ログ・ホライズン ~落ちた浮遊城アインクラッド~   作:マスカルウィン

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次から2章と言ったな! アレは嘘だ!
というか、一話の為に章つけるのもったいないので
次からタイトル付けます。
今回はオリジナル? ストーリです。

6000文字……前半後半とかに分けて更新スピード上げたほうがいいのか
それともこのままで行ったほうがいいのか難しい。


キャラクターエピソード
第十一話 キリト編


 俺とクラインの二人は、黒剣騎士団のギルドメンバーとそのギルマスと共に、ススキノに再度向かっていた。

 その理由はただ一つ、ススキノを開放するためである。

 

「でなんで俺たちは、黒剣のギルマスと同じ馬車なんだよ」

「いやぁな? やっぱりギルマスとか言われてるけど根っこはゲーマーだからな」

「つまり、俺たちが持ってるスキルに興味があると」

「そういう事だな」

 

 あの会議ではどちらかと言えば不正容認、NPCに感情は無いといっていた人がここまで丸いというかなんというか、面食らってしまった。

 こういうおおらかな性格だからこそ、ギルドマスターを張っていると言うべきなのか。

 

「クラスティにも言ったが、スキルの詮索はマナー違反だぞ」

「いや、そうは言うけどさぁ。 気になるだろ? な? お前さんたちだってゲーマーだからこの気持ちわかるだろ?」

「そりゃわかるが……。 しゃーないキリト俺がソードスキルを見せるわ」

 

 そういうとぐらつく馬車の中でクラインは立ち上がる。

 

「いやしかし、俺がススキノに同行したいと言ったから、俺がやるべきではないのか?」

「ままま、俺だって注目浴びたいしさ、アイザックさん。 俺が使うスキルは他言無用だぞ? 勿論馬車を操作してる彼も」

 

 いつの間にか振り返って中の様子を見ていた、レザリックが苦笑いをしていた。

 クラインは腰に装備されていた霊刀カグヅチを抜く。

 アイザックが嬉しそうな笑顔を見せる中、キリトはいやな予感がした。

 クラインの刀が光り、キリトは慌てて頭を下げる。

 キリトの予想通りというか、風の力を纏ったクラインの刀は、俺たちが乗る馬車の荷台部分の布を吹き飛ばした。

 その後クラインとアイザックは、レザリックに野宿するポイントで叱られていた。

 

 シロエは三日月同盟が遠征する場合は1ヶ月半ぐらいかかると言っていたが。

 黒剣騎士団の皆は、それ以上のスピードでススキノに到着した。

 日数にすると片道15日、往復するだけなら1ヶ月で出来る計算になる。

 それでもワープポイントがあるときに比べたら面倒だとアイザック達は言っていたが。

 

 ススキノの城壁が見える地点で静かに野宿をする。

 

「さてもうすぐでススキノに到着するわけだが、何か策はあるか?」

 

 アイザックはレザリックを初めとする、幹部プレイヤーと俺に問いかける。

 

「ここに居るプレイヤーでススキノにせめて、一気に全員救出じゃダメなのか?」

 

 クラインが一番簡単、何も考えないという作を提示するが、レザリックはそれに対して首を振る。

 

「その作戦は今回は使わないほうがいいでしょう。 理由はススキノでは戦闘が出来ませんした場合守護者が現れ、私たちが殺されてしまうのです」

「ダメか……」

「んじゃ<<冒険者>>を囲って行動するのは?」

「それでもいいですが、範囲魔法を使われると全員もろともやられません? その場合は相手も神殿送りされるとは思いますが」

 

 中々いい案が出ないので悩んでいると、森の奥から感じる視線に違和感を感じる。

 俺は索敵スキルを使い、違和感を確かめると、何も書かれていない地図に小さい緑色の光点が見えた。

 今俺が居る場所が真ん中だとすると……多分こっちのほうか。

 

「悪い皆、ちょっと周辺探索してくるわ、なんか抜け道とかあるかもしんねーし」

「おう、気をつけろよ!」

 

 アイザック達に見送られ、野宿の場所を少し離れる。

 何度か索敵スキルを使いながら、緑色の光点、恐らく他のプレイヤーが居る地点を目指す。

 少しだけ開けた場所に、一人の<<冒険者>>が座っていた。

 確か……シルバーソードのギルドマスターのウィリアムだったか?

 円卓会議の後姿が見えないと思ったら、こんなところにいたのか。

 

「それで何かようか?」

「明朝脱出を願っている<<冒険者>>をススキノから脱出させる。 お前らで助けてやれ」

 

 驚いた言葉だったが、頷こうとした時に考えにブレーキを慌ててかける。

 

「信用していいのか?」

「好きにしろ、どちらにしても明朝多くの<<冒険者>>が路頭に迷う事になる」

「そうか、条件を追加して欲しい<<冒険者>>だけではな<<大地人>>にも声をかけて欲しい」

「<<大地人>>も? デミカァスに悟られないように動かすのは少々骨が折れるが、まぁ大丈夫だろうわかった約束しよう」

「再度問いかける事になるが、信用していいのか?」

「――、俺は放蕩者の茶会に憧れてレベルを上げていた。 それだけでは信用の証にならないか? 円卓会議ではあんな言い方で席は立ったが、それなりにシロエ達のことは凄いと思うし、尊敬してるんだぞ?」

 

 ティーパーティ……確かシロエ達が所属していたところの名前か。

 なんだろうこう、男のツンデレ以上に面倒な事はないな。

 まぁこれで相手が女性だったら、後でアスナにとやかく言われそうな予感がするが。

 

「わかった、信用しよう」

「助かる、そして円卓会議には俺達がここにいる事を絶対に教えて欲しくないんだ、少々理由があってな」

「わかった。 それについては約束する」

「そして次からが本題だ、何故お前を呼び出したかだ」

 

 やっぱり、アイザックなら円卓会議に報告せずに協力したのだろうが、何故わざわざ俺にわかるように居たのか気になっていたのだ。

 

「俺達はお前達が円卓会議を作っている間も、レイドボスに何度か挑んでいたのだが、その中で現れたお助けキャラ……古来種にお前に伝言を頼まれたんだ」

「お助けキャラって言うとNPCか?」

「今でこそNPCと人間の区別はつかねーけどな、ちなみにそいつも俺達からすれば人間にしか見えなかった。 話を戻すぞ?」

 

 俺にはこの世界に友人なんて居ない、更に言えばこのゲームに限っては初心者も同然。

 チュートリアルキャラにもあった事が無いんだが、一体誰が。

 

「キリト、君の剣と青薔薇の剣は今セットで僕の手元にある。 預かっておくから時期が来たら返すね。 だそうだ」

 

 息を呑む。

 そんな事を言うやつはひとりしか知らない、そもそも青薔薇の剣の存在と俺の剣の存在を知ってるやつはそんなに多くないのだ。

 

「なぁウィリアムさんだっけ? その言葉を言った奴の名前は『ユージオ』だったか?」

「あぁ、そうだ。 やっぱり知り合いだったか」

「あぁ、大切な……大切な友人だ――」

「そうか、とにかく俺達はユージオに借りがある、その友人であるお前の手伝いはさせてもらうさ。 明朝まで待っててくれ」

「わかった」

 

 そういうとウィリアムは暗い森の中を駆けていった。

 さてと、後は明朝までここに待機させるのはどうしたものか……まぁ普通に真実を話せば問題ないか。

 黒剣のメンバーたちに先日ススキノに来た時に知り合ったプレイヤーに、脱出作戦を手伝ってもらう事を伝えると、アイザックはおおそうか! 楽になるな! と簡単にそれを受け入れてくれた。

 なんというか、アイザックが何故ギルマスを勤めているか判った気がする。

 

 そんなこんなで明朝ウィリアムが指定した場所で待っていると、ススキノから次々と<<冒険者>>と<<大地人>>が出てくる。

 アイザック達はその人たちを、あらかじめかなり余裕を持たせて用意した馬車に乗せては、出発させていく。

 とりあえずは予定通りだ。

 数百人単位の<<冒険者>><<大地人>>を場所に乗せ、キリトは違和感を感じだ。

 圧倒的に<<大地人>>の数が少ないのだ。

 ススキノに前回遠征してきた時に、虐げられていた<<大地人>>はもっと居たはずだ。

 

「悪い! 後1時間、いや2時間待ってくれ頼む!」

「それはいいけどよ黒いの、どうするんだ?」

「<<大地人>>の様子を見に行ってくる!」

 

 そう言い俺は単機ススキノに乗り込んだ。

 

 町は早朝という事なのか、静まり返ってきた。

 そのなか俺は出来るだけ音を立てないように疾走する。

 着地する瞬間、踏み込み瞬間に翅に浮力を発生させ、いつもよりも高く遠く、いつもよりも静かに町を走る。

 行く場所は決まっている、あの時見えあげた女の子が居る場所だ。

 角を曲がったところで、今から店の準備をするために出ていたのか、そこにあの時の少女が居たので話しかける。

 

「ごめん! 今日の明朝アキバの街の話は――」

 

 いきなり現れた俺の存在にびっくりしていたが、少女は俺の問いに答えてくれた。

 

「はい、知っています<<冒険者>>の人がアキバの街に送ってくれると言うお話ですよね? ここに住んでる人は多分殆ど知ってると思います」

「じゃぁなんで君はここに……、今からなら間に合う!」

 

 そう言って俺は手を引いたが、少女の足は動く事はなかった。

 驚いて俺は少女の顔を始めてまじまじと見た。

 紫色をした少女の髪の毛は、腰まで伸びており、遠目では気づかなかったが、少々小柄だが非常に美人さんだ。

 特徴的なとがった耳をしているところを見ると、エルフの血が混ざっているのだろう。

 しかし、なんというかどこかで見たことがあるような気がするのだが、どうにも思い出せない。

 

「<<冒険者>>さんは先日竜に乗っていた人ですか?」

「あ、あぁよく覚えていたな。 あの時は知り合いしか助けれなかったから、今度は皆を助けに来たんだ」

 

 そういうと、少女は申し訳なさそうな顔をしながら首を振った。

 

「いやでもここに居たら……」

「大丈夫です、前にアキバの街から来た人がかなりよくしてくれました。 普通に商売できてますし<<冒険者>>さんが心配する事なんてないですよ」

「じゃぁ、なんで君は……俺を見上げていたんだ? 助けて欲しかったからじゃないのか?」

 

 こんな事を聞くつもりは無かったのだが、言わずにはいれなかった言葉を吐き出す。

 その言葉にも少女は首を振った。

 

「確かにあの時のここは、非常に居心地が悪くて、嫌だったですけど、今はそれなりに安定してるから大丈夫ですよ」

 

 そう笑顔で言うが、その笑顔に対して何もしてやれない無力な自分をのろった。

 

「ここは私のご先祖様がずっと暮らしてきた町です。 ずっとすんでた街から<<冒険者>>さんだって移動したくないでしょう?」

「――しかし……」

「<<冒険者>>さん気にしないで下さい。 それ以上言うとおせっかいになりますよ?」

「……」

「それに……ご先祖様の遺言というか、家訓? のような物がありましてそれを守る為に、この場所から移動するわけにはいかないのです」

 

 少女は照れくさそうに笑いながら喋る。

 しかし喋りながらいつもやっているのだろう、店の準備も同時に行っている。

 キリトとしては、そんな昔からの束縛なんて守る必要なんてとこのときは思っていた。

 

「<<冒険者>>さんは「パルムの深き場所」というところをご存知でしょうか?」

「あぁ、俺たちはそこを通ってきたんだ」

「そうでしたか! 昔このススキノの周りには私のご先祖様に当たる、種族や国家が多数あったらしいのですけど、いきなりそれらが空に浮き上がったのです! その時の名残があのパルムの深き場所という所なのですが、その時のご先祖様の遺言がこの指輪を先祖代々継ぎ、この地で空に浮き上がった大地が戻ってくるのを待て! という物なのです」

 

 そういうと少女は照れくさそうに手を見せてくれた、そこには人差し指に指輪が一つ装備している。

 朝方という少々薄暗い中でもしっかりと緑色に光る指輪は……どこ、かで……。

 頭の中にひらめきと言う衝撃が入り、少女の顔をもう一度じっくりと見てしまう。

 なるほど誰かに似ていると思っていたが、俺の予想が正しければ。

 

「もしかして君は、リュースラの民……祖先はもしかしてダークエルフなのか?」

「何故リュースラ民の事を? <<冒険者>>さんはもしかしてどこかで同じダークエルフの民に会った事が?」

「えっと、説明すると長くなるが、その指輪を授かった人と一緒に戦った事がある、かなり前の話だが――」

 

 キズメルのことを思い出す、今思い出せば確かに髪の毛の色は同じだし、肌の色は薄くはなっているが褐色肌だ。

 何より見た目が瓜二つとは行かないが、非常に似ている。

 

「そうでしたか……その人は今何処にいられるかわかりますか? 出来ればお会いしたいのですが」

 

 少女の言葉に返事をしようとしたときに、眼前にシステムウィンドウが急に開いた。

 『クエスト:浮遊城アインクラッドを受諾しますか?』

 このクエストで確信した。

 この世界とアインクラッドは繋がっているんだ。

 

「前回あってみた場所に行ってみるよ、もしかしたら其処にいるかもしれないし」

「ありがとうございます。 もしその方が空に浮き上がった大地の末裔なら、一度会いたいとお伝えしてもらっても良いでしょうか?」

「勿論、約束する」

 

 その少女の台詞に連動してか、『クエストを受託しました』と言うウィンドウが流れた。

 クエストは受けたのだ、彼女かここに居る理由は無い。

 出来れば色々聞きたい事があるのでアキバの街に来て欲しいとは思うのだが、多分来てはくれないだろう。

 

「アキバの街に来る事があれば言ってほしい、案内とか護衛とかさせて欲しい」

「その時は是非、あ、えっと<<冒険者>>さんのお名前は?」

「俺はキリトと言う、すまないが君は?」

「すいません、先に名乗るべきでしたね。 私の名前はティルネル。 薬師のティルネルです。 薬の事はお任せください」

 

 俺は彼女が名乗った名前に、今日何度目かの衝撃を受けた。

 

 

「なぁキリトよぉ、ススキノの街に走り出してからずっと考え込んでるじゃねーかどうかしたのか? もしかして可愛い子が居たとか?」

「そんなんじゃないよクライン。 ただちょっと思うことがあってな」

 

 あの後ティルネルさんに、キズメルの事を聞いたが、ティルネルさんはキズメルのことを知らず、アインクラッドの事も知らなかった。

 つまるところ、あの城で無くなったティルネルさんでは無い、という事になる。

 ただ今回のススキノ遠征は、かなりの大きな収穫があった。

 一つ、この世界とアインクラッドは何故かつながりがある。

 二つ、クエストマーカーだ。

 クエストマーカーとは次のクエスト目標が何処にいるのかを指すのだが、そのマーカーが海を指している。

 つまりその先にアインクラッドがある可能性が高いという事だ。

 とりあえずは、帰ってからシロエに相談だな。

 そう思いながらなれない馬をアキバの街に向けた。

 

 

 

 

 キリトがススキノから帰還中コーウェン家にて

 

「キリト殿、本当に円卓会議なるものに招待状を送ってよかったのか?」

「えぇ、まぁ問題ないでしょう」

(思うのですけど、この<<冒険者>>さんはなんと言うかかなり適当なところがありますよね)

 

 レイネシア姫は、祖父と会話している一人の<<冒険者>>をそんな風に見ていた。

 

「セルジアット卿、お願いがあります。 エターナルアイスでは我々は他人という事でお願いしたい」

「それは?」

「こちらにも色々と都合がありますのでね。 勿論私がセルジアット卿に協力している事は他の諸侯には……」

「言っておらん、そもそも言えるわけが無かろう」

「まぁそうでしょうね。 とにかくしばらくアキバの街に身を隠します、そして円卓会議と共にエターナルアイスに向かわせていただきます」

「わかった。 <<冒険者>>ならばモンスター如きに遅れはとらないだろうが、気をつけてな」

「お心遣い感謝します。 それでは舞踏会でお会いしましょう」

 




原作ではクエストマーカーなんて(ry
いやぁまぁ一番わかりやすいMMOでいうマーカーかな? っていう安直な考えでありオリジナル要素です。
ちなみに地図は表示されないので、方角だけを印すだけの物になっています。
(ぶっちゃけ方向ぐらいわからないと広い海の上で探すなんて……)

Q.何故キリト達は帰りは馬?
A.行きも途中まで馬&グリフォンとかでした。
  途中の村や街に立ち寄り、馬車を購入しススキノに向う。
  あまりにも多くの戦力をススキノに割く訳にはいかなかったので、一部の冒険者(キリトやアイザック)を早く帰還させる為馬車隊とは別行動で先に帰還するために馬で移動してもらいました。 
 これならアキバの出来事にも間に合う&オリジナル話入れる時間作れそうという考えです。

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