問題児たちと一人の神が異世界から来るそうですよ?   作:異山 糸師

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第10話 また少しだけ暴れるそうですよ?

 

 小さなお茶会が終わって屋敷に帰った後、十六夜に休むように行ってから、黒ウサギの部屋でプレゼントを上げることにした。で、こいつの部屋なんだが、何でこんなにピンクなんだろうか。こんなだからお前の頭の中はいつもピンク色なんだよ。

 

「じゃ、お待ちかねのプレゼントタ~イム」

 

 予めポケットに入れておいた物どもを出して三人に渡す。

 

「開けてもよろしいのですか!?」

「どうぞ?」

 

 嬉々として包装紙を破り、いそいそと中身を取り出す黒ウサギ達。中身を取り出して、三人が顔を見合わせてほころばせた。どうやら俺のチョイスは間違っていなかったようで、喜んでくれたみたいだ。ニコニコしてみていた中で、飛鳥がふと、何かを思いついたように顔を上げて俺を見てきた。どうしたんだ?

 

「ねえ、零さん? これ、着けてくださらないかしら?」

 

 これを言った瞬間、俺には耀と黒ウサギの後ろに雷が落ちたように見えた。そ、その手があったか…!! みたいな?

 ていうか、俺が着けるのか…ま、いいけどさ。わかってるって、後でお前らにも着けてやるから。

 

「やれやれ…お任せください、お嬢様?」

 

 くすくすと笑いながら、ブローチを飛鳥から受け取り、胸元につけてやる。それを嬉しそうに見ながら微笑んでいる時に、飛鳥と交代で耀が来た。

 

「…私もつけて?」

「はいよ」

 

 今度はイヤリングだから自然と顔と顔が近くなる。耀の髪をかき上げて耳を見えるようにしてから付けてやる。

 

「ありがとう…」

 

 顔が真っ赤だな。恐らく今まで男との接点が無かったからこんな初々しい反応になったのか。最後は黒ウサギだ。

 

「あ、あの……私も……///」

「なんだ? 恥ずかしいなら止めるか?」

「ッ!? い、いえ! お願いします!!」

 

 既にゆでだこみたいになってるし。三日月の髪飾りは、左ウサ耳の下らへんに付けてやった。最後に頭をまた撫でてやってから離れる。

 

「あ、ありがとうございます!!///」

 

 コイツが一番初心だな。伊達に200年も貞操を守ってきてないな。

 

「じゃあな。しっかり休めよ~」

 

 そう言って部屋から出た。おっと、そういえば白夜叉を忘れてたな。今から行くか。転移も出来ることだしな。

 

 

◇◇◇

 

 

 ギフト“異動”で来たのはサウザンドアイズの二一〇五三八〇外門支店。そこの貴賓室だ。

 なぜか知らない青年までいるが。

 

「れ、零!? おんし、一体どうやってここに……」

 

 いや、そんなことはどうでもいいんだよ。何でお前が目の前に立っているとか、ノーネームに敵の気配がするとか……。それより、なんで俺の身体に酒をグラスごと投げつけられたか、が重要だ。

 

「……おい」

「アハハッ、ゴメーン手が滑ったんだよ。それに、いきなり僕達の話を邪魔する方が悪いんだぜ?」

「……よし、わかった。貴様は処刑だ」

「はぁ? 馬鹿言うんじゃねえよ、クソガキ。出直して来いよ」

 

 あーあ、こいつ終わった。俺にここまで言うとは…流石に殺しはアレなのでしょうがない、ギフトゲームでぐちゃぐちゃにしてやろう。白夜叉に用があったのにもうどうでもいいや。あとあと。イラッときた。俺の嫌いなタイプだわ。

 

「……なあ、ギフトゲームをしないか?」

「な!? おんし一体何を……!!」

「やるか馬鹿。僕に得が無いだろうが」

「ふむ…それもそうだ。じゃあ俺に勝ったらこいつをやろう」

 

 そう言って、一瞬だけ高天原に転移してツクヨミを捕まえ、帰って来た。

 

「あ、あら…? ここは一体…って、零?」

「へえ! これは凄い!! 黒ウサギより上物じゃないか!!」

 

 ニヤニヤと嘗め回す様にツクヨミの全身を見ている。こいつはツクヨミを知らないのだろうか? 下手したら塵も残さず消されるぞ。まあ、俺がリーダーだが。

 

「なあ、ツクヨミ。こいつらと無理やり闘いたいんだが、どうしたらいい?」

「ペルセウスよね~? 挑戦権を示すギフトがあったはずよ」

「ほう、教えろ」

「いいわよ。確か…………」

 

 それからこっそり話し合い、ギフトを教えて貰い、気持ち悪い視線で着崩れさせた着物を着たツクヨミを見ている馬鹿とツクヨミを見て固まった白夜叉を無視して、挑戦権を獲得しに行った。

 

 二十秒後……

 

「ただいま~」

「早っ!? もうとって来たの?」

「ああ。ほらよ」

 

 俺の腕の中には二つの宝玉がある。大体弱すぎ。あの大タコとババア。一瞬だったし。一つ三秒で取って来た。

 

「ほらよ。決闘を申し込むわ」

「な!? あの一瞬で取って来たのか!?」

「ああ、だからなんだ?そうだな…ギアスロールはこんなのでいいか?」

 

 

 

 ギフトゲーム名 “神罰”

 

 ・プレイヤー一覧 “高天原”天城零

          “ペルセウス”ルイオス=ペルセウス

 

 ・詳細、ルール ゲームマスターを打倒         

 

 ・報酬 ペルセウスが勝利した場合、ツクヨミを譲渡。高天原が勝利した場合、指定の商品の譲渡。

 

 

 

 

「シンプルだろう? 高天原と言っても、闘うのは俺だけ。俺一人対ペルセウス。勝てるかもしれないぞ?」

「ふ、ふざけるな!! お前があの箱庭で屈指の最強コミュニティのリーダーだと!? 嘘だ! 大体本当だったら勝てるわけないだろう!!」

「あのな? 喧嘩売ったのは最初はお前。そして俺は一人だぞ? 全員で一斉にかかって来たら勝てるかもよ?」

「……本当に一人なんだろうな?」

「ああ」

 

 疑い深いので、ツクヨミの着物の裾や胸元を掴んで態とらしく、見えるか見えないかのギリギリまで捲り、煽りまくる。美しい太ももや大きな胸が大胆にも曝け出され、それを見たルイオスは生唾を飲み込みながら釘付けになっていた。フハハハハ! 貴様なぞに俺のツクヨミはやらんよ! 全部俺のもんだ!

 

「ぁん♪」

 

 あ、ごめん、気付いたら撫でて揉んでたわ。

 こうしてのこのこ戦いの舞台にやって来た。場所は俺提供。膝丈まで伸びた草の草原と、夜空に散りばめられた数多の星。そして円を描くように並んでいる二八個の月。月が映る大きな湖。ここが舞台だ。

 目の前には200名を超えるペルセウスのやつら。チョロイ。ツクヨミの色香に仄めかされてのこのこ誘いにのるとは。チョロイオス君(笑)

 

「ツクヨミ、合図よろしく」

「わかったわ~。それでは……始め!!」

 

 それと同時にペルセウスのメンバーは突進してきた。俺はそれを見ながら腕輪から人妖大戦の時にも活躍した、永琳特製爆裂投擲槍を1本出す。今回は火薬少な目。

 それを無造作に投擲した。さらに能力で五千まで数を増やす。

 

 瞬間、大爆発。

 

 有り得ないほどの炎と閃光と音が炸裂した。あとに残るは、焦げたペルセウスのメンバーだ。

 

「……中々えぐいわね」

「くっそ…! 何なんだ、一体!! どうなってやがる!!」

 

 おや、チョロイオス君は生き残ってるじゃないか。そうでなくちゃ、ストレス発散が出来ないもんなぁ~。

 

「くそ…嘘つきやがって! なにが勝てるかも、だ! ふざけやがって! 滅茶苦茶強いじゃないか!」

 

 ぶつぶつ呟くチョロイオス君に近づく。

 

「やあ、謝る気になったか?お前が俺に喧嘩売るからこうなるんだぜ?」

「ちっ! まだだ! 来い、アルゴール!!」

「ra、GYAAA「五月蝿い」…………!?」

 

 なんか出てきた。叫びだしたから声を消して蹴り飛ばした。ついでにマスタースパーク。あ、そうだ、このギフト貰っておこう。俺って戦闘用のギフトないし、丁度いいわ。思い立ったが吉日、能力で『ルイオスがアルゴールの持ち主』である事実を消して、新しく俺が所有者になり、ギフトカードの中に突っ込んどいた。いつかだそう。

 

「ウソだろッ!?」

「残念、本当だ。ごめんな? 俺が最強でwww」

「くそぉ…! おおぉぉぉぉぉおおおっ!!!」

 

 丸く曲がった刃の剣を顕現させ、決死の覚悟で突っ込んでくる。だが、簡単に俺の腕によって砕かれ、為すすべがなくなる。

 

「さて、こっからは俺のお遊戯タイムだぞ?」

「や、やめ…何をするんだ……く、来るな!! うあぁ…うあああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁッッッ!!!!」

 

 

 

 

――――1時間後――――

 

 

 

 

「すみませんでしたごめんなさいもうしませんからゆるしてください………」

「ふう、すっきりした」

 

 あれから壊れるまで拷問をした。得意なんだ、拷問。絶妙な力加減で死ぬぎりぎりで生かす。死んだら生き返らせてもう一回。

 まあ、その結果貴賓室でこんな事になってるんだが。

 

「あ、ツクヨミお疲れさん。帰っていいぞ」

「はい。じゃあまたね~零と白夜叉?」

 

 消えていったツクヨミと壊れたチョロイオス君と動かない白夜叉。とりあえず白夜叉から復活させる。

 

「おい、起きろ」

「………はっ!? ア、アマギ様!?」

「そうだが?」

「い、今までの無礼…お許しください!!!」

 

 白夜叉は見事なジャンピング土下座を決めた。その土下座の完成度の高いこと高いこと……しかもロリが。名づけて『ジャンピングロリ土下座』!

 今まで事実を知った奴らはこんな見事ではなかったぞ。

 

 ていうか…はぁ、またこれか。ちょっとお話するか。

 

 

 

――――更に30分後――――

 

 

 

「つまり零様…零は高天原のリーダーを天城でしており、月神でノーネームに所属しているという事ですか……という事なんじゃな?」

「そういう事。誰にも言うな、今まで通り接しろ。これを守れば何もしないさ」

「それはありがたいの」

 

 いやぁ、説得に結構時間がかかったぜ。俺を見る度に腰を低くするんだから、めんどくさくて殴っちゃったけど、まあいいよね。

 

「と、そうだそうだ。用事はまだある」

 

 ていうか一番の目的がこれだ。アクセサリー渡すの。チョロイオスのせいで滅茶苦茶遠回りになったけどな。

 ポケットからプレゼントを出して渡す。

 

「なんだ? これは」

「プレゼントだ。良ければ貰ってくれ」

 

 白夜叉は包みを開けて中身を取り出した。

 

「ほぅ…中々に綺麗だのう…して、これはなんなのだ?」

「ああ、それはな………こうして角に付けるやつだ」

 

 白夜叉の手からアクセサリーを取り、実際に左の角に付けてやる。うむ…いい感じだな。

 

「ん…中々似合ってるぞ?」

「そ、そうかの……?」

 

 手鏡で自分の頭を見ている。

 

「ありがとう。大切に扱おう」

 

 と、少し顔を赤らめながらも微笑んでお礼を言ってきた。よし、気まぐれで買った物だけど、みんな満足してくれたしいいとするか。

 あ、そういえば報酬。俺はすっきりしたから別に報酬なんて……頂きますけどね!

 

「なあ、白夜叉」

「な、なんだ?」

「いや、報酬何もらおうかと思ってな。何がいいと思うよ?」

「ふむ…それなら……」

 

 白夜叉は少し考え込み、俺を真剣な眼差しで見てきた。

 

「一つ頼みがある。レティシアという吸血鬼が居るのだがな?そやつを貰ってくれんか?」

「別にいいが、なんでだ?」

「うむ。レティシアを巡っていざこざがあっての、おんしが貰ってくれれば片がつく。それに、ノーネーム所属のおんしなら…アマギ神であるおんしになら任せてもよいと考えている」

 

 ふ~ん…ま、いいか。貰っておこう。

 

「おい、ルイオス」

 

 未だぶつぶつ言っているチョロイオスを蹴って起こす。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!! ゆ、許してくださいぃぃぃ」

「ああ、俺に大人しく報酬を渡せば許してやろう。お前、レティシアとか言う吸血鬼をもっているな? そいつを寄こせ」

「は、はいぃぃ!! あげますから許して! 刺さないで!! 千切らないで!! 剥ぎ取らないで!! 抜かないで!! 食べさせないで!!」

「はて、食べさせないで?」

「前にバームクーヘン食ったろ? あれを改造して食わせた。わさびバームとか蟲バームとか……今すぐ持ってこい。行け」

 

 再び蹴りだすと、慌てて走って行って、十分程で帰って来た。でも、なんか石像みたいなんだけど……。

 

「よし、失せろ。もう現れるな」

「ひあぁぁぁぁぁぁぁあああぁあああっっ!!!!」

 

 猛ダッシュで帰って行った。涙が軌跡となって橋を作っていた。ギャグ漫画か。そんなに俺が怖いのだろうか? とりあえず、石化は能力で解いておいた。あ、ついでにチョロイオス君の記憶も改ざんしといた。ついノリで高天原の名前出したからそれに関して都合のいいように。

 

「……ん、ここは……」

「おはよう。とりあえずお前はこれから俺の物だから」

「は?」

 

 気づいたレティシアにジャイアニズムを豪語したらポカーンとした。しょうがないから説明は全て白夜叉に任せた。

 

 しかしチョロイオスめ。いきなり現れた俺も俺だが、それを関係なしにウザかったな。数多の拷問をして傷つけば傷を消してもう一回…これを繰り返したら見事に壊れたし。

 精神弱い。打たれ弱い。つまりは雑魚。もうシラネ。

 

「……という事で、零に助けられて報酬として帰って来たのだ」

「なるほど……つまりは私はあの男に助けられたことになると」

「うむ」

 

 あ、白夜叉の説明が終わったらしい。

 レティシアがこちらに来た。

 

 ……フランの方が上か…いろんな意味で。

 

「私はレティシアと言う。助けてくれたそうだな? 礼を言う」

「ああ、気にすんな。結果的にそうなったわけだし。これからよろしく」

「よろしく、主殿」

「主殿?」

「うむ。私の主に値するからだ」

「あっそ。まあいいや。じゃあ帰るわ、白リ夜叉(しロリやしゃ)」

「気をつけてな……って、誰がロリだ!!」

「お前だ。行くぞ、レティシア」

「了解だ」

 

 どうやら俺のことについては言っておらず、助けた、という事だけを伝えたらしい。ちゃんと白夜叉にも口止めしたから。

 激おこの白夜叉を無視してノーネームの本拠地に帰る。ちなみに方法は勿論“異動”で俺の部屋に直接。なんか慌ただしかったし十六夜達の気配が白夜叉の所に向かっていたが気にせずに真っ赤なレティシアを抱き枕にして寝た。

 

 




チョロイオス君降臨!だけど直ぐにリタイア!

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