の腰から『金色の魔法使い』と同様のものが浮かび上がった。仁美は右手の中指にはめられた指輪を緑色のソウルジェムに変える。

 

「恭介……? 仁美……?」

 

二人の行動に驚きを隠せないさやかはそっと話しかけてみるものの、返答はない。

恭介はベルトについたレバーを操作して、バックル部の手形の意匠―――パームオーサーの向きを変える。すると、そこから『シャバドゥビタッチヘーンシーン』という奇妙な音声が流れてきた。

琥珀色の宝石がついた指輪を左手の中指にはめると、彼は大きな声で叫ぶ。

 

「変身!!」

 

『チェンジ・ナウ』

 

指輪をパームオーサーへ翳すことにより、恭介の正面に魔法陣が現れ、彼を包み込んだ。そこには琥珀色のマスクを身につけ、肩や手に怪物の意匠を備えた彼の姿があった。左手には先程使用した指輪がクロー型武器―――スクラッチネイルと同化しており、四肢には尻尾のような装飾もついている。魔法使いメイジだ。

仁美の首から下が緑色の光に包まれると、首元に薄緑色のスカーフが巻かれ、半袖ワイシャツと緑色のスカートを身につけた姿となった。左手には巨大なブーメランが握られ、両手の拳には棘のような装飾が施されている。仁美の魔法少女の姿だ。

二人の姿を見て、全員つっこむ気力もなくなり、ただただ驚くばかりだった。

 




次の話は来週のどこかで投稿します。

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