最近取り組んでいることがあって、中々こちらに手がつけられません。
時間がある時に投稿する形としていきます。
ほむらは驚愕した。体は鎖で拘束され、地面に倒れ込んで動けない状態だったが、この際そんなことどうでもよかった。
「なんでまどかが二人いるの!?」
磔状態にされているまどか、その傍らで高笑いしているまどか。ほむらの眸にはしっかり二人のまどかの姿があった。磔状態のまどかは体をぐったりさせながら目を瞑っている。
「いやぁ、実に愉快だったよ。この世界の創造主であるこの私が、偽りの鹿目まどかを演じることはね」
高笑いするまどかはほむらに近づきながら異形の姿へ変化した。大きく発達した何枚もの鱗が肉体を鎧のように見せている。その鱗一つ一つが金色に輝き、禍々しい雰囲気を醸し出していた。腰には大剣『タイラント』がぶら下げられ、頭部は竜の意匠をしている。
「あなたは……」
「私はファントム・ドレイク。そして……」
ドレイクは一度丁寧にお辞儀すると、再びまどかの姿に戻った。ドレイクは右手をポケットの中へ入れると指輪を取り出す。それを中指に嵌めると、腰に巻かれた服を脱ぎ捨てた。
服の下には手形の意匠が見られるベルトが隠されていた。
『ドライバーオン・ナウ』
「そんな……」
ドレイクは左手の中指に指輪を嵌め始めた。その指輪はほむらが二度目撃したことがあるものだ。金と黒に彩られた指輪―――『金色の魔法使い』が嵌めていたものと同じ模様をしていた。
『シャバドゥビタッチヘーンシーン!』
「変身!!」
『チェンジ・ナウ』
ドレイクがベルトのバックル部に指輪を翳すと、頭上に四角い金色の魔法陣が出現した。魔法陣からは強烈な雷が迸り、そのままドレイクの体を包み込む。ドレイクの体は金、黒の鎧が纏われ、金色に縁取られた黒いマントを手で振り払って靡かせた。
「お前がずっと探していた魔法使いさ!!」
『金色の魔法使い』―――ソーサラー。
ドレイクの真の姿であり、まどかを利用して世界を造り替えた張本人である。
ほむらはその事実にただただ愕然としている。すると、彼女は焦った様子で声を上げた。
「そんな……けどなぜ!! なぜあなたはまどかの姿を……それにあの子の記憶があるなんて!」」
「代償さ。円環の力が強大すぎて、人間態の私の体があの少女の体へ再構築されたのだ。なぜか記憶も一緒についてきたが……だが、それは私にとって好都合だった。この四人を絶望させる方法はいくらでもあるが、お前だけは殆ど隙がないものだからな」
「だから私に近づいたのね……」
ソーサラーは頭を縦に振る。ほむらの隣ではキュゥべえが黙って立ち尽くしていた。
「それよりどうだった? 偽りの鹿目まどかとの楽しい時間は?」
「楽しい時間? あなたと行動していたと思うと吐き気がするわ!」
ほむらは顔をあげてソーサラーを睨み付ける。ソーサラーはほむらの言葉を聞くと、「ふんっ」と鼻を鳴らした。
「その割にはちらほら笑顔を見せたり、私を庇ったりしたじゃないか」
「そ、それは……」
ソーサラーの発言にほむらは動揺してしまう。彼は腕を組んでさらに話を続けた。
「お前は相手が鹿目まどかの姿さえしていれば良かったんだろう?」
「違う!!」
拘束されているほむらは目を赤くさせながら必死に否定した。その反応にソーサラーは腹部を抱え、高笑いし始める。
「なぜそう言い切れる? 現にお前は私の正体を知るまで必死に気遣ってくれたではないか。」
「ううっ……」
ほむらはソーサラーに反論できず、悔しさが滲み出ていた。
「ほむらちゃん、私知ってるんだよ。私を円環の理から引き剥がした理由……『愛』なんだよね?」
その時、ほむらの前でまどかの声が響いてきた。しかし、磔状態のまどかは未だ目覚めていない。その声はソーサラーの仮面の下から出ていた。
「はっ! その『愛』が聞いて飽きれるわ!!」
「うぅ……」
ソーサラーは元の図太い声に戻すと、ほむらに罵倒を浴びせた。彼女には反論する気力すら残っておらず、顔を下に向けている。
「私……そんなほむらちゃんが嫌いだよ。自分の欲望のために私を引き剥がしたくせに、目の前にいるのが偽りのまどかだって気付かずに楽しんでいるなんて……最低だよ!! 大っ嫌い!!」
止めの一言をいうべきか。ソーサラーはまどかの声を使って全力でほむらを罵った。
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
ほむらの悲痛な叫びが部屋中に広がる。そして、彼女のソウルジェムは穢れを溜め始めた。
今やっていることが終わり次第、こちらをどんどん進めていきたいと思います。
恐らく10月くらいからは完全に今までのペースで投稿できるので。