お前いい加減にしろよって感じですね…
※かなり長めです。疲れたり、気分を悪くされてしまいましたら無理せずお戻り下さい。
※今回、独自捏造設定色が強めです。苦手な方はご注意ください。
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部屋という空間は、使用する者の内面を写す鏡でもあると言える。
置かれている物の数や質・配置、それらが織りなす雰囲気。
そういった点から、部屋を使っている者の社会的地位から思考までをある程度は推測することができる。
そんな観点から見れば、この部屋の主の立場が、一般という枠の埒外であることが解る。
訪れた者を客として持て成す応接室に分類されるこの部屋。
その空間は、通常のものとは一線を画していた。
渋みと威厳が凝縮されたかのような、重厚な光沢を放つテーブル。
その上に置かれた、白く滑らかな色に縁取られたティーカップ。
そこに注がれた、瀟洒な香りを匂わせる紅茶。
その他大小様々な家具に至るまで、全てが洗練された気品と格に彩られている。
それでいて過剰な見栄は伝わってこない。
金に飽かせて贅を凝らしたのでは無く、持ち主の持つ環境に合わせて付いてきた―そんな、富裕を基盤にして洗練された格調高さが、そこにはあった。
今、自分達が腰を下ろしているソファー。
反発を感じさせずに柔らかく体重を受け止めてくれるこの品にしても、本来ならば自分などには全く縁が無いのだろうな…などと思いながら、青年提督は対面に座っている人物―この鎮守府の提督に目を向ける。
「遠いところを、よく来てくれたね」
丸い顔と丸い体。体躯は大きくは無く、むしろ小柄。
肥満体と呼べる体型だが…不潔さや粘着性は全く感じさせず、対面した者にどこか親しみやすさを感じさせる。
顔に掛けた眼鏡の奥にある柔和な目付きが、愛嬌さを醸し出すのに一役買っているのだろう。
袴富士 誠次―
彼がこの鎮守府の提督であり、最高責任者である。
青年提督より4、5歳ほど年長であり、若年ながらも提督という地位を預かっているという点では共通しているが…立場はまるで正反対。
階級は―少将。
未だ若年でありながら、この地位に就いているのは破格と言っていい。
それは、大本営・上層部からの覚えが目出度いということであり。
全鎮守府の中でも有力拠点であるこの鎮守府の責任者を預けられ、100隻を超える艦娘を保持している、という点からも窺える。
そこには、実家がこの国でも指折りの名家であり、資産も莫大であるという彼の出自にも要因が有るとされ…そのための陰口も絶えない。
地位を金で買った、役職と血筋だけの役立たずの坊ちゃん等々。
彼が指揮官として無能であり、戦闘になれば物言わぬ置物と化すことしかできないこともそれらの悪評に拍車を掛けているのだが…彼は一切気にすることもなく、悠然としている。
そんな袴富士少将と青年提督は、正反対の立場ながらも非常に馬が合った。
初対面の時から打ち解け、今に至るまでこうして交流が続いており。
その副産物として、青年提督はこの鎮守府から定期的に装備を譲渡してもらっている。
先日の潜水艦隊撃破の際に役に立った三式爆雷投射機もその1つ。
今日の訪問の目的の1つは、そのお礼を言う為なのだが…
「さて、まずはお礼を言わなくてはね」
「…お礼、ですか?」
袴富士少将に先に言われ、青年提督は首を傾げる。
お礼をいうのはこちら側のはずなのに…
「例の、敵精鋭潜水艦隊のことですよ」
青年提督の疑問に答えたのは。少将の傍らに付き添う美少女だった。
桃色の長い髪と、くっきりと縁取られた瞳。
この国の艦隊全体を見回しても極めて希少な艦船―工作船。
その1隻である明石の艦娘が彼女だ。
袴富士少将の最初の艦娘であり、最古参艦として現在に至るまで秘書艦を務めてきた、片腕と呼ぶべき存在。
「奴等によって海運航路が脅かされて、物流が滞りがちでしたからね。正直なところ、不安だったんですよ」
「その奴等が討たれたおかげで、それも解消される。―これで、皆に不自由させずに済むな」
そう言った少将の顔は、綻んでいた。
金と家柄だけの無能―外部からそう蔑まれている袴富士少将。
けれど、彼の指揮下にあることに対し、この鎮守府の艦娘達からは不満が出たことはない。
艦娘達を絶対に疎かにしない―軍事に関しては失格である少将だが、その1点については徹底しているから。
莫大な私財を高性能な新装備の開発に投じ、入渠施設等の鎮守府の環境整備に惜し気も無く自らの金を注ぎ込む。
戦いには何の役にも立てない。ならばせめて、戦場に立つ艦娘達が最大限の力を発揮できるように―
そんな少将を、指揮下の艦娘達は深く信頼しているし。
そんな少将だからこそ、青年提督と意気投合できたのだろう。
「これも君達のおかげだ。ありがとう」
微笑と共に、少将は感謝の言葉を口にした。
青年提督と、彼と一緒に付いている第六駆逐隊の4人に向けて。
「全くです。流石は皆さんですね」
「お前達の名は、海軍内でもさらに評判になっているようだぞ。私も盟友として鼻が高い」
少将の隣に控えている明石と、この鎮守府に到着した時からここまで同席してくれた長門からも称賛が向けられる。
「全て彼女達のおかげですよ」
そう言って、青年提督は誇らしげに傍らの4人を見やる。
「―当然よ」
姉妹を代表して、暁が胸を張って答えた。
そこに在るのは、自分達の所属する場所への誇り。
自分達をここまで育んでくれた青年提督と、整備等の裏方で支えてくれた妖精さん達。
彼らが居てくれたからこそ、彼らに支えられてきたからこそ。
自分達は今まで戦い抜いてくることができ、今回も戦果を上げることができたのだ。
思っていることは、響・雷・電の3人にしても同じ。
彼女達の表情に浮かんでいるのは、嬉しさと喜び。
…そして、一抹の寂寥感。
自分達への賛辞が足りない、などとは断じて思っていない。
…足りないのは、自分達の人数なのだ。
「…それに、あの人がいてくれたからだし」
若干ながらもトーンが下がった暁の言葉。
そう。
本来ならば誰よりも称賛を受けるべき、もう1人の仲間―【彼女】が居ないことが、どこか寂しくて―
そんな気持ちを汲み取り、青年提督は言葉を続ける。
「…一番の殊勲者がこの場に居ないことが、少し寂しいですね…」
「―ほう」
彼の言葉に最初に反応したのは長門だった。
続けて少将も応じる。
「そう言えば…君のところに新しい艦娘が1人、配属されたんだったね」
「ええ」
青年提督は頷くと、ティーカップを口元へ運ぶ。
―ここからが、本題だ。
今日、ここを訪れた理由は…三式爆雷投射機のお礼と、もう1つ。
それは、【彼女】に関することで。
紅茶で舌を湿らせ、青年提督は切り出した。
「―実は…」
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ほぼ同刻。
2人の提督が話を交えている鎮守府から幾らか距離を隔てた海域を進む艦隊があった。
「…一雨、来そうだな」
先程までの快晴から一変し、鈍い色に染まり始め、光と色彩が失われつつある海上。
その一角を進む軍艦の甲板に立つ少女は呟いた。
背中まで真っ直ぐに伸びる白銀の長髪。
黒いセーラー服を身に纏った体躯は幼さを強く残しているが、冷静さを宿した瞳と表情がそれを感じさせない。
この船は、軍艦の中では最軽量クラスの駆逐艦。
その甲板上に立つ彼女は、その分身体として顕現した艦娘である。
駆逐艦菊月の艦娘の1人―それが、彼女だ。
その表情は…今、曇っていた。
空模様を確認すると、菊月は後方へと視線を向ける。
そこに続いているのは多数の艦影。
それは見るも壮健な大艦隊…ではなく、積荷を満載した商船団である。
艦娘の仕事は、戦闘だけでは無い。
制海管理の為の治安維持・未知海域の情勢を探る偵察行動・味方勢力への物資の輸送等の、他方に赴いての支援活動も欠かせない業務だ。
多数の艦艇を有する規模の大きな鎮守府では、そういった任務―遠征任務を専門に受け持つ支援艦隊も組織される。
菊月もその任を任された支援艦隊の一員であり。
こうして商船団に付き添う海上護衛任務に就いている。
こういった支援任務は、口さの無い者からは「雑用」などと中傷されることもあるが…
彼女にとっては雑音にもならない戯言に過ぎない。
原体であった頃から幾度もこなしてきたこのような任務に対して矜持を持っているし。
主である提督―袴富士少将が認めてくれ、信頼の下で任せてくれた任務なのだ。
彼女にとって、そんな彼の元に来れたことは誇りだし。
彼が任せてくれているこの任務についても、それは同様。
だからこそ、今の状況に表情を曇らせている。
このまま天候が悪化して海が荒れれば、航海への影響は避けられない。
頭を軽く押さえた菊月に、無線を通して声が届く。
『予報では今日は問題ないはずだったのに、帰路にこんな天気の急変に見舞われるなんて…ついていないですね』
『まったくだよねぇ~。これじゃ、おちおち居眠りもできないよ』
「仕方あるまい、三日月。…そして望月、もう少し緊張感を持て」
涼やかな声の前者には苦笑、眠たげな声の後者には溜息。
全く声質の違う2人の妹艦に、菊月は返答を返す。
睦月型駆逐艦の10番艦と11番艦。
生真面目な三日月と、無精者の望月。
姉妹ながら、よくもまあここまで対照的な性格になったものだ。
そんな正反対の2人にも、大きな共通点がある。
それは―いざという時には頼れる、ということ。
編成を組んできて以来、この妹達によって助かった局面は幾回もあった。
そのため、菊月は彼女達を信頼している。
だから、特に2人の態度に文句を付ける気は無い。
…無いのだが。
武人たれ、と心掛けている菊月からすれば…戦場という場においては、相応の振る舞いをしてもらうのが望ましいのであって。
望月に対して、さらに言葉を続けようとして―
『まあ、いいじゃないの』
菊月が口を開くより前に、もう1人の声が流れる。
通信を通して届く、緩やかな口調。
「…阿賀野殿」
軽巡洋艦、阿賀野-この艦隊の唯一の軽巡洋艦である。
彼女の柔らかな声で制されれば、それ以上言葉を続けることは憚られる。
この艦隊の旗艦は彼女であるし。
それ以前に、駆逐艦である自分達を下に見ることも無く、対等に接してくれるのだ。
そんな彼女に言われたのなら、引き下がらざるを得ない。
『もう帰路も半ば過ぎてるし。目下の懸案事項だった敵潜水艦隊も、この間撃破されたしね』
『あ。それは私も聞きました。何でも、あの第六駆逐隊の皆さんによるものだとか』
『例のイケメンさんのとこの娘達でしょ?同じ駆逐艦ながら感心するわ~』
阿賀野の言葉に、三日月と望月も続く。
周辺海域を荒らし回り、航路を脅かしていた深海棲艦の精鋭潜水艦隊。
輸送・物流にダメージを与えていた奴等が撃破されたのは、もう幾らか前。
それを成し遂げたのは、3人が話す通り、第六駆逐隊の面々によるものである。
そのことを聞いたときは驚いたが、すぐに納得できた。
彼女達の実力ならば、と。
その実力については十分以上に承知している。何せ、彼女達とは幾回か会っているから。
彼女達の主である青年提督と、自分達の主である少将の交流を通じて。
「(-そう言えば今日だったか。第六駆逐隊が、提督殿と共に我らの鎮守府に来るのは)」
護衛任務中の鎮守府との航海通信を通して掴んだ情報を思い起こす。
予定では、5人はもう着いている時間だと思うが…
…そう言えば。彼らの鎮守府の留守はどうしているのだろうか。
話に聞くところによると…先日、金剛型戦艦が1隻加入したとのことだったが。
留守番は、彼女1人に任せているのか。
そうだとすれば、相当な信頼を受けているということになるが。
「(どんな艦娘なのだろうな?)」
そんなことを考えて。菊月は、見えるはずも無い彼らの鎮守府の方角に何気なく目を向けて―
「―?」
海上に厚く垂れ込めている曇天によって見通しづらくなっている水平線。
そんな劣悪な視界の中で、けれど菊月の目は見逃さなかった。
―彼方に浮かび上がった、幾つかの小さな点を。
ソレは、何なのか。
人間の視力では豆粒ほどにしか見えないが、艦娘の眼ならば大よその形を捉えることができる。
『…どこの船団?アレ』
望月が上げた言葉が、その答え。
点々の集団の正体は―船だ。
彼女もまた、菊月とほぼ同時に気付いたのだろう。
その声は、先程までと変わらぬ気だるげな調子。
…だが、聞く者が聞けば、そこに緊張感が籠っていることが解る。
『この時間帯に、この海域を通過予定の船舶は無かったはず…ですよね』
三日月の方は、より顕著だ。
声が、明らかに固くなっている。
…そうなるのも当然だ。
海の上には、陸上の道路のような標識や信号は無い。
そのため、通航船舶の時間が詳細に管理されている。
大容量の船体同士が接触事故でも起こせば、大惨事に成りかねないからだ。
どこの船団が、どれくらいの規模で、いつごろ、どの海域を通過するのか―頻繁に情報が遣り取りされているのだ。
そして。
三日月の言う通り、この時間帯に此処を通過する船団は自分達以外には無いはず。
…ならば、アレは…
『こっちには来ないみたいね…。気付いていないのか、或いは先を急いでいるのか…』
旗艦として動じぬ振る舞いを見せる阿賀野に、普段の緩さは無く。
今この時も、視線は目標物である水平線に浮かぶ点群―艦影に据えられていて。
菊月も、再び視線を戻す。
距離が離れ過ぎているせいか、形状の細部までは解らないが…視界に映っているのが、船尾部分であるのは確か。
ようは、こちらへは背を向けている格好であるわけで。
自分達に背を向けているということは、艦首は正反対を向いているということであり。
その方向こそが、目的地であるということ。
「…あの方角は」
その方向は菊月が先程視線を向けた方角であり、そのまま進んでいけば…
―青年提督と第六駆逐隊の鎮守府がある。
つまり、あれらの艦影の目的地は…
『―鎮守府に緊急連絡を』
「了解」
迅速に下された阿賀野の決断に、菊月は瞬時に反応した。
『航行速度を上げましょう。私が殿に就くから、2人は商船団の先導をお願い』
『了解。うたた寝してる場合じゃない、か』
『了解です。最短帰路を辿ります』
袴富士少将に少しでも早く口頭で報告するため、一刻も早く帰港するために機敏に動き出す3人の声を背中に聞きながら、菊月は自分達の所属鎮守府に通信を繋いだ。
―青年提督と第六駆逐隊の拠点である最前線鎮守府に向かう、所属・識別不明の艦影群が確認されたことを伝えるために―
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袴富士少将の旗下遠征艦隊が、正体不明の複数艦影を目撃したポイントから更に先。
そこには、青年提督と第六駆逐隊が属する最前線鎮守府。
その上空もまた、分厚い雲に覆われ、見通しが利かなくなっていた。
…まるで、これから齎される出来事を予期しているかのようで。
―そんな空を、鎮守府の窓から注視する視線。
こんな目を持つ者は、この鎮守府には1人しかいない。
何を窺わせることもない眼は、果たして何を見据えているのか…?
…ただ1つ言えるのは。
外面だけでは、人の内心は推し量れないということである。
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はう あーゆー。
外面は超絶美少女、中味はダメダメ喪男の金剛(の偽物)ちゃんダヨ。
皆様、ご機嫌いかがでございましょう?
俺?俺はねぇ…テンション最低値ですよう。
心の中は、どんよりとした鉛色でございます。
先程までの快晴が嘘のように雲が広がり、怪しくなり始めた鎮守府上空の空色のように。
さて、窓からの景色を見て下手な感傷に浸るのはこれくらいにして。
…いい加減に目の前の現実を受け止めようじゃないか。
俺がこんなにナイーブ(笑)になってる原因を。
その原因とは、目の前に広がる風景。
先程、妖精さん達に呼ばれてやって来たこの部屋。
鎮守府の防衛施設の稼働状況を確認できる、制御室と呼ぶべき場所。
…その中の1つが、今、俺の頭を悩ませてる元凶なのです。
室内に立つ俺の目の前に広がっているモニター。
それは、レーダーと呼ばれる装置の一種であるわけだが…こいつを見てどう思う?
―すごく、異常です―
…
…って、何じゃい、この画面は!?
思わず、心中で盛大に突っ込まずにはいられない。
瞳は泳ぎ、比喩抜きで目が飛び出すかと思った。
…鋼鉄金剛さんフェイスの影響で、そういった動作・動揺は全く表に表れないけど。
で、この画面だ。
憑代である金剛さんのおかげか、大抵の軍事系知識は自然と理解できるのだが…
その手の知識が一切無い本来の俺が見ても、明らかにおかしいと解っただろう。
画像が、形を成していないのだ。
本来であれば、効果範囲内の様々な対象物の位置を映し出す筈の画面が、ぐにゃぐにゃに歪んだり、数え切れぬノイズが走ったり…
明らかな[異常]だろ、これは。
そもそも、妖精さん達が俺を呼びにきた時点で尋常じゃない事態だ。
普段、この基地のこの設備の手入れと運用をしているのは妖精さん達であり。
簡単なことであれば、自分達の手で解決できたはず。
…なのに、わざわざ俺に声を掛けてきた。
彼女達にとって、その行為はひどく負担だったのにも関わらず、だ。
どういうことかって?
…うん、まあ。バッサリ言っちゃうと…俺、妖精さん達から避けられてるんデス。
どうして解るかと言うとですな。
妖精さん達は非常に素直な性格であり。
つまり、こちらへの感情も率直に現れてくるわけで。
敵意を向けてきたり、というようなことは無いんだけど…あからさまに距離を取られてるわけですよ、うん。
…ただ、これでもマシな方だな。
間に第六駆逐隊の皆とイケメン君が入ってくれてるからこの程度で済んでいる。
妖精さん達は言葉を喋らず、テレパシーのようなもので直接、自らの声を思考に伝えてくる…らしい。
ただ、その声は誰にでも聞けるものでは無く。艦娘や、或いは提督としての適性が有る者など…妖精さん達と同じ回路を持つ者でないと聞くことができない…そうだ。
何故、伝聞系になるのかといえば…俺、彼女達の声を聞くことができないからだ。
―まあ当然と言えるわな。
外観こそ金剛の艦娘だけど、その中身の俺は、[選ばれた資質]とかには全く縁の無い生粋の一般人なのである。
妖精さんと同調できる回路が有るわけもない。
…というか、だ。
そもそも俺は別の世界から来た身であって、回線自体が全く異なるんじゃないだろうか?
それはつまり―
妖精さん達からすれば、チャンネルが全く繋がらない―対話という行為自体が成立しない相手ということであり。
加えて、表情等の感情表現についても言わずもがなの壊滅状態。
―対話が全く叶わず、意志表現も皆無-
そんな俺は、妖精さん達から見れば宇宙人のようなものだろう。
そんな相手と親しくしろってのは…ちょいと、無茶だな。
だから、避けられるのも当然と言える。
事情を説明できれば少しは違うんだろうけど…その手段が無いのよね。
俺、喋れないし。自身に関することのためなのか、筆談にも書き起こせないし。
そもそも、仮に事情を伝えられる手段があったとしても…
「実は私、違う世界から来た人間なんです。てへぺろ♪」
…こんなの、どう考えても与太話にしか聞こえないし、正気を疑われるだろ!?
下手をすれば欠陥艦として処分されてしまうかもしれん…!
…だから、どうすることもできない。
さ、寂しくなんか、ないんだからねっ!
ははは・・・・ハア。
と、今は沈んでる場合じゃないや。
そんな俺を、わざわざ呼びに来たこの状況。
…単なる故障とかじゃない。
何かが、起きているのだ。
何かが、[居る]のだ。
未だ姿は見えないが、確実に忍び寄っているナニカ、が。
…一言、言わせていただきたい。
―もうやめて!俺のハートのライフは、もうゼロよ!
仲間が留守で、1人だけ残ってる状況でコレとか…
明らかなバッドイベントじゃないですかヤダー!
鎮守府への直接干渉とか…原作じゃ、こんなの無かったぞ!
―やばい。
前回の潜水艦来襲時にも全く同じことを思ってたけど。
今回は、輪を掛けてマズイ。
何しろ、今は第六駆逐隊の皆とイケメン君がいない。
…つまり、俺だけで事態に対処しなきゃいけないということで…
…
……
無 理 デ ~ ス ♪
モヤシ薄弱っ子の俺に、こんな緊急事態に対処できる力があるわけないだろ!
…かと言ってこのまま何もしないでいたら、禄でもないことになるのは目に見えてる。
だったら、どうするか。
…ふ。
ここで、前回も役に立った、あの教訓を活かす時が来た。
-自分だけで無理なら、他のひとを頼りなさい-
これだよ!これですよ!
―え?
第六駆逐隊の皆とイケメン君は外に出ちゃってるじゃんって?
フっ。
真の仲間が心を通わせるのに距離など関係無い!
…ぶっちゃけ、鎮守府の通信機能を使うってことなんすけどね。
イケメン君は通信装置は持って行ったし、艦娘にも通信機能が備わってるから、第六駆逐隊の皆に伝えることもできる。
まあ、俺は喋れないから無線は使えんが…電文ぐらいなら打てる。
…というわけで、早速、文章を書き起こすべし。
こういった事務連絡については金剛さんフィルターに引っ掛かることは無く。
それどころか、火急の用件ということなのか、その能力が遺憾無く発揮され。
あっという間に、状況を簡潔かつ詳細に書式に纏められた。
…よし。あとは、これを送るだけ。
電文、行け!我が希望と共に!
…て。
あれ?何か、送れないんすけど。
どして?Why?
…いや、俺が馬鹿だった。
レーダーに異常があるってことは、電波関係に異変が生じてるわけで。
そんな状況で、通信網が使用できる筈がないわな、うん。
と、そういや、さっきラジオが繋がらなかった原因もコレか。
なるほど。疑問が1つ解けたよ、ハハハ…
―って。やばいぃぃぃ!
これじゃ、この異常を外に知らせて助けてもらうなんて無理じゃん!
一応、イケメン君が一定時間毎に定期連絡を取ってくることになってはいる。
その時にも、此方と通信が繋がらないだろうから…それで、何らかの異変が起こってることには気付いてくれるはず。
―でも、それが何時になるのかなんて解らん!
くそ…。今、連絡が取れれば…直ぐにでも指示を仰ぐこともできたのにぃ!
アカン。どうすりゃいいのコレ!?
内心で混乱するばかりで、何も思い浮かばなくて…
テンパる余りに泣きそうですよ!泣いちゃいますよ!?
…ま。安定の鋼鉄金剛フェイスで、外見上は泰然としているように見えるだろうけど。
とにかく。落ち着け、落ち着け。
まだ、手段は残されている。最後に取れる手段が、1つだけ。
…昔の兵法に、こんな言葉がある。
―[三十六計逃げるに如かず]―!
…ようは、「とっとと逃げようZE☆」ってことである。
どこへ逃げるって?
決まってるじゃん!第六駆逐隊の皆と、イケメン君の所さ!
彼らの目的地と、そこに至るまでの航路については、事前の打ち合わせで既に頭に入ってるからね。
高速戦艦である金剛さんボディの速力なら、それなりの時間で到着できるだろう。
―良し、善は急げ。直ぐに行動に移るとしよう。
べ、別に怖いから逃げるんじゃ、ないんだからねっ!
…
……
…ツンデレ風に言っても空しいだけだな。
うほん。
正直、恐怖が最大の理由なのは否定しない。
…というか、だ。
怖がるのが当たり前だろ!
明らかに此方に害意を持った存在が迫ってて。
けれど未だに姿は見せず。どこに、どれくらい居るのか解らない。
…ビビリの俺に、こんな状況に耐えられる訳がぬぇぇ!
―とまあ、ご覧の有り様であります。
我ながら恥ずかしいが…「怖くて堪らないから逃げる」というのが、嘘偽り無い本音だ。
…ただ。
ここで逃げを打つのは、何もそんな本音のためだけじゃない。
言い訳にもならんが、他にも理由があるのだ。
―今の俺は、戦艦だ。
たとえ中味がダメダメ人間の俺ではあっても、それでも、軍艦としては最上級の艦種なのだ。
その存在は、大きく、重い。…ことに、この場所においては。
潜水艦隊を撃退した後、何回か鎮守府内で演習が行われたが…それらは軒並み、俺が来る以前と比べて結果が向上していたとのことで。
その度ごとに、言われたものだ。
―「金剛さんがいてくれて、助かっている」-
その理由についてであるが。
俺は図体がでかいから、いざっていう時には壁になることができる。
そんな[保険]があることが、第6駆逐隊の皆の精神的な余裕と結果向上に繋がっている、ということみたいだ。
いや~、皆の役に立てるって嬉しいねえ!…敵のサンドバックになるのはご勘弁だが!
…そんな俺が、沈没でもしたらどうなるか。
その場合、恐らくだが…もう上層部から新たな大型艦の支給は成されない。
イケメン君は爺共から疎まれてるからな。そんな奴等が、戦力の増強をしてくれるとは思えん。…俺が支給されたのは、あくまで厄介者払いのためだし。
そうなると、状況は再び悪化してしまう。
でかい壁が居なくなることで[保険]が失われ、皆に掛かる負担が大きくなり。
やがては疲労の蓄積の末に轟沈・壊滅してしまうという最悪の結果になりかねない。
そんな悪夢を防ぐためにも、俺は沈むわけにはいかないのである。
…まあ、自分の命惜しさに逃げ出す身でこんなこと言っても、滑稽でしかないわけですが!
さて。この逃走作戦を遂行するにあたって、問題が1つある。
―鎮守府の住人である妖精さん達のことだ。
何が起こるか解らない鎮守府に、彼女達を置いていくわけにはいかない。
単に、[労働力が減るから]という問題では無い。
…彼女達は、妖精としての本能や義務ではなく、自らの意志を持って労働に就いている。
そこにあるのは、第六駆逐隊とイケメン君に対する固い信頼。
鎮守府内の妖精さん達は皆、その気持ちの下で1つになって、5人のために働いて。
その働きがあったからこそ、このオンボロ鎮守府が稼働してこられた。
―そんな彼女達は、5人がこれから先も生き抜いていくためには必要不可欠な存在であり。
ここで失うわけにはいかない。
…そうなると、この場をどうしようか。
俺の船体に乗ってもらって一緒に逃げるか、とも思ったんだが…予測不能な今の局面で、大勢の命という責任を担える保障は無い。
…考えたくも無い事態だが。
もし途中で俺がアボンでもしたら、彼女達は海の真ん中で放り出されることになる。
そうなってしまったらどうなるかなど、火を見るよりも明らかだ。
…まあ、そんな事態なんざ御免ですが!
でも、その危険性がある以上、連れて行くのはどうしても躊躇われるし…
かと言ってこのまま置いていくなんてできないし…
はて、どうしたものか…
…
……
―よし、これでいこう!
無い頭を絞り出して思いついた対策を実行に移すべく、俺は動き出したのであった。
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正体不明の、不審者。
それが、この地で働く妖精さん達の、新参艦娘である金剛-【彼女】に対する共通認識だった。
妖精さん―簡素な、けれどどこか童女のような愛くるしい姿形をした存在。
名前の通り、まるで妖精を思わせる彼女達だが…艦娘や深海棲艦と時を同じくして人類の前に姿を現したということ以外、詳しいことは殆ど判明していない。
解っているのは、多彩で器用な能力を持つということ。
艦娘の本体である艦の整備を行ったり。装備の開発を行ったり、新しい艦娘の建造も手がけたり。その他、補給作業等の様々な雑務をこなす。
艦娘達が戦い続けることができるのも、後方業務を一手に引き受ける妖精さん達が居るからであり。人類にとっては、艦娘と同じく欠かすことのできない存在と言えるだろう。
青年提督が預かるこの鎮守府でも、それは同じ。
この地で働く妖精さん達もまた、日々、精力的に動き回っていた。
…ただ。それは単なる義務感から来るものでは無く、彼女達自身の意志によるもの。
この場所の主の青年提督は、彼女達のことを同じ立場の者として扱ってくれるから。
使役させてそれで終わり、ではなく。仕事に取り組んでいる彼女達への労いを忘れず。
共に道を歩む仲間として、細やかに気を配り、思い遣ってくれる。
それは、彼の艦娘である第六駆逐隊にしても同じで。
整備や補給をする度に、心を込めたお礼を言ってくれる。
―そんな彼らに、少しでも応えたい。
それが、この鎮守府で働く妖精さん達の原動力となっているのだ。
仕事に全力を尽くすしか、自分達が5人にして上げられることは無いから、と。
―戦力の補充も無く、工廠が無いために装備も開発できない。
そんな困窮の中で、それでも懸命に踏ん張り続け。
結果として、過度な負担に心身を蝕まれていた青年提督と第六駆逐隊。
妖精さん達は、それを見ていることしかできなかった。
もっと力になれないのが、悔しくて、もどかしくて。
そんな彼女達にとって、新たな戦力が加わることは吉報に他ならなかった。
これで、5人の負担も幾らかは軽減されるだろうと。そう喜んでいた。
諸手を上げて、歓迎したいことだったのだ。
―その相手が、【彼女】でなかったなら。
…なぜ、妖精さん達が、【彼女】を忌避するのか。
それは―【彼女】に、心が感じられないからだ。
妖精さん達は、提督や艦娘の言葉を解する能力はあるが…自らは喋らない。
己の意志を、相手の思考に直接送信する。
精神感応能力―いわば、テレパシーのような手段で意志の伝達を行うのだ。
言葉を介さずに、直接、意識と繋がる―そんな彼女達は、口が利けずとも相手の精神状態を察することができるのである。
その妖精さん達が―【彼女】の精神は、全く察することができない。
いや…解することが、できない。
無色透明―
正も負も、熱さも冷たさも―何も見えなかったのだ、【彼女】の中は。
…そんなことは在り得ないのだ。
この世界で生きる者であれば、どんな存在でも、意志という色を持つはず。
それが良きモノであれ、悪しきモノであれ。
―なのに。【彼女】には、それが全く無い。
この世界とは全く異なる別の世界から来たのだ、ということになれば答えは簡単なのだが…そんな与太話は無いだろう。
…ならば一体、【彼女】は何者なのか?
意志という光を灯さぬ外面。
感情という温もりを宿さぬ内面。
―その全てが、命有る者として異質に過ぎる。
そんな得体の知れない存在を信用しろ、というのは酷な話だ。
知性有る者は皆、理解の及ばぬ存在へ恐れを抱くものなのだから。
ましてや、感情に敏感な妖精さんなら当然のこと。
だからこそ、【彼女】の歪さを、より鮮明に感じ取れて―
妖精さん達の間で蔓延する、不信と恐怖。
膨れ上がっている恐れと疑念は、今にも割れそうなほどに膨れ上がっている。
…それらがまだ何とか爆発しないですんでいるのは、ひとえに青年提督と第六駆逐隊の存在があるからだ。
尋常では無い佇まいの【彼女】と接する妖精さん達の負担を慮ってくれたのだろう。
青年提督と第六駆逐隊の面々は、懇切丁寧に妖精さん達に語ってくれた。
―【彼女】は、信頼することができる、と。
…妖精さん達は、5人を信じている。
その5人が【彼女】を信じているのなら、そこに間違いはないのだろう。
けれど。
理屈では解ってはいても、感情が受け付けない。
思いを、気持ちを、全く窺わせない―そんな機械のような存在に、どうして信を置くことができようか。
5人の言葉を疑いたくは無い。だが、納得はできない。
…そんな板挟み状態に立った妖精さん達がとった対応策は―現状維持。
即ち、【彼女】に無駄に近付かないことであった。
こうすれば、双方共に余計な接触はせずに済む。
5人の手前、【彼女】を拒絶する訳にはいかず、けれど到底受け入れることはできない―
そんな妖精さん達にとって、距離を保てるこの方策は、最適なものであった。
―結果として。【彼女】は、妖精さん達からは遠巻きにされる形となっている。
自分達の輪から排斥したような状態であり。そのことが、心苦しくない訳ではないが…
これ以上の譲歩はできない。
妖精さん達から見れば、【彼女】は形容し難いほどの不気味な存在なのだから。
そんな【彼女】が1人きりで鎮守府に残っているこの時間は、妖精さん達にとって、お世辞にも良いものでは無かった。
5人が出かけてしまい、【彼女】だけが留守番で残っている―つまりは、当分の間は自分達だけで【彼女】と同じ空間で過ごさねばならない、ということで。
それは、これ以上ないほどに居心地が悪かった。
…だが。湧き起こった事態に、そんな憂鬱は吹き飛ぶ。
鎮守府近域を把握しているレーダー画面。
―それが、突如として乱れた。
ノイズが入り乱れ、画像が画像として映し出されない。
そんな、全く用を成さないモニター表示を見て妖精さんは目を剥いた。
今までこんな表示になったことは無い。
誤作動の類かと思ったが…普段から整備は万全にしているし。
何より、単なる故障でこのような現象が起こるはずもない。
そこまで考えるやいなや、妖精さん達は走った。
―【彼女】へ、この事態を知らせるために。
この事態は、自分達の手に負えるものではないと判断したから。
そして、この世界に携わってきた身としての勘が告げていた。
尋常では無い事態が―[異変]が、この鎮守府に迫りつつある、と。
提督室で仕事をこなしていた【彼女】と対面して。
【彼女】には、妖精さんの言葉―精神感応能力は通じず、意志の疎通はできない。
だが、只ならぬ様子を感じたのか、直ぐに席を立って制御室まで付いてきて。
そして、そこでレーダー画面に目をやって。
…それだけ、だった。
眉を吊り上げることも、頬を強張らせることも無く。
能面のような貌は、まるで変わらない。
狼狽も、動揺も…微塵も無い。
電文が送信できないかどうかを試していたが…それとて、あくまで事務的な確認作業の1つに過ぎないのだろう。
―そこには、何の精神の動きも窺えなくて。
緊急事態に際し、外面でも内面でも全く動揺しない―
それはもう、機械そのものではないか。
やはり。
―【彼女】は、[異常]だ―
そう結論づけようとして―突如として鎮守府内に響き渡った大音量に思考が遮られる。
切迫感を伴い、重苦しく響くサイレン音。
平時であれば流れる筈も無い、けれど深海棲艦が現れた今の時世においては珍しく無くなってしまった音―緊急警報だ。
焦燥感を煽るその音に室内の空気が瞬く間に張り詰め、部屋に詰めていた妖精さん達の顔が皆強張る。
この警報が鳴らされることがどういうことか、解っているから。
それを鳴らしたのは、【彼女】。
腕を伸ばし、スイッチを入れていて。
その意味するところは1つ。【彼女】も、ここに近づく異変を感じ取ったのだ。
無表情なままスイッチを押している様は、妖精さん達には例え難い不気味さを以て映るが…今は、目の前に迫った事態に対処しなくては。
―そのためには、現在の鎮守府を預かっている立場である【彼女】の存在が不可欠だ。
例え正体不明な存在ではあっても、【彼女】がこの鎮守府を一時的に任せられているのは確かなのだから―
普段からの心構えか、或いは訓練の賜物か。警報が鳴ってからそう時間を掛けずに各部署からこの部屋へと集ってきた鎮守府内の全妖精さん達は、そんな思考のもとに彼女へと耳目を注ぐ。
…そんな彼女達の様子をどう思ったか。或いは、何とも思っていないのか。
【彼女】はゆっくりとした動作で近くの紙に文字を書くと、それを掲げた。
達筆な文字が書かれた紙面を見た妖精さん達は…目を剥く。
そこには、こう書かれていた。
―総員退去、と。
ここまで来ていただいた方、誠にありがとうございます。
そしてご負担をお掛けして大変申し訳ありません。
まずは前回から大変な間が空いてしまったことを謝罪させていただきます。
おまえ、前回の後書きで言ってたこと思い出せや!…という感じですね(汗)
本当に申し訳ありませんでした。
連載という形をとっておきながらコレとは…自らの至らなさをまた思い知らされました。
おまけに、期間を空けすぎるという怠慢のせいで唯でさえ乏しい筆力が鈍ってこの体たらく。
話は進んでいないわ、解りにくいわ…反省材料ばかりです。
読み辛く感じられた方には負担をかけて申し訳ありません。
改善点については…貴方は食べたパンの枚数を覚えているの?って感じですね。
数えきれません(汗)
こんな有様ですが、創作意欲は衰えていません。
少しずつでも精進を重ね、何とか拙作の質を高めていけるように頑張ります!
長々と失礼致しました。
ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました!
皆様のお時間の足しに少しでもなりましたら幸いです。