まどか☆マギカ in Magic Land   作:ウボハチ

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初めまして。玄と申します。
仮面ライダーウィザードと魔法少女まどか☆マギカのクロスです。
話の始まりは『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』の事後からです。
話の都合上、仮面ライダーウィザードはまだ出てきません。
文章書くのはヘタなので駄文になると思いますが、楽しんで頂ければ嬉しいです。ではどうぞ。



冬の夜に

見滝原の夜の街。この冬一番の寒さで、なおかつ凍てつく風がビルの隙間を通って吹いているというのに、多くの若者達はそんなことお構いなしに飲み歩きしている。若者にとってこの寒さは取るに足らないものなのだろう。

そんな冬の夜の空にふわふわと虹色に輝く浮遊物が縦横無尽に漂っていた。それに気付いた若者達は怪訝な表情でそれを見ている。そんな光景をビルの屋上から眺めているものがいた。その者は金、黒で統一された鎧を身に纏い、金色に縁取られた黒のマントを靡かせている。その姿、形はまるで『魔法使い』のようだった。

その者の近くに学生服を着た少女が台の上で横たわっていた。髪は桃色、赤いリボンで左右に髪を結っている。制服を見た限り、見滝原中学の生徒のようだ。

 

「……時はきた」

 

その者は少女に近づき、鎧のような手で彼女の頬を優しく撫でている。そんな二人の前に彼女と同じ制服を身に付けた四人の少女とランドセルを背負った一人の少女が現れた。階段を上ってきたのか、全員肩で息をしている。そんな状態の中、長い黒髪にカチューシャをつけた少女はその者―――『魔法使い』に対して殺気を孕んだ視線で睨みつけた。

 

「……まどかを返しなさい、金色の魔法使い!!」

 

怒りと憎しみを込め、腹の底から大声で『魔法使い』を怒鳴りつける。そんな彼女を見た他の少女達は一瞬身体を震わせてしまった。しかし、『魔法使い』はそんな光景を見るや否や、手を叩きながら大声で笑い始める。

 

「はっ、そう言われて返す奴がいるか!! 私はくだらないこの世界を終わらせるためにこの少女を利用させてもらう。……そして新たな世界……いや、私の世界が始まる」

「そんなことさせるか!!」

 

青髪の少女がそう怒鳴りつけると、はめられた指輪を青い宝石に変える。宝石が輝くと同時に、彼女の服装は胸元がチラッと見える大胆なものとなり、手元には長い刀身の剣が現れた。同時に赤髪、黄髪、ランドセルを背負った白髪の少女も似た宝石を取り出すと服装が変わり、手元にはそれぞれの武器である槍、マスケット銃、ラッパが現れる。黒髪の少女は歪な形をした宝石を手のひらに乗せると、露出度の高い黒い服装となり、妖艶な雰囲気を漂わせた。背中から黒い翼を生やした彼女の姿はまるで『悪魔』のようだ。

全員がそれぞれの姿に変わると、『魔法使い』に向かって走り出す。『魔法使い』は落ち着いた様子で左手の中指にはめた指輪をベルト中心部に翳した。ベルトの中心部は手形の意匠が見られ、指輪を翳すと同時に音声が流れてくる。

 

『エクスプロージョン・ナウ』

 

音声が流れると同時に少女達の前には四角い金色の魔法陣が現れ、五人を包み込むほどの爆発が起こった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

黒髪の少女は翼で身を守ったのか、大したダメージは受けなかったが、その他は盛大に吹き飛びビルから落ちそうになる。

 

「みんな、これにつかまって!!」

 

黄髪の少女の手のひらから無数のリボンが放たれ、落ちそうになった他の少女達がそれに捕まる。彼女の行動により、少女達はビルから落ちることはなかった。彼女達は息を整えてから黒髪の少女の元に戻ってくると、青髪の少女が猛抗議し始める。

 

「ちょっとほむら、何よあれ!! あたし達死んじゃうかと思ったじゃない!!」

「あの程度でくたばるほど、あなた達の体は脆くないわ」

「そりゃそうだけどさ……それより忘れてないでしょうね? この件が解決したら、まどかに『円環の理』のことを話すって」

「ええ、忘れてないわ」

 

黒髪の少女、暁美ほむらは青髪の少女、美樹さやかに素っ気ない返事をする。

 

「ならいいけどさ」

「それより今はあいつよ。まどかの障害となるもの……インキュベーターよりたちが悪いわ」

 

そう言ってほむらはまた『魔法使い』を睨みつける。『魔法使い』は腕を組み、足踏みしながら彼女達の様子を窺っていた。

 

「てか、あいつなんだよ!? まどかが連れ去られた件もあるし、ほむらが土下座してまで頼み込んできたから引き受けたけどさ……魔法つかってくるわ、世界を造り変えようとするわ……ほむらかよ!」

「失礼ね、佐倉杏子」

 

赤髪の少女、佐倉杏子は頭を掻き毟りながらほむらにそう言い放つ。ちょうど『魔法使い』を睨んでいたほむらはその状態のまま彼女達に語り出した。

 

「私はまどかを救い出すために円環の力を手に入れて世界を造り変えたの。けど、あいつは違う。おそらく世界を絶望へ陥れるほどの何かをするつもり……あいつ一人なら容易いのだけど、今はまどかが人質になっている。それにあいつはまどかの体に眠る円環の力を利用しているせいで、私一人じゃどうすることもできない」

「そうね。さっきの一撃を受けただけで、どれ程のものか身に染みたわ」

「油断しては駄目なのです。……それどころか、全力で行かなきゃみんなお陀仏なのです」

 

黄髪の少女、巴マミと白髪の少女、百江なぎさの言葉を聞き、彼女達は全員戦闘態勢に入る。そんな彼女達を見た『魔法使い』は待ちくたびれた様子だった。

 

「おい、作戦会議は終わりか? なら、時間まで遊んであげよう」

「その前にあんたをぶっ潰してやる!!」

 

そう杏子は叫ぶと、一人で特攻していく。そんな行動に呆れたさやかは彼女のあとに続いた。

 

「巴マミ、あの二人があいつの相手をしている間にまどかを!」

「ええ、わかったわ」

「百江なぎさ、あなたは二人に加勢しながら外の様子も窺って。おそらくあの虹色の浮遊物、これからすることと何か関係しているから……」

 

彼女達がいるビルの周りでは、先程上空で見られた虹色の浮遊物がここを中心に渦巻いていた。辺りでは見えるはずがない星空がそこら中に広がっている。

 

「わかったのです! その代わり、あとでチーズをよろしくなのです」

 

なぎさはそう答えると、すぐさま二人の加勢へ向かった。『魔法使い』は長大な斧と魔法を駆使して、三人相手にも関わらず互角以上の戦いを見せている。

 

「暁美さん、あなたは?」

「まどかを取り返しにいくわ。私がまどかのほうへ向かえば、おそらくあいつが襲ってくるはず。その間にあなたの魔法でまどかを……」

「わかったわ。まかしておいて」

 

マミは頷くと、二人は一斉にまどかの方へ向かった。

 

「ほう、そう来るか」

 

『ブラスト・ナウ』

 

『魔法使い』と対峙している三人の前に金色の魔法陣が出現すると、今度は強い衝撃波が放たれた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

衝撃波を受けた三人が怯んでいる隙に、『魔法使い』はほむら、マミが取り返そうとしている少女、鹿目まどかの元へ直行する。ほむらが話した通り、『魔法使い』はまず彼女の前に立ちはだかった。

 

「巴マミ、今よ!!」

「ええ!!」

 

マミは大きな声でそう答えると、まどかに向けて無数のリボンを放った。しかし、そのリボンは彼女の前へ辿り着くことはなく、結界のようなものではじき返されてしまう。

 

「そんなっ!?」

 

マミは驚きを隠せない表情をしている。ほむらもその光景を見て動揺してしまった。その一瞬の隙を『魔法使い』は見逃さず、ほむらの片腕とマミのリボンを掴むと、さやか達のほうへ投げ飛ばした。

 

「おい、何してるんだよ!! あたし達があれだけ苦労したのにまどかを取り返せないってどういう事だ!!」

「うっ、ごめんなさい」

 

杏子に怒鳴られマミは反射的に謝ってしまった。ほむらはそっぽを向いて、悔しそうな表情をする。その時、なぎさがビルの周りを見て思わずあわわっと声を漏らしてしまった。

 

「どうしたの、なぎさ?」

「さ、さやか……ビルの周りに大きな魔法陣が……」

 

周りには先程の浮遊物はなく、代わりにこのビルを中心とした虹色で巨大な魔法陣が出現していた。その光景をみた五人は絶句してしまう。『魔法使い』は甲高い声で笑っていた。

 

「さあ、世界を造り変えよう!!」

 

『クリエイト・ナウ』

 

音声が流れると同時に、まどかの体が輝きだし、魔法陣から虹色の竜巻が発生した。ほむら達は竜巻の渦に巻き込まれる。何が起こっているのか理解できない彼女達はただ叫び続け、その様子を笑って見ている『魔法使い』は上空に飛び上がり、そのまま姿を消してしまった。

 

「まどか!!」

 

眠ったまま渦に巻き込まれたまどかに向けて手を伸ばし続けるほむら。彼女の翼はうまく機能せず、なかなか近づくことができない。そうしている内に、辺りは異様な雰囲気へと変わり、やがてすべてが闇に包み込まれてしまった。

 




一話終了です。二話もできれば早めに投稿しますが、そのあとからは一週間ごとの投稿になると思います。
余談ですが、ほむらは自分の秘密を打ち明けています(まどか以外に)

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