宇宙戦艦YAM@TO白色彗星帝国戦役編   作:Brahma

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デスラーを偽の命令で召還させたサーベラーはデスラーを陥れるべく陰謀をめぐらす。一方テレザート星では満を持してザバイバルの戦車隊が空間騎兵隊を襲ってきた...


第10話 テレザート星上陸戦

謁見の間では、デスラーがタランとともに持っていた。

「いつまで待たせる気だ。大帝はまだお見えにならないのか。」

タランはいらいらして衛兵にたずねるが、衛兵は無反応に立っているだけだった。

「同盟国の総統に対して失礼だぞ!。」

それでも衛兵は無反応だった。

「静かにしろ。タラン。」

「はつ...。」タランは不承不承ではあったが、上官の意向とあれば黙るほかなかった。

デスラーは、やや上を向き押し黙って屹立していた。

 

デスラーとタランを放置してサーベラーは策略をめぐらせていた。

サーベラーはゲーニッツの執務室を訪れていた。

「何を心配しているの?ゲーニッツ。」

「我々が勝手にデスラーを召還したことが大帝に知れたら...。」

「状況証拠しかないけど、いま、大帝はデスラーが勝手に戦場を離脱したと信じ込んで、ご立腹しておられるわ。」

「それならいいが...。」ゲーニッツの顔からはまだ不安が消えない。

「あとは、大帝のお気が変わらないうちにデスラーを処分するだけ。」

「しかし、デスラーが撤退した後にヤマトがテレザートに着陸したらテレサはヤマトの味方になるはず....。」

「たとえヤマトがテレサに会っても、テレサ自身は何の行動も起こさないでしょう。あの女はひたすらメッセージ送っていただけだから。ただし...。」

「ただし...?」

「デスラーは怨念と執念はすさまじいものがあるわ。そのデスラーがテレザートでどろどろした戦いを繰り広げるなら、さすがのテレサもだまっていないでしょう。だから...。」

「だから...?」

「ラーゼラーの派遣した機甲師団ヘルサーバーだけで十分です。ヤマトは、こまっしゃくれた小便くさい小娘どもが乗っていたということです。少しばかり知恵が働いて艦隊戦には勝ってきたかもしれないが、ろくな白兵戦部隊はいないはず。そんな小娘たちが地上に降りたところで戦車の的になるだけで、テレサのところへなどとても行けないはず。」

「しかし、ヤマトは奇想天外な武器をつくってガミラスを苦しめたと聞いています。まさかとは思いますが数十機もの艦載機を一気に消滅させたように、戦車隊をいっきにつぶす武器を用意していたとしたら...。サーベラー長官、どうするおつもりですか。」

サーベラーは薄笑いをうかべているだけだった。

「我が帝国ガトランティスの戦略を遂行する上で多少の犠牲はやむ得ないでしょう。わたしはもともとよそ者でしかないデスラーを味方にするのは反対でした。ガミラスが健在であったとき、我が帝国の艦隊を小マゼラン戦線で蛮族としてあしらってきたのは、あのデスラーの部下たち。それにレプタポーダなる収容所惑星でわが忠実なる臣民を銃殺してきたのもあの者の部下です。そのような者がヤマト一隻にやぶれたからといって我が帝国をたよっている。日和見もいいところです。信用できるはずもありません。それに...。」

「それに...?」

「総司令もわかっておられるはずよ。あの者は、ヤマトに復讐を果たすという個人的な感情で動いていて、我がガトランティスの大局を見据えた戦略に協力する気など毛頭ない。」

「同感だ。個人的な怨念で大局を見据えた戦略に非協力的な者は邪魔でしかない。」

「この点については、意見が一致したようね。」

ゲーニッツはうなずく。

「さあ、行きましょう。かってあの者がわが臣民を処分したように、デスラーをどう処分しましょうか。」

 

さてテレザート星では、ヘルサーバーの司令官ザバイバルがヤマトからの揚陸艇の動きを逐一捉えていた。

「ヤマト揚陸艇の現在位置は?」

「ここから9時の方向50kmほど、都市の廃墟の中央を進んでいます。」

「よし!もっとひきつけろ。都市を出た大平原で一挙に包囲し、一網打尽にするのだ。」

 

「さ、斉藤さん、こちらヤマト萩原ですぅ。その後、状況はいかがですかぁ。敵が攻撃してくる様子はありますか?」

「通信班長さん。安心しろ。攻撃してくる様子はない。気楽な観光旅行だぜ。」

「すごい巨大都市ですね。律子さん。」春香が律子に話しかける。

「地球より進んだ文明があったのかしら。」千早がつぶやく。

「ど、どうして、こんな廃墟になってしまったんでしょうか...。」

雪歩が疑問をつぶやく。

「かなり徹底した破壊振りだわ。相手を滅ぼすほど徹底的な戦争を行ったとしか考えられない。」律子が答える。

「いつごろなのか判りますか?」

「それほど遠くない過去としかいえないわね。」

「私たちが戦ってきた敵から攻撃を受けたのかしら。」

「徹底した破壊ぶりから考えて、テレザート星世界の最終戦争だったんじゃないかなあ。」

真も加わる。

「文明がいかに進歩しても、人類の精神が成長しない限り、最終戦争の危険とはいつも隣り合わせということなんでしょうね。」

律子がつぶやく。

「テレサさんはどこにいるんでしょう...。」

座標でおおよその場所を把握していても実際に空間騎兵隊がテレサに直接会うということでないと雪歩としては安心できないのだった。

「テレサさんから通信があったってことはこの星にも生き残りの人がいてもおかしくないわね。」千早がつぶやく。

 

そのころ、空間騎兵隊は廃墟の都市を抜け、赤茶けた平原にでていた。

「まるで開発前の火星だな。」

「あのべっぴんさんはどこなんだろうな。この先にいるということだが。」

「隊長、そのまえに腹ごしえらえと行きませんか。」

「何だ、食いもんでももってきたのか。?」

「えっへへ。何日かはかかるかもしれないと思いまして。」

その隊員は弁当箱を空けてみせる。

「気が利いてんじゃねえか。調理室からくすねてきたのか。」

「まあ、そんなとこです。」

隊員たちは、座り込んで食事をはじめる。

「なかなか、うめえな。」

「!!」

「どうした?」

「隊長、変な音がします。雷のような、地響きのような?」

隊員のうち別の一人があたりを双眼鏡でのぞく。

「た、隊長!来ました。て、敵です。」

「なにい!」斉藤はその隊員から双眼鏡をとりあげて自分ものぞく。

土煙をあげてザバイバルの戦車隊が近づく様子が見える。

「きやがったな。全員、散開だ。」

ここで雪歩ファンの副隊長永倉がヤマトに通信した。

「通信班長の萩原大尉ですか?こちら空間騎兵隊の永倉です。」

「は、はい、こちらヤマト萩原雪歩ですぅ。ど、どうしましたか。」

「敵です。敵の戦車隊です。」

「雪歩、座標を教えてもらって。」

「げ、現在位置の座標、お、おしえてください。」

「送ります。」

「艦長、座標来ました。」

「小鳥、出番よ。テレザートの北緯38°27′、東経93°38′の地底都市から外れた平原。敵戦車隊を見つけたら背後から攻撃。」

「了解、航宙隊、発進します。」

 

「こちら、斉藤だ。なんか永倉のやつが通信班長に連絡したみたいだが。」

「はい、こちらヤマト天海です。」

「なんだ、リボンの姉ちゃんか。永倉から聞いたと思うが都市のはずれの平原で敵戦車隊の攻撃を受けている。多弾頭砲をもってきてくれ。」

「了解。秋月技師長とそちらへ向かいます。」

「こちら、天海。揚陸艇降下します。」

律子は、春香とアナライザーを揚陸艇に載せて、テレザート星地底空洞へ降下していった。

 

「よし、あの岩陰にかくれろ。お前はあそこだ。」

空間騎兵隊は、あちこちの岩陰に隠れ、手榴弾、携帯用対戦車砲や機銃でザバイバル戦車隊を攻撃する。爆煙があがり、何両かの戦車は炎上するものの、何百両もの戦車の砲撃で苦戦は免れない。

三連装砲塔の戦車のキューボラから顔をだしたザバイバルは周囲を見回し、遠方で抵抗する空間騎兵隊をみて

「白兵戦部隊はいるようだが、いかんせんすくなかったようだな。ヤマトのネズミどもめ。

帰る家をなくしてやるぞ。」

ザバイバルは揚陸艇を発見すると砲撃を命じた。

 

「隊長!」

「なんだ?」

「揚陸艇が; 」

斉藤が後ろを見ると揚陸艇が砲撃を受け炎上していた。

 

ザバイバルはその様子を遠方から見てにやりと笑うがそれも一瞬だった。

「ザバイバル隊長!」

「うしろからヤマトの艦載機が!」

「なんだと。」

「戦車が次々にやられていきます。」

数分後...数百両に及ぶ戦車が煙あげたり、爆発したりしていた。

「隊長、6割の戦車がやられました。」

「まだ100両は残っているだろう。やつらを血祭りに上げてやるのだ。」

 

「斉藤、助けに来てやったぞ。」山本が通信する。

「なに、お前らが来なくても十分戦えたさ。」

「なんだと。返す言葉が違わないか。そんなこというなら誤射してあの世に送ってやってもいいんだぞ。」

「山本君、もうやめて。」小鳥が山本をたしなめる。

「はい。」

 

春香と律子をのせた揚陸艇がようやく斉藤たちのいる戦場に到着する。

「斉藤さん。多弾...」

「よお。リボンの姉ちゃん。」

「あのう、天海春香です。」

(デスラー総統といい、この人といい...。リボンがわたしの本体じゃないです><)

「いや、そのリボン取ったら誰だかわからなく...。」斉藤が言いかけると

そのとき騎兵隊員が斉藤をたしなめるのと春香が通信機をとって「閣下」モードになったのは同時だった。

「隊長、それはさすがに失礼です。」「山本さん!爆撃していいわよ。私が許可する。」

「春香!」

「春香ちゃん、それ冗談にならないから。」

「戦闘班長。今のはさすがに引きました。

音無隊長、本当にすみません。斉藤、俺がいいすぎた。すまん。」山本が謝った。

 

「春香。いろいろいいたいことはあるかもしれないけど、とにかくこれを組み立てるの手伝って。」

「はい。」

「斉藤さん、組み立てに時間がかかるの。もう少しがんばってくれないかしら。」

「わかった。眼鏡のねーちゃん。あわてず、あせらず、急いで頼むぜ。」

律子は無表情になった。顔には出さなかったが内心は憮然としている。

「春香。気持ちがよーくわかったわ。」

「はい。律子さん。でも、さすがに斉藤さんたちまで多弾頭砲でまきこもうかなんて99%は考えなかったでしょう。」

「ええ。でもいやに重みのある1%なのはまちがいないわ。」

二人は笑いあって多弾頭砲の組み立てをはじめた。

 

「よし。コスモ手榴弾をもて。突撃するぞ。」

「おお!」

空間騎兵隊は、戦車の死角から乗り移ってキューポラの内部に爆弾を投げ込んだりする者、敵兵を戦車から放り出して戦車をのっとる者など白兵戦のプロの本領を発揮する。

律子が組み立てた多弾頭砲を検査している。春香はその間にヤマトに救命艇の派遣を依頼していた。

「春香、完成したわ。」

「空間騎兵隊の皆さんに伝えます。」

「斉藤さん、永倉さん、多弾頭砲完成しました。後退してください。」

「発射します。」律子が発射ボタンを押下すると一ダースの弾頭が上空高く発射される。

ザバイバル戦車隊の頭上で弾頭が分解し無数のミサイル弾になって、戦車のエンジン音やエネルギー反応を感知して一瞬のうちに戦車隊を爆発、炎上させる。

「ザバイバル隊長。」

「なんだ?」

「あとわれわれのほか3両ほどです。2両は敵に奪われています。」

「うぬ..こうなったら刺し違えるまでだ。」

空間騎兵隊は残った戦車を攻撃し、斉藤の乗った戦車がザバイバルを追ってきていた。




ザバイバル戦車隊を壊滅においやり、上陸の条件を整えつつあるヤマト。一方ズォーダーの謁見をひたすら待つデスラーは...

サーベラーのイメージは、自分的にはNHKで放送されていた出自のわからないプリンセスの出自をさがすという人形劇に出てくる、死の商人ランカー商会の秘書ヘドロのイメージにそっくりです。そのヘドロは赤と黒の色が好きで(2だけだがサーベラーは赤と黒の衣裳を着けている)、ヒロイン、プリンプリンについて独特の中傷というか呼び名をしていました。お分かりになった方は立派なおっさんですw(全然嬉しくねえなw)
それからサーベラー、ラーぜラー、ゲーニッツは、タイムボカンシリーズの三悪(女ボス、ヤセ、デブ)をシリアスにしたように見えて仕方ありません(奇しくもサーベラーの中の人小原さんだしw)。
年バレするおっほいネタすみません^^;

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