摂津物語   作:pzg

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おまけ編です。
青葉ファンの人は、青葉のキャラが若干おかしくなっているので、読まないほうが良いかもしれません。

注意書きを確認したうえで読んでください。
特におまけ編は、本編より好みの分かれる内容になっていますので注意してください。


摂津物語 おまけ

・初めての入渠

 

 

お風呂といえば、日本人の心のふるさと。

ということで、この体になってちょうど今日で一週間目、初めて蒔絵提督の浴場に来ました。

蒔絵提督の浴場といっても、蒔絵提督個人の浴場ではありません。

蒔絵提督の艦隊の浴場のことで、何でも艦むすが戦いで傷ついた時に、治すために入るところだそうです。

 

あ、因みに今までお風呂に入っていない、ということではないですよ。

艦むすの部屋はアパートみたいになっていて何でも揃っているのです!

 

さてさて、蒔絵提督の浴場とはどんなものでしょうか。

今日もそうなのですが、怪我することなんて無いので、これまでまったく縁がなかったんですよね。

 

あれ?

この浴場『女』って書かれたのれんが架かった場所しか無いんだけど。

というか、一つしかないよねこれ。

なんてこったい、男湯が無いではないか。

 

せっかく楽しみしていたのに…

男湯が無いと入れないではないか。

 

男…

 

 

男?

 

 

そうだ、男と言えばイケメン。

イケメンの艦隊の浴場だったら、男湯あるんじゃね?

あのイケメンなら自分用に作ってそうだからな!

 

 

----------

 

 

やっぱりあったよ男湯!

しかも凄く立派な奴!

さて、早速入るとするか!

 

スポポンっと服を脱いで、体を洗い始めます。

 

そして洗い終わったら、ザブーンとお湯に浸かりました。

いやーこれだけ広くて立派な浴場を独り占めできるとは、大満足です!

 

ガラララ…

 

 

おっと、残念!

誰か入ってきたようです。

あの顔は…イケメンですね!

私に気がつかないのか、そのまま体を洗いに行きます。

 

 

 

 

 

 

これは不味い。

 

 

何が不味いって、イケメンに何の許可を取らずに浴場を使っていることです。

既に入っているので許可もへったくれも無いですが、挨拶ぐらいはした方がいいよな。

 

 

 

 

「こんにちは」

石鹸で体を洗っているイケメンの後ろに立って挨拶しました。

 

 

 

 

およ?

 

イケメンの動きが止まったぞ?

どうしたイケメン、そんなムンクのような表情になって?

 

「せせせせせ、摂津…なのか!?」

 

「そう」

 

うん?

そんなに私がいることがおかしいか?

 

 

 

 

 

あ、そうか、そうだよな、勝手に浴場を使っているんだからな。

 

「うひゃぁあああっ!」

 

うひゃあ!?

何ですかその変な声は。

 

ってそれどころじゃない。

イケメンが逃走した!?

 

おいイケメン、そんなに体中泡だらけのまま外に出ちゃ駄目だろ!

どうしちゃったんだよ!?

とにかく、イケメンを追いかけて、浴場から私も飛び出します。

 

「追いかけてきた!?」

 

おい、何だそりゃ、心配して追いかけてきたのにそんな言い方は無いだろ!

とにかく、イケメンの手を掴んで、浴場に連れ戻して、体中の泡を落とさないと。

 

むんずっとイケメンの手を掴み、浴場に向けて引っ張ります。

イケメンと私の体格差を見ると、とてもイケメンを引っ張ることなど出来ないように見えますが、私は艦むすです。

陸上では海上のようなパワーは出ませんが、それでも人間の非じゃないのですよ。

 

「摂津、離してくれ!」

 

「駄目です」

 

「頼む、頼むよ、提督、これは提督命令だ!」

 

「止めて下さい」

 

「そんなこと言わずに!提督命令なんだから聞いてよ!?」

 

大人しくするのです。

まったく、浴場でこんな大声で騒ぐなんて子供ですか!

恥ずかしいから止めて下さい!

 

「いったい何事ですか!」

 

ほらっ、大声を出すから、何事かと見に来ちゃったじゃないですか!

しかも、よりにもよって加賀さんが来ちゃいましたよ!

これはちょっと不味いですね!

加賀さんは凄く真面目で、ふざけた行動には厳しい人なので、しっかり事情を説明して釈明しないといけません。

 

「かかか、加賀!?これは摂津が」

 

ちょっと!?私のせいにしないでよ!

すぐに釈明しないと、私が加賀さんに怒られてしまいますよ!?

頑張れ私の口!!!

 

「提督命令だって騒いで…私は止めてって言ってるのに…」

 

騒いだのは私じゃなくて、イケメンなんです!

私は騒ぐのを止めようとしたんです!!

 

…?

なんか加賀さんの目から光が消えたような…

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督命令で艦むすを無理やり男湯に連れ込むなんて…頭にきました」

 

 

あれ、何か間違ったかな?

 

 

----------

 

 

やっちゃいました。

今の私って女の子だったんだよね。

そんな私が男湯にいればそりゃ逃げるの当たり前だよね。

はっはっはっはっ…

 

 

イケメンすまない。

今度何でも言うこと聞いてあげるから。

 

私は、頭に加賀さんの矢が刺さって気絶しているイケメンに謝ったのでした、マル。

 

 

 

・妖精さんの日常

 

皆さんこんにちは。

鎮守府の生活を紹介するこのシリーズ。

早いもので、今回で10回目となります!

 

さて記念すべき10回目のタイトルは「妖精さんの日常」です。

深海棲艦が現れると同時に世界に現れた不思議な存在、妖精さん。

今日はそんな彼女達の日常を、ちょっとだけ覗いて見ましょう!

 

ここは横須賀鎮守府にある蒔絵提督寮の一室、摂津さんという艦むすの私室です。

摂津さんは勤勉で、妖精さんとも仲良しとの評判で名高い艦むすです。

そんな摂津さんの私室の一角で、妖精さん達が集まりガヤガヤと騒いでいます。

まるで遊んでいるようでしたが、そうでは無いようですよぉ。

妖精さん達の頭上には小さな横断幕が張られており、『祝 新人歓迎会』と書かれています。

どうやら集まっている妖精さん達は、摂津さんに乗り込む妖精さん達であり、今日は新人の歓迎会のようです。

 

「まずは、新人の自己紹介からであります!

 配属の参考にするので、名前だけではなく自分の得意分野も言うであります!

 一番右の君からお願いするであります!」

 

黒っぽい服装を着た妖精さんが、集まった妖精さん達に指示を出します。

この妖精さんは、胸に『かんちょー』と書かれた名札をつけています。

特に威厳などなく可愛いだけが特徴ですが、この妖精さんは艦長のようです。

決して別の意味ではありません!

 

「松野であります!

 得意分野は砲術であります!!

 夢はアイオワ級の撃沈であります!!」

 

シュタッと音がするような勢いで松野と名乗った妖精さんが敬礼をします。

おかっぱ頭の妖精さんが敬礼をする姿は、まるで大人の真似をしている子供のようで、とても微笑ましいですねぇ。

 

「おおー!まさにこれから必要な人材であります!」

 

「「バンザーイ!!」」

 

でも、妖精さんから見れば、その姿はとても頼もしかったようです。

艦長は喜んで松野という妖精さんと握手を交わし、周りの妖精さん達は万歳をしています。

 

私たち人間や艦むすから見れば、妖精さんは子供っぽく見えたり頼りなく見えたりします。

実はそういった評価は、半分正解半分間違いであることが最近になって分かってきました。

きっとこの妖精さんも、今の姿だけでは分からない何かがあるのでしょう!

 

「次はその隣の君であります!」

 

万歳が治まると、艦長は松野の隣にいる妖精さんを指差しました。

指差された妖精さんは立ち上がります。

自信のありそうな笑顔から、何か凄い得意分野を持っているようですねぇ!

 

「伊藤であります!

 得意なことは、調音機を使って敵の潜水艦を発見することであります!!」

 

「駄目であります!!」

「駄目であります!!」

 

「どうしてでありますか!?」

 

意気揚々と自己紹介をした妖精さんですが、オロオロとしてしまいます。

自分の得意分野を周りの妖精全員に否定されたのだから、仕方ないですね。

 

「摂津さんは、調音機も爆雷も装備していないであります!!」

 

「ガーンであります!」

 

少し下調べをすれば簡単に分かることでしたが、調べるのをうっかり忘れてしまったようです。

どうやらこの妖精さんは、うっかりさんのようです。

可愛いですねぇ。

 

「最後は、あなたであります!」

 

最後に茶色い服を着た妖精さんの出番になりました。

この妖精さんは、他の妖精さんと明らかに服装が違います。

これはまさか…あ、視聴者の皆さんも分かっちゃいましたか?

 

「吉田であります!

 戦車を扱わせたら、さいきょーであります!

 ルソン島で暴れられなかった分、深海棲艦相手に暴れてヤルであります!!」

 

 

「………戦車?

 

 

 どうして陸軍がいるでありますか!?」

 

やっぱり、この妖精さんは陸軍の妖精さんでした。

服装を見れば一目で分かるはずですが、誰も気がつかなかったようです。

不思議なことですが、妖精さんだから仕方がありません!

 

「陸軍でも戦車があれば、深海棲艦と戦えるであります!

 摂津さんの格納庫にある瑞雲を降ろして、戦車を積めばいいであります!!」

 

「海軍としては、陸軍の提案に反対であります!!」

 

「陸軍も海軍に反対であります!!」

 

「落ち着くであります!!落ち着くであります!!」

 

ゴロゴロと妖精さんと妖精さんが取っ組み合いの喧嘩を始めてしまいます。

妖精さんであっても、海軍と陸軍は仲が悪いものなのです。

艦長が止めても二人は言うことを聞きません、困ったものですねぇ。

 

でも運の良いことに、ちょうど艦長より偉い人が到着したようです。

さあ、誰だろ?誰だろ?

 

「めっ!!!!」

 

「「「摂津さん!!」」」

 

妖精さんを叱りながら現れたのは、妖精さん達の乗艦である摂津さんでした。

喧嘩をしていた妖精さんも、それを止めようとしていた妖精さんも、慌てて摂津に敬礼をします。

とてもよく訓練されているように見えますが、妖精さんへの取材によると、訓練されたというより妖精さんにとって戦う場所を与えてくれた大恩人だから、しっかり敬意を示しているのだそうです。

いまいち意味がよく分かりませんが、喧嘩をしていた二人の妖精さんは喧嘩を止めてガクブルとなっていますね。

どうやらこれから摂津さんのお仕置きが始まるようです。

どんなお仕置きが始まるのしょうか?

気になって仕方がありませんねぇ!

 

「喧嘩するなら、あげないよ?」

 

「「えええー!?」」

 

摂津さんのお仕置き内容に、喧嘩をしていた妖精さんは世界が終わったような悲鳴を上げています!

実は新人歓迎会のめいんでぃっしゅは間宮の羊羹であり、妖精さんは甘いものが大好きな女の子。

そして摂津さんは、その羊羹をあげないと言っているのです!!

これは効果的なお仕置きです!

 

「はい、仲直り」

 

そう言うと摂津さんは羊羹を切り分け、両手に一つずつ持ちます。

そして、喧嘩をした妖精さんに一つずつ渡しました。

どうやら、仲直りするなら食べていいよと言っているようです。

さあ、いったいどうなってしまうのでしょうか!?

 

「海軍としては、摂津さんの提案に賛成であります!」

 

「陸軍も、摂津さんの提案に賛成であります!!」

 

 

 

「「「ばんざーい♪ばんざーい♪ばんざーい♪」」」

 

摂津さんの鮮やかな仲裁によって、妖精さん達はあっという間に仲直りしてしまいました。

陸軍も海軍も、摂津さんと甘いものには勝てないようです。

一時はどうなるかと思いましたが、めでたしめでたしですねぇ。

 

 

おっと、ちょうどここでお時間となってしまったようです。

どうでしたか?

ほんの少しですが妖精さんの日常が分かったでしょうか?

私達は深海棲艦との戦いと聞けば、提督と艦むすのことばかりに頭が行ってしまいます。

しかし、妖精さんも深海棲艦との戦いでの重要なパートナーなのです。

あなたも、摂津さんのように妖精さんと語らってみたらどうでしょうか?

 

 

 

 

以上「横鎮レポート」でした。

 

 

 

 

『作成 春人提督艦隊 青葉』

 

 

 

『この動画は妖精さんの生の生態を広く知り、ひいては深海棲艦との戦いに勝利するという正義のため、あえて被写体に撮影の事実を伏せて作成しております。

 視聴者の皆様には「人類の未来と正義のために」、妖精さん並びに摂津さんに動画の存在を知らせないようお願いいたします』

 

 

 

・妖精さんの日常2

 

皆さんこんにちは。

鎮守府の生活を紹介するこのシリーズ。

今回は前回大反響を頂いた『妖精さんの日常』の第二段です。

「妖精さんが可愛かった」「陸軍の妖精さんがいるなんて驚いた」「艦むすの私室が覗き見れて興奮した」など、数々の書き込みありがとうございます。

このシリーズを続けられるのも、ひとえに皆様の熱い応援のおかげです。

青葉がんばっちゃいます!

 

それでは早速、今回も摂津さんの私室にお邪魔してみましょう。

 

「みんな集まったでありますか?

 これより、新人向け講習会を始めるであります!

 まず最初に、摂津さん以外の重要人物を紹介するであります!」

 

どうやら本日は、第一弾に登場した新人妖精さん達の講習会のようです。

きちっと並べられた机に妖精さんが座る姿は、まるで小学校みたいですねぇ。

 

「まずこちらが、蒔絵提督であります!」

 

教師役の妖精さんの後ろに、蒔絵提督をローアングルで撮影した映像が流れ始めました。

色々と見えてはいけないものが写っていますが、妖精さんの身長を考えれば不可抗力です。

 

「蒔絵提督は摂津さんの上司であります!

 霊力は少ないでありますが、優秀な提督であります!

 霊力を除いた成績だけでハンモックナンバーを決めるなら、一桁台との噂であります!

 何か困ったことがあれば、摂津さんか蒔絵提督に相談するであります!」

 

「「「了解であります!」」」

 

「いい返事であります!」

 

映像が切り替わりました。

次は春人提督のようです。

 

「春人提督は変態であります!」

 

「「「了解であります!」」」

 

酷い言い様ですが、事実なので仕方ありません。

映像でも春人提督が夕立さんと時雨さんに「お手」とか言っています。

あ、夕立さんに噛み付かれましたね。

自業自得です。

 

「次は、この人であります!」

 

次は、春人艦隊の龍驤さんのようですね。

海上で摂津さんに龍驤さんと蒔絵提督が抱きついている映像が流れていますが、どうやって撮影したのだろうなどと考えてはいけません。

妖精さんとは、そういうものだからです!

 

「龍驤さんであります!

 軽空母であります!駆逐艦では無いであります!

 龍驤さんは摂津さんの友達以上恋人未満であります!

 摂津さん、蒔絵提督、龍驤さんで三角関係になりそうであります!

 巻き込まれないように、注意するであります!」

 

「「「了解であります!」」」

 

ほわわっと顔を赤くしている妖精さんが何人もいますが、これでも妖精さんは大真面目なのが面白いですねぇ。

 

「何してるの?」

 

「「「摂津さん!!」」」

 

ここで摂津さんが登場です。

よーし、これでいい絵が撮れますよ!

今回も総合ランキング1位はいただきです!

 

「皆さんの紹介であります!!」

 

「そう」

 

「どうしたでありますか?」

 

「あれは、妖精さんが取り付けたの?」

 

「何のことでありますか?」

 

「そうなんだ」

 

摂津さんがこちらをカメラ目線で見ています。

敵はまだこちらには気づいてないよと言いたいところですが、どうやらカメラがばれてしまったようです。

ここで視聴者の皆様に重大なお知らせがあります。

 

実は今回の放送は生放送だったのです。

皆様の反響によっては、この後『摂津さんの日常』という新コーナーに突入しようかと思っていたのに残念無念です。

皆さんさようなら、さようなら、さような「青葉何してるの?」

 

 

----------

 

 

クローゼットの中に青葉さんがいた。

どういうことなの?

青葉さんって私と龍驤ちゃんが付き合っているとか、とんでもない誤報を出して、私と龍驤ちゃんで追いかけ回した人だよね!?

こんな所でいったい何やってんの!?

 

「きょーしゅくです!妖精さんが可愛くて、青葉じっとしていられなくなりました!

 悪いとは思ったのですが、どうしても妖精さんを近くで見たくて勝手に部屋に入ってしまいました!!!」

 

!?

 

なんと、青葉さんも私と同じ妖精さんの可愛さに気がついた人だったのですか!!

そうかそうか!

青葉さんも妖精さんの可愛さが分かりますですか、そうですか!!!!

 

「ん、近くで見る?」

 

「ええ!?今のを信じ!?あ、いやそうですね取材させていただきます!!」

 

 

 

その後青葉さんと一緒に妖精さんと遊びました。

妖精さんも喜んでくれたし、青葉さんもうれしそうにしていたし、とても楽しい一日でした!!

新しい友達が出来たよ!やったね妖精さん!

 

でも、その話を蒔絵提督と龍驤ちゃんに話したら血相を変えて飛び出していったけど、どういうことだろう?

 

 

 

 

 

その日、青葉の人気コーナーがひっそりと終了したそうな。

めでたしめでたし?

 

 

~どうでもいいおまけ編 終~




今後については未定です。
もしかしたら、他の連載に影響が無い範囲で、続けるかもしれません。
ですが、プロットがしっかり固まり、他の連載に影響が出ないぐらいの短期間で書ける状態で、一気に書くという状況になると思いますので「いつぐらいに投稿」と明言するのではなく、ある日突然今回のように数話まとめて投稿するという形になると思います。

なお、独自設定や裏設定などを沢山作ってから書いていますので、文中で意味や理由が分からない内容などあるかと思います。気になるようでしたら、質問してください。お答えいたします。

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