問題児たちと一人の神が異世界から来るそうですよ?   作:異山 糸師

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お久しぶりです。
最近読み専に戻ってきた私が、なんとか無い脳みそ振り絞って頑張って書きました!
あぁ…いつも通り文字数は少ないですがご了承下さいな。

最近読むものがなくなってきて困ってます。ランキング以外で探さないと読めないのがいいけど、探すまでが面倒い…どうかしてるぜ!

それにしても最近、朝が寒くなってきましたねぇ…そのせいなのか全く早起きできない。
ちゃんと三時(朝だから早寝)に寝てるのに起きるのは昼…どうした私!(笑)




第35話 話は皆に聞いて貰う方がいいそうですよ?

 

 ―――“アンダーウッド”収穫祭本陣営。

 

 一夜明け、大樹の中腹にある連盟会議場に俺達は来ていた。集まったコミュニティは四つあり、それぞれ代表や代行が来ている。

 

 “一本角”の頭首にして、黒ウサギとともに潰された“龍角を持つ鷲獅子”連盟の代表・サラ=ドルトレイク。

 “六本傷”の頭首代行・キャロロ=……アフラック? ガンタンク? ガンダム? あぁっと…ガンダックだ。名前は知っているんだがな。

 “ウィル・オ・ウィスプ”の参謀代行・フェイス・レス。なかなかどうして、面白い顔をしているな。仮装大会参加者か? 仮面パーティーかも。

 “ノーネーム”のリーダー・ジン=ラッセルと俺を含めた他数名。

 

 このメンツで会議を行う。黒ウサギが進行役として前に立ち、バサッと委任状を長机において切り出した。

 

「えー、それではこれよりギフトゲーム“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”の攻略作戦の会議を始めていきたいと思います。下らないことを言わずに責任のある発言をお願いします。いいですか? いいですね?」

「「なんで俺達の方を向く?」」

「ナンデモアリマセンヨー」

 

 俺と隣の十六夜を見ながら全部言って来たので聞いてみると、棒読みで別の方向を見て喋ってやがった。後で説教してやろう。

 

 それにしてもこのキャロロとか言う奴は、いつもペストやレティシアと行っている喫茶店のウェイトレスじゃないか? 街をぶらぶらするときはその喫茶店で必ずお茶をしてから帰る。

 

 それに気づいた十六夜がキャロロに問いかける。

 

「アンタもしかして、二一〇五三八〇外門で喫茶店をやってる猫のウェイトレスか?」

「そうですよー常連さん。零さんとペストさんもいつも有難うございます! 奢りますからまたお茶しましょうね!」

「ああ、そうだな。むしろ俺が奢ってやるから、ペストとレティシアと話でもしてやってくれ」

「勿論です! ふふ、零さんとお茶出来るなら喜んでサボりますよ?」

「そう言いながら客が居ない時だけだけどな」

「あははー。あ、勿論常連さん達のいい噂は(ボス)にも流れてますよ!」

「彼女は頭首の二四番目の娘でな、ガロロ殿に命じられて東に支店を開いているらしい」

「ちょっとした諜報活動ですねー」

 

 キャロロはうちの二人といい友達として関係を持っているのだ。だから毎回寄っていく。代わりに腕に巻きつけてくる鍵尻尾を触らせてもらっているけどな。猫好きだし。

 

「へぇ…そうなると、今後あの店には入れなくあるなぁ、お嬢様?」

「そうよねぇ。あのカフェテラスで話していたことは筒抜けということでしょう? あらやだ、怖い」

「ここは一つ、“地域支配者”として、こいつらが諜報しているかもしれないということを地域に呼びかけておくかね。チラシでも配ってよ」

 

 うわ、そんなことしたら店としてやっていけなくなるだろうな。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! そんなコトされたらうちの店は潰れちゃいますよ!?」

「あら、そんなの知ったことじゃないわ。私達には地域発展と治安改善の義務があるんだもの。表立って諜報している店なんて見過ごせるわけないじゃない」

「それに見逃して欲しいというのならば……それ相応の態度というものがあるだろう?」

 

 そんな問題児二人にキャロロは半泣きであたふたしている。こっちに目を向けられてもペストと共に別の方向を向くと、

 

「こ………こ、これからは皆さんに限り! 当店のメニューを格安サービス一割引きに…………」

「「三割だ」」

「うにゃあぁぁぁぁぁぁぁ!! 零さぁんッ!!」

「はぁ…口は災いの元というのを知らんのか、お前は」

 

 抱きついてきたキャロロをキャッチして撫でてやる。だが、三割引きというのは何も言わない。俺は腐るほど金があるから別にいいが、あいつらは別だし。小遣いでもやったほうがいいのかね?

 

「やれやれ…黒ウサギ、続けろ。つまらんし面倒くさい…さっさと終わらせろ」

「あ、はい! では、零さんが自由気ままにどこかに行ってしまわれないうちにゲームの方針を……と言いたいのですが、すみません、サラ様からお話があるそうなのです」

 

 そのサラと言われる角を持った褐色の美女は立ち上がり、沈鬱そうな顔で深い吐息を漏らしながら口を開く。

 

「……今から話すことは、この場だけの秘匿として聞いて欲しい。決して口外しないように心掛けてくれ」

「心掛ける…忘れないようにするということだから、忘れなければ喋っても構わんのだろう?」

「おぉ、成る程、頭いいな零。どうせこれから話されることは顔を見るからに失態だろうし、話して噂でもさせるか」

「だろう? 待ってろ、スピーカーでも取り付けてやる。そうしたら俺達が喋るのではなく、自分から言いふらしているしな」

「ヤハハ! ナイスアイディアじゃねえか! そいつは面白え!」

 

 収納の腕輪からドンッと窓際に巨大高性能スピーカーを置くと、背後から大声で叫ばれて突進された。

 

「やめてくれ! 真面目な話だから! マズい話なのだ!」

「いや、やばい話なら皆に聞いてもらって注意してもらわないとなぁ?」

「「「「あ、確かに」」」」

「皆ッ!? 本当にやめてくれ! なんでもするから!!」

 

 そう言われて首だけを後ろに向けて見ると、背中にサラが抱きついて半泣きになっていた。

 

「ん? 今、なんでもするといったよな?」

「あ、ああ……」

「よし、ならいいだろう。絶対服従は基本だよな、いい手駒ができたと思って大人しくしてやる」

「サラ様、早まりましたね」

「でもああするしか無かったんじゃないかしら?」

「確かに。さすがマスター。貴方もようこそ、マスターに弄られるキャラ達の仲間に」

 

 フェイス・レスはぽかんとしており、サラは羞恥か怒りか分からんような真っ赤な顔をして震えているが…状況次第で遊んでやるか。

 

 スピーカーをしまってサラを離させて十六夜の横にまで戻ると、覇気のない声でサラが話し始めた。いやぁ、真面目な話ってつまらないだろう? 十六夜もノッてくれるからついな。

 

 それで話というのは、“黄金の竪琴”の他にも“バロールの死眼”も盗まれたという話。

 それと、アンダーウッドだけではなく他のコミュニティも魔王によって襲撃があったとのことだ。“サラマンドラ”や“サウザンドアイズ”のところの白夜叉とか。

 

 どうも黒ウサギも知らなかったことのようで口を開けて驚いている。元魔王のペストはそうでもないようで俺の横で普通にして腕に抱きついていた。欠伸が可愛い。

 

「……魔王を統率している強大な魔王が“階層支配者”を倒すために動いているのかしら…?」

 

 飛鳥がポツリと呟いたことに、十六夜と俺だけは納得した。十六夜が言うように、誕生祭を襲ったペストはサンドラではなく白夜叉を襲った。メインホストはサンドラで、白夜叉はあくまでもゲスト扱い。

 

 故に仲間などの主力を連れてきていない状態だった。誕生祭そのものが白夜叉を倒すために仕組まれていたものだとしたら。

 

「そ、そうか! 白夜叉様が狙われた同時期に南の方が襲われて討たれていたというのも……全て主犯が同一だとしたら―――!」

「そう。つまり連中―――仮称”魔王連盟”とでも言うべき敵は“階層支配者”を各個撃破できるように、同時攻撃を仕掛けているのだろう。……そして魔王側が有利にゲームを進められるように手引きしている組織も居る」

 

 そう言って十六夜はサラを見る。

 

 別に、知りもしない連中がどうなろうと知ったことではない。助けてくれという強い思いで俺という神に祈ったわけでもないので、助けることなんてやらない。白夜叉も大丈夫そうだしな。

 

 話の少しの間でペストが全員に見られることがあって少しだけ不機嫌になってしまったので、部屋の隅でペストを愛でることにする。好きにさせると動物のように首筋などに擦り寄ってくる。

 

 これで機嫌が直るのならいいけど、舐めるのは勘弁して欲しい。む、黒ウサギやサラが知らないようなことを面白い仮面が何やら言っている。太陽の主権だと? 俺も持ってるぞ? 太陽神であり、全ての太陽を統べる神だから。

 

 そんなことより衝撃の事実が。レティシアが”全権階層支配者”だとか。皆にとっては衝撃だろうなぁ、俺にとってはどうでもいいのだが……さっさと終わってくれないかね? 過去の話をしても仕様がなかろうに。場でも乱してやろうか。

 

 お、”箱庭の貴族(恥)”……飛鳥、ナイスセンスだ。

 

「私も詳しく知っていることでは無いので詳細は省きますが……“全権階層支配者”となったレティシア=ドラクレアはその権力と利権を手に、上層の修羅神仏へ戦争を仕掛けようとしたのです」

「レ、レティシア様が戦争を…………?」

 

 ほう、あのレティシアが……あいつも昔はやんちゃしていたということか。しかも同族同士で戯れ合っていたとか…お茶目さんめ! 今度昔話でも聞いてみよう。望むなら欲しい力を全て与えてもいいが…どうせ何もしないだろうな。

 

 さて、今此処で出来る話はもう無いだろう。俺と十六夜と黒ウサギで考えたほうが実に有益だ。それに、十六夜は謎が解けているようだし、もういいだろう。十六夜より知識があり賢い俺が解けてないわけ無いだろう?

 

 立ち上がり、蕩けたペストを横に立たせて煙管を咥える。

 

「話は終わりだな? 十六夜」

「ん? ああ、もう話すことはねえよ。時間の無駄だ」

「なんだと?」

「そう睨むな、サラ。正直つまんねえんだよ。レティシアが昔に同族と戯れていたとか、上層の奴らに対してやんちゃしていたとか、どうでも良かろう。今はもう俺のなんだから、何かしようとしても何もできん」

 

 戯れていたとか、やんちゃとかいう言葉にノーネーム一同は俺が言ったことに何故か納得してしまったが、月での出来事でも思い出したのだろう。

 

「それに、レティシアは返してもらうしな。俺は今回少し手を出すだけ…主にこいつらに成長してもらうために頑張ってもらおうじゃないか」

「それもそうだな。昔は昔、今は零の。これでいいじゃねえか。後は…そうだな、役割分担として守護とクリアを目指す部隊を編制でもしたらどうだ?」

 

 なぁ? とジンに目配せをすると、ジンは慌てたように後のことを喋り出す。

 

「それに攫われてしまった人達の事も気になります。聞けばガロロ=ガンダック様も同士を庇って攫われたとか。今後の話は捜索隊を送り、その報告を待ってからと言うことでいかがでしょう?」

 

 さらりと耀を助けに行く流れを作るのはいい口実だ。サラも否定することはなく承諾したようだ。

 

「分かった。精鋭を選出し、二日後の晩までには編制しよう。その時は力を借りることになると思うが、よろしく頼む。……後は心ばかりの持て成しではあるが、最高主賓室を用意してあるから、そちらでゆっくり休んでくれ」

 

 おう、と言いながらキャロロに案内させながら部屋を出る。ただ、二人分の視線が俺の背中に注がれていた。片方、興味があるといった視線で、もう片方は軽い戸惑いだった。

 

 




ノーネーム「いらっしゃ~い…」
サラ「ひぃっ」

零の前で隙を見せたが最後、平和な日常に戻れなくなる…。

零「(ΦωΦ)!」

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