長い黒髪を持つ少女は、見るに耐えない無数の傷をむき出しにしながら地面に転がっていた。その少女の容姿は世間でいう『美人』に値するものであり、クリーム色の長袖ベストの下にワイシャツを着て、胸元には赤いリボン、下には短めのスカートを穿いている。おそらく彼女はここ見滝原にある『市立見滝原中学校』の生徒なのだろう。
そんな少女の前には喪服のような黒の服を着た子供が何人も倒れていた。その子供達についた傷は酷く、動く気配はない。彼女の前で悲惨な光景が広がる中、それを大声で嘲笑う者がいた。その者の左腕に抱えられているのは、少女と同じ制服をきた生徒だった。その生徒―――桃色の髪を持つ少女は気絶している様子だ。

「お前は俺に勝てない。こちらには切り札もついているからな」

そう言って彼は桃色の髪の少女の方に目を向ける。その様子を怪我して動けない少女が悔しそうな表情で眺めていた。

「さらばだ。せいぜい私を楽しませてくれよ」

その者は背を向けると、桃色の髪の少女を抱えたまま右手の中指に指輪を嵌めた。

『テレポート・ナウ』

嵌めた指輪を腰に装着されたベルトへ翳すと音声が流れてくる。その者は右手を大きく上にあげると、高笑いしながら金色のホールの中へ飲まれてしまった。

「金色の……魔法使い……」

少女はそう一言呟くと、その場で気を失ってしまった。

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