転生者・暁 遊理の決闘考察   作:T・P・R

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Fateの二次創作書きたいなぁ→しかし未完の作品をいくつも並べるのはどうなのか→ならばキリのいいところまで、せめてサイバーブレイダ―を開放してあげないと。

というわけで続き再開です。
正直忘れられていると思いますが、一応けじめとしてあと一回は遊理に決闘させます。

Fateに限らず、SAOとかAWとかHPとかFTとか書き始めたい作品は多々ありますが、完結させられるかとなると途端に………

ちなみに僕はゼロのキャスターコンビが大好きです。
それと同じくらいライダーコンビも好きです。
行為はどうであれ仲良しなのは良いことです。


幕間
10話


私こと暁 遊理がデュエルアカデミアに入学してから、ずいぶんと月日が経過しました。

春、夏も終わり秋も中ごろ、もうすぐ冬です、冬休みです。

 

「みたせみたせみたしてみたせと………くりかえすつどに4度………」

 

『5度よ』

 

「あれ、そうでしたっけ? みたせみたせみたしてみたしてみたせ、うん。今度こそ間違いなく5度。ただみたされるときをはきゃくする………合ってますよね?」

 

『一応、呪文は合ってるんだけど………なんだろう、正解不正解以前の問題として致命的に何かが間違っている気がするわ』

 

「奇遇ですねココロちゃん、私もです」

 

それなのに私はいったい何をやっているんでしょうね。

というか、本当にこれは精霊を呼び出す呪文なのでしょうか?

なんとなく別のものが呼び出されそうな手ごたえなんですが。

 

客観的に見ても不可解極まりない光景でしょう。

草木も眠る丑三つ時、こっそり忍び込んだアカデミアの図書館(図書室にあらず)で、ろうそくの明かりのみを頼りに本物かどうかも定かではないやたらと年季の入った魔術書(古本屋で税込み5万円也、おかげで金欠気味です)を片手に首をかしげながら精霊召喚の儀式を遂行している私。

そんな私の目の前には私の血で書いた魔法陣(おかげで貧血気味です)、陣の中心には大枚をはたいてわざわざ購入したレアカード『人造人間サイコショッカー』(おかげで貯金もゼロです)、隣には儀式を見物している『心変わり』の精霊であるココロちゃん。

そして背後には全ての発端たるオベリスクブルーの男子3人組。

 

改めて思います。

カードゲームの学校まできてなんで私は心霊術の真似事なんかしているのでしょう?

 

「すげえ………」

 

「ああ、さすが遊理さんだ」

 

自他ともに認めるオカルトマニアであるオベリスクブルーの男子3人が熱っぽく目を輝かせて何やら囁きあっているのが聞こえてきます。

自らの趣味に一直線で周囲の理解を顧みないタイプの、所謂マニアと呼ばれる人間であり、何かとエリート志向で高飛車な普通のブルー生徒とは別の意味で付き合い方に困る人たちです。

世の中には酔狂な人がいるものですね。

 

と、そんなことを考えているうちに、精霊からのコンタクトを受信しました。

私も含めたこの場にいる4人の署名が書かれた誓約書(ギアスロール)がひとりでに浮かび上がって光り輝き、誰も触れていないはずのウィジャ盤がガタガタと音を立てて文字を指し示します。

 

うおお、と畏怖とも称賛ともつかないうめき声をあげる3人組。

 

「え~と何々? 『さんにんのいけにえをささげろ。さすればわれはよみがえる』………あれ? 私たちが呼ぼうとしてるのってサイコショッカーの精霊ですよね? なのに生贄3人って………」

 

『なんかすごい欲張りというか重たいわね、神にでもなったつもりなのかしら?』

 

全くです。

上級モンスターでありながら生贄が1体で済むという『軽さ』こそがサイコショッカーの利点の1つだというのに。

………いや、それ以前の問題ですよこれ。

 

「どうしますか高寺君? 生贄が必要みたいですけど」

 

「大丈夫ですよ。生贄なんて3体と言わず10体でも100体でも」

 

そういって大量のカードが乱雑に詰め込まれたかばんを持ち出してくる3人。

 

「何枚あるか数えてないけど、これだけあれば十分でしょう」

 

「ああ、こんな屑カードならいくら失っても痛くないしな」

 

「違いない」

 

「いや違いますよ?」

 

そんな精霊(カード)に対する敬意のかけらもない彼らの物言いに若干イラっとしつつ、私はなにやら勘違いしている彼らを訂正します。

 

「3体じゃなくて3()です」

 

「「「………え?」」」

 

「いやだから、リリースコストじゃなくて生贄です」

 

要するにこのサイコショッカーの精霊はカードじゃなくて人間の生贄を3人用意しろって言ってるんですよ。

いやもう悪霊でいいんじゃないすかねこれ。

人間3人も要求するサイコショッカーとか重い軽い以前の問題として普通に害悪です。

 

『不必要にバカ丁寧に儀式をし過ぎたわね、調子に乗って付け上がっちゃったんだわ』

 

「嘆かわしいですね。真摯な対応には真摯な姿勢で返すのが礼儀でしょうに」

 

『そういう礼儀が通じないから悪霊なんでしょうよ』

 

「………ま、そんなの用意できっこないので丁重にお帰りいただきましょうか」

 

『できるの?』

 

「無論です」

 

用意した誓約書はあらかじめ一部を少し書き変えてあり、署名した人全員の合意があれば儀式を中断して精霊をクーリングオフできるようにしておいたのですよ。

今まで散々精霊に一方的にやられてきた私も学習しました。

今夜の私に抜かりはありません。

 

「さあ、高寺君、向田君、井坂君みんなでこのギアスロールにサインを………あれ皆は?」

 

ふと、振り返るとそこには私以外誰もいない真っ暗空間が。

放り棄てられたらしいカバンの口からカードが零れ落ちています。

 

「ちょっ、3人ともいったいどこに!?」

 

『遊理が生贄の定義を訂正したあたりから逃げ出してたよ。3人とも』

 

「んな!?」

 

ちょ、ちょっと待って下さい、それじゃ………

 

焦る私を置いてけぼりにして魔法陣からズモモモと背の高い人型の機械族モンスターが現れて―――

 

『……問おう、貴様が我が召喚主にして生贄か?』

 

 

 

 

 

 

「―――っは!?」

 

『あ、おはよう遊理。いや、まだ夜なんだけどね。またなんか凄いうなされてたみたいだけど?』

 

汗びっしょりになって目を覚ました私を、いつものようにココロちゃんがからかい7割気遣い3割程度の言葉を投げかけてきました。

ふと窓から外を見てみれば、空は雷鳴轟く大荒れの雨模様。

雷にびっくりして目を覚めるとか子供かと自分でも思いますが、今回ばかりは目覚めることが出来てよかったです。

 

「イヤな夢を見ました………」

 

まだまだ空は暗いですが、もう眠れる気がしません。

 

『うん、いつも通りだね。当ててみようかな。………そうね、決闘王が憑依(?)した神楽坂君にバーサーカーソウルドローモンスターカード16連コンボを食らった時の夢と見た!』

 

「とりあえず外れです。 ってか思い出させないでくださいよ………」

 

デュエルアカデミアで開催された決闘王のデッキの展示会。

開催前夜にフライングしてこっそり覗いてみようぜと十代君に誘われ、ホイホイついていったのが運の尽き。

私は事情がよくわからないまま、武藤遊戯のデッキを盗み出した神楽坂君と遭遇して決闘(デュエル)する展開に。

 

神楽坂君。

決闘者(デュエリスト)の才能はあってもデッキ構築が下手だったラーイエローの生徒。

デッキ構築の才能はあっても決闘者(デュエリスト)の素質がなかった私とはちょうど真逆の特性を持っている彼でしたが、強いデッキを手にし欠点を克服した彼はそれはもう鬼の強さで、デッキの中のモンスターカードをきっちり全部使いきってのオーバーキルをぶちかましてくれました。

いったい私の何が神楽坂君の逆鱗に触れたというのでしょう。

 

夜だった上に十代君ともはぐれていたので「もうやめて、遊理のLPはとっくにゼロよ!」って止めてくれる人が都合よく周りにいるはずもなく、魔道騎士ブレイカーにさながら格闘ゲームのごとく空中連続コンボを決められて遥か彼方に吹っ飛ばされた私はそのまま星になりました。

落下地点が海で良かったです。

今でもたまに夢に見るんですよ………今日は違いましたけど。

 

『じゃあ、何の脈絡もなく突然現れたサルにさらわれて危うく18禁な展開になりそうになった挙句、捕まえに来た飼育員さんに麻酔銃を誤射されて崖落ちした時の夢とか』

 

「それも外れです。ってか思い出させるな!」

 

あの時はわけがわからな過ぎてどうにかなりそうでした。

明日香さんや十代君たちと一緒に失踪した万城目君を探しに行ったと思ったら、出てきたのはデュエルディスク装備した謎のサル。

麻酔で朦朧としていたせいで動けなかった私をさらったサルを崖まで追い詰めた十代君が「俺が勝ったら人質(ゆうり)を解放しろ! 俺に勝てたらお前は自由だ!」とかなんとか叫んで決闘を始めて………決闘(デュエル)の衝撃で崖が崩れ私はそのまま海ポチャしたのでした、勝敗関係ないじゃん。

麻酔の影響を気力のみで克服し私が何とか陸に這いあがったとき事態はすでに大団円………あんな目にあったのに蚊帳の外って酷くないですか。

我ながらよく生きて帰れたものです。

 

というか、海に落ちすぎじゃないですかね私。

もはや様式美というか、ギャグアニメみたいな頻度で星になってる気がします。

 

『う~んこれも違ったか、ここ最近では間違いなく一番ダイ・ハードな体験だったはずなんだけど………それじゃヤンデレ後輩に誤解されてほうちょ』

 

「違う!」

 

早乙女さんとはあの後ちゃんと話し合って和解したんですから!

何より後腐れなくキッチリカイザー亮さんにフラれて失恋したからその話はもう終わったんです。

………終わりましたよね?

そういえば、最後に分かれた時の早乙女さんの十代君を見る目がちょっと桃色っぽかったような………そして十代君と話す私を見る目が少し………ちょっと不安になってきました。

 

『ああ~もう候補が多すぎるわ。参った降参! 遊理の勝ち』

 

「ひと欠片も嬉しくない………」

 

不幸なんていつもの事といえばそれまでなんですが、何度そんな目にあっても一向に慣れません。

というより希望を捨てきれないというか。

哀しきかな決闘者の性です。

くるわけない、くるはずがないと、どれだけ自分に言い聞かせてもカードを購入するのを止められないんですよね。

 

『なんかいつかギャンブルで身を滅ぼしそうな、いや、ある意味すでに滅ぼしかけてるのかな………で、正解は?』

 

「………サイコショッカーの件です」

 

『あ~あれか、そうそうあれも相当きつかったわねぇ』

 

しみじみ語るココロちゃん。

そう、あれはまだ冬休みに入る前のこと。

『デュエルモンスターズの精霊について何卒ご意見を!』とかなんとか叫びながら突然押し掛けてきた高寺君、向田君、井坂君の3人組。

自分たちをデュエルのオカルト面を研究する集まり『高寺オカルトブラザーズ』と自称し、大徳寺先生の錬金術授業で一番の理解を示し、決闘でも他の決闘者とはまるで違う異質なプレイングをする私をスカウトに来たのでした。

彼らは一方的に私を心酔して一方的に私の周りに集まり………気づけば私は彼らと一緒にサイコショッカーの精霊を呼び出す儀式をする流れに。

結果、悪霊の中の悪霊を呼び出すことに大成功してしまい、あわや私は自業自得で捕らわれの身になったのでした。

 

その後、いろいろあって十代君に助け出されるのですが、そもそも私は一体何処で何を間違えたんでしょうか。

手抜きは一切せず、保険だってちゃんと用意したのに。

 

『手抜きしなかったのが間違いなんじゃないかな。遊理はもう少し加減を知るべきだと思うわ。誰もあそこまで本格的な儀式やれなんて言ってなかったのに』

 

「………一理ありますね」

 

最後に加減したのはいつでしたっけ?

少しでも手を抜いたら転落するような低空飛行が当たり前になりすぎて力の抜き方なんてわからなくなってしまいました。

 

遠い目をしだした私に気を使ってか、話題を変えるココロちゃん。

 

『思えば、あれからだよね。遊理に悪魔とかそういうあだ名というか異名が付き始めたのは』

 

「あ~確かに。広がったのはあの一件からですね」

 

あの一件のせいで『私がオベリスクブルーの男子3人を生贄に悪魔を召喚しようとした』なんて真実と虚実の隙間を通すような微妙に絶妙な噂がアカデミアに蔓延した結果、待ち受けていたのはアカデミア中からの悪魔呼ばわりです。

格だけでいえば明日香さんの女王の異名に匹敵しなくもないかも………無理やりポジティブに解釈しようとしましたが無理でした。

その後、十代君たちの助けもあり何とか誤解は解けたんですが、それまでの学校生活は針の筵もいいところでしたし。

 

『誤解、誤解ねぇ………悪魔呼ばわりは別に誤解じゃないような気もするけど? あのタイタンとかいう自称闇の決闘者にも去り際に言われてたし』

 

「む、あれはちょっと羽目を外し過ぎたというか必死だったというか、それ以外に手がなかったというか………」

 

まあ、確かに一番最初に私を悪魔呼ばわりしたのはタイタンさんなんですけど。

あの時は悪魔(デーモン)使いが何を言っているのやらと呆れたものですが、今思えばそういわれてもしょうがないようなプレイングをしてたような………

 

『いや、ようなじゃなくてあの時の遊理は客観的に見ても十二分に悪魔的デュエルしてたわ』

 

何やら畏怖とも称賛とも取れないコメントをするココロちゃんに私は苦々しく笑うしかありませんでした。

あの後、結局どうしたんでしょうねタイタンさん。

3日どころか10分ほども粘ることなく捨て台詞残してデュエルを放棄しどこかにいってしまいましたけど。

その後は十代君曰く、デュエルで負かしたらいきなり『本物の魔法みたいに目の前から消えた』らしいですが………

 

「本物………かぁ」

 

『ん? 何か思うところでも?』

 

「いやね。クラスのみんなは今でも私の事よく悪魔呼ばわりするんですけど、それって本物の悪魔族の精霊なダーク・ネクロフィア(フィアちゃん)とかトーチ・ゴーレム(トーちゃん)とか心変わり(ココロちゃん)からすれば、ちょっとばかり失礼な話なんじゃないかなと。どうも、私こと暁遊理は悪魔であります! なんて名乗っちゃっていいものかどうか」

 

ちなみに私は悪魔以外にもいろんな呼ばれ方をしています。

 

『自爆神』とか『裏切られの魔女』とか『ルールブレイカー』とか。

 

自爆スイッチを多用して、事あるごとに自分のモンスターに攻撃され、デュエルのルールそのものに喧嘩売ってるようなプレイングをすることからついたあだ名なんですが………私としてはどれもこれも嬉しくないあだ名です。

女王とかカイザ―とまでは言いません、だけどこう、もっとポジティブな………

 

『うーん、どうなんだろ。もともとそういう種別は人間が勝手に決めた枠組みに過ぎないわけだし。ぶっちゃけ私達精霊からすれば、悪魔も天使も戦士も魔法使いも、強弱こそあれ皆等しくデュエルモンスターズの精霊でしかない………ってちょっと待ちなさい、今なんで私のことナチュラルに悪魔族扱いしたの?』

 

「なるほど。つまりは貴族も豪族も皇族も、暴走族も通勤族もひょうきん族も、生物学的にはみんな同じ人族、みたいなもんですかね?」

 

『そ、その例えはともかくとして、まあ間違ってはないかな………あ、私は天使族だからね?』

 

結局は、カードの属性も異名と変わらないのか。

精霊の世界もいざ蓋を開けてみればそんなもんなんですね。

 

『………あ、待って。例外があったわ』

 

「例外?」

 

『神』

 

ココロちゃんは、至極あっさりとその名を口にしました。

 

オシリス、ラー、オベリスクの三幻神。

 

この3体、いや3柱に関してだけは正真正銘本物の神なのだとか。

 

『ついでに教えとくわ遊理。デュエルアカデミアにも神がいるわよ』

 

「えぇ? そんなはずありません。だって………」

 

三幻神のカードはとっくの昔に紛失して………………。

 

「………まさか、三幻神以外にも神が?」

 

『うん、いる。感じるのよ。神気とか邪気とか瘴気とかそういう系の何かを。少なくとも神と同格かそれ以上にヤバい精霊がデュエルアカデミアのどこかにいるわ』

 

 

また、雷鳴が轟きました。

稲光に照らされて、闇の中を飛ぶ何かを見た気がしました。

 




こんな目に合っていても、上には上がいるんですよね(血界戦線を視聴しつつ)

そんなわけで、時系列をダイジェストで飛ばしつつ一気に七星王(セブンスターズ)編突入です。
遊理が決闘するところまでは割と早めに投稿できると思います。


Fate二次を書きたいとか言っておきながら(実際書くかどうかは未定)原作未プレイというのはいかがなものかと思ったので最近FGO始めました。
ガチャが渋いことで有名ですが、幸いながら遊理と違ってリアルラックにはそれなりに自信ありです。

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